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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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平成28年度富士総合火力演習〜装備展示と”陸自娘(りくむす)”

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実弾ではなく発煙弾を大量に発射して空中に弾幕を作る、
という実に日本国自衛隊らしいフィナーレを迎え、
今年も無事に終了した富士総合火力演習です。



煙幕がまだ色濃く残る中、終わったら一目散に出口に向かい、
少しでもバスに早く並ぼうとする観客もたくさんいますが、
約半数はこのあとの装備展示を待ってフィールドに出るつもりです。

わたしたち一行はこのあと一度御殿場まで戻り、各自の車で
夜間演習にも参加することになっていたので、急ぐ必要はありません。



戦車小隊が右手に向かって退場していきます。
10式戦車の上から観客に向かって笑顔で手を振る隊員たちに、
観客の多くが手を振って見送ります。



90式戦車の操縦席から顔を出している隊員も笑顔。
戦車も普通の自動車同様、アクセル・ブレーキ・クラッチで操縦するそうですが、
こうやって顔を出している時にはやっぱり立ってるってことなんですか?

戦闘中は顔を出せないので、カメラで間接視認を行うわけですが、
そうでない時はやはりこうやって直接外を見た方が運転しやすいし、
なんといっても外気に触れて気分もいいんだろうなとお察しします。

みんなに顔を見せて手も振れるしね。


 
手を振っているのは写真に見る限りほぼ全員男性でした。
やっぱり戦車は男子の憧れ!なんですね。



戦車砲塔には12.7mm重機関銃M2が装備されています。
両手を振っている隊員さんはこれを撃つ、つまり左目で照準を覗くため、
迷彩メイクを顔の右半分だけにしているのかもしれません。 



さて、すっかり煙幕も晴れたフィールドには、展示装備が
ヘリコプターから順番に並べられます。

まず一番最初にやってきたのがチヌーク、CH-47。



本日の訓練では偵察隊の降下、そして車両の運搬、
120mm迫撃砲の牽引などを支援しました。



主に味方の前進を支援する攻撃で活躍、武装ヘリアパッチ。



迫撃砲部隊を降下させたり、オート隊をバイクごと運んだり、
多用途ヘリというだけあって色々と大活躍のロクマル UH-60。



正面から見るとうっすーい戦闘ヘリAH-1コブラ。
対戦車ミサイルTOWの射撃では会場を沸かせました。 

航空祭などではちゃんとお辞儀もしてくれたりします。



ロクマルの向こうに降りて切るのは観測ヘリOH-6。
アメリカ軍ではカイユースと呼ばれていますが、見た通りの
フライングエッグという愛称もあるそうです。 

今年はOH-1ニンジャの総火演参加はありませんでした。
観測ヘリがかぶらないように配慮したんでしょうか。



ヘリが全て着地してからは装甲車など。
まずは87式偵察警戒車。

装甲車両に火力が備わっているので、本日も行われた
強行偵察(小手調べというか、攻撃してみてその反撃から
敵情を知る)が可能な、頼もしい偵察車です。 



あれ・・・・?
こんな装備、今日登場したかしら、と頭で考えるより早く、

「これは今まで見たことのない装備、すなわち最新式車両だ!」

と気づいてしまった わ・た・し。
思えば遠くに来たものでございます。

16式機動戦闘車( Maneuver Combat Vehicle, MCV) 

は、今年制式になったばかりで、まだこの総火演では
ただの機動戦闘車(試作)とされていました。



スペックもサイズしか書かれていないという・・・。



ノーズ(っていうんでしょうか)に書かれた桜のマークと
「富校一機」の文字もまだ真新しく。

履帯ではなく(キャタピラという言葉は商品名なので使わないそうです)
タイヤを履いているものの、砲のサイズが大きく、そのため
正式にではないけれど「装輪戦車」と呼ばれることもあるそうです。
実際にもその火力は74式と同等であるとか。

装輪であるための弱点(重量に耐えられないとか)はありますが、
逆に機甲師団や教育機関のある本土以外の四国や九州にも
配備することができるという利点を期待されています。

今年2016年の初頭に、防衛省はこの装備の名称を、
16式機動戦闘車とすることは決定しましたが、事実上はまだ
制定されていないので、ここでの紹介も単に「機動戦闘車」となっています。

早ければ今年の陸自観閲式でお披露目が行われ、来年の降下始めあたりに
機動戦闘車の実弾演習が公開されることになるかもしれません。



そしてまたしても”見たことないセンサー”が鳴り響き、
乗員すらガイジンさんであるという不思議なシェイプの車両が来ました。





こちらも看板には「水陸両用車」と書いてあるだけ。

正式にはAAV7、

Assault Amphibious Vehicle,personnel.model7
水陸両用強襲輸送車7型 

です。
アメリカ軍は海兵隊に装備されているので、乗って入る外人さんたちは
マリンコーアの方々であるということになります。

なんだかいっぱい乗っていますが、実際に操縦する乗員は3名。
基本兵員輸送用で、25人を運ぶことができるというので、
展示用にちょっと多めに乗せてみました、ということかもしれません。

