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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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バッテリープロットと機関室〜戦艦「マサチューセッツ」

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砲弾と火薬を砲に送るための貯蔵施設、
発射体貯蔵室(プロジェクタイル・ストレージ)と第2砲塔だけに
併設されている「バルコニー」の見学をして、すっかり盛り上がり、
ここまでやってきたわたしです。



高圧電流がかつては通っていたと思われるバックステージを持つ廊下。
廊下の壁全体が配電盤となっています。



電気関係にとんとくわしくないので、これがなんなのか
的確に名前を言うことができないのをお許しください。

各々から10本のヒューズが出ているこの装備は、
ベースとなる変圧器で、GEの製品であることはわかりました。



この隣にあったモーターみたいなもの。



「セカンダリー・バッテリー・プロット」

セカンダリーということはメインが別にあるということになります。
恐るべしアメリカの工業力。

ここは1945年当時のセカンダリー・バッテリー・プロットが再現されています。
もともとはMk.1Aコンピュータ(砲撃統制システム)が4基あり、
周辺機器も備わっていましたが、展示されているのはそのうち1基です。
冒頭写真で手前に置いてあるのがその本体です。 

1960年になっても機械が現役だったので、「マサチューセッツ」が引退したとき、
それらは別の船に搭載されました。

ここに置いてあるMk.1Aコンピュータは、シリアルナンバーがNo. 1。
つまり第1号機で、海軍資料室から長期レンタルしているそうです。

 



部屋の左方と右手にあるパネルは、スィッチボードといい、射撃統制装置回路や
コンピュータの電源を入れるロータリースイッチ。

それではかつては4基あったMk.1コンピュータはどこに置いていた思います?



なんと、床下なんですね。
各コンピュータには、測定位置を安定させるために
安定化装置とジャイロスコープも取り付けられています。


バッテリーステーションが騒然となるのは、空戦時です。
敵が襲来すると、Mk.37の放火統制システムが

「acquire(レーダー補足」あるいは「Picked up」

し、次いでここにいる「放火統制員」が敏速にこの写真でいうと
左と奥にあるコントロールパネルを操作して、
Mk.1コンピュータと砲座をオンの状態にします。

砲火統制員、射撃管制装置、砲座のコンビネーションによる
複合的なロータリースイッチの操作によって、銃は発射されます。
 
万が一、ここにある機材が敵の攻撃により損害を受けた場合には、
すぐさま「クロス・コネクテッド」、別の機材に繋ぎ直す、
ということもできたそうです。

 
親切にもどうやってここと砲が連結しているのか、
わかる人には一目でわかる図が現地にありましたので挙げておきます。

ちなみにMK.37砲射撃指揮装置は、海上自衛隊の揺籃期に供与を受けた
甲型護衛艦(DD; あさかぜ型およびありあけ型)に装備化したものの、
重量過大である点と射撃指揮コンピュータが機械式である点から
あまり高く評価されず、比較的小型・軽量で盲目射撃可能な
Mk.56の装備化が志向されることとなったということでした。

ここに、「Mk.1コンピュータとはなんぞや?」
と説明があるので、これもざっと翻訳しておくと。


●5"38 caliber guns (Mk125インチ砲)のためのものである

●対空・海上の敵を射撃するためのものである

●刻々とせまる敵機に対し、高度、角度などをすべてコントロールできる

インプットするデータ:
ーターゲットの予想航路、高度、角度、スピード
ーターゲットの範囲、航行の方向、上昇
ー各艦のスピードと進行方向
ー風力と風向

アウトプットされるデータ:
ー砲座と統制機への角度指示
ー砲座と統制機への方角指示
ー砲座のヒューズ設定 

そして、上の写真の右側には、この部屋での態勢が写真で示されています。

オペレーターは全部で7人もいます。
レンジ、俯仰、高度、旋回、cross-revel(水準旋回)
そしてスターシェル(照明弾)オペレーター。
それらを一人の士官が統率します。



分かりにくい写真ですみません。
赤い丸の部分が「プロッティングルーム」で今いるところです。
ここにレーダーで補足された情報を基に前方の2基、後方の1基に対し
射撃のための信号が送られる、と簡単に言っておきます。



