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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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呉の街と赤煉瓦生徒館〜第一術科学校幹部候補生卒業式

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海軍に興味を持ち出したと同時に、海軍兵学校の伝統を
海上自衛隊幹部候補生学校が色濃く継承していることを知り、
わたしはそれを確かめるために何度も江田島に足を運んできました。


戦史で名前を知った海軍軍人たちが若かりし日に駆け上がった廊下、
海軍体操を行ったグラウンド、そこで過ごした赤煉瓦の生徒館。

奇跡のようにかつての建物がそのままの形で残され、故に、
在りし日のその空気をまざまざと思い浮かべることができる場所が
戦後の日本に存在していたことに、わたしはどれほど感謝したことか。

そして、現在の海上自衛隊幹部候補生学校が、兵学校の頃の伝統のままに
行なっているという卒業式を是非一度見てみたいものだと思っていました。

それがついにそれが叶う日が来たのです。

 

昔は兵学校で、中学校を卒業した生徒が4年(大戦末期には3年) を
過ごして卒業したここ広島県江田島。
現在では防衛大学校や一般大を卒業してきた後、
数ヶ月から1年にわたって専門訓練を受ける場所になっています。

現在の自衛隊の組織では、防大や一般大出身ではない隊員が
「部内課程」と言って、ここで訓練を受けたのち、幹部に進級するのですが、
わたしが今回出席させていただいたのはこの部内選抜の学生の卒業式です。

 

広島空港は不便なので、新幹線で行ってもほぼ時間が同じ、
という噂もありますが、今回もわたしは飛行機で前日に呉入りしました。

江田島で行事があると呉のホテルは満室になってしまうようで、
わたしも大変苦労したのですが、結局カード会社のデスクにお願いして
なんとか部屋を確保することができました。

行きのANAで軽食が出たのでいだだきました。
こうして写真に撮ると大きく見えますが、実はサンドイッチも
4センチ角くらいの可愛らしいものです。

普通席を予約したのですが、空きがあったのか、
何も言わないのにプレミアムシートにチェンジされていました。


呉在住の知人と食事をすることになったので、ホテルを出たら
道の向かいに居酒屋「利根」がありました。
もちろんここでは「とねカレー」が食べられるはずです。

帰りに中をのぞいてみたら、カウンターにスーツの男性が一人座っていました。

夜になってから呉の街を徒歩で移動したのは初めてです。
で、思ったのですが、本当に何もありません。


お店もなければ人もいない。
たまに人が歩いていますが、妙に早足なのと姿勢がいいので自衛官だとわかります。
商店街は空き家も多く、早く閉めてしまう。
活気を感じさせるのがコンビニくらいという有様で、
線路脇にあった「五十六」の看板と光がどれだけ華やいでいたか。

知人と会うことになったとき

「利根でもいいけど居酒屋はタバコがちょっと・・」

というと、ここを指定してきたのですが、ここも別に禁煙ではありません。
彼女にどんな感じの店?と聞くと

「小洒落た感じ」

いやまあ確かに二号店で新しく綺麗で居心地は良かったけど。
・・・・小洒落たの定義が多分地方によっては違うんだろうな。

東郷さんがイギリス留学の時に好きだったビーフシチューを食べたくて
海軍で無理やり再現させたものが肉じゃがの発祥らしいですが、
ここには当時海軍の賄いが頑張ってリクエストに答えようとした
そのビーフシチューもどきをオマージュする一品があります。

みりんと醤油で作るとまんま肉じゃがになってしまうので、
さすがにここではドミグラスソースを使っているようですが。
肉が固めなのも再現ポイントかも。
シチューというよりスープみたいな感じですが美味でした。

ここのメニューで気に入ったのが豆腐にクリームチーズを混入させ、
なぜかウニを乗っけたチーズどうふ。

チーズを加えた豆腐に絡むウニの味が
なんとも言えない一味を加えて大人の味でした。
甘いものの嫌いな人のデザートって感じ。 



写真を撮りそこないましたが、ここの「さざなみカレー」もいただきました。
先日たまたまカレーグランプリの話題の時に
「五十六さざなみカレー」という名前に突っ込んだのは実に奇遇です。
何も言わなくてもカレーのスタンプが出てきました。

「集めたくても全部制覇なんてよっぽどその気にならないと無理なんですよ」

と知人は言っていましたが、広島市在住の別の知人は、このスタンプラリー、
もう一巡して二巡目にかかっています。
仕事で呉に来るたびにカレーを食べるんだとか。

呉在住の人よりよその人(呉リピーター)の方が熱心かもしれません。

明けて次の日、トランクをホテルに預けてフェリーターミナルへ。
港内をクルーズして自衛艦を見て回る遊覧船のツァーも
ここから出発するようです。

いつか機会があったら参加しようと思いながら現在に至る。

フェリーのチケットは一人390円。
1時間に1本くらいの間隔で運行しています。
同じフェリーに乗り込む人のほとんどは卒業式参加の
来賓の人々で、退官した元将な人たちの姿もちらほら。

