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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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米潜水艦との遭遇〜護衛艦「あきづき」体験航海

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前回、作業艇のことを旧軍残渣で内火艇内火艇と思いっきり
繰り返してしまったことを、お詫びはしませんが訂正します。

「士官室」がアリなら、内火艇もOKだと思ったんだようー!

その内火艇じゃなくて作業艇が揚収されるという、いきなりの
大イベント(一般人的に)が終わった後も、何やら緊張する艦橋。

赤青のカバーがかかった艦長席から石井艦長が前方を指し示し、
全員がそれに注意を向けている瞬間です。

右ウィングにある測距儀を頻繁に覗く海曹。

先ほど艦長が指し示したのはこの漁船でした。
航行中艦橋にいると、必ず周辺を航行する船舶を指し示し、
注意するように指示があるのがわかります。

ちなみにこの漁船は岬の手間にあるブイ周辺が「釣りポイント」らしく
そこに向かっており、そのことを知っているカモメがすでに
海域で待機しているという状態でした。

前甲板の舳先には、これでもか!というくらい人が固まっています。
確認できるだけでワッチが6名、メガホンを持っているのが2名。
前方からやってくる艦船に備えて皆で状況を監視しているのでしょうか。

確かアナウンスを行なっていた女性隊員。

作業艇揚収の時に横を全力で駆け抜けて行ったアメリカの警備艇。
ウィンドには「セキュリティ」と書かれ、舳先には機銃が供えてあります。

この機銃はどうやって撃つのでしょうか。
座って?寝転んで?それとも取り外し可能?

・・・あ、操縦席から普通に撃てるのか。
 

この警備艇がすっ飛んで行った理由はすぐにわかりました。

「アメリカ海軍の潜水艦とすれちがいます」

艦内放送に、おお、と周りがどよめきました。
いや、それは単にわたし一人が盛り上がりそのような気がしただけだったかも。

遠くから潜水艦が海上航行でこちらに近づいてくるのが見えてきます。

悠々と進む潜水艦の周りには、先ほどすっ飛んで行った警備艇が2隻、
そして小型の船舶が2隻取り囲むようにやや後ろを航行しています。

一般船舶との衝突や、最悪の場合体当たりしてくる怪しい船から
潜水艦を守るための2重のガードです。

小型船舶は何かと思ったら、なんと我が海保の巡視艇でした。

CLというのはCraft Largeの略でつまり大型の巡視艇です。
これに対して小型のPC型は「パトロール・クラフト」のこと。
米潜水艦を警備しているのはCL123の「つばき」とCL126 「ことざくら」。
「すずかぜ」型の巡視艇です。 

CLクラスの命名基準は95番艇までは「かぜ」だったのですが、
つける「かぜ」に事欠くようになったらしく、96以降は花の名前が主流です。

最近のプレジャーボートや漁船の速度が増したのに伴い、
巡視艇もそれに対応するべく速力を向上させているそうです。

で、この潜水艦なんですが、なんか妙な形のフネですね。
セイルに何もフィンがないというスッキリしすぎみたいな。
これは、おそらくですが

ロサンゼルス級原子力潜水艦のIII期「サン・フアン」以降 

ではないかと思うんですよ。
現在アメリカ海軍は22隻の同型潜水艦を保持しているそうですが、
その1隻がここにあってもまあ不思議はないかもですね。

セイルの上にもハッチからも人が出てきています。

ところで我が海上自衛隊の潜水艦が搭載している「X舵」について
先日最新型の潜水艦を見学した当ブログでは話題になったのですが、
アメリカの潜水艦の舵は基本これなのね。

というかX舵を採用しているのは日本国自衛隊だけってことですか?


ネームシップの「ロスアンゼルス」の就役は1976年、
1期と2期のロスアンゼルス級はほとんどが引退しています。
VLS搭載艦である本艦も一番新しい「シャイアン」ですらもう20才越え。
彼女がかなりのお歳であることは間違いなかろうと思います。
(わたしの特定が間違っていなければですが) 

見ていると次々と人が出てきました。
「ロスアンゼルス級」だとすれば乗員は130名くらい。

この下にそれだけの人数が今もいるというのは信じられません。

「あきづき」から、見るからに一般人らしき人が
物珍しげに見たり写真を撮ったりしているので、潜水艦乗員も
いつもと違う雰囲気を感じてこちらを見ています。

前方の人が赤い十字型の機具で何かしてますね。

セイルの上には防寒着に身を固めた人たちがやはりこちらを見てます。

わたしはつい最近までアメリカ海軍の潜水艦について書くために、
結構集中していろんな資料を見たり、伝説のサブマリナーについて
英語のサイトを当たったりしていたので、必要以上に親近感湧きまくりです。

「フォーティワン・フォー・フリーダム」

なんて君たち知ってる?

