さて、それでは当日の朝から振り返ってみます。
今回のチケットは某所からやってきた二枚。
別口で手に入れたチケットを持っていた人の主導で
午前5時半に最寄駅集合、それから歩いて現地着、
開門を待つというスケジュールとなりました。
わたし一人で行っていたらまずこんなこと、自分でそう決めていても
時間通りに実行できるとは思えません。
前回のイベント総火演でも牽引車となって無茶な計画を立ててくれた
この主催者にわたしは心から感謝しております(笑)
わたしのチケットは、この主催者を通じてある方に渡ったのですが、
世間は狭いというのか、彼女の夫は元自衛官でわたしの知っている
自衛官の同期であるだけでなく、他にも共通の知り合いがいました。
この日わたしは早く入って彼女のために隣の席を取っておいたのですが、
こういう二人なので観覧中も話が尽きず、わたしは主に
「自衛官と結婚したらこんなことがある」
というテーマで興味深い話をたくさん聞かせていただけました。
入場する門は二箇所。
どの席に座りたいかでどちらからはいるかが決まるのですが、
今回わたしは中央に向かって左側のシートの上段に座りました。
驚いたのは、開門前(6時くらいだったかも)だというのに
すでに100人くらいの人が並んで待っていたことです。
しかも手荷物検査を終えたら皆走る走る。
グループで、単独で、子供の手を引いて・・・。
実際に入場行進が始まるのは9時半ということでしたが、
8時までにこないと席がなくなると言われており、
わたしの座ったスタンドは7時には下2列を残して埋まっていました。
その頃やってきた一人のおじさん、上まで上がってきて
空いている席がないかを鋭い視線で物色し、隣の
大臣招待の白いシートが敷いてある部分(誰もいない)に行って
「ここは座れないの」
とわざわざ自衛官に聞いて回っていましたが、
座れないから誰も座っていないんだとなぜ気づかない(笑)
観閲代の向う正面にも赤、黄色の席がありましたが、こちらは
一定の時間が経過するとこちらに来る通路を閉鎖するので、
それ以降に入場した人を詰め込む?ための一角となっていました。
こちら側のいい席は報道関係者専用になっていたようです。
入って少し経つと、会場の準備らしきことが始まります。
前の方は防衛省とか武官など、バスで入場する人たちの席ですが、
名簿と席の名札を照らし合わせて確認しているようです。
陸自主催なのでOD軍団が主ですが、とりあえず陸海空全ての制服が勢ぞろい。
観閲台正面の席も埋まり始めました。
ちなみにこちらを向いて立っている警衛の隊員たちは、開門直後から
ずっとこんな感じで身動きせず、首も動かさずに立っていました。
観閲官が立つ台を点検しているようです。
床とかパイプイスの裏側などにも不審物がないかチェック。
向うとの往来が止められる前に装備を見学に行く人もいましたが、
わたしは買ってきた朝ごはんを食べたりして過ごしました。
そして、陸自音楽隊員のスネアドラムに合わせて、
9時半に徒歩部隊の入場が始まります。
この入場の時に、隣の自衛官妻、Hさんに
「この間連休のときみなとみらいのホテルに泊まったのですが、
防大の学生さんが彼女のカートを引いて歩いているのを見ました」
というと、
「それは1年生ですね」
なんでも防大では1年生の間はどこにいくのも(もちろんデートも)
制服を着て外出すべし、と決まっているそうです。
なぜ1年生だけなのかわかりませんが、目立つ制服では自ずと
行く場所もすることも限られてしまいます。
防大の制服の彼素敵!ということで好きになった場合は
彼女の方もなかなかおつなデートなのかもしれませんが。
ちなみにHさんはたまたま知り合ったのが防大生だったということで、
