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幹部自衛官任命〜幹部候補生 飛行幹部候補生卒業式

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江田島で去る三月十八日に行われた幹部候補生、飛行幹部候補生の卒業式。
いよいよ開式の時間となりました。 

わたしの横にいた一団は約40名の飛行幹部候補生たちです。
彼らの今現在の階級は海曹長となっており、袖には一本線に錨のマークが入っています。

ある幹部校卒業生のお母さんが送ってくれた写真ですが、右が卒業式の時のもの。
式の間に彼らは海曹長から幹部自衛官に任命されるので、
ここを出て行進に向かう時には、左の袖章のものに取り替えます。
式の1ヶ月前に制服を集めて、金線をつけてもらうんだそうです。 

別のお母さんが(自衛官のお母さんの読者が何人かおられます)

「古い曹長の細い線に錨は式後解いて帽章と一緒に午餐会の場で私にくれました」

と教えてくれました。
外した金線と錨の刺繍をしたボタンはもらえるので、
額に入れて飾っているお宅もあるのだとか。

壇上には本日の来賓が入場しました。
前列左端には衆議院議員の寺田みのる先生がおられますが、
わたしの席から非常に近いので、向こうもこちらに気がつかれ、
壇の上と下で目だけでご挨拶を交わしました。

その後ろの列には宇都隆史議員、その隣福田達夫衆議院議員、
その左大野敬太郎衆議院議員。(全部自民党議員)
その後ろにもうお顔を覚えてしまった海保大学校長、警察本部長、警察署長、
消防署長とおなじみ米陸軍弾薬庫のムーア中佐などがおられます。

本日の式次第は、これだけ見ても2月の部内選抜卒業式とは大きく違います。
一番大きな違いは「幹部自衛官任命」。
前回の卒業式の後の行進では、行進する彼らの制服の袖は
海曹長の錨のマークがまだ付いていました。

しかし、本日の候補生たちはこの式における任命の瞬間をもって
幹部自衛官になるわけですから、袖章も桜に変わるのです。

式が始まり、最初に君が代が斉唱されたのですが、
候補生たちの歌声の大きいのには驚かされました。

大きいといっても怒鳴っているような大声とは全く違う、
深いところから湧き上がって来るような響きです。
日頃腹の底から声を出し慣れているからこその歌声だと思いました。

そして先ずは卒業証書授与が行われます。
幹部候補生学校の校長、真殿海将補が壇上にたちました。 

わたしの座っているところからは最前列の飛行幹部候補生の頭で
ちょうど証書を受け取るところがこんな感じにしか見えません。

ちなみに卒業証書が渡されるのはあいうえお順なので、
相川とか相田とかいう名前の候補生はカレンダーの写真などに取り上げられます。

名前を呼ばれたら「はい!」と返事をして壇上に歩み、

校長から賞状を渡されます。
その際校長は必ず候補生の目を見て、しっかりやりたまえというふうに軽く頷きます。 

賞状を受け取った候補生は、受け取ったまま直角に進行方向に向かってターン。

その場で賞状を二つにたたみます。

そして壇の一番端から階段を降りて自席に戻り、立ちます。

体力徽章1級をもっている候補生発見。

体力徽章とは年一回行われる体力検査で、これは一定以上の成績を収めた者に
次の検査まで貸与されるバッジです。
あまりにそのレベルがすごいので、 これをつけている人がいると
わたしなど「おおお〜」と希少種を見る目で見てしまいます。

 

ところで体力といえば、アテンドの大尉殿が、

「現呉地方総監は毎朝走り込んでいて、走りながら取材を受けたこともある」

というなんじゃそりゃー情報を教えてくれました。
走りながら取材って・・・クリントン元大統領?

第67期一般幹部候補生課程修了者は約190名。
その一人一人に賞状が手渡されていきます。 

 

一般幹部の190名のうち、女性は15名です。 

先日体験航海で乗り込んだ「あきづき」の航海長も女性でしたし、
戦闘艦の艦長も誕生した今、女性士官を艦艇見学で目にする機会も
ますます増えて来るのでしょう。

一般幹部の中に二尉に進級するというグループがありました。
まさか二階級特進制度とか、飛び級があるとは思えないのですが・・。

そこで考えたのが彼らは防衛医大卒の人たちではないかということです。
招待状にも、

第67期一般幹部候補生課程修了者等

とあるので、この「等」がそうなのではないかと考えました。

調べたところ防衛医大卒業生は、卒業と同時に陸海空のそれぞれの幹部候補生となり、
「曹長」の階級が与えられるというのまでは一般幹部と同じです。

その後、wikiによると防衛医大卒候補生は

幹部候補生学校の卒業と同時に、二等陸・海・空尉に任官し、研修医官となる

らしいのです。
つまり医大卒はここで飛び級をするらしいんですね。


旧軍でも、医科大学卒の者の軍医としてのスタートは軍医中尉からでした。
これは医師という特別な技能者を、兵科将校とは別に尊重するという意味と、
任官までの修業年限が長く、また訓練期間の投資額も大きいからという意味があります。