「テイク・ハー・ダウン」

と言って自らを犠牲にした潜水艦艦長って聞いたことある?

とか聞いてみたいなあ・・・。
(あ、こんなだから鉄火お嬢に”マニア”って言われてしまうのか)

自衛官が案外昔の、海軍のことはもちろん自衛隊のことを知らないというか、
興味もない人がいる、というのは今までの経験で感じていることですが、
アメリカ海軍は、そういう教育はきっちりやっていて、
わたしが知っている程度のことは皆知っているものだと思うのですが。

望遠レンズでのぞいていてびっくりしたのは、一番右の人の格好。

「ショートパンツの人がいるんですけど!」((((;゚Д゚)))))))

鉄火お嬢さんに教えたところ、彼女も驚いて

「アメリカ人って、寒さを感じる皮膚感覚が鈍いらしいですよ」

という話に二人で頷きあったりしたわけですが、これよく見ると
ショートパンツなんじゃなくてウェットスーツじゃないかな?

右足にはズボンの下にシークレットサービスが仕込むような
ホルダーみたいなのを付けてるし、 背中にはどう見ても
ホースみたいなものを背負っているし・・・・潜水艦勤務のダイバーですかね。

で、ハッチの周りの人が何をしているかというと、このシルエットから
上陸に当たって荷物を出しているという気がするの。

哨戒活動に出て、しばらくぶりに地上に上がるのかもしれませんね。
何しろ、アメリカの潜水艦は何ヶ月でも無浮上で海底に居るらしいから。
きっと基地に帰れてみなさんウキウキなんじゃないでしょうか。

ところでこの角度からは、船殻を覆っている素材がよくわかります。
これはいわゆる吸音タイルで、アクティブソナー対策です。

 

「バージニア」クラスなどであれば

非船殻貫通型潜望鏡

を搭載しているのですが、本艦は普通の潜望鏡搭載のようです。


余談ですが、従来型の光学式潜望鏡に代わる非船殻貫通型潜望鏡は、
3種のテレビカメラで外部を撮影し、その信号が発令所のディスプレイに送信されます。

テレビカメラは可視光線域の高解像度カメラと光量増感式カメラ、
赤外線カメラが2本のマスト先端に取付けられ、360度の視界が得られます。

「そうりゅう」型潜水艦見学の時にもお話ししましたが、
従来の光学式潜望鏡では、潜望鏡を覗けるのは一人か二人だけです。

しかしこちらだと昼夜を問わず大型ディスプレイによって
艦内の必要な人員が同時に見ることができ、さらには
画像を録画して解析したり、艦外への情報提供も可能となるというわけです。

 

お仕事中で忙しいのにもかかわらず、こっちから一般人が
一生懸命手を振っていると、手を振り返してくれました。

この写真だと一人だけが不承不承お愛想してくれているようですが、
一応手の空いた人はちょっとだけ振ってくれていましたよ。

日米友好〜! 

 

ところで、軍所属の船舶は、港湾内で本名ではなくニックネームで呼び合うようです。
なぜそうわたしが思ったかと言いますと、「あきづき」の艦橋のモニターに
明らかにこの潜水艦のことのはずなのだけど「ニックネーム」として

「エー×スト×イ×ー」(一応気を遣って伏字)

と書いてあったもんですから・・・。

やはり本名で交信すると、セキュリティ上何かと問題があるので、
パイロットのタックネーム(どの機に誰が乗っているのか撹乱するためのあだ名)
のようにニックネームを使用するのかもしれませんね。

 

いわゆる「ホームスピード」の潜水艦ですが、驚くほど波が立ちません。
海上でこれですから、海中での静謐性にも優れているのでしょう。


ところで、これが「ロスアンゼルス」級のVLS装備タイプだとしてですが、
わたしはあることに気がついてしまいました。
同じ「ロスアンゼルス」級に「グリーンビル」SSN-772というのがいます。

みなさん、この名前に聞き覚えはありませんか?

そう、2001年、今日の「あきづき」のように民間人を乗せていて、
操舵席にその民間人を座らせた上で急浮上し、海上に居合わせた日本の水産高校の
練習船と衝突してこれを沈没させた、あの「えひめ丸事件」の潜水艦です。

あれの全く同型艦が日本に配置されているのだとすれば、これは何というか
アメリカさん、あまりにもこだわりがなさすぎるぜ!という気がします。
まあ、アメリカ人がこんなことを配慮する連中でないことも重々承知ですが。

時々大外れするわたしの艦種特定ですが、
今回だけは間違っていてほしいと切に願っております。


 

続く。 

 

 

 

 


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