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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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飛行準備とチヌークの散水

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毎年11月3日に行われる入間航空祭。

ブルーインパルスの演技も堪能できる大規模なこの航空祭は
人気があるだけに何十万人もの観客が例年詰めかけます。

今年の観客数は21万人で、テレビドラマが放映された年の32万人には及びませんが、
それでもこれだけの人数が一つのところに集まり、いちどきにに帰るので
行きはともかくとにかく帰りが大変すぎて、それで一度行ったらもう十分、
という人が結構いるのです。

わたしもそんな一人である有力な空自協力大企業のCEOが、

「わしは一度行けばもうたくさんぢゃから
是非とも我が社の代表として行ってくれんかね君」(脚色かなりあり)

と招待券をくださるようになったので行っています。

おかげで地べたに座ったり、人の頭越しに航空機を見ていると
後ろからカメラのレンズで後頭部を小突かれるなどということもなく、
ちゃんと座るところと食べるものを確保していただけるようになりました。

招待状さえあればこれだけ楽ができるのですから、もし

「自衛隊イベント過酷度耐久コンテスト女子上級部門」

にエントリーすれば上位入賞間違いなしのわたしにとって、
帰りの過酷さくらいなんでもありません。

招待券があるのだからゆっくり行けばいいと頭ではわかっているのですが、
最近の抉りこむように打つがごときイベント参加によって習い性となってしまった
「とりあえず一番乗り体質」がどうしてもそれを許さず、
この日も朝3時半に起床して4時半に家を出たわたしです。

3時半に寝室のドアを開けたら、明日が期限のレポートを仕上げていて
ようやく寝ることができるようになったMKが寝室に入るところに
ばったり出くわし、こんな挨拶を交わしました。

MK「おやすみ〜。いってらっしゃ〜い」

わたし「じゃ行ってきま〜す。おやすみ〜」

 

さて、夜明け前なので全く渋滞なしで入間に到着です。

前日地図で前もって狙いを付けておいた、入間基地隣の公園の駐車場を目指しました。
ここなら入間基地から歩いて車まで戻れるではないですか。
早朝に行けばきっと停められるに違いない。今年は帰りも楽ができそう。

とほくそ笑んだわたしですが、甘かった。
わたしごとき入間初心者が思いつくことを皆が思いつかないはずがなく、
HPによると公園駐車場のオープンは6時のはずが、到着した6時10分にはすでに
ゲートに「満車」の札が出ていたのです。

(さらに不思議だったのはゲート外側に空き待ちの列ができていたことです。
航空祭が終わるまでおそらく満車のままだと思うけどな)

わたしは「満車」の文字を見るなり可及的速やかに入間駅まで移動し、
計画を変更して駅徒歩圏内にある駐車場に車を入れることにしました。

入間駅にほど近い自走式駐車場に車を停め、電車で一駅、
基地のある稲荷山公園駅に到着すると、駅改札口まで延びていた人の列は
すぐに動き出し、この写真の場所まですんなり到着した時には開門30分前でした。

ありがたいことに目と鼻の先が招待者受付です。

この時間、中まで入れたのは囲いで囲まれた招待席に座れる人だけで、
最前列狙いの早朝待機組は、建物の陰で留め置かれていたようです。

椅子席の最前列という選択もありでしたが、今年もスタンド席に座ることにしました。

エプロンの向こう端には航空自衛隊の消防車が待機しています。
オープンカーが停まっており、制服の自衛官が見えますが、
おそらくミス航空祭のパレードに使う車とその運転手たちでしょう。

まだ観客が誰もいないエプロン越しにブルーインパルスが

・・・7機?!

