西海岸はシリコンバレーに滞在している時、
スタンフォード・ディッシュとともにわたしが散歩コースにしているのが
マウンテンビューのショアラインパークです。
バードサンクチュアリという自然保護区に隣接している公園で、
広大な敷地には池とボートハウスがあり、さらにゴルフ場もあります。
ゴルフ場と公園は特に仕切られていないので、最初の年間違って
コースに入ってしまったということがありました。
わたしのお目当ては主にペリカンの生態を写真に撮ること。
まるで滑走路に滑り込むように川に着水するここのペリカンの姿を
少しでも綺麗に撮りたいと、先代のマウント式望遠レンズを
わざわざこのために持ってきたりしました。(結果は失敗)
その後望遠を純正のものに変え、いざ今年こそ、と来てみた去年の夏、
なんとペリカン滑走路は水不足でペリカンの頻繁な飛来は捉えられず。
今年も水不足は深刻で、なにしろ水がないため水辺の鳥であるサギが
山の中のスタンフォードディッシュに餌を求めてやってくるくらいですから
ここがその後どうなっているのか、恐々という気持ちで行ってみました。
ショアラインパークの近くにはグーグル本社があります。
この辺り一帯にグーグルの建物が散らばっているため、社員はこの
「グーグルカラー」の自転車であたりをうろうろしています。
この日ショアラインパークにグーグル社員が遊びに来ていたようでした。
もしかしたらポケモンGOをしに来ていたのかもしれません。
ここにもジリスが生息しています。
ここはディッシュトレイルと違い、木々が豊富なのであまり猛禽類が来ず、
蛇以外の天敵はいないのではないかと思われます。
なんかこんなお菓子がありそうな・・・。
赤い丸が写っていますがなんだったのかわかりません。
太って立派なリスが口をもぐもぐさせているのでアップにしてみたら・・・、
口の端に何か咥えていました。
巣穴の周りで和んでいるリス家族。
「うわっ・・・・わたしの年収、低すぎ?」
喧嘩上等なリスは片耳に戦闘負傷あり。
巣穴の周りが一番落ち着くのか、顔だけ出してじっとしているリスを
ここではよく見かけます。
育った環境によって、同じリスでも全く行動や性質すら違って見えます。
全般的にショアラインのリスはディッシュトレイルよりおっとりしているというか。
彼らはディッシュトレイルのリスより人間を怖がります。
かなり遠く(50mくらい)を望遠で狙ってみました。
手持ちでしたが、わたしの腕でこれだけ撮れれば大したものだと思います。
(彼らが置物のようにじっとしていたので撮れたのですが)
Nikon1の望遠、優秀なんじゃないでしょうか。
池のほとりにある美味しいクロワッサンのあるカフェで朝食をとることがあります。
食べていると、パンくずのおこぼれを狙う鳥に取り囲まれます。
これはオスが黒いBrewer’s blackbird、照りムクドリもどきのメス。
バターたっぷりのクロワッサンのかけらなど、鳥は食べないほうがいいと思うのですが。
鳥「くれ」
ここには「エサやり禁止」の張り紙があります。
羽を広げると、その時だけ赤い模様が大きく見える鳥。
Red-winged Blackbird、ハゴロモガラスです。
鶯のような色をした鳥。
Orange crowen warbler、サメズアカアメリカムシクイという
あまり情緒的でない名前が付いています。
グースは普通にいます。
飛ぶ時は傘型の編隊飛行をするグースですが、水上滑走の時には単縦陣。
カモメの幼鳥だと思う。
池の端の浅いところを餌場にしているサギは相変わらずです。
ここなら水不足で魚がいなくなることはないでしょう。
ここには大サギと小サギが3〜4羽生息しています。
こんな広いのに「縄張り」があるらしく、他のサギが来たら追っ払います。
大サギと小サギはバッティングしなければ共存できるようです。
鳴きながら威張って歩いていた大サギ。
おお、美しい。
まるで日本画にあるようなポーズを決めてくれた大サギ。
長い首はねじって収納?するんですね。
去年も見た川鵜がいました。
水の上に顔を出しているのは一瞬で、一旦潜ると水中をすごい速さで泳ぎ、
次には全く違うところに顔を出すので、写真が撮りにくい鳥です。
「鵜の目鷹の目」といいますが、それくらい鵜はハンターとして優秀。
鷹が上空から地上の小さな獲物を見逃さないように、鵜は水中で
驚くべき視力と素早い潜水を行って狩りを行います。
捕獲する際には時に1分以上、水深10m近くまで潜水することもあり、
1羽で1日500gの魚を食べるといいますから、起きている間はほぼ全部の時間
こうやって過ごしているみたいですね。
ところで、この写真で、鵜の羽がびっしょり濡れた感じがするでしょ?