こちらがメインバッテリー・プロットでした。
つまり、艦首側にセカンダリープロットがあったということになります。

ここの床にはレーダー・コンソールが収納されています。



テーブルのようなものの手前の4つがレーダーコンソール。
画面手前が水平照準機となります。

船の上では射撃に必要な諸元を計算するために必要な
水平の状態を維持することが難しく、そのため砲撃を
コントロールするすべての機材にはジャイロスコープ内蔵の
「バーチカル・ステイブル」が搭載されていました。



さて、そこから進んでいくと、わずか5段の階段が。



機関室にたどり着きました。



ここからはもういたるところに階段があって降りられたり降りられなかったり、
登れたり登れなかったりで・・・。



うおおお、何が何だか全く説明できませんがこれはすごい。
なぜならホーネットではこんなところまで公開してなかったからです。



かつては轟音が常に鳴り響き、上半身裸でないと到底居られなかった
このエンジンルームも、今は冷え冷えとしてご覧の通り。



何かわかりませんでした。
奥が高圧電流の配電盤なのでコンデンサーかな。



ここで機関兵として働いていて戦後ここを訪れた人の言葉です。



・・・・もう何回この階段を降りて行ったことか。
わたしがここで働いていたのはまだティーンエイジの頃だった。
見学に訪れるとわたしはあの頃のように若返り、あのころのじぶんになる。

フネは恐ろしいくらいに暑く、太平洋を航行している時にはことに
まるで熱帯のジャングルにいるようだ。
わたしは気温50度の職場に就くために階段を降りていき、
何本ものタバコと強いコーヒーで目盛りを読むために眠気を払う。

戦友がまるでバケツのような大きさのマグカップを前に置いてくれる。
カップを前に24時間勤務をすると、別の者に交代するのだ。

気が付くと、全ては去り、ここからは誰もいなくなり、
そしてわたしはまた膝を痛めた年寄りとなって、ここにいる。



減圧装置の近くにあったので、減圧弁?



戦艦の燃料タンクは2箇所にあります。
貯蔵用が艦底、サービスタンクは舷側側。
サービスタンクの燃料は魚雷発射装置にも供給されます。

ボイラー用の燃料はサービスタンクからポンプで汲み上げられ、
濾過器を経過して噴射機で噴射されて要求されるスピードに対して
適正な割合で空気と混合するのです。(知らなかった)

浄化されたボイラーへの供給水はボイラーの

saturated side

と呼ばれる部分にあるパイプを通って加圧され、
489℉(260℃)にまでなります。
”saturated”という意味は、減圧がなされた場合、
スチームであるそれらは水にまた戻るということでもあります。

超高温となった蒸気はタービンに直接パイプで送られますが、
それがつまり「エンジン」となります。
高温高圧の蒸気はタービンを回転させる「ブレード」を動かし、
それによって船が推進するというわけです。




唯一説明があった、「reduction gear」すなわち減速装置。
タービンから送られてきた電力をプロペラシャフトに変換する装置です。

ギアは二重の螺旋状の形状をしていて、このエンジンルームの
すべての機器の中で最も高価な装備であったそうです。



シャフトに連結している螺旋状のギアが内蔵されています。
「マサチューセッツ」の二重減速装置はギアが最大で1分間に6千回転から
185回転にまで減速することが可能でした。

減圧装置は、プロペラシャフトに直接連結しているということなので、
この右側の白い部分がそれなのかも・・・?




第二次世界大戦中のアメリカの艦船が搭載していた蒸気ボイラーは
この「マサチューセッツ」はじめ、約半数が

バブコック・アンド・ウィルコックス (Babcock & Wilcox Company) 

B&W製だったといわれています。
B&W社は戦後、原子力産業に参入し、加圧水型原子炉を中心に、
商用原子炉や艦船用原子炉の製造にあたりました。
炉心溶融事故で有名なスリーマイル島原子力発電所2号機も・・・。

原子力プラントの製造からは一時撤退していましたが、最近では
モジュラー式原子炉の開発を行っているそうです。




「スロー」「ファスト」「ストップ」というスイッチが、
「艦尾2#」「左舷1#」などの表示に付けられているので、
各タービンのスピードを調整するための何かであろうと思われます。



「諸君、ついに我々は歴史に残る上陸作戦の一翼を担うことになった。
艦橋からの眺めは筆舌に尽し難く、これからも忘れることはないだろう。
諸君もこの眺めをいま目の当たりにしていることと思う。
空は友軍機で埋め尽くされ、海面には遥か彼方まで我が軍の艦艇が・・・」



続く。



 


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