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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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「ふり向けばきみがいる」〜平成30年度 自衛隊音楽まつり

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各章毎にお話ししてきた今年の自衛隊音楽まつりも、ついに
最終回を迎えました。

演技支援隊が隊長の号令により駆け足でステージを去った後、
アナウンスは、次の章の最初の曲が、今年行われた冬季オリンピックの
フィギュアスケートで金メダルを取った羽生結弦の曲、

SEIMEI

であることを告げ、全体指揮の空自中央音楽隊長、
松井徹生二等空佐が登場しました。

本日のテーマを羽生選手の終わりなき挑戦と結びつけています。

演技曲の通り、太鼓と横笛(鞨鼓と篳篥?)をイメージする雅楽風な出だしを
ピットに上がった中央音楽隊の奏者が演奏します。

「SEIMEI」は楽曲の名前ではなく、羽生選手のスケートプログラム名で、
陰陽師「安倍晴明」のことだそうです。

(なるほど、それで羽生選手はそういう衣装を着ていたのか)

音楽は夢枕獏原作の映画版「陰陽師」のサウンドトラックより、
楽曲を計7曲を繋ぎ合わせて、羽生選手が編曲を自分で行ない、
このタイトルも自らが名付けたということでした。

題名をローマ字にしたのは

「外国人にも親しみやすいように、また『せいめい』という
日本語の単語は複数あるため、それぞれの意味を込めたかった。」

・・・・「生命」「晴明」「姓名」「聖名」、

こんなところでしょうか。

Yuzuru HANYU 羽生結弦 2015-2016 FS - SEIMEI

いやー、何度見てもすごい。羽生選手はまさに日本の誇りですわ。

「SEIMEI」のテーマに乗って行進してくるのは
陸上自衛隊第302保安警務中隊。

上下青と白を組み合わせた制服での登場です。
この楽曲の和風の(しかし今や世界的に認知されている)メロディと
保安警務中隊の姿のなんとしっくりと合うことよ。

儀仗隊が赤絨毯を挟んで向かい合うや、本日出演部隊の
国旗を掲げた四名、そしてそれを警衛する儀仗隊員が
奥のステージから登場し正面に向かって進んでいきます。

正面より向かって左側の位置に整列し、最終章の間
彼らはここで国旗を守って起立し続けます。

全出演部隊がステージに整列を行いました。
中央に二手に分かれた空自中央音楽隊、その両側に海自と陸自、
防衛相直轄の音楽隊が、そしてその外側には外国の軍楽隊が並びます。

陸海空自衛隊の専属歌手五名が一列に入場してきました。

陸自中央音楽隊が参加した軍楽吹奏楽の祭典、
ロイヤルエジンバラ・ミリタリータトゥで振袖を着て
「アニーローリー」を日本語で歌った松永美智子三等陸曹(左)
そして先般行われた陸自観閲式では君が代独唱を行い、
CDもリリースした鶫真衣三等陸曹。

ところでこのエジンバラでのミリタリータトゥがすごく良かったので
youtubeを上げておきます。

陸上自衛隊中央音楽隊 エディンバラ・ミリタリー・タトゥー・2017

陸軍分列行進曲に続く「アシタカ攝記」、こういうのに弱いわたしは
冗談抜きで(´;ω;`)状態になってしまいました。

マーチのリズムで松永三曹が歌い上げる「アニーローリー」は圧巻。
転調してからのカンパニーフロントではまた涙が・・・。

一番最後の「アシタカ囁記」に戻るところで形作っているのは
侍の兜ではないかと思うのですが、どうでしょうか。

 五人のアカペラによる「ジュピター」が始まりました。

真ん中でリードしているのが空自中央音楽隊の森田早貴一等空士。
森田一等空士が艶やかな振袖姿で「ふるさと」を歌っている、
ドイツでの国際軍楽祭の映像もどうぞ。

航空中央音楽隊 ドイツ国際軍楽祭

和太鼓演武で横笛を吹いているのは、冒頭のフルート奏者(多分)です。

「果てしない時を超えて 輝く星は〜」

森田一士のソロ。

各音楽隊が海外での軍楽音楽祭に出演する際、歌手が着物で
歌を歌うというこの流れに先鞭を付けたのも、東京音楽隊
三宅由佳莉三等海曹の功績と言えるのではないでしょうか。

