メリークリスマス!
パソコンの切り替えで今PCに向かうことができないので、
2年前のクリスマス時期にアップしたエントリをもう一度あげます。
以前、NORAD(北アメリカ航空防衛宇宙司令部)について書いたとき
「まるでSFに出てきそうな名前」などと言ったのですが、
そのとき突っ込んでくれた雷蔵さんが
このNORADがやっている「サンタ追跡サイト」を教えてくれました。
NORADはアメリカとカナダ政府が大統領と首相をそれぞれ
最高指揮官として共同で運営している組織で、その使命は
おそらく地球防衛軍と全く同じ、
北米上空の航空や宇宙に関して観測または危険の早期発見
ということになっております。
ウィキに載っていたNORAD地下司令部入り口。
一体何と戦っているのか、という要塞ですが、つまりは
設立されたのが冷戦まっただ中で、当時は米ソ共に
この地域を核爆弾を積んだ戦略爆撃機をウロウロさせていたため、
「核爆弾の監視」というのが国防において重要事項だったんですね。
(過去ログ『成層圏の要塞』でお読みください)
というわけでおそらくこのドアを閉めることによって
地下要塞のここは完璧に核の影響から逃れることができるのですが、
最近の世界情勢はその頃と随分事情が違ってきているため、
ここは昔ほどの「最前線」ではなくなっているはずです。
で、その冷戦構造まっただ中の出来事です。
アメリカにはどこのショッピングモールでもお目にかかる
シアーズというデパートが、クリスマスシーズンに子供に向けて
「サンタクロース・ホットライン」
を設置しました。
おそらくプレゼントは何がいい、というようなことを子供が
サンタクロースにお願いしているつもりで、実は
シアーズに商品を注文させるという意図があったと思うのですが、
そのホットラインのお知らせ広告に、シアーズは間違って
CONAD(NORADの前身)の司令長官へのホットライン
の番号を載せてしまったのです。
♪リーンリーンリーン
シャウプ大佐「ヘロー」
子供「ヘロー!あなたはサンタクロース?」
大佐「いや、違いますけど」
子供「ホットラインにかけたんだけど、なぜサンタがでないの?」
大佐「ホットライン?」
子供「シアーズのサンタクロースホットライン だよう!
サンタクロース出してよう!」
大佐「え・・・・いや、サンタと言われましても・・・・。
ここは航空宇宙司令部で・・・」
子供「サンタクロースはどこ?」
大佐「えーとね、サンタは・・・
・・・わかった、今から部下にレーダーで確認させるよ」
大佐が咄嗟に子供を傷つけまいとついた嘘。
それから60年も続いている「NORADのサンタ追跡任務」
が生まれた瞬間でした。
子供「今サンタクロースはどこに居るの?」
大佐「レーダーで調べた結果、サンタは北極から南に向かったそうだ」
子供「レーダーにサンタのソリが写ったの!?」
大佐「そうだよ。
君がいい子にしていれば、24日の深夜から25日の朝にかけて、
君の住む街に到着して、プレゼントを渡す予定にちがいない」
子供「それはいいんだけど」
大佐「はい」
子供「ここに電話したらサンタがプレゼントのお願いを聞いてくれるってママが」
大佐「サンタには部下が無線で君のリクエストを届けるよ」
子供「ほんと?サンダーバード5号のプラモが欲しいんだけど」
大佐「わかった。・・・でもそれ、一応パパとママにも言っといてね」
子供「パパとママには秘密だ!」
大佐「えっ・・・・・(絶句)」
もしかしたらこんな感じで大佐はその場を切り抜け、それから以降、
次々にかかる間違い電話にCORAD司令部は、サンタの現在地を
刻々と伝えていったのでした。
その3年後の1958年、カナダと米国の両政府は北米航空宇宙防衛司令部、
通称 NORADとして知られる北米防空組織を創設しました。
そしてそれがサンタ追跡という伝統も引き継いだというわけです。
クリスマス・イブの日、すべては「北部警告システム」と呼ばれる
NORADのレーダーシステムで始まります。
これはカナダ北部からアラスカ 全域 47カ所を結ぶ、強力なレーダーシステム。
NORADは毎年必ずクリスマスの時期が近づいてくると、
サンタ・クロースが北極を出発する様子をレーダーで確認します。
サンタが飛び立ったのをレーダーがとらえた瞬間、
普段北米に向けて発射されるミサイルがないかを知らせる
空中警告のために使う人工衛星と同じ衛星を使って追跡を始めます。
イージス艦も、もちろんこの追跡に協力しますよ。
トナカイのルドルフの「赤い鼻」なのです。
人工衛星は、ロケットやミサイルが打ち上げられるときに発する
熱を察知するための赤外線センサーを搭載していますが、
ルドルフの鼻はミサイルの発射に似た赤外線反応を示します。
つまり、ミサイル発射の発見と、ルドルフのいるサンタのソリを
見つけるのは同じ機構を利用しているということになります。
そして、戦闘機をカナダのユーコンからメキシコシティまで飛ばして、
アメリカ領内にいるサンタのソリを追跡するのです。
「カナダ側のNORAD戦闘機パイロットは、CF-18機を操縦しながら
ニューファンドランドを飛び立ち、北米を訪れる サンタを歓迎します。
そして、カナダのさまざまな場所で、CF-18機のパイロットたちが
サンタをエスコートしていきます。
アメリカでは、アメリカ側のNORAD戦闘機パイロットたちが
F-15、F-16およびF-22を操縦しながら、
サンタとトナカイたちとのスリル満点の飛行を楽しみます。
それらのトナカイとは:ダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクセン、
コメット、キューピッド、ドナー、ブリッツェン、そしてルドルフです。
サンタはジェット戦闘機よりも早く飛びますが(サンタは実際、
我々が彼をエスコート出来るようにスピードを落としてくれるのです)
これらすべてのシステムによって、NORADはさまざまな場所を訪れる
サンタの映像を継続的にとらえることができるのです。」
(サンタトラッキングサイトより)
この日の任務のために一堂に会した米加軍人たち。
皆真剣にサンタの追跡に関する情報を分析しています。
このスタッフにはやはりいろどり?も必要ということで、
重責を負わされたに違いない女性軍曹。
これらの情報を提供しているのは民間のボランティアたち。
問い合わせに対し、メールや電話の応対を請け負います。
この日、カナダ人および米国人の現役軍人と国防総省の民間人職員
1,250 人以上が世界中から寄せられる何千件もの電話やメールに
ボランティアとして対応しています。
このプログラムを支える企業(もちろんGoogleもね)からの寄付に加えて、
NORADにはプログラムの管理を担当するプロジェクト責任者が2名います。
インターネットが普及してからは、ノーラッドのサイトでは
クリスマスイブのサンタ捕物の様子が動画で中継されます。
24日の昼4時ジャストから、ノーラッドがサンタトラッキングを始めています。
ちょっと皆さんも覗いてごらんになりませんか?
NORAD Santa Tracker