TAV-8A Harrier
VTOL機、Vertical Take-Off and Landingという言葉を最近ニュースで聴いた、
という方はおられるでしょうか。
これは、垂直離着陸機の意味で、ヘリコプターのようにピンポイント着陸ができ、
滑走がいらない、つまり艦船上で運用できる機種のことを言います。
このハリアーは、名前は有名ですが、作った方のホーカー・シドレーという会社は
あまり聞いたことがありません。(わたしが)
しかし、デ・ハビランド社という、蛾とかハチなど虫の名前ばかり飛行機に付けている会社の名前なら、
第二次世界大戦中に活躍した飛行機が多いのでご存知でしょう。(わたしも)
このデ・ハビランドを吸収したのが、ホーカー・シドレーです。
なんでも世界で最初にできたものは凄いですが、このブイトールを採用し、
ヘリコプターの機能を持ちながら固定翼機の高速、長距離航行が可能にした
このイギリスの会社は、これだけで航空史上に金字塔を打ち立てたといってもいいでしょう。
ハリアー、という名前は、虫以外に小型の鳥の名前を採用しているホーカー・シドレーらしく、
タカ科の小さな猛禽類「チュウヒ」のことです。
会社は違いますがオスプレイもタカ科の猛禽類「ミサゴ」から取られたというのに、
なにか統一性のようなものを感じますね。
因みに、開発者はホーカー・シドレーですが、マクドネル・ダグラス社が、「ハリアーII」として
揚力強化装置を加えより洗練された後継機を造りました。
本家のイギリス軍ではもう使用されていませんが、アメリカ、スペイン、イタリア軍で運用されています。
日本にも導入計画があったそうですが、政治的な理由は勿論のこと、
運用するにも空母をもたないとか、高いとか、イギリスから購入できないとか、
そういった理由で見送られました。
あれ?
NASAのマークが尾翼についています。
これは、この機体がサニベール(この近く)にあるNASAの武器研究部門で
使用されるために所有権が移っていたからなのだとか。
その前にはマリーンコーアに配置されていました。
こういう機体が何のために使われるかというと、大きな目的は人員の揚陸だったりしますから、
海兵隊を持たない日本がこれを当時は必要としなかったというのは当然かもしれません。
ところでついでだから書いておきましょう。
オスプレイと聞くと「軍靴の足音が聞こえてしまう」タチの方々が、
今日も反対運動に血道を上げております。
8月になって起こった米軍ヘリの墜落を受けて小泉進次郎氏が
「あれはトモダチ作戦に使われた救難ヘリ。
日本国民はまず犠牲になった方に哀悼の意を示すべき」
と言ったところ、
「米軍の肩を持つのか。本当の友達なら出ていくべきだ」
などとわけのわからない屁理屈で攻撃したり、
沖縄の小学生にわざわざ首相官邸の安倍首相を差し向けて
「オスプレイも撤退させてください」
と言わせたり・・・うーん、そこまでするか、左翼。
ぎりぎりの事故を想定しての訓練で墜落したことには触れもせずただ「危険」
東北への支援に対し感謝ひとつせず「出ていけ」
おまけに子供を政治の矢面に立たせて己の思想のスポークスマンにするとは。
そこで、です。
たとえばオスプレイで検索すると「未亡人製造機」という文句が出てきたり、
子供を楯にしたりする方は「世界一危険な飛行機」などと言ったりしていますが、
それではオスプレイは本当に危険なのか?
