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鹿屋航空基地〜頭上の敵機注意!

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しばらく日本海海戦特集をやります!
と書いたら「楽しみにしています」というコメントまでいただいたのに、
いきなり寄り道です(笑)

鹿屋航空基地の資料館を見学して、あと一日、
どうしてもお話ししておきたいことがあったのを思いだしました。
日本海海戦はまた明日からの特集になります。

どうぞお楽しみに。(-_-)

 

さて、鹿屋航空基地の資料館展示は、ホールからいきなり二階に上がっていき、
そのフロアの旧海軍資料を順に見て行きます。

わたしがここを訪れたとき、退官した元自衛官の方が説明してくださいました。
連れて行った下さった方が前もってそのように頼んでおいてくれたのです。

今までの例から言ってあまり思ったままの質問をすると

「関係者ですか」

と逆に聞かれてしまうので、最初の方こそおとなしくしていたのですが、
基本的に何かを説明されたら「へえ」とか「はあ」みたいな、
気の抜けたような返事をしては相手に失礼であるとの思いから、
つい一生懸命相槌を打ったり、ちょっとした質問などしたりしてしまい、
結局今回も

「ご家族にどなたか関係者がおられるんですか」

と聞かれてしまうはめになったエリス中尉でございます。

この解説付き見学というのも善し悪しで、そもそも展示には非常にちゃんとした
説明書きがされているのに、それをじっくり読んだり、一つのものの前で立ち止まったり、
細部を子細に眺めたり、そういう好き勝手ができません。

この日午前中、同行者と一緒に説明を聴きながらひととおり館内を回り、
午後になって皆は滝を見に行ったのですが、わたしだけまた鹿屋基地で降ろしてもらいました。
さあ、一人で思う存分見学するぞ!

と張り切って史料館に戻り、受付を通らずに一人で展示を観ていると、

先ほどの説明の方が追いかけてこられました。ORZ


・・・・非常にご親切はありがたかったのですが、
午後からは説明を自分で読みながら歩きたかったのに・・・。

結局旧軍の部分をもう一度、といっても先ほどよりは詳しく説明を聴くことになりました。
そして特攻隊の展示室まで来たとき

「説明はここまでにします。
ここはゆっくりと説明を読まれた方がいいでしょうから」

と、立ち去って行かれました。

・・・・・・実はそこまでの部分もそうしたかったんですが・・・・


というよりね。
後から思ったんですが、比較的「知っていることだらけ」の旧軍コーナーより、
一階の「自衛隊活動コーナー」の説明をしてもらえばよかったな。

救難ヘリの実物、P-3Cについての展示、海外派遣、
このあたりのことを誰よりもよく御存じのはずの元自衛官からなら
ずっと貴重なお話が聴けたのではないかと思いました。




というわけで、わたしとてちゃんと見たわけでもないので偉そうに言えませんが、
かろうじて全体の写真を撮ってきたので、今まで少しご紹介した以外の部分を
駆け足で通り過ぎた方たちのために、今日、アップすることにします。

言っておきますが、この部分は写真撮影可ですからね。

さて、冒頭写真はご存知、P-3Cオライオン。
海賊対策で派遣され、アデン湾で護衛哨戒任務にあたっているところです。
ここには当機の部隊、第一航空隊があるからですね。



先日、新明和の対潜哨戒飛行艇PS-1について、
「ソノブイ」を使い捨てできなかったため、(その心はMOTTAINAI)
やむなくディッピングという水中投下式のソナーを使っていた、という話をしました。

これがその、ソノブイです。

このころソノブイを使い捨てにするのが「もったいなかった」のは
アメリカから購入していたからで、つまり経費が掛かりすぎたということです。
その後、海自はソノブイの国内生産を始めました。


ソノブイとは、ご存知でない方のために簡単に説明しておくと、

対潜哨戒機からレーダーを海上に投下し、海中の音を対潜哨戒機に知らせ、
主として潜没中の潜水艦探知をするものです。

ソノブイは1942年(昭和17年)にはアメリカですでに実用化が完了し、
第二次世界大戦中にはもうすでに使用が開始されていました。
ここでも日本は「レーダー」関係で圧倒的に後れを取っていたのですね。


しかし、昭和34年に開発を開始して以来、国産の生産も始まります。
しかしながら、この方面、どうもいまだに日本の「苦手科目」らしい。


それどころか、日本の武器関係の開発は全般的に弱いと言われます。

たとえばこのソノブイ。
対潜哨戒機P−3C用のものは沖電気とNECが開発・生産しているのですが、
能力が低い上に値段は米国製の数倍かかってしまうのだとか。

このため海上自衛隊はリムパック(環太平洋合同演習)向けには
米国製のソノブイを輸入して使用しているというのです。



日本海海戦のときに、通信を英国からでなく国産に求めて、
対価を削減したうえに性能も優秀であった三六式無線というのがありましたが、
明治時代の海軍がやってのけたことを、どうして現在世界でも屈指の技術大国の、
軍である自衛隊ができないのか不思議に思われませんか?