というわけで、これも当然張っておかなくては。

【音楽】海上自衛隊 東京音楽隊 バーゼル・タトゥー2016 参加記録

最後にも三宅三曹は「アメイジング・グレイス」を歌っています。

2コーラス目からは全員が参加しての「ジュピター」。
海外のバンドの人たちは、どうしてホルストの「木星」に
日本語の歌詞が付いているのだろう、と思ったかもしれません。

今年は横須賀音楽隊の中川麻梨子三曹(中央)が参加して
三宅三曹とのデュエットを聴かせてくれました。

 

そして「ジュピター」エンディングからカウントが入り、曲は

「みんながみんな英雄」

に。

メロディは何のことはない「藁の中の七面鳥」(Turkey In The Straw)です。
会場で最初からずっとこれが鳴っていたわけがわかりました。
(このBGM演奏、明らかに途中間違えていたけど何だったんだろう)

何と最近の日本のポップスシーンではホルストなどのクラシックのみならず
こんな曲までカバーしていたということを初めて知った次第です。
きっとアメリカ陸軍と海兵隊の人たちは「なんで?」と思ったと思う(笑)

 

だいたいわたしなど「ターキー」と聞くと、パブロフの犬的反射で
ミッドウェイ海戦という言葉が真っ先に浮かぶというくらいで、
こんな曲、高校の時のフォークダンス(なんてのがあったのよ)
以来、まともに初めて聞くような気がします。

フォークダンス・・・。

男女が◎状態で逆回転しつつ侵攻(パートナーチェンジ)していくので、
気になる異性と手と手が触れ合う瞬間をドキドキして待ったり、そうかと思えば
ギリギリで音楽終了してしまったり、悲喜こもごもだったもんですよ。
同級生が子供にしか見えなかった生意気高校生のわたしには無縁の話でしたが。

そんな太古の話はともかく、この曲、AIさんという歌手が歌ってます。
わたしはこの人のことも全く知らず、

「エーアイ」

と読んでいました。それは人工知能や。

手拍子を会場に促すカラーガード、ストレートラッパの女性演技隊。
バグパイプにボンバール(ブルターニュ・オーボエ)、太鼓という
特殊な響きを持つフランス軍楽隊所属ラン=ビウエのバガドウには
ソロでメロディーを取っていただきました。

しかしバガドウの「藁の中の七面鳥」、妙にしっくりくる(笑)

自衛太鼓の皆さんも、決められた振り付けを真面目に行なっております。

ラン=ビウエの人たち(フランス人)を見て思うのは、日本人や
アメリカ人ならおそらくそうするであろう、こういう時空気読んで
楽器をやっていなくとも楽しそうなふりをするという忖度はあまり
彼らの文化にはないのではということです。

総員が楽器をやっている間、実に手持ち無沙汰な顔をしていました。

陸自の旗振りお嬢さんのことを紹介する時に「カラーガード」と
書いてしまいましたが、実はこれは空海(特に空自)の名称で、陸自では
「フラッグ隊」と称するということを検索していて知りました。

謹んで訂正させていただきます。<(_ _)>

空自中央音楽隊カラーガード隊。

姫路白鷺太皷とアルプス太皷、支援隊の迷彩服も見えます。

ところで、彼女らが顔をあわせる時にはやはり同じ三曹でも
「先任」とかがあるわけで、ということは階級的に上下があって、
どちらが先に敬礼するとか決まってるんでしょうか。

彼女ら実は「軍人」なんですよね。
松永・鶫三曹は「サージャント」、
三宅・中川三曹は「ペティ・オフィサー・サードクラス」
そして森田一士は「エアメン・セカンドクラス」なのです。

「みんながみんな英雄」

うん、確かに皆すごくいい顔してる。

知りませんでしたが、これAUのCMに取り上げられてたんですね。

「みんながみんな英雄」 フルver AI【公式】

ところでなんでガラスの靴やねん。(つっこみ)

