前回私事と言いながらついつい体の不調などについて言及してしまい、
皆様にかえってご心配をかけてしまったようで恐縮しております。
写真を撮ることがこんなに体に負担をかけているとは思ってもいませんでしたが、
それにつけても驚くのが自衛隊イベントで多数に見る「カメ爺」たちです。
つまりあの老人たちは、重たい一眼レフと機材を持ち運び、それを扱うだけの
気力と体力を持ち合わせている、ということになるんですね。
そうか、あの場所取りをめぐる必死さは、その気迫の賜物だったりするのか・・。
さて、救難ヘリの飛行&救難訓練展示が終わった後は、
どすこーい重量級のC-1の登場です。
C-1というのは輸送機ですから、本来編隊を組んだり駆動性を見せたり、
ということには重きを置いていないわけですが、この日ばかりは
ここ入間基地のシンボル的存在として、この勇姿を見るがよいとばかりに
編隊飛行や急旋回などもやって見せてくれます。
例えばこんな風に。
いつ見てもこのキモかわいさがたまりませんわ〜。
かくいうわたしは「あおぞら空挺団」を見て以来C-1のシェイプを愛しております。
実は午前中のメインイベントが、C-1からの空挺降下です。
毎年年明けに行われる習志野の第一空挺団の降下始めでお馴染みなので、
この非スマートな機体と空挺団との組み合わせから、
なんとなくこれが陸自の飛行機だと思っている人も多いかもしれません。
(以前のわたし含む)
しかし、実はC-1、最初に導入されることになった量産機1号(通算3号)は
ここ入間基地において運用試験が行われているように、
紛れもなくここ入間の航空自衛隊の運用なのです。
今まで何気なく見ていましたが、空挺降下は空自と陸自の「コラボ」なんですね。
ペトリオットミサイルも陸自基地に空自が存在していたし、
陸空の間には他ではこのような共通運用の例が結構あるみたいです。
「陸海」「空海」間自衛隊でこんな例ってありますか?
それこそ日本が空母を持つ日が来れば、「空海」自衛隊の関係は
海自が艦載の戦闘機を持たない限り密接なものになるのでしょう。
かわぐちかいじの最新作「空母いぶき」では、日本が生んだ初めての空母の艦長に
船屋ではなく、なんとパイロット出身の空自隊員が選ばれるという、
思わず「そらー無理ちゃいますか。操艦的に」と言いたくなるような設定でしたが、
万が一そうなったら、どちらが上に立つかは、両自衛隊にとって大変な問題となるはずです。
まあ、心配せずともそもそも日本が空母を持つ可能性は当分ない、と言われそうですが、
現在南沙で中国が建設しているプラットホーム、あれって、
空母を2〜3隻建造して停泊させているのと同じこと
なんですよね。
話が盛大にそれましたが、とにかく陸空共同による空挺降下の実演です。
航過するC-1からまず一人が飛び出しました。
たった一人だけ飛び出したところをみると、これは「お試し降下」?
この人が風に煽られたりしたら後の集団降下はやめにします、とか?
