さて、飛行甲板の上の固定翼機機シリーズ、続きです。
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Grumman C-1「トレーダー」 Trader
「トレーダー」というのはそのものズバリ貿易船のことです。
C-1トレーダー貨物機は、COD(Carrier Onboard Delivery)、つまり
陸上から洋上の航空母艦へ補給物資を輸送する艦上輸送機であり、
人員の輸送、修理部品の搬入、傷病者の搬送、
特に郵便の配達という重要な作業を行っていました。
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右側のエンジンカウル内側に、光沢のある丸いものがありますが、これは
パイロットがノーズギアが展開されているかどうかを確認できるミラーです。
なるほど、バックミラーをカウルにつけて下を確認するんだ。
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「イージーウェイ・エアラインズ」。
このあだ名は、乗員たちの待ち望む支給品、何より
家族からの手紙を積んでおり、常に皆に熱烈に待ち焦がれられた、
「定期便」であるトレーダーらしい名称と言えましょう。
とにかくその頃は飛行機で運ぶ手紙でしか連絡が取れなかったので、
現地のオーディオ説明で、乗員の妻だったという人が
「たとえば何か相談をしたくても、返事が返ってくるのは2ヶ月後で、
車を買うとか、カーテンをどうするとかいう相談も返事がそんなに
先になってしまうのでは相談しても仕方がなくて・・」
みたいな愚痴を言っておられました。
スネイル・メール(電子メールではない郵便のこと)の時代には
人々は連絡を取るのにこんなに苦労していたのです。
かくいうわたしは、先日大学に入学した息子をアメリカに残して
家に帰ってきたわけですが、彼の勧めにより、息子の使っていたパソコンデスク
(大きなディスプレイ搭載)で作業を始めるにあたり、
接続を全てメッセージのやりとりで教えてもらいながら行いました。
写真を送りながらやりとりができるので、電話よりずっと便利です。
昔の親なら、アメリカに航空便箋で手紙を書いたり小包を送ったり、
高い国際電話でわずかに言葉を交わしたりしか出来なかったのに、
全くこんな文明を享受できる便利な時代によくぞ生まれたものだと思います。
日本からものを取り寄せるのも、今はAmazonで簡単らしいですしね。
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ダグラス A-3A スカイウォリアー
ラインの上にきっちりノーズを向けて展示してあります。
スカイウォリアーも実は第二次世界大戦終了後すぐ、
アメリカが核爆弾を積むことのできる飛行機を開発させ、
その結果できたという経緯があるので、大変機体が大型となっています。
こうやって正面から見ると、胴体が四角いですね。
多分これも搭載する予定だった核爆弾のことを考えてのことでしょう。
スカイウォリアーはやはり戦略爆撃機として開発されたビジランティの
登場とともに置き換えられて引退しています。
しかし、ビジランティもそうでしたが、大は小を兼ねるという言葉通り、
機体が大きかったので、戦略爆撃機としてはお役御免になっても、
電子戦機や写真偵察機、空中給油機に改装されて生き残りました。
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スカイウォリアーと記念写真を撮るおじさん。
機体の下にはベンチがあって、日陰で休むこともできます。
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こちら今年の写真。
給油プローブがまるで槍を持つ戦士みたい・・。
あ、それで「スカイウォリアー」か!(多分違う)
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スカイウォリアーの面白い写真をwikiで見つけました。
偵察機として使われていた時、搭載したカメラを全部並べたものです。
搭乗員の足元にあるのも数えれば全部で12基あるんですが、これ、
現在ならおそらくこれだけのカメラ全部の機能が一台に搭載されたものが
できてたりするんだろうなあ。
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F9Fパンサーについてはもうお話ししましたが、別角度からの写真を。
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こちら今年の一眼レフによる写真。
腐っても一眼レフ、何も考えずに撮っても、画質の違いは歴然です。
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パンサーのパイロットもアップにしてみるとイケメンなのがわかります。
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ちなみに正面から見ると・・・・・
\(^..^)/
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Northrop Grumman E-2「ホークアイ」 Hawkeye
我が自衛隊でも運用しているので大変馴染みのあるこのシェイプです。
鵜の目鷹の目と申しますが、早期警戒機として「鷹の目」が必要であることは
全世界の共通認識なんだなと思うこのネーミング。
現場でのニックネームはその独特なエンジン音から「ハンマー」だったそうです。
ハンマーでカンカン叩くような音でもしてたんでしょうか。
鷹という割には背中に甲羅を背負っていて、ちょっと間が抜けているというか
愛嬌のある感じがよろしい。
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これは今年一眼レフで撮った写真です。
今年の「ミッドウェイ」訪問では、今までの見学で時間がなく
見ていないところを重点的に回りましたが、丸一日使ったので
これまでお話しして来た航空機展示も、ひとつひとつオーディオツァーで
説明を聞きながら見ることができました。
この写真は念願のブリッジ・ツァーの移動時に
下にホークアイがいたので撮ったものです。
これを見てふとレドームの大きさは、大相撲の土俵くらいかな?
