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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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海上自衛隊東京音楽隊 第58回定期演奏会 @ サントリーホール 前半

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昨年12月にお知らせを頂いて以来、楽しみにしてた
海上自衛隊東京音楽隊第58回定期演奏会、
シンフォニックコンサートに行ってまいりました。

今回頂いたチケットは二枚。
いつも誰と一緒に行くか悩むのですが、途中で寝てしまいかねない人は
問題外なので、予定されていたプログラムが「難しい」と思われる場合
それなりに音楽に興味のある人を誘うことになります。

今回予告されていたプログラムはスミスの「華麗なる舞曲」とバーンズの曲。
ちょっと難易度が高めなので、「イ・ムジチ」のバッハプロで寝るという
許し難い前科を持つTOには、当初戦力外通知をしておりました。

ところが、コンサート当日の朝、買い替えた車の納車が行われることになり、
我が家にとって最初のドライブとなるのが、外でもないサントリーホール、
となれば、やはりここは、初乗りがてら参加させてあげるべきかと。

本人も力強く、

「東京音楽隊のコンサートなら寝ないと思うよ」

と言い切るので安心し、新車に乗ってアークヒルズの駐車場までやってきました。

車種を隠すために相変わらずの陸自カモ使用です(笑)

(実はこの加工をした後、イメージホースの柄を変えられることに気づき、
冒頭写真のマスキングはその中から「渡り鳥」を選択してみました)

皆さんに見ていただきたいのはこのナンバープレート。

「次のお車のナンバーは何番にされますか」

とディーラーに聞かれて「(海軍記念日の)527!」と即答したものです。
車体はこれまで頑なネイビーブルーにこだわってきたのですが、
新しく出たこのシリーズにネイビーはなく、メタリックブルーのみだったのと、

「白ならディーラーにストックがあるのですぐにご納車できますし、何より・・」

結構な値引きがあるということで、久しぶりの白い車になりました。

今回楽しみにしていたのは会場がサントリーホールであったことです。

全盛期を知る者にとっては特に、今でも行くたびに華やかな時代の記憶が蘇り、
今より「サントリー」が特別な場所だった頃の高揚した気持ちが思い出されます。

バブルの終りかけの頃、ホール前のカラヤン広場で
ロングドレスにタキシードの人々が笑いさざめく、などという
今ではちょっと考えられない光景を見たこともありました。

到着後、その頃にはなかったスターバックスでコンサートまで
ゆっくり過ごし、心の準備をしてから会場入りしました。

ホールの一隅には海上自衛隊の宣伝ポスターが貼られています。

「GODSPEED」というわたしの好きな言葉がポスターに使われていて素敵。

「ゴッドスピード!」という(アメリカ海軍軍楽隊出身の人が作った)曲を
かつて東京音楽隊がコンサートで取り上げたこともありましたっけね。

このポスターの「ゴッドスピード」は、「祝福」から転じた
「ご安航を」という意味でこのように使われているのだと思われます。

ゴッドスピードの語源は

「GOD」+「SPEDE」(繁栄するという意味の古語SPEDENの仮定法)

で、その意味は

“may God cause you to succeed”

なのだそうです。
ちなみに英語の「スピード」には、実は「速さ」だけでなく
成功、繁栄、幸運という意味も含まれるのだそうですが、これも
「SPEDE」が語源となっている言葉だからでしょうか。

 しかしこの「ゴッドスピード」という言葉、海上自衛隊の印象にぴったりですね。

左は横須賀教育隊の紹介ポスター。
呉教育隊が海軍時代には「呉海兵団」だったように、ここもまたかつては
「武山海兵団」の名で新兵教育ならびに予備士官育成教育を行なっていました。