「防大って、灯台守の養成所?」
という認識だったそうです。
わからないでもないがその間違いはおかしい。
防衛大学校の学生隊は、4つの大隊に分かれて行進します。
これは日頃の学生生活がこの大隊単位で行われるからで、
防大を見学したときに知ったところによると、生活する校舎も
大隊ごとに分かれているのです。
これは第1大隊が静止したところですが、指揮官?は女子学生。
やっぱり優秀な学生が選ばれるのでしょうか。
こちらは第4大隊の隊列ですが、こちらの指揮官も女性でした。
女子が髪を伸ばすことは禁じられていないようですが(そりゃそうだ)
こういうときには帽子の中に髪を入れてしまうようです。
さすが指揮刀を構える姿勢がビシッと決まっています。
防衛医科大学校の旗は緑色。
意匠が桜を中心に陸海空を表すものとなっています。
防衛医大の行進の先頭が女子学生である率が高いのですが、
女子が初めて入校したのは1985(昭和60)年のことです。
防衛医大自体、開校は昭和48年と決して古くはありません。
確か前回、3年前の行進では防衛医大と看護学校は別でした。
今年看護学校は廃止になり、防衛医大に看護学科が開設されたので、
そうなってから初めての行進ということになります。
つまり先頭の女子学生は看護学科の指揮官かもしれません。
続いて高等工科学校の入場。
開門前に道路脇に列を作って待っていたとき、
前にいた女性の息子は工科学校の生徒でした。
なぜそれがわかったかというと、彼女がその前に並んでいた男性に
有無を言わさない関西弁トークで話しかけ、
「うちの子、列の何番めのここにいるから見たってー」
とスマホの写真を見せたりしていたからです(笑)
そんなん知らんがな、ともいわず、会話に付き合ってあげていた
若い男性の優しさにわたしは猛烈に感動していました(T_T)
そんな「おかん」も息子娘の晴れ姿を楽しみに全国からやってくる、
それが陸自の観閲式なのだと改めて思いました。
観艦式では自分の関係者のフネに乗れる確率は低いですし、
空自も息子の「晴れ姿」を見ることができる家族はほんの一握りです。
防衛大学校、高等工科学校、そして普通科部隊が同時に写っている構図。
ちなみに陸自の迷彩服ですが、採用されたのは昭和48年です。
それまではレンジャー部隊ですらただのOD色の戦闘服を着ていました。
ここで立てられている旗は陸上自衛隊の自衛隊旗です。
四方に金色?のトリミングがされているのが戦前と違うところ。
左のほうの旗は普通科の赤をあしらった大隊旗です。
ちょうどそのとき、来賓の中に存じ上げている陸自関係の、
しかも普通科出身の方発見!
普通科の赤もいいですが、空挺部隊の白もいいですね。
空挺部隊の旗は浅葱色の横線が「空」を想像させます。
全員の敬礼の瞬間、旗も敬礼を行います。
大隊旗の敬礼は地面に平行に竿を出し、
大きな自衛隊旗の敬礼は斜めに捧げ持ちます。
敬礼をされているのは観閲部隊指揮官たる第1師団長。
されている側なので師団長旗はまっすぐ立ててあります。
指揮刀での敬礼は捧げ刀というようです。
これは旧軍の昔から正式なものとして変わることはありません。
このポーズ、結構刀を固定させておくのが難しそうです。
防衛大学校学生のメガネ着用率高し。
見よこの整然とした隊列の醸し出す統制美。
旗を持っている人はどんな状態になっても、頭を振ったり
首を傾げたりして位置を直すことはできません(笑)
抜刀したままの「休め」の姿勢がこれ?
そのとき整然とした隊列に異変が起きました。
防衛医大の列の中から三人が同時に抜け出し、後ろに向かって歩いていきます。
一応足並みをそろえて行進をしていましたが、これは一体・・・?
