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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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「いずも」引渡式・自衛艦旗授与式観覧記~帽振れ

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艦長が最後に乗り込み、ハッチが閉まりました。



ハッチの動きに人々が目を奪われている間に、いつの間にか舷側には
「帽触れ」要員がきっちりと整列しています。



艦首寄りのデッキには男女の海士たち。



本日は護衛艦日和とでもいうのか、真っ青な空に「いずも」の艦体が映えて美しい。



舷側から下を監視している海曹をアップにしてみました。



ところで、「ひゅうが」が自衛隊史上初の『全通甲板型』護衛艦であり、
それゆえ内外の注目が大変高く、一部メディアではこれすら「空母」だと
否定的なニュアンスで大騒ぎしたのは記憶に新しいところですが、
よく考えたら、いやよく考えなくても、「ひゅうが」の艦首番号DDHは、
デストロイヤーの頭文字が表すように、実は駆逐艦なんですよね。
「ひゅうが」のときに1万トン越えの、世界でも類を見ない巨大駆逐艦が就役、
というのがこれほどの話題を呼んだのですが、「いずも」はそれを超えてきたわけです。

漏れ聞く自衛隊内部の声に

「これからどうなってしまうんだろう」

というのがあったと聞きますが、それも当然のことかと思われます。



もちろんそれは吉田茂元首相のあの有名な訓示、

「諸君が日陰者でいる間は国民は幸せなのだ」

に呼応する感慨でありましょう。
これほどに自衛隊が注目され、世間的にも持て囃されることそのものが
災害への対応も含めて「社会不安」に伴う現象であることは否めません。
これほどの装備を矢継ぎ早に自衛隊が導入したということに驚いているのは
当の海上自衛官たちであるということらしいですが、もちろん彼らは
それをただ手放しで喜んでいるということではないのです。



一般人なら「不安」の一言で終わってしまうこの感慨ですが、彼らが不安を口にすることはありません。
自分たちに求められているのものが何なのか、今日本の防衛がそこまで来ているのかと、
真に身の引き締まる思いを各自が噛みしめているというのが実情ではないでしょうか。



時々さりげなーく?首を動かして家族席の方を見ている自衛官もいるようですが(笑)
基本的に舷側に立つ乗員は面を正面少し上に向けたままです。



艦橋の前方にあるCIWSですが、「ひゅうが」型と同じく、右舷側に据えられています。
これは航空機の運用の妨げにならいように端に寄せているのです。
艦橋の航海装置は「あたご」型と同じようなもので、
航海艦橋の内部の広さもだいたい同じだということです。



スクリーンのカメラは、後方のJMU社員の後ろから
彼らの後ろ姿と「いずも」を映し出していました。
自分たちが何年間も手がけてきた「いずも」が出航する瞬間。
月並みな言い方ですが、きっと手塩にかけてきた娘を嫁がせる父親の気持ちでしょう。



女性海士たち。
WAVEの居住スペースを最初に備えたのは「ひゅうが」で、そのことも報道では
大きく取り上げられました。

「ひゅうが」の就役式でここ横浜の磯子から横須賀に出航するとき、
異例中の異例でしたが、防衛省は報道陣の同乗を許しました。
その航路で、自衛隊は特別に女性自衛官への取材を行わせるという計らいをしています。


ところでこの「記者の同乗航海」ですが、「ひゅうが」以上に注目の大きかった「いずも」で
それを行わなかったのは、「ひゅうが」のその後の報道や「おおすみ」事故など、
そして何より今回の「いずも」への外圧に与する側に立ったような報道をへて、

「今のメディアにどんなに協力しても、決して自衛隊に好意的な報道はしてもらえない」

といった「メディア・ファティーグ」のせいではないか、と多少穿った推測をしてみました。
これは80%くらいの確率で当たっていると思います。



前部の舷側は、まさに家族席の真ん前なのですが、そこに並ぶのは若い海士たちでした。
「ふゆづき」のときにも前部は海士クラスが並んでいた記憶がありますが、
こういうとき階級によって立つ位置は昔から決められていたものでしょうか。



防衛大臣はじめここに並んでいた関係者は祝賀会を挟んで全員いなくなっていたので、
その場所にJMUのいかにも偉そうなおじさまたちが出てきました。

祝賀会以降、退出してしまった人は案外多く、戻ってきたのは半分くらいにすぎませんでした。
出航を見送らずしてなんの引渡式かと思うのですが、「ふゆづき」のときも
ご一緒した経済界の大物氏は、わたしが最後まで出航を見届けたいと思っているのに、

「もう見るもの見たから帰りましょう、ささ、早く」

とばかりにそそくさと歩き出したので、わたしは後を追いかけながら内心は( ;  ; )こうでした。



画像を思いっきり拡大してみました。
この二人かっこよくないですか~?

フネを撮る時にはまず望遠レンズの出番はありませんが、もしあれば
自衛官たちの表情を追うことができたでしょう。
先日mizukiさんがニコンの83倍ズームレンズ搭載COOLPIX P900を教えてくれましたが、
こういうのがあればこういうときに顔のアップですら捉えることができそうです。

ただあまりにも顔が鮮明すぎると、いくら任務中の自衛官のものでもアップするのは憚られますが。



前部の海士たちの帽振れ。

「帽触れ」の間、音楽隊が演奏しているのは「蛍の光」です。
兵学校では「ロングサイン」と称していた曲ですが、(原題が Auld lang syne)
自衛隊でそのように呼んでいるとは聞いたことがありません。 



海士たちの中には、このようなハレの場で帽振れをするのが初めてという隊員もいるでしょう。
彼らにとってもこの瞬間は胸の熱くなるような感激であるに違いありません。





噂の外付け昇降機の上にも帽を振る隊員たちがきっちりと並んでいます。

スクリーンで上映された海上公試の映像では、ほとんど尾翼を突き出すようにして
ヘリコプターが搭載されていましたが、このように片面が完璧にオープンになったことで
エレベーターで移動させられる機体の大きさにかなりの余裕ができたということになります。

これが一つ舷外配置となったことで飛行甲板スペースの離発着作業と、航空機の移動が
余裕を持って同時に行えるということになりそうです。



艦橋のデッキに出ている幹部たちも帽振れ。



士官たち。スリットからサングラスをかけた人物が見えますが、
やはりJMUの社員が乗り込んでいるようです。 
外から見えないようにしゃがみこんで隠れているのが可愛い(笑) 



「帽戻せ」

の掛け声とともに全員が正帽を元にした瞬間。
こういうときには片手で戻すものなのでしょうが、いつもの癖なのか、
左手がつい出てしまう人もいるようです。



そして後は港を出て皆の目が届かなくなるまでそのまま立ち続けます。
いったいいつまでこうやって立っているのだろう・・・。
「ふゆづき」のときには見届けられなかったのですが、今回は「いずも」が
見えなくなってしまうまでここで見送ろうとわたしは思いました。


最終回に続く。




 


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