ウ類の翼羽は油分が少なくあまり水をはじかないらしいです。
だから、狩りが終わったら、長時間同じ姿勢で濡れた翼を広げ、
小刻みに震わせ翼を乾かしているのだそうです。
池の周りを通り過ぎると、水辺の鳥の群生地が現れます。
ここはいつ来ても独特の「水辺くさい」臭があるのですが、
今年は特にそれがひどくなっているような気がしました。
それもそのはず、目に見えてわかるくらい、去年より水かさが減ってしまっています。
この一帯が全部干上がってしまっており、鳥たちは水のある部分に
全部の種類が移動してしまって、そのため一部が混雑しているのでした。
干上がっていない部分もおそらくは随分水深が浅くなったのでしょう。
それを計測する杭のうえにはアジサシが一羽。
それではペリカンの生息地はどうなっているのか・・。
うーん、確かに水の量は最初の年と比べると激減です。
しかしとりあえずはペリカンは生息できるくらいにはなっていました。
この写真は夕方来て撮ったもの。(5時くらい)
もうこの時間には就寝モードで、羽繕いに専念しています。
こちらは朝。
最初の年には1分おきに戻ってくるペリカンの着水が見られたのですが、
数も減ったせいか、それとも時間が遅く食事がもう終わっていたのか、
飛来してくるペリカンはずっと立っていても全くいませんでした。
ペリカンも水浴びをした後は岸で羽を乾かすようです。
ペリカンが飛んでこないので仕方なくカモメを撮っていたら・・・、
やっと一羽、飛んできました。
シャッタースピードは1/2000です。
画面の色が朝なのに黄色っぽいのは、ホワイトバランスをうっかりして
日陰モードにしたままで撮っていたからですorz
飛んでいるときのペリカンは邪魔なもの(くちばしの袋とか首とか)
をすっきりと収納して実に優雅な姿です。
よく見ると羽の先を一枚一枚エルロンのように動かしてコントロールしています。
さて、こちらペリカン生息地にいた小サギくん。
ここで水中の小さな生物を食べるようです。
何か見つけて走っている状態。
やっぱりそういうとき脚はいちいち水上に出すんですね。
夕方来たときに見たおそらく同一サギ。
ところで、飛来するペリカンは夕方にきても1羽もいなかったわけですが、
そのかわり、彼らの豪快な水浴びの姿はふんだんに撮れました。
ペリカンの水浴びは、その大きな翼をなんども水に打ちつけるように振り下ろし、
主に翼を洗うことが主目的のように見えます。
ペリカンの群生地に近づくと、この独特な水音が遠くから聞こえてきます。
それくらいこの水浴びの音は独特で、音も豪快なのです。
バタバタが終わって一仕事終えた風のペリカンさん。
その後はくちばしや首を使って丹念に羽をつくろいます。
くちばしでガジガジ噛むようにすることも。
水浴び正面から。
向こうではカモメも水浴び中。
ペリカンが翼を広げるとこんなに大きくなるのかと驚きます。
水を蹴って飛び立った瞬間。
シャッタースピードを上げて撮ると水浴びがこんな風に。
岸に上がると、羽を広げながら歩いて落ち着く場所を探します。
羽に赤いタグをつけているペリカンを遠目に発見しました。
やはり生態を研究するチームがあるようですね。
狭い地域に何種類もの鳥類が生息していますが、彼らも
なんとなくその中で住み分けをしているようです。
水不足の原因が何かわかりませんが、状況が一向に改善していないのは
異邦人であるわたしもこころが痛みました。
日本に帰ってきていきなり空港で大雨を見たとき、
「この雨をカリフォルニアに分けてあげたい・・」
と不条理なことを考えたものです。
さすがのアメリカ人も天候をどうにかすることはできないようですが、
とにかく来年はなんとか状況がましになっているのを祈るばかりです。
バーズサンクチュアリの鳥たちのためにも。