アメリカ陸軍軍楽隊、そして東北方面並びに西部方面音楽隊の皆さん。

彼女に密着したドキュメンタリーも制作されるほど、今や大人気の鶫三等陸曹。
中央音楽隊ではなく中部方面隊音楽隊の所属なので、観閲式で
君が代を独唱したのは「大金星」というものではなかったでしょうか。

歌手全員が専属の専門職となった今回、相対的なレベルが
いやが応にも上がったといっても過言ではないと思います。

技量もさることながら歌手としてのステージングもプロならでは。

ところでふと気になったのですが、彼女らは退官までずっと
現役歌手でいるという契約なのでしょうか。
確か音楽隊員は階級に関係なく60歳が定年だったはずですが。

 

シンガポール軍楽隊は演奏中。ラン=ビウエは待機中。
フランス海軍の水平の帽子に付いているボンボンが、

「狭い船内で頭をぶつけても怪我しないように」

であるというご報告は目から鱗の情報でしたが、それでは
手前の海自カラーガード隊の帽子のような「長い羽飾り」は
何か由来があるのでしょうか。

偉い人(天皇陛下などがこんなのを被っておられた記憶が)が
馬車に乗ったりするときに頭をぶつけないため・・・とか?

ここまで壮大に演奏されると「藁の中の七面鳥」って実はいい曲だったんだ、
と思わされてしまったこの日の最終章でした。

特に細かいところをいうと、

「走って転んで寝そべって」

という歌詞の部分、原曲はコード進行はトニックのまま動きませんが、
このアレンジではE♭メジャーで

Cm7-Gm7-A♭△-Adim

と細かく分割してあるのがちょっとした「仕掛け」だと考えます。
AIさんの原曲がそうなっています。 

歌手は皆さんお綺麗ですが、いつ写真に撮っても
歌っている姿が絵になっている松永三曹。

この二人も笑顔が自然で素敵。
中川三曹は今回特別参加という形でしたが、音楽まつりのステージでも
その圧倒的な歌唱力を遺憾なく発揮しておられました。

いや、三宅三曹とともに、圧倒的ではないか我が軍は(笑)

というわけで、曲が終了しました。

国旗を先頭に全出演部隊の退場です。
この時の音楽は、

「栄冠は君に輝く」

古関裕而大先生が作曲されたところの高校野球のテーマであります。
昭和23年、戦後学制が改定されて、この年から

全国中等学校優勝野球大会」が「全国高等学校野球選手権大会」に

改正されることになったことをきっかけに生まれた曲だそうで、
もう70年間甲子園の象徴となっています。

皆が楽しげに手を振る退場において、第302保安警務中隊だけは
きりりと表情を引き締めたままいつも通りの端正さを崩さず。

右と左手に退場していく音楽隊、そして歌手の皆さん。

アメリカ海軍、陸自方面隊音楽隊。

海上自衛隊東京音楽隊。

防衛大学校儀仗隊メンバーは両手バイバイで退場。

ドラムラインにいた女子学生の姿も見えます。

これを最後に引退する4年生の皆さん、悔いのない武道館でしたか?

シンガポール軍楽隊のみなさん、紅蓮の炎、良かったよ!

さりげなくみんなと一緒に踊っていた演技支援隊。

オープニングと同じ形式で行うエピローグは再び消灯ラッパです。

最終章を指揮した空自中央音楽隊隊長の敬礼。
スポットライトが消えると、本当の本当に音楽まつりは終了です。

会場外の地本コーナーには東京地本マスコットの
トウチくんが熱心にお仕事をしていました。
去年はこれに本部長が入っていたということで、
一部騒然となったものですが、今年はどうでしょうか。

先日ある会合で自衛官が、

「今は世の中が景気が良く(仕事があるので)自衛官の募集が厳しい」

と本気モードで嘆いておられました。
が、この音楽まつりはこれから世の中に出ていく青少年に
自衛隊に興味を持ってもらうための最大の広報イベントでもあります。

今年も、この期間に何人もの若い人たちが、自衛隊という世界に
「挑戦」する気になってくれたことを心から祈りつつ、
本年度の自衛隊音楽まつりの報告を終わります。

 

 

 


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