現在では関東以北の出身者の新入隊員の教育、予備自衛官の教育ですから、
つまり昔とほとんど変わらない機能を持っていることになります。

RIMPAC、環太平洋軍事演習のことですが、2016年の写真です。
我が国の自衛隊は1980年以降のすべてのRIMPACに参加しています。

ちなみに、アメリカ主催で行われるRIMPACには、オバマ政権時代の
4年間の間にわたって中国海軍が招待されていたのですが、
堂々とスパイ艦で諜報活動を行なったり、自衛隊だけレセプションからハブったり、
オープンハウスで自衛官を追い返したりして、自衛隊への無礼を働いた
ので、現場から偉い人まで業を煮やした米海軍が、政権交代した去年からは
もうあんなやつら招待しねえ!ということになったようです。

南シナ海でのあれやこれやと、トランプ政権の意向で完璧に
敵となった(海軍も)ということなんだと思います。

ちなみに、RIMPACにおける韓国についてですが、アメリカは主催者として、
韓国が日本に何かやらかさないか、いつも懸念し注視し続けており、
これまでのところ韓国海軍と自衛隊は良好にやってきています。
今年あたりからどうなるかはちょっとわかりませんけど・・・。

 

おっと、肝心のコンサートの話の前に、何を寄り道してるんだか。

いつの頃からか、東京音楽隊のコンサートはチケット発行の段階で全席指定です。
来場した順番に席を割り振るやり方や、招待者以外自由席、ということにすると、
下手したら朝早くテント持参で並ぶ人が出てくるので、こうなったのでしょう。

それだけ昔より音楽隊ファンが増えているということになりますが、
それもこれも三宅由佳莉三曹以降の歌手採用効果だと思われます。

 

さて、いよいよ第一部が始まりました。

♪ 喜歌劇「天国と地獄」序曲 J・オッフェンバック

【フル音源】喜歌劇「天国と地獄」序曲/オッフェンバック(八木澤教司)

途中まではともかく、途中からは知らない人のいないオープニングです。

夫が冥府に死んだ妻を取り戻しにいく、という話が、結果の違いはあれど、
洋の東西に昔から伝わっているというのは偶然でしょうか。

この「天国と地獄」の原題は「地獄のオルフェ」。

「オルフェオとエウリディーチェ」というグルックのオペラのパロディで、
愛するがゆえに妻を地獄に迎えに行く原作とは違い、実は妻の死後
愛人など作っている夫が、世間体のために冥府にいやい妻を取り戻しにいく
(ふりをする)というドタバタ喜劇に変えてしまいました。

司会の俳優村上新悟さんは、

「この曲を聴くとカステラを思い出します」

と言っていましたが、わたしは関西育ちなのであまりピンとこず、
どちらかというと小学校の時の運動会を思い出します。
今は運動会で「天国と地獄」なんかやらないかもしれませんが。

ついでに言えば、当時は「クシコスポスト」なんかも運動会の定番でしたね。

 

村上新悟さんは、以前も一度東音のコンサートの司会をされたことがあります。
樋口隊長が飲んでいたお店で村上さんが隣に座っていて知り合ったのがきっかけ、
という話が忘れられません(笑)

♪劇的物語「ファウストの劫罰」より ハンガリー行進曲 
ヘクトル・ベルリオーズ

吹奏楽 ラコッツィ行進曲 L.H.ベルリオーズ作曲 陸上自衛隊第1音楽隊

前半のプログラムは、「今年で何周年記念」という節目に当たっている曲ばかりが
セレクトされたそうで、オッフェンバックは生誕200周年、
そして今年はベルリオーズ没後150年に当たります。

この企画は、今回のコンサートのタイトルにある

「祝天皇陛下御在位三十年」

にかけたものだと思うのですが、それにしては
一曲目が地獄行きの妻を救う話、二曲めが悪魔(メフィスト)に
魂を売り渡した男の話、となかなかエッジの効いた出だしです。

 