ちなみに画面の候補生とこの内容はおそらく関係ありません。

防衛医科大卒幹部の二尉の皆さんはすでに国家試験に通った医師の卵でもあるはずですが、
彼らも遠洋実習航海に参加するのかどうかはわかりませんでした。

ちなみにこの写真も内容とはおそらく関係ありません。

一般幹部候補生課程修了者等の卒業証書授与が終了したところで、
本年度のたった一人の留学生であるタイの卒業生が証書授与されました。 

背が高くハンサムでノーブルな軍人さんです。
タイ王国から一国の代表として留学に来る人ですから、超優秀であるだけでなく、
もしかしたら高貴な血を引いていたりするのかもしれません。

去年のタイからの留学生も大変なイケメンだったとみね姉さんが後で証言していました。
てか去年も行ったのかみね姉さん。

この留学生は遠洋航海にも一緒に行くそうです。
渡航費が高くて遠航に行きたくても行けない留学生も珍しくない中、
おそらく国ではかなりの富裕層に属する家の出なのでしょう。
 

それが済んでからは飛行幹部候補生への卒業証書授与が始まりました。
横にいた一団がいなくなって視界が初めて開けました(笑) 

一般幹部が飛行幹部候補生になるには、防衛大学校であれば1学年の時に
行われる適性検査などで飛行幹部要員になる方法、
一般大から幹部候補生になり、さらに飛行要員を目指す方法がありますが、
なかなかに狭き門だという話です。

なぜなら航空学生と防衛大卒の操縦志望者がが足りない分しか
大卒の幹部候補生から採用されないというシステムだからです。

つまり航空学生と防大の脱落者の数次第みたいなところがあり、
なるには競争率4~50倍を突破しなければいけないとか。

しかし昨年秋の入間航空祭で流れたブルーインパルスの隊員の紹介では
一般大卒の隊員が目立っていました。
高倍率をくぐり抜けただけに優秀ということが言えるのかもしれません。 


ちなみにこの段階では、一般幹部の中では飛行過程に行けるかどうかは
まだ決まっていませんから、ここにいるのは航空学生過程を2年終え、
その後幹部候補生として訓練を受けてきた人たちということになります。 

 

それではここにいるウィングマーク付きの候補生たちは
全員が回転翼か固定翼のパイロットなのでしょうか。

ウィングマークを取得するのはすでに国家資格を受け、
さらに実用機過程も終了したという印なのですが、
これ以外に戦術航空士も同じようにウィングマークを取得します。 

飛行幹部の最初の頃の証書授与者はわたしのお隣に座っていた人たちなので、
やっと頭の写り込まない写真を撮ることができました。 

今うちにある「海上自衛隊カレンダー」の三月は、これと全く同じ構図です。
症状を授与しているのは前校長の杉本孝幸海将補なのですが、
横にある松の盆栽は全く同じ形をしております。 

ウィングマークだけでなく体力徽章ともう一つ何かつけている卒業生。

彼らは高校卒業後5年半の航空学生としての過程を終了し、
ここで幹部候補生として約半年の訓練を受け、本日三尉になります。 

彼らが初等教育で乗ったTー5も、今日は小月から祝賀飛行を行う予定です。

さて、飛行幹部候補生の賞状授与終了すると、次は優等賞への症状が授与されます。
受け取ると、昔海軍兵学校で恩賜の短剣を受け取った時のように
そのまま後ろ向きに階段を降りて行きます。

部内選抜の幹部候補生の時には5名でしたが、本日は
10名くらいは呼ばれたような気がしました。

説明がなかったのですが、防衛医大の優秀者も一緒だったのでしょうか。

そして飛行幹部過程卒業生からは3名が優等賞を授与されました。
次席は女子学生だったのですが、これは決して稀なことでもなく、
去年は飛行幹部のクラスヘッドが女子で、場内がざわめいたそうです。 

こちら一般幹部候補生のクラスヘッド。
チリ共和国の海軍士官学校勲章が最優秀者に伝達されます。
勲章を胸につけているのはチリ大使館関係の人。

この後スペイン語で挨拶をしましたが、その後翻訳文が紹介されました。

続いて水交会から激励賞が一人の卒業生に授与されました。

これを持って賞状授与は終了です。
この後、幹部候補生は「起立!」と号令をかけられて一斉に立ちました。

実はこの号令が、彼らが受ける実質最後の号令であったのです。
というのは、この後行われた

幹部自衛官任命

の儀式をもって、候補生たちはその瞬間から自衛隊幹部という立場、
すなわち号令をかけられる方からかける側になったからです。 

実際、これ以降彼らに号令はかけられなくなり、その後は起立も着席も、
全て自分たちの判断により行われているように見えました。
具体的には、全員で空気を読みあって阿吽の呼吸で行動する、という感じです。
そのため、ある瞬間妙に空気を読みあう「す」があったりしました。


彼らが指揮官としてまさに最初の第一歩を踏み出したということが、実は
この小さな変化に現れていたことに気がついた人はどのくらいいたでしょうか。

ともあれ、ついさっきまで幹部候補生であった彼らは、今や幹部となってここにいます。

 

続く。 


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