先ごろ量産型が公開された10式戦車ですが、
ゲリラ・コマンド(少人数で密かに浸入し破壊活動、後方攪乱等を行うこと。
略してゲリコマ)対策を謳っているものの、実際は防衛大綱でも想定してない
大規模機甲戦に特化した時代遅れの戦車だという評判です。

しかも諸外国の戦車が防御力を最重視するなか、10式の防御力はおざなりで、
火力と機動力を重視している「冷戦型のレガシ−戦車」となってしまっています。


そして、わたしが個人的に大好きなヘリコプターOH-1ですが、
これは当初250機調達される予定だったのに、現在35機どまりとなっています。

なぜかというとOH-1は開発費を含めれば一機当たりの値段がなんと60億円、
他国の偵察ヘリのなんと10倍の値段になってしまったからだと言われています。

つまり、この「モノづくりの国、日本」の苦手科目はレーダーのみに非ず。
武器兵器全般がレベルの割に値段が高過ぎ、となってしまっているらしいのです。


その理由ははっきりしていて、

■ 実戦の経験が無い(これは仕方ない)
■ 基礎研究や開発にお金がかけられない(これも仕方ない)
■ 国内製造における競争が全くない(まあ、仕方ない)
■ 武器輸出できないのでユーザーからのフィードバックが得られない(仕方ない?)


つまり、武器輸出三原則がある限りこれが足かせとなって輸出できないので、
戦闘機、ミサイル、艦艇、全ての装備品が
自衛隊のためだけに開発製作されるということになり、
当然ながら利益を追求することができないため、高価にならざるを得ません。

日本の武器生産産業が発達しない原因はそこにあるのです。



おっとお、ついこんな話になると我を忘れてしまうぜっ!

それはともかく、そのソノブイ海上に投下中。
小さいパラシュートを付けています。



ちゃんと写真撮れなくてすみません。
投下した後、海中でどうなるかが図解で示されていたのに、
一番肝心の「投下完了後」が欠けてしまった・・・。



時間はなかったけどザトウクジラの声だけ聴きました。

ソノブイには、潜水艦などのスクリュー音を察知するパッシブタイプと、
ソノブイ自身が音波をだし、その反射音によって潜水艦を探知する
アクティブタイプの二種類があります。


次にP-3Cの対潜武器を。






ハープーンミサイル。もちろん実物です・・・よね?

魚雷いろいろ。
しかし、言ってはなんですが意外とザツな作りなんですね。
フィンなんかデコボコしています。
オレンジの魚雷のところには「キケン」と一言。
なぜここだけ危険?




退役していったオライオンの銘盤もこのように展示されています。
それはいいんですが、

5009号のプレートが重みで落ちてますよ〜〜〜。

いかん。実にいかん。
かつて護衛艦プレート工場で

「自衛隊は落ちる、曲がる、凹む沈む(だったかな)をとても嫌います。
プレートが凹んでいるのは絶対だめです」

といってプレートを有無を言わさず直させた話を聞いたのですが、
その自衛隊ともあろうものが、

展示プレートそのものを落としている
しかもそれは「落ちる」を最も忌むべき飛行機の銘盤である

まあ、ほとんどの人が駆け足で通り過ぎ、P-3Cの銘盤プレートなんて、
おそらく誰も目に止めないのかもしれません。
旧軍部分なら解説の方もしょっちゅう目にするので、何かあれば気づきますが、
この部分は館員ですら見逃してしまうのだろうなあ・・。

野外の実機展示解説札「ちどり」の説明が事実と違いますよ、と指摘したあとで
粗探しみたいになってしまって恐縮なのですが、
もしこれを関係者がご覧になっていたらちょこっと直しておいてください。


さて。(全くどうでもいいことばかりこだわる見学記である)

P-3Cの後継機、P-1、この三月に開発終了し厚木にも配備されたそうですが、
(それを見に行ったのに厚木基地にすらたどりつけなかったエリス中尉である)
どうも開発は難航したようですね。単なるうわさですが。