こんな重そうな履帯があるのに水上滑走できてしまうという、
実に不思議な水陸両用車ですが、自衛隊がこれを配備することにしたのも
島嶼部防衛を強化させるため、つまり尖閣対策と言われています。

調達のあかつきには自衛隊内に創設される予定の

水陸機動団

に配備され、操縦するために必要な大型特殊免許と船舶免許
(やっぱりどっちも必要なんだ・・)を隊員に取得させて運用します。

水陸機動団に配備されるAAV7だけで52台になる見込みです。



なるほど、降りるときにはこうやって手をかけるのか_φ( ̄ー ̄ )
乗員たちが救命ベストをつけているのは水上用装備ですね。


さて、周りの人たちは装備が並べ終わった頃にはそわそわと、
カメラと荷物を手にフィールドに降りようとしておりましたが、
例年この装備展示がどのような状態になるのかよく知っているわたしは
近くに行っても人垣に囲まれて写真なんか撮れっこないし、
全体像の写真なら普通に上から撮ってしまったし、何よりも疲れて、
荷物を抱えて下まで行く気力を完全に無くしておりました。

そこで、

「わたしが荷物見てますから行ってきてください」

と申し出て、人垣のできた各装備品の混雑の有様を
荷物番をしながらぼーっと眺めておりました。

看板には英語と日本語で諸元説明がされています。


”水陸両用車として知られるこの装甲兵員輸送車は、
米海兵隊で1972年から運用され、世界10カ国で採用されています。
最近、日本の陸上自衛隊も本車両を採用することとなりました。

AAVは専用船から直接海上に進出し、
海岸部へ迅速に上陸し、戦闘を支援します。”


そして下の諸元表によると、水上での最高時速13.2km。
航続距離は水上で7時間。
7時間すぎたら後は動かなくなって漂うだけになってしまうのか。

走破性能は2.4mまでの塹壕とありますが、それぐらい掘っちゃうってこと?
また段差も91センチなら乗り越えるそうです。
91センチの段差を乗り越えているとき中の人がどうなるのか知りたい。


ところでマリンコさんたち、看板をこのために手作りして、
わざわざAAV7で運んできたんですね。



うーん、なんかすごくかっこよくないか?
疲れた体に鞭打っても下に行って近くで写真撮らせて貰えば良かった。



ところで、先日のニュースによると、アメリカ軍が尖閣付近に
強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」を投入したらしいですね。

明らかにこれは同海域に最近大挙して武装警備船や漁船を送り込んでいる
中国に圧力をかけるのが狙いだったと思われます。

「ボノム・リシャール」は世界最大級の強襲揚陸艦。
強襲輸送ヘリ、ハリアーII、オスプレイ、エルキャックを搭載し、
約2000人の海兵隊員を一気に揚陸させることができます。

8月に入ってから中国は、尖閣の接続水域や領海に公船や民兵の乗った
漁船を侵入させ、すわ、上陸かという緊張状態にありましたが、
「ボノム・リシャール」の出動の情報が流れた途端、漁船の大半が
姿を消した、という情報も流れてきていたそうです。

いろんなしがらみゆえ、がんじがらめで動けない自衛隊の代わりに
アメリカ軍がこうやって遊弋してくれたのは、決して日本のためだけではなく、
あくまでもこの地における米軍プレゼンスの誇示であろうと思いますが、
それでもこれだけ明らかな抑止効果があるのを見てしまうと、
やはり日本がまともな国になるまでは、アメリカと緊密に連携するしかない、
という現実を改めて思い知らされる気がします。

(そして反米軍、反基地勢力の陰では中共が糸を引いている、
という例の噂も真実味を帯びて聞こえますね)

とにかく、自衛隊が島嶼部奪回を仮定して部隊や装備を増強しても、
相手が何かしてくるまで指一本動かすことができないという事情がある以上、
抑止効果を高めつつ、アメリカとは仲良くしておかないといかん。

と思ったニュースでした。




さて、ところで、本日のパンフレットに、当ブログとしては看過できない
こんなゲームの宣伝を見つけてしまいましたのでご報告します。



彼女らを艦これの「かんむす」風に「陸自娘」で「りくむす」と呼びます。
木更津若菜とか市ヶ谷愛というのは「駐屯地の擬人化」で駐屯地娘、
装備の方たちは武器娘というそうで・・・。

りっく☆じあ~す 公式 プロモーション ムービー



いや、やっぱり日本って平和だわ(笑)


続く。

 


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