「お試し降下員」は、よほどのベテランしか務まらなさそうですね。
一人のパラシュートが開いた後は、C-1が編隊飛行を見せてくれます。
これなどこの巨体で別々に離陸して、すぐに(まだ脚が出てる)
これだけ密集位置の編隊を組むのは大変なことと見た。
C-1の裏側。
さて、いよいよ部隊による降下が始まります。
離陸の時には閉じていたハッチが今開けられました。
まず一人目が飛び出します。
隊員の装着したパラシュートの先には黄色い紐が見えますが、
これがいわゆる
「環をかけっっ!」
で機体の内側にかけられた環によって自動的に傘が引っ張られ、
たとえどんなうっかりさんでも傘が必ず開くというシステムなのでしょう。
飛び降りる時にはハッチから出ているステップに立ち、
飛行機の尾翼の方向に向かって体を倒すように飛び出しています。
飛び出したら体は真っ直ぐにしないほうがいいみたいですね。
昔の空挺降下の訓練を描いた映画「空の神兵」について、
ここでもご紹介したことがありますが、なんども行われる地上での
「飛び出し訓練」では、できるだけ手を真っ直ぐ頭上に伸ばし、
体を曲げないようにするのが「立派な姿勢」といわれていました。
第一空挺団に入隊し、初めて降下を行う青年が、
「不開傘の確率300万分の1?今の俺にとっては開くか開かないか2分の1」
と恐怖に震える漫画を紹介したこともありますが、黎明期は
300万分の1なんて低い確率ではなかったはずです。
飛行機に乗るのさえ生まれて初めての連中にとって、空挺は
それそのものがどんなに恐ろしいことであったでしょうか。
飛び出す時間はきっちり決まっているはずです。
だれかひとりぐずぐずしていると、冒頭写真のように
等分に傘がきれいにならぶことがなくなり、それは「失敗」とされるでしょう。
傘が開くまでの間はどんなベテランでも長く感じるのではないでしょうか。
こちら二人目の降下者。
一人目が「環をかけ」たロープが傘を開く役目を終えて宙に舞っています。
今の空挺降下は腕は体の前で組むようにといわれるようですね。
脚から飛び降りても、この写真で見るようにかならずこの位置で
降下者の体は一回転して頭が下になるようです。
うーん、怖いだろうなあ・・。
ちょうど日の丸の下にいる降下者をみてください。
彼らのパラシュートはお腹に抱えるように装備されていることがわかります。
最後の降下者が今飛び降りようとしているところ。
そして飛び出しました。
もうハッチには人影がありません。
10人が飛び降りたハッチからは、その傘を機体と繋いで
開傘させた黄色いロープが人数分なびいています。
そして青空に空挺団のゴールドの傘がの花が10、開きました。
見事な空挺に会場は拍手が巻き起こります。
そして、地面に到着。
やはりこういうときに空挺の展示を行うくらいですから、
ある程度ベテランで危なげなく降下を行えるものばかりが選ばれるのでしょうが、
さすがに全員がちゃんと展示航空機の向こうで柵のこちら側に着陸を決め、
チヌークの真上に落ちてNO-STEPと書かれたところをピンポイントで踏み抜いたり、
電信柱に傘をひっかけたりという場面は見せてくれませんでした。
いや、別に見たくていってるんじゃないですよ?
U-125がまるで傘をさしているようです(笑)
彼らを落としたC-1を含む3機は点のように見えます。
どうして煙が立っているかというと、地面に落下してから
傘が開いたまま風を受けてしまい、地面をずずずっずーーーーっっ
と降下者が引きずられたからです。
このときアナウンスでも言っていましたが、落下傘降下というのは
普通に降りても二階から飛び降りるのと同じ衝撃を受けるといわれます。
ですから、特にこのようなコンクリートの上に降りるときには、
降下者は決して足で立たず、受け身を行って衝撃を逃すようにします。
空挺団のみなさんが酔っ払うと二階から飛ぶというのは、それくらいの衝撃は彼らにとって
わたしたちが三段くらいの階段を飛び降りるようなものだからです。ってどんなだよ。
そんな化け物、いやスーパーマンみたいな隊員はどんな顔をしているのか、
ぜひ拝んでみたいと思うのですが、さすがの望遠レンズも
エプロンの端っこにいる人の顔までは鮮明にしてくれませんでした。
降下後、紐をたぐって傘を手繰り寄せている隊員。
傘のお片づけを手伝うためにか、陸自迷彩の隊員が一人走り出てきました。
本当に等間隔に、狙ったところに降りることができるんですね。
彼らが傘をまとめて素早く全員退場していったのと入れ替わりのように
最初に編隊飛行をしていた029のC-1が帰って来ました。
これをもって午前中のプログラムは全部終了です。
11時45分から、観覧席の後ろに設けられた格納庫の会場で、
昼食会が行われる旨放送が行われ、人々は三々五々移動を始めました。
さあ、初めて体験する空自のごはんはどんなものでしょうか!?(wktk)
続く。