そして、国内調達派と開国派(米機輸入)の間になにやら政治的な対立が
あったとかなかったとか。単なるうわさですが。

どちらにしても今後海自はこれを導入しP-3Cを切ってしまうおつもりらしい。
現行で使い続けている国がたくさんあるのだから、必ずしも寿命のせいでもなさそうです。

内部事情はよくわからないので、うかつなことはいいませんが、
使えるうちは使う、修理してでも使う、じゃだめなんでしょうか。
それこそ「Mottainai」の精神ですよ。




さて、P-3Cの退役問題はさておき、こちらはすっかり退役済みの
P-2J 哨戒機。
ここにはこの機体の操縦席部分が展示されています。



ちゃんと操縦席に上がって観るための手すりつき階段が
史料館用に造られていました。



コクピット。
このコクピットに何があるか把握し、まったく見ずに操作したり
逆に計器だけを見て飛行させることもできるのですから、
訓練されたパイロットというのはすごいなと改めて思います。



パイロットといえば、ここには航空学生の入隊式の写真も展示されていましたよ。
うむ。凛々しいのう。
むかしでいうところの予科練ですね。
七つボタンは桜に錨。

厳密に言うと、今は「七つボタンは錨で襟は桜」なんですが、まあよろしい。

こういうものを着ると誰でもこうなるわけではありませんが、
これから入隊する青年たちだというのに、この制服の似合いっぷりは・・。
やはり大和男子というのはこういう格好が無条件で似合う。

異論は認めません。




制服と言えば、ここには自衛隊の制服が展示されていました。
ああ、階級章の見本もあったのね。(今写真を見て気づいた)
これ、写真撮ってきたかったなあ。



いちおうどの方も皆海軍式敬礼をしようとはしているようです。

幹部冬服はしゃんとしていますが、非常にラフな敬礼をしているひともいるようで。
幹部夏服は「まま、抑えて抑えて」
むこうの海曹は「よ!げんきだった?」

水兵さんと飛行長はもう手を降ろす気満々です。



いちばん態度がラフだった飛行長。
帽子も斜めに被ってるし(笑)



ここには「自衛隊精神」をパネルで表すコーナーもあり、
国旗掲揚の様子や



儀仗隊の写真がありました。
これらに付けられたキャプションが

「使命の自覚」

祖先より受け継ぎ、これを充実発展せしめて次の世代に伝える日本の国、
その国民と国土を外部の侵略から守る

自由と責任の上に築かれる国民生活の平和と秩序を守る



それにしてもこの儀仗隊の隊長の遠目にもわかる敬礼の決まりっぷり。
さすがに展示人形の敬礼とはわけが違います。
昨日今日ではまずできない、年季と使命感に支えられた本物の敬礼。

そして本当に姿勢がいいんですよね。自衛隊の人は。
腰から上になにか一本線が入っているような立ち方をするというか。

最新刊の「ライジング・サン」によると、

かかとをつけてつま先は60度
背筋を伸ばし胸を張り顎を引く
手は握り腕は真っ直ぐ体につける
「心臓も止めるつもりで立つ」

これが自衛隊の「直立不動の姿勢」だそうです。
日頃からこれを叩き込まれていれば、そりゃ姿勢もよくなるでしょう。



さて、P-2Jのコクピット再び。
飾られているヘルメットは盗難防止で紐が付けられています。

ここに座ると、向こう側に海面の写真パネルが貼ってあり、

「気分はもう哨戒」?(元ネタ大友克洋)

その気になれば椅子に座れたのかもしれませんが、
残念ながらとてもその時間はありませんでした。



通信士の席でしょうか。
まるでうちにあるファックス電話機みたいなものがあります。

このまわりの壁、緩衝材が貼ってあるらしいのですが、
なんでまたこんなドット模様が規則正しくあるのでしょうか。




この天井の低いコクピットに上るところにある注意書きに
おそらく本日の入館者の中でたった一人、エリス中尉だけが気付いたと思われます。

「頭上の敵機 注意」



これから鹿屋航空基地を訪れる予定のある方。
何度も言いますが、ぜひ時間配分をして、
一階のフロアをじっくり観ることをお勧めします。
ところどころにこのような海自の遊び心を発見することができます。

いつになるかわからないけど、わたしももう一度ここを見に行くことにします。
指摘した部分が直っているかチェックするため…

…ではありません。

 

 


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