教育航空隊の記念式典の1日の様子をお伝えしています。
式典が無事終了し、整列していた部隊は会場から退出したあとには
こんなに広かったのかと驚くほどのエプロンのスペースが残されました。
そこに入場してきたのは、防衛大学儀仗隊。
なんと、ファンシードリルが行われるのです。
防大の儀仗演技が行われることはプログラムでちらっと見たのですが、
どこかのコーナーでイベント的に行われるのだと思っていました。
こんな大々的に式典の一環として目の前でやってくれるとは感激です。
防大儀仗隊の制服は冬制服の上着に夏制服のズボン、夏用のカバーをかけた正帽、
という組み合わせによって独特なスタイルとなっています。
先頭で指揮刀を持ちホイッスルを加えているのが儀仗隊隊長。
HPによると、第60期隊長の近藤稔将学生です。
(註:その後この日の指揮官は近藤学生ではなく、儀仗隊員の川本学生であり、
隊長が指揮を執るのは音楽まつりと開校祭のグランドフィナーレだけ、
あとは儀仗隊員が交代で務めるということを教えていただきました。多謝。)
この部分は賓客に対する敬礼の意味があると思われます。
そして演技開始。
一糸乱れぬ統制で次々と動きを決めていきます。
前の人が立てた銃を次の人が倒れる前に受け取る演技。
銃の台座を地面と平行に置けば、結構長い間立っていそう。
十字になってぐるぐる回るフォーメーション。
いかに一線を保つかがこの演技のポイントだと思うのですが、
このアングルから見ても全く狂いがありません。
Nikon1の望遠レンズは遠くの隊員たちの表情をちゃんと捉えています。
曇天だったので画像処理で画面を明るくしたのですが、隊員の顔色は全く変わらず。
いかに彼らが日焼けをしているかがよくわかりました(笑)
どれだけ望遠レンズが優れているかの証明。
これが広角レンズで撮った写真。
それをここまで引き寄せることのできる望遠レンズ。
何故か銃に巻きつけられた透明のセロテープまで見えてしまうという。
ファンシードリルの時にはドラムとシンバルから成るリズム隊だけが
付随する音楽となります。
端から順番に銃を回してひざまづくようにポーズを決めます。
順番に銃を投げ上げる技。
ちなみにこのM1ガーランド小銃は4.3キロも重さがあります。
1941年に作られたこの銃を未だに使っているのは、
ひとえにその美しいことからだそうです。
第二次世界大戦はもちろん、朝鮮戦争、ベトナム戦争でも使われていました。
帽子は顎紐を顎の先にかけるのが決まりのようです。
喉の下にかけてしまうと小学生みたいに見えるからですねきっと。
今気づいたのですが、帽子には白と黒、どちらの顎紐かけもついており、
白いのは装飾として残してあるように見えます。
隅々まで効果が考慮された制服です。
わたしがこれまで目撃した防大儀仗隊ファンシードリルでの唯一の失敗は
銃投げ上げのあとひざまづくフォーメーションで銃を落としたというものですが、
この日は一つのミスもなく、完璧に演技を終了させました。
フィールドのはるか反対側の隊員を写しても、後ろの観客の顔も
鮮明に個人特定できてしまうという望遠レンズ。
全員が銃を縦回ししていって、最後に左端に立っている隊員が一人だけ
敬礼しながら左手だけでバトントワリングのように何回も銃を回転させ続け、
観客の拍手が巻き起こります。
掌を中心に上手く慣性を利用して回しているのがわかりますね。
そしてクライマックス。
高々と銃を投げ上げて・・・、
空砲一発。
隣に座っていた女性が予想もしていなかったらしく無茶苦茶驚いていました。
M1ガーランド小銃には6発の銃弾が装填できます。
儀仗隊のHPには、
ファンシードリルにおいては、弾は各隊員一発のみ込め、
必要に応じて発射する人員を変えることで1回以上の空包射撃を可能としています。
この日の空砲射撃は確か二回行われたので、半数ずつが射撃したのでしょう。
あの銃声が半数の隊員のものだとすると、もし全員で撃ったら
どれほどの破裂音になることか・・・。
音楽まつりなど、屋内でのドリル演技の空砲発射は、特に数を減らしたりするんでしょうか。
続いて、いつ見てもかっこよくてワクワクする、銃のアーチくぐり。
このフォーメイションが出たらそろそろおしまいです。
向かい合った隊員が銃を相手に投げ渡していく中、隊長が
端から端まで悠々とといった感じで抜刀して進みます。
隊長の歩みのタイミングに合わせ、通過する直前と直後に、銃口を下に、
ほとんど銃が垂直に立つように投げ上げて受け渡しをするのです。
隊列の先頭に隊長が出て、最後のフォーメイションで号令。
そして退場。
防大儀仗隊はもともと栄誉例などを行うために設置された部隊ですが、
技量の維持のためにこういったファンシードリルの訓練を行っています。
ファンシードリルは、本来の儀仗隊の存在意義からいうと、いわば二次的なものなのです。
続いて、当基地に所属する消火部隊の実演が行われました。
この消防車の座席に座って実際に放水したことあるもんねー。(自慢)
車両が停止すると同時に、三人の防火服を着た隊員が飛び出してきました。
隊長らしき前方の隊員以外はフルアーマーだ!
これ、夏の訓練はもう地獄だね。
全員靴まで耐火仕様のシルバーで決めています。
指差し確認中?
隊長のポーズ(特に脚の開き方)には何か特別な意味があるのでしょうか。
放水についてのタイミングは全て隊長が指揮を行います。
そして車両と共に二人の隊員が放水!
おそらくこういう脚の構え方をしていないと、放水の衝撃で
立っていられないのかと思われます。
隊長が脚を開いているのも放水隊員と一体化しているという姿勢なのでしょう。
観客の向こう側ではもう一台の放水車が最大仰角で放水を行います。
ところで、前回の「赤とんぼの生態」についての記事において、勘違いがありました。
写真の順番を取り違え、式典中のことのように書いてしまったのですが、実は
トンボが産卵していた水たまりは、この放水によってできたものであることを
今この写真を見て思い出したのです。
それならばこの水は今日中に消えてしまうのはさらに確実。
トンボさん・・・・(´;ω;`)ブワッ
実演終了し、隊長以下全員が紹介されました。
彼らは航空基地隊の基地運行隊に所属します。
フルアーマーの二人の防火ヘルメットはフードのように後ろに外されていますが、
彼らが走って退出するのを見るとものすごく重たそうでした。
そして消防車に全員が乗り込んで拍手の中退場です。
消防署員ではない彼らが、実際に現場に投入されることは滅多にないわけですが、
しかし自衛隊という組織がそうであるように、いざという場合に備え、
休むことなく厳しい訓練を行うことによってその練度を磨いているのです。
続く。