一番手前の無番の機体は予備機でしょうか。

展示用のC−1、輸送機CH-130H、YS11に陸自のコブラらしき姿も。

赤と白のチェッカー柄がトレードマークの点検機。
T-4部隊がプリフライトチェックに入りました。

この時時間は8時15分前です。

格納庫前には、ロープの張られた最前列の場所を取るために
早くからやってきた人が、自衛官に黄色いロープで抑えられながら
今か今かと自由になるのを待っているのが見えました。

これはすごい。

もしかしたら空自の警衛隊員にとって、災害派遣以外ではこれが
もっとも緊迫感のある任務の一つかもしれません。

下手したら人が将棋倒しで大惨事になりかねませんからね。

なんだか遠目に見ても大変なことになっているような気がする・・。
隊員たちが必死でロープで押しとどめながら人を移動させています。
誰か一人が走り出せば、群衆真理で我も我もとなってしまうからですね。

あっ、ついに向こうの一団のロープが解かれました!
皆一斉に走り出しているようです。

毎年こんな調子でよく今まで一人も怪我人が出なかったものだと思いますが、
ここが日本であることと、何と言っても空自の万全な警衛態勢の賜物でしょう。

おー走ってる走ってる。
特に最前列の若者たちの躍動感ぱねえ。

一斉に解き放つと人が混乱して危ないので、時差を設けているのでしょう。
他の集団が走り出しているので、せき止められている人はきっとイライラMAXです。

抑えている自衛官は笑ってますね。なんか余裕を感じます。

 

この様を文字通り高見のの見物していたわたしですが、このさまを見ながら
もしブルーインパルスのウォークインを眼の前で見ようと思ったら、
この生存競争に勝ち抜かなくてはならないということ、
流石のわたしにも、到底この一団の一人となる勇気と根気は到底ないこと、
そして世の中には上には上がいるということをしみじみと考えていました。

 

そのうち会場では練習機T-4のオープニングフライトも終わり、
最初の演目を務めるチヌークが舞い上がりました。

その間エプロンでは注意して見ているといろんなことが起こっています。

折しも会場を一団となって歩くODカラーの男たちあり。

「お、あそこを歩いてるのはパイロットだな」

近くに座っていた「わしは大物なので自衛隊ではVIP」自慢の爺ちゃんが
彼らをみてこんなことを言っているのを聴き、心の中で

ばっかも〜〜んそいつがルパンだ!じゃなくて空挺団だ!
ヘルメットを付け背中に落下傘を背負っているのが目に入らんか!

と突っ込んでいたわたしです。

それは今から空挺降下を行う最狂軍団の精鋭(つわもの)が、
降下機であるC−1に乗り込んで行く姿でした。

C-1のクルーの準備もエプロンの其処此処で始まっています。

冗談を言い合っているらしい様子が遠目にもわかったり、
誰かが恋ダンスの一節を見せたり機体の横でスマホを見ていたり・・・。

よくわかりませんが、明らかに陸とも海とも違う雰囲気ではあります。

幌のついたトラックからはC-1のクルーが降りてきました。
フライトスーツというんでしょうか、濃いグリーンのつなぎに、
ギャリソンキャップがクルーの基本スタイルのようです。

 

ギャリソンキャップを略帽に採用しているのは航空自衛隊だけです。

ギャリソンとは「駐屯地」を意味し、世界的には陸軍も使うことが多いようですが、
日本の気候には鍔のないデザインが陸自隊員にとって実用的ではないとされたのでしょう。

もっともその昔、女性自衛官の帽子はこのギャリソンタイプでした。

整備の隊員はクルーを直立不動でお迎え。

C-1の後部ハッチが大きく開けられました。
ハッチが観音開きに開いているのを見たのは初めてかもしれません。

なにやら赤いライトセーバー状のものを機上に持ち込むクルー。 

さて、プログラム展示の最初はチヌークCH47のバケツによる消火活動です。
空自迷彩のチヌークが赤いバケツを牽引して高く上昇しました。

しばらくその辺りを旋回していましたがいきなり放水!

あれ?バケツの底から水が出てきたけどこれどうなってるの?

そこですかさずバケツ部分を拡大してみましょう。
なるほど、太いワイヤーをなんらかの方法で引っ張ると、バケツの底が開き、
メッシュ状の素材を通して散水されるという仕組みのようです。

無事任務を遂行したチヌークはその後会場上空を旋回してご挨拶。

後部ハッチからは三人のクルーが手を振って挨拶しているのが見えました。
ハッチに座っている人は、脚を大きく広げて黄色い大きな手袋をつけた両手を振ってます。

ところでこの人たち、もちろんハーネスで体を固定しているんですよね?


続く。





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