わたしの周りにはどうも息子娘が自衛官という人が多かったような気がしますが、
その人たちの中から、
「今の子は体力ないわねえ」
「前のあのときも途中で退場した子が何人か」
みたいな会話が聞こえてきました。
ということは、この三人は貧血でも起こしたって言うのでしょうか。
防大時代に観閲式の徒歩部隊に参加した方が、
「最初の方に位置についてずっとそのまま立っていることになるので、
鼻が痒くなっても掻けなくて大変辛かった」
ということを言っておられましたが、鼻の痒さどころか
立っていることもできなくなったということなんでしょうか。
それにしても同時に3人揃って行進していくのはどうにも解せません。
部隊の隊員でも防大生でもなく、彼らが防衛医大生であるというあたりで
「貧血説」も納得出来る気がしないでもないですが・・。
ちなみに少し後にもう一人しゃがみ込んでしまった人がいましたが、
それも防衛医大の生徒でした。
我々が思っているよりずっと、このような状態で直立し続けるのには
体力が要るということなんじゃないかと思われます。
次に執行者の森山陸将(東部方面総監)に敬礼。
海自の旗は超特大なので旗手は捧げ持つのも大変です。
頭左。
正面から右下に抜刀した刀をおろすのが「刀の敬礼」。
高等工科学校の先頭に立つ生徒は銃のホルダーを着用しているようですが、
もしかしたら着剣用かもしれません。
この頃には正面のスタンド席は全部埋まっていました。
実はこの右側に向かってずっと観客席が続いていて、
「緑」のチケットの席は芝生のスロープだったりします。
おそらく観閲台など全く見えないのではないかと思われますが、
それだけこの式典を見に来る人はたくさんいるということです。
全員同時に敬礼などの動きを統制するために、スタンドより高いお立ち台に立つ
この旗持ちインカム着用の係が旗を振って合図しているらしいことがわかりました。
こういう台は幾つかの場所に設置してあり、彼らはインカムの指令によって
旗を上げたり下げたりして合図を送ります。
奥から総理大臣旗、防衛大臣旗、防衛副大臣旗、
陸海空の各幕僚長旗となります。
そこに執行官をお迎えするための保安警務中隊がラッパの音色とともに登場。
後ろの儀仗隊は男性隊員だけですが、ラッパ隊には女性もいるように見えます。
第302保安警務中隊儀仗隊とは頭一つ背の高さが違いますね。
警務中隊の特別儀仗隊には「容姿端麗」という条件がある、
という噂もありますが、重視されるのは身長体重で、
全体的に見たときにそこだけ違和感を感じさせる、というような
風貌でさえなければ十分ではないかと思われます。
しかしまあこの写真だけを見てもイケメン率は高そうですね・・。
安倍首相は黒塗りの車で入場しましたが、黒塗りの車は何台も並走していて
どれに乗っているのか車が止まるまで全くわかりませんでした。
結局他の黒塗りに囲まれているようにして走っていた車がそうでした。
おそらくこれらは全てゴルゴ対策だと思われます。
安倍さん、なんか言ってますね。
わたしは稲田防衛相の腰の水色のリボンが
スーツに付けられたデザインなのか、わざわざ後から付けたのかが
個人的に大変気になりました。
この人のファッションセンスには、特にジブチ視察のときには、
疑問の声が世間に渦巻いたと記憶しておりますが、そのことも踏まえ、
今回、就任後初めてとなる自衛隊式典にあたり、防衛大臣としては
何を着るかについてさぞ頭を悩まされたことであろうと察します。
結果白を選ばれたのは賢明というか、華やかで目立ちながらも
清廉な雰囲気のこのスーツ(水色リボン付き)に全く異論はございません。
ただ、この色のパンツスーツに10センチのストームヒールを履くなら、
黒はちょっとおやめになった方がよろしかったのでは、と思いました。
わたしのところからは見えませんでしたが、ヒールが高いので
台に上がるときに大臣は手を添えて支えてもらっていたようです。
わたし個人は稲田氏の思想には同調する部分も多く、むしろ国会答弁では
陰ながらがんばれと応援しながら見ている立場ではありますが、
こういうところを一般人に見られてしまうと、
答弁の途中で涙ぐんでしまったことまで合わせて囁かれてしまうので、
つい、心の中でこんな風に彼女を叱咤してしまいました。
「防衛相なんだから見かけだけでも”強い女性”を演じきらなきゃあ」
続く。