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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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「隼鷹」と「二式大艇」第56回 全日本模型ホビーショー@東京ビックサイト

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日本プラモデル工業協同組合が主催する模型ホビーショー。
東京ビックサイトで行われた催しに招待券をいただき、
今年も行ってまいりました。

9月23日から3日間行われ、23日は業者招待日です。
この日は平日だったし、チケットは業者用だったので
この日に行けばよかったのですが、当日は朝からお天気がぐずついて、
全く行く気をなくしてしまいました。

結局中日の土曜日に行くことにしたのですが、この日も結局
雨が降ったり止んだりであることに変わりなく、
しかも人多すぎで遠い駐車場に停めざるを得なかったという・・。

会場は西館、車を停めた東館駐車場から東館の中を歩いて
ようやく会場にたどり着きました。

まずは、敬意を表してご招待くださったハセガワさんの見学から。



写真を撮っているとハセガワさん(仮名)が声をかけてきてくださいました。
まずは今回の目玉というか、イチオシをお聞きしてみたところ、
そのひとつが11月に発売予定の航空母艦「隼鷹」だそうです。

「隼鷹」が人気があるのはこの説明にもあるように第二次世界大戦
(この場合大東亜戦争と言ってほしい)を戦い抜いた主力中型空母で、
実にいろんなところに参戦しているからでもあります。

ちなみに当ブログでも何回かこの空母について、

●海軍甲事件の後古賀大将を乗せた旗艦「武蔵」を護衛してトラックへ

●駆逐艦「秋風」が「隼鷹」を守って戦没したかどうかという件

●空母「ホーネット」にとどめを刺した艦載機を乗せていた

●艦載機パイロットに菊地哲生飛曹長という凄腕がいた

という内容で取り上げています。

ハセガワではこの「隼鷹」を最新の金型でキット化したのですが、
今回の売りは、これまであった航空母艦モデルで初めて

「甲板のキャンバー(凸湾曲)を再現した」

ことと、さらに艦橋や煙突も段違いに精密に再現してることだとか。



「隼鷹」がマリアナ沖海戦に参加した時の姿だそうです。
このイラストはデジタル絵画ではなく、なんと水彩だそうで、
ハセガワがその腕に惚れ込んでパッケージデザインを任せている
加藤単駆郎氏というまだ若いイラストレーターの作品です。

ちなみにこのかたのパッケージイラスト展が10月1日、
長野県上田市で行われるそうです。



さらにもうひとつの目玉商品は(目玉だから二つですね)
なんとっ!
わたしが渾身のエントリをあげまくった、エミリーこと二式大艇だ!
このイラストももちろん加藤氏の作品です。

この写真にも黒焼きの設計図が写っていますが、こういった模型を製品化するには
元々の設計図というものが必要になってきます。
ハセガワさんによると、そういった設計図は

「どこかから、出て来る」(笑)

のだそうです。あら不思議。
ちなみに当社では二式の前回の発売は30年前なのですが、
30年の歳月は模型の製品化にあまりにも大きな変化をもたらし、
精密度や再現力は30年前の「比ではない」ということです。
ただし、

「昔のものにはその頃にしかない良さがあります。
未だにアナログのレコードを聴く人がいるのと同じようなものですね」



「3Dプリンターで模型パーツを作るというのはまだ無理ですか」

「まだちょっと無理ですね」

そういえば、今年の夏うちの愚息がITキャンプで
3Dプリンターの作品を作ってました。

 

たとえばこういう設計図をコンピュータで作成します。



これを3Dプリンタにインプットすると、白い糸のような樹脂が
形通りにおよそ一晩かけて少しずつ成型を行います。



で、できたのがこれ。ピンボケですみません。



カリキュラムは月曜から金曜日までの5日間で、
金曜日は午後からショウケースといって発表ですから、
実質4日に二つの模型を製作するというわけ。



3Dプリンタの模型を見るのは初めてですが、ものが小さい
(どちらもだいたい4センチ四方以内)ので全体的には
おお、とその精密さに驚いてしまいました。

ただ、ハセガワさんがおっしゃるように、この模型の世界における
パーツの気の狂いそうな精密さは再現できないかもしれません。



他の模型会社の展示にも二式大艇がありました。

ハセガワではやはり鹿屋に展示されている現物を見に行った、
というだけあってこういう普通のとはちょっと違い、

●コクピットなど、外から見える内部構造を再現

●したがってセットには搭乗員が「多数」ついてくる

●艇体下部の波おさえ装置、通称「カツオブシ」は別部品で再現

というこだわりがポイントなのだそうです。
模型は好きだけど自分が作る気は全くないわたしですが、
これだけは万が一気が向いたら作ってみたいと思いました。
まあ、出来上がったのが買えればそれに越したことはありませんが。



