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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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造船所到着〜護衛艦「あきづき」体験航海

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観艦式と違い、佐世保から長崎への護衛艦クルーズは
あっという間に目的地に近づいて来たという感じがします。

前回最後にお話しした「恋する灯台N07」が見えます。

そしてあっという間に目的地である長崎の三菱造船所のガントリークレーンが見えて来ました。
何気なく使っているこの言葉ですが、ガントリー(gantry)とは、
複数の高脚の上部に水平な梁を備えた門型の構造物という意味があります。

 

三菱マークがクレーンのアーム中央にはっきりと。

入港作業を見るために、わたしたちはまた艦橋に登って行きました。
すると、出港時には被っていなかった黄色いヘルメットを全員が着用しています。
後ろから写しているので見えませんが、正面に海自のマーク入り。

副長の後ろ姿。

艦橋横右のウィングから甲板を望む。
潜水艦とすれ違った時のように、艦首舳先に数人が固まって立っています。
この頃にはすでに甲板には一般人の立ち入りを禁止されていました。

左の航海員が双眼鏡で監視を行い、右の乗員は通信中。
左にスイッチみたいなのを持っています。

今甲板の人たちは、これから橋梁の下をくぐるために
異常がないか艦体と進行方向の見張りをしているようです。

艦橋を横切るときに気づいてしまった黒板。
「ネザ」!「ミザ」!「コクザセリザチョリザヒリザ」! 

・・・・呪文かな?

基本的に昔から狭いスペースで生活するために敬礼の肘の角度や、
万歳のやり方をスペース省略して来た海軍は、その時代から
先任参謀を「セサ」と呼んだりして言葉も省略して来たのですが、
その結果がこれ。

「ネザ」=燃料在庫量

「ミザ」=真水在庫量

「コクザ」=航空燃料在庫量

「セリザ」=生糧品在庫量

「チョリザ」=貯糧品在庫量

「ヒリザ」=非常用糧食在庫量

こういうの、ちゃんと上の方が通達で決めてくるんですよー。
ちなみに昔「先任参謀」が「セサ」だったせいか、自衛隊になっても
「先任幕僚」のことは「セバ」とは言わず、「セサ」というらしいです。

したがって、例えば「運用幕僚」だと「ウヨサ」になります。
自衛隊になってからできたのではないかなと思う略語に

「サブサ」=潜水艦幕僚

「ロジサ」=広報幕僚

がありますが、海軍は基本英語オーケーだったのでどうだろう。

こういうのを見ていると面白くて時間が経つのを忘れてしまうのですが、
ちょっとウケたのが、

「トサカ」=統裁官

「ウシ」=運用士

「カバ」(カパじゃない)=甲板士官

「スシ」=水雷士

「ホシ」=砲術士

まあ面と向かってそう呼ばれるわけではないので牛でもカバでもいいんですが。 

こんなものの写真も撮ってしまうのだった。

「缶は洗って捨てろさぁ〜。」

長崎弁でしょうか。
それはともかくこんなところでどうやって缶を洗うのかと。 

ここには「カ」「フ」「コ」とか「ツシ」「セシ」などが働いているというわけ。

女性の「コ」。 

艦橋の窓から今からくぐるという橋が見えて来ました。
甲板の見張りはきっちりと等間隔で舳先に立っています。

長崎湾から三菱重工造船所のある浦上川の大きな河口に
入って行くとき、ボトルネックのような部分をつなぐ橋、

「女神大橋」(愛称ヴィーナスウィング)

です。 

女神橋は建設の際、造船所がこの中にあることや大型の客船が出入りすることを考慮して、
水面から非常に高い場所を人や車が通行する斜張橋(しゃちょうきょう)にしました。
斜張橋とは、塔から斜めに張ったケーブルを橋桁に直接つなぎ支える構造のものです。

 

それは、この写真を見てもお分かりいただけるかと思います。
護衛艦とはいえ、艦橋の高い部分にいても、これだけ上部に余裕があります。

 

かつて世界最大級の客船クィーン・メリー2などもこの下を通過したことがあるとか。

たった今橋の下を通過ー。
女神大橋は歩いて渡ることもでき、 長崎のランドマークとして
観光資源ともなっているそうです。

あっという間に橋の下を通過。
昔観艦式の時に「ひゅうが」で横浜のベイブリッジ下を通過した時、
最先端部と橋の下が7mあると聞きましたが、それでも下からはギリギリに見え、
皆が息を飲むようにして上を見ていたことを思うとあっさりしたものです。