フェリーに乗った途端、港を行き交う自衛艦が気になります。
昔江田島に行くためにこの船に乗った時には何も目に入らなかったのに。

支援船のタグボートが2隻どこかに出動するようです。
このタイプは260トンあります。

「大和のふるさと」の沖に浮かんでいたポンツーンには
どう見ても船の底部分であろうと思われる部品が積んであります。
向こうにはバラックのようなものも見えますが、これはなんでしょうか。

輸送艦「おおすみ」はいつもの場所に。

「やまゆき」「あぶくま」 などの護衛艦。
「やまゆき」は今練習艦となっています。

艦番号422「とわだ」。補給艦です。

2013年のフィリピンへの災害派遣では輸送艦「おおすみ」と
護衛艦「いせ」への給油などを担当し、レイテ湾では救援物資輸送や
医療、防疫活動を実施して帰ってきました。

灯台だけがある小さな島。
まるでろうそくが一つ立ったケーキみたいです。
昔はここも灯台守が守っていたのでしょうか。

 

小用の港がすぐに近づいてきました。
出港から到着までわずか20分です。

タクシーで学校の前に到着。
門を入ってすぐのところに参列者の受付テーブルがあり、
名前の書いたリボンをWAVEさんが服につけてくれました。
そのあとは来客係に配置された自衛官がエスコートしてくれます。

あらあら、すでに何かが始まりそうな気配。
卒業生の家族の方々はすでに1本前のフェリーで到着していたようです。
音楽隊と儀仗隊が整列しているということは・・・・。

 

そのとき後ろから桜を4つつけた黒塗りの車が追い越して行きました。
同行の自衛官が立ち止まったのでわたしたちも車を見送ると、
車内では村川新海幕長が敬礼をしておられました。

車から降りた村川海幕長が式台の上で敬礼。

音楽隊が「観閲の譜」を奏楽する中、観閲を行う海幕長。
これが村川海将が初めて行う江田島での観閲に違いありません。

観閲が終了して最後に敬礼。

わたしと連れの方が立ち止まって見ているので、案内の自衛官は
一連の儀礼が終了するまでそこで待ってくれました。
そのあとは赤煉瓦の控え室に案内されました。

一般の見学ではもちろん、兵学校の卒業生と一緒に訪れた時も
赤煉瓦の中に入ることはできませんでした。
なので、一生見ることはないと諦めていたこの二階部分に案内され、
しかも控え室としてかつて教場であった部屋に入れてもらっただけで
夢でも見ているような気持ちです。

部屋のドアにはここを控え室にする来賓の名前が貼り出されています。
実は最初この隣の部屋に案内されたのですが、しばらくしてから
アテンドしてくれた自衛官がやってきて、

「すみません。お二人をご案内する部屋を間違えました」

まあそういうこともあるでしょう。 

部屋の窓から見る術科学校のグラウンド。
観閲を見ていた家族の方々は今から講堂に移動するようです。

赤煉瓦の正面から見るとちょうど裏側の廊下の天井。

天井に下がるペンダント式の照明器具のシェードには
6角のすべての面に錨のマークが入れられています。

壁面にあった謎の鋲。
この形状は間違いなく創建当時のものに違いありません。
生徒館は何年か前に耐震工事を兼ねてリニューアルしていますが、
換装する部分は最小限で、表に見えるものはできるだけ元のものを使っています。 

兵学校時代の写真には、この同じ形の帽子掛けが写っています。
もちろん全く同じものではないでしょうが、時代が移り変わっても
スチールパイプ製のものなんぞに変えないその見識が嬉しいですね。

廊下の突き当たりの窓を通して見る緑もおそらく明治以来
全く変わることはなく・・・。

ちなみに、各室のドアなどは改装の際取り替えられています。

二階の各部屋に来賓は分散して入り、海幕長や海将は
ここをまっすぐ言った正面階段の前の部屋に控えています。 

煉瓦の建物は改築しましたが、こちらはおそらく手付かず。
壁のペンキは随分剥離してしまっています。

 

さて、わたしたちが控え室で15分ほど過ごしている間に、
卒業式の行われる大講堂では卒業生を始め卒業生家族など
人入れが行われていたようです。

わたしたちは式が始まる直前に再び案内されて大講堂に入って行きました。

 

続く。

 

 

 


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