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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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ゴールデンゲートブリッジカーキイ紛失事件〜「Good luck! 」

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「やっちゃった」

エントリのジャンルにこんなタグがあるのに気がつきました。
この際なので使ってみます。

「やっちゃった」というこのタグとタイトルを読めばもう

「ゴールデンゲートブリッジを見に行って車のキーを失くしたのね」

と分かられてしまうというのも情けないですが、まあそう言う話です。



今住んでいるパロアルトからゴールデンゲートブリッジを臨む
クリッシーフィールドまで、車では50分くらいでしょうか。
サンフランシスコに滞在し、息子がこの近くのキャンプに行っていたときには
送って行ったあと必ずここでウォーキングをしたものですが、
今では滞在中1〜2度歩きに行くくらいです。



GGBの出来る前、これはちょうど橋の下にあたりますが、
ご覧のような建物がありました。
太平洋に面した防衛の拠点としてフォートが作られたのです。

この建物は勿論現在のものと同じで、時々公開されています。
中にはキャノンやガンパウダーの倉庫などが残されています。



陸軍の基地が置かれ、この草地はバイプレーンの頃滑走路でした。
4機の複葉機の前に全員集合!していますが、後ろの建物をよく見てください。



はいもう一度。

全く同じ建物が並んでいますね。
アメリカはどこでもそうですが、建物をそのまま使い続けるので、
150年前の写真と同じ景色が今も見られるんですね。

最近ですが、この建物をトランポリンやロッククライミング、
自転車の貸し出しセンターとして使うことになったようです。



スミス中尉というのは知りませんが、この

「ハップ・アーノルド少佐」

は知ってるぞ。
この人が少将だったとき、女子飛行隊の結成に難色を示したり、
今から大西洋を渡ろうとしていたナンシー・ラブに禁止命令を出したり、
とにかくあまりいい印象はなかったような。



ママさん飛行隊。
プロペラの上に乗っているのがうちのおじいちゃん、
なんて家もサンフランシスコにはありそうです。



崖に登ったら落ちますよ、って当たり前だが。
今から落ちて行く人の図案が秀逸です。



今日は珍しく、霧がかからない朝です。
晴れて、かつ全くブリッジが隠れていません。



フィールドの向こうはここ何年か続いている高速道路の工事。
今年は開通しているかと思ったのですが、アメリカは日本より
工事に時間がかかります。
この調子では来年の夏も完成しているのを見ることはなさそうです。
ベイブリッジの工事が終わったので、こちらが本格的に始まりました。
これが出来ると帰りが楽になるので早く出来てほしいのですが。



望遠レンズ装着ニコン1とソニーのRX−100を持ってきました。
ブリッジの近くにある国立墓地、つまり戦没者墓地が
こんなにここからはっきりと撮れたのは初めてです。



アルカトラズ島は少しぼやけていますが、
ここは朝来るといつもこんな感じです。



ここは犬をつながなくても良いので、思う存分走らせるために
わざわざ連れて来る犬のオーナーが多いです。



ここには犬の散歩業者が専用のバンで犬を集めてきて、
多い業者で7匹くらい引き連れて(というか引っ張られて)
歩いています。

そんな業者は逃げたら困るので綱を外すことをしませんが、
自分の犬には思いっきり走らせて楽しませます。



特に大はしゃぎしていた3匹。



左の茶色い犬の表情が・・・(笑)
砂が眼に入ったんですかね。



シギの類いもおります。



カモメとテリムクドリモドキは干渉し合いません。



ところで、お母さんが乳幼児と一緒に座っているところに
このムクドリが飛んできて近くに止まったのですが、
母親がまるでハエでも払うように手を振り回し、
叩かんばかりに追い払っていたのを見て、驚きました。

赤ちゃん(しかも女の子)を育てている母親、
特にアメリカの母親と言うのはみんな

「見てご覧なさい、鳥さんが来たわよ〜」

みたいな感じだと思っていたので・・。



望遠レンズならではのこんな写真。
この黒人男性はずっとこのブイの上に立って、
「決まったぜ!」みたいな感じで静止ポーズを決めていました。

バスケットボールを持っている人が彼女だと思うのですが、
何の意図で(しかも長時間)やっていたのかは謎です。



カモメの向こうに見えているのが、
原子爆弾を開発したオッペンハイマーの基金で作られた
科学博物館、エクスプロラトリウム。

息子は小学生のときは後半ここのキャンプに行っていました。

さて(笑)