とふと思ったので調べてみたところ、レドームは7.31m、
相撲の土俵は4.5mで、レドームの圧勝でした。
この圧倒的かつ画期的なレーダーレドームの思い切った(多分)採用で、
海軍はこれまでの早期警戒機とは格段に違う管制力を手に入れました。
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後ろから見たホークアイ。
接合部からレドームまでの高さが結構あるのがわかります。
少し前に「ミッドウェイ」で運用されていたホークアイが
海に落ちた話をしたかと思いますが、あの話で、これが海に落ちた時には
やはりこのお皿が浮きとなってしばらく浮いていることを知りました。
お皿は対空警戒・監視を行うための強力なレーダーなのですが、
これもまた意外な副産物だったというわけです。
ちなみに現在の「ホークアイ」は、強力なレーダー・電子機器により、
同時に250個の目標を追尾し、30の要撃行動を管制することができます。
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どうしてホークアイだけこんなに写真が多いのか?
と思ったあなた、あなたは鋭い。
実は個人的にこの飛行機が結構好きだったりするわたしです。
これはオーディオの説明の通り、ノーズ下部に搭載された
撮影のためのウィンドウを強調してみました。
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しかしこうして見ると、ホークアイ、何かに似てるなあ。
・・・・スヌーピー?
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さて、今回初めて見学した部分に、飛行甲板の一階下にあった
搭乗員の控え室、「レディ・ルーム」があります。
いくつかの飛行隊のレディルームがそのまま展示してあったのですが、
その中からホークアイのクルーの控え室をご紹介します。
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椅子の背もたれには、かつてその席が「定位置」だった何人かの
クルーの名前が残すことなく貼り付けられていました。
もしかしたらこれはパイロットスーツにつけるネームそのものでしょうか。
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エンドレスで室内のモニターにはE-2にまつわる映像を流しています。
今画面にある
E-2D アドバンスド・ホークアイ
は、「ミッドウェイ」にホークアイ部隊があった頃にはまだなくて、
というより現在進行形でアメリカ海軍が運用している最新型です。
2007年初飛行を行い、2015年より実戦部隊に配備を開始したばかり。
もしかしたら横田基地で見たホークアイはこれだったのかもしれません。
ホークアイの見た目はあまり変わらない、と書きましたが、
その時思ったのはとにかくプロペラの数が多いこと。(8枚羽根)
もちろんプロペラの羽は多ければ多いほど飛行機は安定しますが、
素材が近代化して軽くて薄いプロペラが作れるようになって、
初めてこういう多重羽根の大型機が実用化したという気がします。
この最新型E-2Dは中期防衛力整備計画において
導入が決定されたので、今年中には空自にお目見えするでしょう。
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ところで、この周りの地図と写真、これらはあの
「砂漠の嵐作戦」
を再現しているようですね。
イラクがクェートに侵攻し、湾岸戦争が始まった時、イラク地上軍を
空爆により無力化する目的で実施されたのがこの「砂漠の嵐作戦」です。
このとき、B-52、F-16、F-15E戦闘機による空爆のほか、
巡航ミサイル使用による発電所などに対する攻撃も実施されていますが、
その攻撃に先立ち、E-2航空隊が情報収集に出撃しているわけです。
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E-2の機能、探査能力などについて説明しているようです。
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これは海軍に存在したホークアイ部隊の徽章一覧ですが、
やはりホークをあしらったものが多いですね。
VAW-126のようにホークのアイから稲光が出ている、
文字通りのものもあります。
電子戦を行うため、ちょっと関係ありそうなコウモリとか、
「スチール・ジョー」(鉄の顎)という名前のサメとか、
