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平成28年度富士総合火力夜間演習〜弾幕−破砕射撃

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平成28年度自衛隊総火演、夜間演習の続きです。
夜間演習の予行演習の間は、まだ日が落ちていませんでした。



前回74式搭載の暗視装置をご紹介しましたが、まだ明るいこの時点で
リハーサルに暗視装置は使われていなかったと思われます。



90式戦車しかり。
このときには普通に目標を射撃していたのではなかったでしょうか。



ちょうどこの頃日が沈みました。



フィールドを歩いている隊員たちがシルエットになっています。



暗視装置について前回紹介しましたが、夜間演習で活躍する装備には
標定装置というものもあります。

射弾の判定、観測などをし、修正を行う装置のことですが、

対迫レーダー装置(迫撃砲)

対砲レーダー装置(特科部隊)

そのほか、小型の火光標程器などがこれに使われます。
暗視装置で撃っても別に当たったかどうかを確認する必要があるからですね。



真っ暗な中暗視装置で射撃を行って、わたしたちに見えるのは
ただこのような弾道だけということになります。
決して花火大会のような派手な見せものを期待してはいけません。
(というのもわたしは終わってから知ったことなのですが)



これは演習の一番最後に行われる攻撃のリハーサルだと思われます。

というわけで、この後7時30分の開始まで、わたしたちは現場で
何をするでもなく冷えていく空気を楽しみながら待ちました。
同じ待つのでも炎天下や雨の中と違って、快適なので苦になりません。

わたしはこのとき周りの人にどんな風に写真を撮ったらいいのか
相談をしていたのですが、わたし程度のカメラ知識では
設定をバルブにしたところで、きれいに撮ることなど到底望めないことが
なんとなくわかってきたので、いさぎよく周りに

「写真は諦めて全編動画で行きます!」

と宣言しました。
動画を撮りながらでもシャッターを押すことができるし、
それが失敗でもあとからキャプチャすればいいと開き直ったのです。

そうと決まれば三脚を立てっぱなしで演習は肉眼で見ることができ、
おかげで鑑賞は大変気が楽で楽しいものでした(笑)



完全に暗くなる前の会場はこのような感じ。
暗くなると、並んでいる核装備についている緑のランプだけが
手前に一列に並んでいて、そこが射線だなあとわかるくらいです。



いよいよ始まりました。
装備の説明などはすべてここに映し出されます。



今朝夜明けを見た富士山の同じ日の日没後の姿を見ることになるとは・・・。
フィールドには左右から探照灯が照らされ、交差したところが
なんという目標かを説明してくれます。



つまんない写真ですみません。
緑のランプが装備の列。
演習最初に小銃と機関銃の射撃が行われた時の弾道です。

このあとは74式戦車、87式装甲戦闘車、01式携帯戦車誘導弾が
暗視装置を使って射撃されました。



マルヒト式携帯戦車誘導弾の命中の瞬間。

このあとの陣地侵入もすべて暗視装置を使って行われたので、

「カメラのフラッシュは危険ですので決して使用しないでください」

と警告がなされました。
しかし、本人は使っている意識がなくてもそういう設定に
なってしまっていることに気づかずカメラが光る人がいて(笑)
30分の間に何度も何度もアナウンスで注意されていました。

ひどい人には自衛官が直接やめるように言いに来るそうです。

なぜ危険かというと、暗視装置を使用していると昼間に比べ視界が狭くなるのです。
ただでさえ難しく操縦技術が必要なのに、フラッシュが光ると
暗視装置を通して見ることができなくなるらしいんですね。



89式装甲戦闘車の射撃。

このあたりまで、暗視装置を使う射撃の展示で、次からは
戦場照明下での射撃が実演されました。



ここからの「第2部」は、まず照明弾が撃たれ、その後
射撃が行われます。



80mm迫撃砲で撃たれ開傘した照明弾。
この照明弾の明るさは100万カンデラという単位で表されます。
1カンデラは1本のローソクの灯火の明るさですから、100万本のローソクに相当すると。