写真を撮りつつ歩くこと約50分。
ブリッジに向かう途中で引き返し、車まで帰ってきたわたしは
ウェストベルトを探って愕然としました。

鍵 が な い 。

見れば車の鍵はちゃんと閉まっています。
取りあえずiPhoneは音楽を聴くために持っていたので、
止めてあったデータのローミングをしてハーツの非常コールセンターを
インターネットで検索。
検索したページから直接電話がかけられます。

いやー、便利便利。
iPhoneに代えて(観閲式で雨に濡れて前の携帯が壊れたので)
良かった、とこのときほど思ったことはありません。

「あのー、ロックアウトされたようなのですが」
「まず車のナンバーを教えて下さい」

ナンバーから即座に白のプリウスを借りたエリス中尉様、
と向こうが探し出し、またもや便利な世の中になったものだと
当たり前のことにいまさら感謝するわたくし。

「それでは今から60分以内に鍵を開ける人を向かわせます」
「車の中にキーがやっぱりなかったらどうするんですか」
「そしたらそのときはレッカー車で空港のハーツまで行き、
新しい車に乗り換えて頂くことになります」

もしかして7台目?・・・・orz

今年に限ってどうしてこう車関係が波瀾万丈なんでしょう。
今まで約10年間もの間、一度もなかったことが次々と。

いや、一度あったな。

5年前、ゴールデンゲートブリッジの途中でタイヤがパンクし、
煙を吹き出しゴムの焼ける匂いを振りまきながら
なんとかエクスプロラトリウムの駐車場までたどりついて
そこでレッカーを待ったことが。

あのときといい今回といい、GGBはわたしと車の鬼門なのかしら。

しかしまだ車の中にキーがある可能性も捨てられず、
わたしはまずロックを解除してもらうことにしました。

ちなみにお値段は84ドル也。

30分ほどでやってきたメキシコ系の係はわたしを見るなり

「ハウアーユー?」

ファインなわけないだろこの状況で。
彼はすぐにドアの端に金具を入れて1センチくらいの隙間を作り、
素早く長い金具を差し込んでドアのロックを解除しました。

うわーなんて手際がいいの。
こんな技を持っていたら、車上荒しなんてお茶の子いやなんでもない。

そして取りあえず中のバッグや車内を点検。
やっぱりありません。
まああるわけないよね外から鍵かかってるんだから。

「うーん・・・」

レッカーを呼ぶ前に、わたしはもう一度フィールドを
歩いて往復してみることにしました。
歩きながら首を常時40度くらい左右に動かし、
地面に落ちているかもしれないキーを見逃すまいと眼を凝らしましたが、
全くそれらしい影さえありません。

絶対にフィールドのどこかで落としたのにはもう間違いないのに・・。
そして問題は人が多過ぎることです。
歩いている人は知っている人自転車に乗っている人、
一瞬たりとも途切れること無くトレイルを行き来する状況。

「こんなに人がいるなら誰かがすぐ見つけたかもしれないなあ」

誰かがカフェに届けてくれたかもしれない、と思い、
まず一つ目のカフェに。

「ロストアンドファウンドあります?」
「何をなくしたんですか」
「カーキイです」(車の鍵をこういいます)
「ありますが」

なにっ!

お店の人が出してくれたキイを見てがっくし。
キーチガイじゃなくてキイ違いでした。 

Uターンして次は公園事務所に。

「鍵はとどいてないわ」

またしてもがっくしするわたしに

「Good luck! 」

こういうときグッドラック、というのは実に相手をほっとさせる
いい言葉だなあ、とわたしは感心しました。

ずいぶんのんきなようですが、実際のところわたしは
そう大変な気もせず、これも一つのイベント、
と言う感じでどこか楽しんでいたフシがあります。

まあそれもこれもブロガー根性とでもいうんでしょうか、
どんなことでも命に関わることでもない限りそれをネタに
またエントリ書いたる!みたいなことを考えていると、 
あまり悲壮感は感じないものなのかもしれません。

最後にもう一つのカフェに行ってみました。
そういえば朝ご飯を食べずに出てきて50分歩き、
外で立ったまま30分待って、そのあとまた同じコースをもう一回歩いて
時間は現在1時。
そりゃお腹もすきますわ。

カフェでサンドイッチでも買ってそれからレッカーを呼ぼう。
レジでカーキイが届いていないかと聞くと、店長らしい男性が

「あ、一つありますけど」

なにっ!