ウィキペディアを引くと、些細な事故(整備士が台から落ちたなど)も入れて
配備後58件の事故が起きており、この数字を以て反対派は「危険」と主張しているわけです。
確かに数字だけからは事故ばかり起こしているように見えますが、内容はというと、そのうち大きなものは
MV-22がクラスA事故2件(うち墜落1回)、
CV-22がクラスA事故3件(うち墜落2回)、計5件です。
さらに、事故理由を見ると、
1、ガソリン切れ(おいおい)
2、自然保護区に緊急着陸したら、エンジンの排気熱で草が燃えだしアチチチ
3、夜間の着陸失敗で横転、完全にパイロットのミス
と、三件は完全に人為ミス。
2012年の2件の事故においても機体の異常ではなく操作ミスではないかという調査結果に落ち着きそうです。
製作段階では確かに事故が相次ぎ、アメリカの新聞は
Flying shame(空飛ぶ恥)
などと辛辣なあだ名を付けたそうですが、しかしみなさん。
先日このブログでも語った、辛坊治郎氏を救出したUS-2の試作段階から初期の
事故による殉職隊員の数を思い出してください。
40人もの犠牲者を出したあの救難飛行艇に対し、左翼の皆さんはなぜ何も言わなかったのか。
ちなみにオスプレイの飛行10万時間あたりにおける事故率は1.93%。
CH-46・・・・・1,11%
CH53D・・・・4,51%
AV‐8B・・・・・6,76%
他の軍用機と比べて決して傑出して高い数字などではありません。
どうでもいい事故や人為ミスによる事故まで加えた事故率まで上げて、
どうしてオスプレイを彼らが目の敵にするのか。
非常にわかりやすくこの理由を説明しているニュースを抜粋します。
アメリカ・カリフォルニア州で日米共同の離島防衛訓練が始まりました。
この訓練には日本の陸・海・空の自衛隊が参加しますが、 それに合わせて、
初めてアメリカ軍の輸送機オスプレイが日本の護衛艦に発着艦する訓練も
予定されていることから注目されています。
(中略)
今回は初めて日本の陸・海・空、3自衛隊のおよそ1000人が参加、
離島防衛を想定した統合作戦の訓練を行います。
実戦さながらの訓練ができる海外で3自衛隊が一体化して訓練をするのは初めてです。
訓練をめぐっては米中首脳会談を前に
中国側がアメリカ側に対し中止要請を行いましたが、
訓練は当初の予定通り行われる見通しです。
TBSニュース
はい、どんな方々がオスプレイに反対しているのかよくわかりますね(笑)
この写真を撮っているときにはこの機体の特殊性に気付かなかったので、
このミサイルを中心にしてしまったのですが、それではなく、ミサイルの先の
黒いブラインド様の空気穴のようなものを観てください。
これがエンジンノズルと言い、この向きを0度(後方)から98,5度(真下より少し前)に動かすことで
垂直離陸を可能にしている装置です。
このノズルの向け方によっては、低速のときならわずかにバックできるのだそうですよ。
(車の運転が好きで、『車の運転の方が好きだ。車は飛行機と違ってバックできるから』
と言っていた元戦闘機パイロットの坂井三郎氏に聞かせてあげたらなんと言ったでしょうか)
実はエリス中尉、夏前に知人から沖縄にご招待を戴いていて、その誘い文句が
「オスプレイが見られますよ。来ませんか」というものだったのです。
いろいろと忙しくて実現しませんでしたが、帰国したら見てみたいな。
岩国基地のスーパーホーネット搭乗員との面会が実現したら、
もしかしたらオスプレイも見られるかもしれません。
上手くいきますように・・・・・・。(-人-;)
しかし、どちらかというと、かなわぬことながらこのハリアーの飛行を見てみたい。
オスプレイは固定翼とはいえ、形態がどうみてもヘリに近いけど、
こちらはこうやって地面に置かれているのを見ただけでは、
まさか垂直離陸できるなんて夢にも思いませんでしたからねえ。
と思ったら、やっとまともな映像が見つかりました。
岩国基地のフレンドシップデーの展示が何件かyoutubeに上がっていたのですが、
どいつもこいつも(笑)飛行機ばかり超ズームして動画を撮るから、
これじゃ何しているのかさっぱりわからないじゃないか!
と画面に向かってつぶやくこと数回。
ちゃんとパンして周りの風景を入れて撮影した動画が。
2012年岩国フレンドシップデー・ハリアー
うーん。実にシュール。
ホバリングしたりじわじわバックする戦闘機。
これ、実際に見てみたいなあ。
知り合いの案内ではおそらくこれ見られないだろうから、
来年5月は岩国基地だ!
さて、それではおまけとして、このオークランド航空博物館のThe ZONZAI展示を。
ドアは空きっぱなしで、中に乗って座るのもOK。
シートはつやつやで、しょっちゅう誰か坐っている様子でした。
これなんだろう。
組立飛行機のキットなら、水平尾翼に見えるけど。
全く別のところにあったリパブリックRF-84 サンダーフラッシュ
の尻尾である、にわたしはブログ人生のすべてを賭ける。
いや、あくまで状況からの判断ですが。
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オークランド航空博物館〜ハリアーとオスプレイ
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