この「ハンガリー行進曲」(ラコッツィー行進曲)も、「天国と地獄」
ほどではないにせよ、「どこかで聴いたことがある」と皆が思うでしょう。

ちなみに「ファウスト」の舞台はハンガリーではないのですが、
ベルリオーズは最初にこの地方特有の旋律を使った曲を使いたいがため、
無理くり原作から舞台をハンガリーに変えてしまったという経緯があります。

動画で陸自の司会が説明しているように、「ラコッツィー」とは
軍隊を率いたハンガリーの英雄の名前なんですね。

♪ 交響詩「フィンランディア」ヤン・シベリウス

Brass of the Royal Concertgebouw Orchestra - Finlandia

コンセルトヘボウの吹奏楽演奏が見つかりました。
ロシア帝政下のフィンランド大公国で作曲された「民族の歌」で、
帝政ロシアによって演奏禁止処分にもなっていた曲です。

動画の4:42秒から始まる美しいメロディの部分は

「フィンランディア賛歌」

と呼ばれ、歌詞がつけられて作曲者本人が合唱用に編曲しました。

この部分に入ると、それまで椅子に座って待機していた三宅三曹が
立ち上がり、メロディを歌い始めました。
彼女が参加すると分かったとき、ヴォカリーズ(歌詞なし)かと思ったのですが
なんと日本語の歌詞でした。

残念ながらマイクを通しても歌詞は全く聞き取れませんでしたが、
もし堀内敬三の訳詞であったのならこのような内容です。

雲湧く静寂(しじま)の森と 豊かに輝く湖(みず)
野の花 優しく薫る スオミよ 平和の里
野の花 優しく薫る スオミよ 平和の里

幾たび嵐に耐えて 過ぎ越し 栄えある都市
新たな 文化は薫る スオミよ 清(さや)けき国
新たな 文化は薫る スオミよ 清けき国

スオミよ 平和の里 

「スオミ」とか歌詞で言われても聞き取れなくて当然かもしれません。
日本のことを「大和」「倭国」「瑞穂の国」「扶桑」というように、
フィンランドを表す言葉が「スオミ」です。

 

わたしにとって自衛隊音楽隊の歌手投入については、大変興味のあるテーマで、
音楽隊のコンサートを鑑賞するときには、歌手をどんな曲に、どんな形で、
さらにどういうパートを担わせるのか、その点をいつも注目しているのですが、
今回の「フィンランディア」でのヴォーカルの使い方は実に適宜適切であり、
バンドと歌手、どちらをも生かしきる「巧いやり方」と思えました。

「フィンランディア賛歌」の後のフィナーレ最終 IV-I の部分では
原曲にはないハイトーンで歌手の「見せ場」をちゃんと作っており、
これがまたなかなか心憎い演出だったと思います。

「フィンランディア」は、日本とフィンランドの国交樹立100周年、
ということで選ばれました。

♪ 二つの交響的断章 ヴァーツラフ・ネリベル

 

生誕100年(つまり最近の作曲家)であるネリベルはチェコの生まれ。
近現代的な技法で作られている曲ですが、吹奏楽シーンでは有名で、
日本ではコンクール課題や、中学生でもレパートリーにするくらいおなじみです。

司会が最初に、

「この曲はレ、ラ、ファ、シ(正確にはシ♭)に支配される」

と前もって説明してくれるので、聴きならがらまるで宝探しのように
「レラファシ」を探すという楽しみ方ができます。

低音で執拗に繰り返されるクラスターのような「レラファシ」、
「♪ フォ〜フォフォ〜〜〜」(サックス)「レラファシッ!」(グロッケン、シロフォン)
みたいに使われたり、ときには順番を変えてでてきたり。

フルートやオーボエなどのソロも堪能できますが、何と言っても
ティンパニをはじめとする打楽器陣の大活躍が見た目にも痛快な曲でした。

そして、前半が終わったとき、意外やTOが、

「一番面白かった」

と言ったのがこの曲です。

うーん、わたしは彼を少しなめていたかもしれん。

 

 

続く。

 

 


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