しかしこれが自分のキイだったなんて奇跡が起こることを
いまのわたしは全く信じる気になれません。
もう今回は車関係何をやってもだめ、と諦めきっているわたしには。 

案の定それもキーチガイで、ガックシしつつも

「・・・・ターキーサンドハーフとスープのセット」

力なくお昼を注文したら、レジの中国系の女の子が控えめに

「Good luck・・・鍵が見つかるようにお祈りしてます」 

とおつりを渡すときに言ってくれました。
ありがとうね。




レッカーが来るのにきっかり1時間かかり、時間は2時。
この時間になると霧がかかってブリッジの上が見えなくなりました。

そしてレッカー車登場。
この係員もメキシコ系です。
さっきの人のようにハウアーユーはありません。

わたしの身分証明を確認し、サインを取ったら
さくさくと作業にかかりました。



もうこのころになるとネタにするつもり満点だったので
作業の様子を写真に撮ってしまうわたし。

アメリカではバック駐車は誰もしませんから、まず車の向きを
買える必要があります。
ロックされているのは前輪だからですね。

レッカー車の前からアームが出てきました。



後輪が回転しないようにバンドで固定して、そのまま
ずるずると引きずり出します。
前輪が動かないので地面とこすれてものすごい音がしました。



幸い向かいには車が停まっていなかったので
ここで作業をします。



何をしているのかと思ったら、アームの先の金具が
プリウスの車体に引っかかって出て来なかった模様。



プリウスの前に出て、バックで近づき、



車体の下にアームが伸びて行くと、
不思議なことに後輪にもがっちりバーがはまります。



そして車体を持ち上げ・・



天井に警告ランプを乗っけて出来上がり。

わたしはレッカー車の助手席に乗って行きます。
道中二言しかしゃべりませんでしたが、この人が無口というより
こういうときには職務として黙っているのがデフォルトのようです。

わたしがカメラの画像を点検していたら

「フォトグラファーですか?」

と聞いてきたので勿論違うといいました。
彼は作業をいちいち写真に撮っているわたしを怪訝そうに見ていましたが、
そんなことをするのはカメラマンに違いないと思ったのでしょう。




そしてハーツに到着。
空港のではなく、修理工場を併設する営業所です。

電話をしたとき最初にオペレーターは二回とも電話がつながるなり

「Are you safe? 」

と聞いてきましたが、レンタカーでも事故を起こす人は起こすらしく、
ここにはどうやったらこんなぐしゃぐしゃに、と背筋が寒くなるくらい
破壊された車体が三台並べておいてありました。



待つことしばし、アップグレード代をディスカウントしてくれたので
借りることに決めたのはダッジ。

「これはいい車ですよ」

と係員が言った通り、加速もパワーもなかなかで
今回乗った車の中で最も走り心地のいい車だと思いました。

・・・・たぶん燃費はすごく悪いと思いますけど。


最後のカフェでサンドイッチを食べていたとき、
コーナーにに店長がやってきて声をかけました。

「見つからなかったの?」
「ブリッジまで2往復したんですが・・だめでした。
レンタカーなので今会社に電話してトウイング頼んでるんですよ」
「ああそりゃお気の毒に。でも、まあそれだけで良かったよ。
またいいことあるから気を落とさないでね」

そして彼も最後に「グッドラック」と。
皆がこうやって心配したり慰めたりしてくれたため、
逆になんだかいいことがあったような気分にすらなってきました。

キーを紛失したことに対しては保険に入っているので
賠償の必要はありませんでした。
ロック解除代84ドル、レッカー代を120ドルは痛かったですが、
お金で全てが済むならありがたいと思わなければ。


まあ最初から鍵を失くさないにこしたことはありませんけど。

 

 





 


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