双眼鏡のレバーに赤いリボンがつけられていますが、
これも体験航海乗客がぶつからないようにという気遣い。

こんなところ、ぶつかる方が悪くね?と思いますが、
自衛隊的にはそうはいかないのでしょう。

ブリッジ下を通過すると、両岸に造船所が見えてきました。

三菱造船所で建造中の船も色々と見えてきました。
なかなかの豪華客船、名前は

「AIDA Perla」 

調べたところドイツの「アイーダ・クルーズ」社の船で、
一番船の「アイーダ・プリマ」が引き渡されたのは最近。 

ただし、度重なる設計変更などで納期は1年遅れ、さらに3度の不審火に見舞われるなど
災難を経ての引き渡しだったそうです。

これは2番船で、全長約300メートル、12万5,000トン、
客室数1,643室で約3,300人を収容でき、プールやスケートリンク、カジノなど
豪華な設備を備え、さらに最先端の省エネ技術も採用しているとのこと。
ニュースによると、 

これら2隻の豪華客船建造がもたらす結果が、長崎市の基幹産業である
造船業の今後を占うといっても過言ではない。
三菱重工業は「工程の最適化と改善で建造を加速させる」とするが、
これ以上の遅延は許されない。わが国の造船技術の真価が試されている。

ということです。

こちらはアメリカのクルーズ船「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」。

今はアジアクルーズがメインなので、母港は上海だそうです。
つまりこの乗客のほとんどが中国人なわけか・・・・。 

漁船などが繋留する岸壁のようです。
ちなみに一番向こうの白い船は「やまと」だそうです。 

横浜で「鳥海」だか「金剛」を見たことがあるけど、
船の名前って言ったもん勝ちみたいなの? 

こちらはどうやら軍艦島見学ツァー。
「ブラックダイヤモンド」 という船は、乗艦料が3600円。(子供半額)
島に上陸するのには見学料が大人300円、子供150円必要です。

なんかこれ安くない?

あとは、船上から長崎市内に点在する世界遺産を見学するクルーズもあり。 

 

これも曳船でしょうか。

建造中の船体。
まだ上部構造物が全くない状態です。

もう一隻曳船が向かってくる方を見ると、艦番号176、
忘れもしないわたしが前回の観艦式本番で乗った「ちょうかい」が。

千葉県木更津港から乗艦し、駿河湾を一日クルーズした艦と
長崎で再会することになろうとは、なんとも不思議な感じです。

イージス艦である「ちょうかい」に乗ることが決まっていたのはいいけれど、
その直前に北の坊ちゃんのミサイル騒ぎで、

「何かあったら観艦式には出ませんからその時は諦めてください」

と言われていたんだったわ。
今調べたら「ちょうかい」は石川島播磨島の生まれ。
なのになぜ三菱でドック入りしているのかと言いますと、
「こんごう」型の姉三人を三菱に造らせたあと、石川島播磨にも
技術維持の機会を与えるために「ちょうかい」だけを造らせたのですが、
その後石川島播磨はIHIになり、「ちょうかい」の古巣東京工場が
閉鎖されてしまい、結果として彼女は現在のところ

唯一の非三菱ミサイル護衛艦

となってしまったのです。
というわけで、メンテもここで行っているんでしょう。

こちらには「ありあけ」さんがいます。
「むらさめ」型の9番艦なので、これも「あめ型」と呼ぶのかな。

旧軍では「春雨型駆逐艦有明」「初春型駆逐艦有明」、
そして自衛隊になってからは「ありあけ型護衛艦ありあけ」に続く4代目です。 

「ちょうかい」の真正面を通過した時を狙って一枚。
塗装をやっているらしく、CIWSや手法、レーダーの類が全て覆われています。

「ちょうかい」の後ろは・・・・ええい、艦番号が見えーんっ!
どうも今乗っている「あきづき」と同じ形に見えるんだが。
もしかしたら「すずつき」かな? 

「あきづき」に先駆けて「すずつき」もドック入りしているのでしょうか。

「あきづき」の接岸作業はこのコンビが担当する模様。

そこでふと甲板の上を見ると、全ての乗員が右舷側に固まっているのに気づきました。

ところで、また作業艇を海面に下ろす用意をしていたので待っていたら、
ブリッジの下を通過しだしたのでそちらに気を取られているうちに
作業はあっという間に終わってしまい、降ろすのを見損ないました。 

「あきづき」はこれからこのドックに入渠する模様。

ふと気づくと、作業艇はいつの間にか着岸する予定らしい岸壁に近づいています。
遠くて見えなかったのですが、着岸するための何か準備を行ったようです。

曳船がお仕事を始めました。

こちらの名前は白鷹丸。

こちらは「鶴翔丸」なんですが、こちらから見ると・・・

「丸 ”翔鶴”・・・・・」

「これは、おそらく故意犯というやつですね」

わたしと鉄火お嬢さんは目を見合わせ、頷きあったのでした。

 

続く。


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