この照明下、迫撃砲が射撃を行いますが、着弾して光を放つのは
一瞬ですので、はっきりいって写真に撮って面白いことはありません。



照明弾の明るさは微妙に射撃する装備によって違います。
例えば特科火砲の目標になる照明弾は160万カンデラです。

特科火砲は照明弾のもと、昼間と同じような同時弾着を試みます。



84ミリ無反動砲も照明弾を撃ち、その後射撃を照らされたところに行います。
65万カンデラの明かりなのでそんなに暗くて大丈夫か、と思ったのですが、
目標が大変近いところだったので、射撃した後の煙までがはっきり見えました。 



照明弾には IR照明弾というものもあります。
周囲を照らしつつ、赤外線を発して暗視装置での観察を可能にするものです。
照明は大変弱い明かりでも、赤外線で確認することができるのです。


ついでプログラムは第3部へ。
第3部では、夜間の防御戦闘がシミュレーションされます。
山の方向から敵部隊が前進中、という想定で行います。

これらの状況をレーダーや標定装置で観察したのち、 
特科火砲が前進を防ぐための警戒射撃、「攻撃準備破砕射撃」を行います。



しかしさらに前進を試みる敵・・・・。
照明弾が81mm迫撃砲によって発射されます。



照明弾のもと、81mm迫撃砲が弾幕を発射。

そしてあっという間に終盤となり、最後は「対機甲突撃破砕射撃」。
弾幕の中、90式戦車、74式戦車、89式装甲戦闘車が敵戦車の破砕を行います。 



さらには突撃してきた敵に向けて破砕射撃を一斉に行います。 



ほんの一瞬でしたが、これで敵部隊は殲滅することができました。

「状況終わり」

この声を聞いて、わたしは思わず

「え、終わりですか」

と言ってしまったのですが、例年このようなものらしいです。
それにしても、明かりの全くない山間地でもハイテクを駆使するとこうやって
戦闘ができてしまう時代になっていたのですね。

しかし、今まで見たことのない夜間演習が見られて貴重な勉強をさせてもらいました。


と こ ろ で 。

わたしたちはこの夜間演習に際して、乗ってきた車を
駐車場となった空き地に縦横にずらっと駐車させられており、
その時からすでに

「前の車が出るまで動けませんのでご注意ください」

と注意されていました。
わたしはこれを聞いて、終わってから帰る時にもし前の車の人が
帰ってこなかったら、とふと不吉なことを考えたのですが、
案の定嫌なカンだけはよく当たるもので、わたしの前の軽の中の人が
いつまでたっても駐車場に帰ってこないのよ。

わたしたちのグループはこのあと足柄インターで集合、となっていて、
周りの車はどんどん出て行くのに、その軽のおかげで、
わたしとその後ろの車だけがいつまでも駐車場から出ることができないわけ。

   (空き地)

   軽 わたし  他の車
  ↓ ↓  


  □ ■  □  □  □  □  □  □  □  □

    (空き地)


右も左も出て行ってガラガラになったので、脇から出ようとしたら
整理係の自衛官が『出ないでください』と静止。

「あのー、連れが皆行ってしまったので早く出たいんですが」

と訴えると、今度は上官がやってきて

「前の車が出ないと出られないんです」

の一点張り。
自衛官は上からの命令を自分の判断で変更できないのですね。
よーくわかります。
が、周りを見てくれ。もう車が1台もいなくなっているんだから、
横に誘導してくれさえすれば、わたしと後ろの車全部がすぐに出られるでしょ?

と心の中で言いながら辛抱強く待っていました。
しかしその後いつまでたっても軽のドライバーが帰ってこないので
自衛隊側もこれは仕方がない、と判断したのか、超法規的措置で(笑)
軽の左側から出ることをようやく許してくれました。

「おそかったですね」

足柄インターで最後に合流した時にこの話をしたところ、

「気が利かないねえ」

「いや、自衛官ですから自分の判断で勝手にできないですよ」

と日頃自衛隊に理解のある皆さんなので同情的でしたが。



とにかく、駐車場の整理係の隊員だけでなく、この日
事故の無いように気を使って運営をしてくれた陸上自衛隊の
すべての皆さんにはただ感謝です。

それから、チケット関係でお世話になった陸上自衛隊の方、
富士学校普通科の方にも心からお礼を申し上げる次第です。
ありがとうございました。



総火演シリーズ終わり




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