特別マーキングを施した97式艦攻。
写真を撮るのをうっかり忘れましたが、向こうにある21型零戦、そして
99式艦爆とともに真珠湾攻撃時の塗装を再現しているみたいです。
まじですか。
真珠湾攻撃のとき、97式艦攻は「レッドテイルズ」だったのね・・・。

「何々攻撃時仕様」というふうに機体の塗装で史実を再現することも
モデラーと呼ばれる人の盛り上がりポイントである模様。



三菱 局地戦闘機「雷電」。
「雷電」とか「紫電」とか「烈風」とか「疾風」とか、
もう昔の戦闘機の名前かっこよすぎ。 



海軍のまるで中二病のようなネーミングの嵐に対し、
陸軍の爆撃機はキとか100式とかあまり名前にこだわってないのかと
思いきや、やっぱり愛称はあります。
こちら100式爆撃機、愛称「吞竜」。 




52型の零戦ですが、「撃墜王モデル」とネーミングされております。
岩本徹三の撃墜マーク入り搭乗機。



こういった模型の塗装は当たり前ですが、モデラーが自分で行います。
組み立てるだけでもめまいがしそうなのに、その上自分で塗装まで・・・。
ということでその道に踏み込めないわたしのような人もたくさんいるわけですが、
先ほどの「真珠湾モデル」のように、本当に凝る人は塗装こそが命。

このときに質問したところによると、塗料は別の専門会社で皆買うわけですが、
モデルの制作会社は色を指定するのだそうです。

「グレーに何色を何パーセント混ぜて」

みたいな指示なんでしょうか。
というわけで、同じモデルといっても各社微妙に色が違ってくるわけですね。

たとえば零戦21型の実物はもうすでにこの世に存在せず、
実際に乗っていた人や見たことのある人の記憶の中にしか
その色というのは存在しないわけです。
ところが色を言葉で再現することは容易ではありません。

21型を「飴色」なんぞと称する人がいたという話を聞きますが、
そんな漠然とした、はっきりいっていい加減な表現ってありませんよね。
それこそ「飴」って何飴だよ、というところから話をしなくてはいけないわけで。

ということなので、

「零戦の色一つとっても各社で違ってくるものなんです」

現物が戦後残っていた52型にしたところで、

「経年劣化がありますのでできたときには全く違っていた可能性もあります。
つや消し塗装みたいに解釈されていますが、出来たばかりのときには
ピカピカしていたという話もあったりします」

模型というのはそういう「想像」「空想」の入り込む余地が
あるからこそ、そこに楽しみを求める人もいるってことなんでしょう。



色だけではありません。
わたしが今回一番驚いたのは、

「模型は、実物の飛行機や船をそのまま縮小したものではない」

というのを聞いたことでした。
なんでも、そのままの縮小では「かっこよくならない」らしいんですね。
設計図が「どこからか手に入った」としても、それをそのまま
律儀に縮小して模型の設計図を仕上げるのではなく、

「微妙にデフォルメを加えてモデルとして見栄えがいいようにしてある」

らしいのです。

「たとえばどこをどんな風にデフォルメしてあるんですか」

という質問には、明確なお答えはいただけませんでしたが、
それが企業秘密だとかそういうことではなく、そのあたりも
設計図を引く段階での口には表せない微妙な「さじ加減」なのでしょう。



さて、デフォルメといえば(笑)忘れちゃいけないたまごヒコーキ!
今年も愛しのたまごヒコーキたちに萌えました。

手前のヘリははっきりいってあまり面白くないですが、
ハリアー(中央)やファントム(左奥)がこれって・・・笑えます。
スプリットベーンがなければたぶんこれ何かわかんないぞ。



「ブルーインパルス」の新旧使用機とブルーエンジェルス、サンダーバーズ、
つまりアクロバットチーム機ばかりを集めたコーナー。



しかし、なんだろうこのオスプレイの違和感のなさ・・・。

たまごヒコーキシリーズには一応萌えキャラがいて、
パッケージには萌え搭乗員が描かれているのですが、

「たまごヒコーキそのものがキャラクターなのに、キャラ必要ですかね」

「まあ、それがきっかけで買う人だっていますから」




フォッケウルフまでがこのような姿に(T_T)

さっきのデフォルメの話ではありませんが、このシリーズ、
「たまご型に極限まで近づける」という制限がありながらも
各航空機の特色を実にうまく取り込んでいるのがいいんですよね。
たとえばこのフォッケも、バランスとしてやたら足長の印象がありますが、
それがこの小さなたまご型でちゃんと表現されています。

一番ウケたのに写真を撮るのを忘れたP-38ライトニングだけは
特色も何もそれしかない形をしておりましたが。



パッケージが英語だけのものがあったので聞いてみたら、
「輸出用」だということでした。
これは国内用、と説明されているところです。

写真を見て気がついたのですが、このF-2の模型、

「21SQ  松島基地帰還記念」

とありました。

・・・・・・そうだったんですね。 しみじみ。



続く。 


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