見ていて興味が尽きないのですが、渦巻き模様の真ん中に
眼(アイ)があるというVAW-123のマークを見てください。
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レドームにそのマークをそのまま描いちゃってるんですよー(笑)
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出撃などの指令を受けるデスクの電話がレトロです。
今はガラスで覆われていますが、もちろん当時は違います。
「ミッドウェイ」に湾岸戦争時搭載されていたこの部隊は
でした。
湾岸戦争後、我が空自・海自との合同訓練も行なっています。
その後岩国基地勤務を経て海兵隊と岩国駐留を交代後は
空母「ロナルド・レーガン」艦載部隊を経て、現在は海軍航空局の
ポイント・ムグにいるそうです。
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何気なくありますが、よく見るとすごい。
最初からこんな思い切ったデザインを採用したおかげで、
ホークアイの存在意義は確固たるものになり、1960年の誕生以来、
なんと78年間に亘ってほぼ同じ形で現役であり続けています。
ここには艦隊に配備された1964年からカウントしていますが、
デビューから4年間のタイムラグがなぜあったのははわかりません。
形がほとんど変わらないと言われますが、もっとも電子戦を行うので
搭載するコンピューターがしょっちゅうアップデートされ、
したがって中身は常に最新型です。
最初の1960年の導入の時には、コンピュータはコンピュータでも
アナログで情報処理機能にもかなり問題があったらしいですが、
現行の最新型E-2D アドバンスドホークアイは、2007年から運用されており、
2人のうちの片方のパイロットを4人目のオペレーターとして活用するために、
コクピット計器版は17インチカラー液晶ディスプレイだそうです。
(オペレーターは3人乗り込むことになっている)
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ベトナム戦争末期の脱出作戦「フリークェント・ウィンド」、
湾岸戦争の「デザート・シールド」作戦に参加していますが、一度も
「ミッドウェイ」艦載部隊になったことはない
VAW-113 "ブラック・イーグル”
も紹介されていました。
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「ブロンディ」「ラムジェット」「サイコ」(おい・・)
「リップス」「ファング」「ダース」・・・・
搭乗割に書かれたタックネームは大抵変な名前ばかり。
結構仲間内のノリで決められてしまうみたいで、トム・クルーズのように
「俺はマーヴェリックな」
という風に自分で宣言する方が珍しいのかもしれません。
自分でつけるならもう少しかっこいい名前を考えるよね。
ところで、皆さんにはこのホークアイ部隊、「ブラック・イーグル」の名前を
少し頭の隅に記憶していただきたいと思います。
VVAW-113は、「ロナルド・レーガン」の艦載部隊として太平洋航行中、
東日本大震災の報を受け、すぐさま「オペレーション・トモダチ」発令後
被災地に飛び、初動偵察と救助活動における空中コマンドを行なった部隊でした。
海軍はこの時の働きに対し、E賞を同部隊に授与しています。
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左下のキャップは、全E-2部隊の「リユニオン」の時に制作されたもの。
皆が同じ形の機体に乗っていたわけですから盛り上がったことでしょう。
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飛行部隊にはどこにでもある(同じものを海兵隊航空部隊で見た)
名前いりコーヒーカップを架けるラック。
言っておきますが、本当の部隊で使用中のラックには
こんな綺麗なカップなど一つもありませんでしたよ。
ひどいのになると全く洗わずに飲み終わったのを引っ掛ける人も。
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フライトスーツとヘルメットの置き場はレディ・ルームの出口脇にあります。
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ところでこれなんですかね。
E-2を製造しているノースロップ・グラマンが記念として贈ったものらしいですが。
続く。