「あきづき」の体験航海、わたし的にはいきなりクライマックスキタ^^
というべき出港作業が始まりました。
窓の外には既に曳船が作業を始める様子。
そこであらためて艦橋を見まわすと、
「あきづき」のシンボル、エスペランサ猫がお出迎え。
これ・・・異質というかユニークというか、少なくともかっこいい系、
中二系、自然礼賛系、記憶にある自衛艦のマークのどれとも違う。
さらに巷のゆるキャラ系のような狙った感じでもない・・・・。
実にほのぼのと素人っぽい、手作り感溢れるイラストではありませんか。
なんでも前艦長が猫好きで、艦長という絶対の権限を強権的に行使し(多分)
自分の猫(アメショ)をモデルに新しくマークを作ってしまったという話です。
まあ、偉い人の鶴の一声で部隊のマークが変わるという例は、わたしも
とある掃海隊群で聴いたことがあり、自衛隊では珍しい話でもないみたいですが。
というわけで「希望の猫」と名付けられたあきづきにゃんこは、この通り
潜水艦を押さえ込み、尻尾にミサイルを巻き取ってVサインをしております。
猫好き艦長はその後別の艦に転勤されましたが、そこのシンボルが
猫化したという話は、今のところ伝わってきておりません。
そう、今のところは・・・・((((;゚Д゚)))))))
さて、艦橋では淡々と出航作業が行われています。
関係ない素人がうろうろしていても写真を撮られても
彼らが意に介す様子は微塵も感じられません。
こういう時、わたしはまるで透明人間になったような気さえします。
とりあえずこの写真は手前の書類冊子を写してみました。
♪きらめくー海に捨てようー航泊日誌〜♪がありますね。
ちなみに言っておくがJASRAC、これはユーミソの歌の歌詞ではない。
一字違いで大違いというやつだ。
操舵手席に立つのははどんな艦でも渋〜い海曹と決まっております。
右側の少尉さんは航海士でしょうか?
手前には女性もおりますね。
艦長、航海長と航海艦橋の仕事を行う乗員たち。
フラッシュを焚くのが邪魔にならないかと憚られたので 、
写真は大体ご覧の通り。
右舷ウィングから後ろを見たところ。
曳船が頑張ってお仕事しています。
65式12cm双眼鏡の横は発光信号機。
昔でいうと「洗濯板」マークがベテラン海曹の袖に燦然と輝いてます。
曳船は押したり引いたりの細かい作業を繰り返して、自力で横移動できない
「あきづき」の巨体をいつのまにか岸壁から出港させてしまいます。
この間は危険なので一般人の甲板への立ち入りは禁止されます。
左ウィング側の艦橋後部のスペースには、
掃除道具や喇叭などが整然と整理されてあります。
喇叭をどこに置くかなども艦によって全く違います。
艦長からはメールによる詳細のお知らせに当たって
「あきづきの航海長は女性です」
と伺っていたのですが、おそらくこの方ね。
艦橋で出航作業の掛け声を聞いていると、二人艦橋に女性隊員がいるので
当然のことながら女性の声が頻繁に聞こえてくるのですが、
これがなかなか良いものなのです。
甘ったれた響きなど微塵もない、むしろ潮枯れしたかのような力強い声。
凛とした厳しい佇まいと相まって、自衛隊にとって「女性の船乗り」は
決してもう特殊なものでもなくなってきたという感を受けました。
この女性海曹は、出航喇叭の吹鳴も行なっていました。
このとき艦長は右ウィングで指揮を執っておられます。
石井艦長は去年12月末に「あきづき」艦長に就任されたばかり。
自衛艦の艦長は(自衛隊に限らず旧軍も、そして海外の軍艦も)
1年、どんなに長くても2年も行かぬうちに転勤になります。
この理由はやはり「艦長職を待っている者がたくさんいるから」
だとこの日艦長直々から伺いました。
喇叭が吹鳴された後は、いつも驚くほど早いスピードで
艦体は岸壁から離れて行きます。
そのとき、内火艇が全力で近づいてくるのが見えました。
「あきづき」に追いつこうとしているようです。
「あきづき」の方ではデリックを動かし始めました。
この部分が動くのは初めて見ます。
舷側で索を繋ぐ作業をするために待機している乗員。
寒いので目出し帽のようなものをかぶっていますね。
あっという間に右舷下に追いついた内火艇は、「あきづき」と
同じ速度を保ったまま、引き上げのための結索を行うようです。
「あきづき」は右舷着岸していたため、哨戒のために出動していたボートは
繋留中艦の後部に繋がれており、出航してから揚収することになったのでしょう。
よくあることなのかどうかはわかりませんが、これはなかなかの見ものです。
前に立っている人は、内火艇をスティックで操舵しているってことでおk?
三人のうち二人が結索を行います。
あっという間に引き上げのために索が4箇所にとりつけられ、
デリックが上がって行きます。
引き上げ中は船上の3名は天井のないところ(万が一落下したら頭を打つから?)
に屈んで隠れているような姿勢をしています。
この作業の間は「あきづき」は微速かあるいは停止しているように見えます。
ゆっくりとデリックが直立?して行き・・・、
後はロープが降りて、下の「船底受け」部分に固定して終わりです。
ボートが停止したら、乗組員がひょこっと出てきました。
デリックに備えられたケージに乗り移り、これで甲板に戻ります。
索を全部片付けるまでがお仕事です。
ウィングからはチャフ・フレアランチャーがよく見えます。
正式名はMk.137 Mod2。
敵から撃たれたミサイルの命中を回避する「ソフトキル」手段として
チャフ・フレアが用いられます。
具体的にチャフはアルミ箔などを詰め込んだコンテナを空中へ散布し、
レーダー誘導型ミサイルの目標を誤誘導するのです。
赤外線誘導のミサイルに対しては、高熱源体であるフレアを用いますが、
敵のミサイルがどちらのタイプかは撃ってくるまでわからないので、
とりあえずどちらも一緒に撃つ仕組みがこのチャフフレアランチャーです。
出航していきなりのイベントにわたしたちは大盛り上がり。
わたしはyoutubeに上げるために一連の作業を動画に撮ったのですが、
そうとは知らずに喋っていた鉄火お嬢さんの声がバッチリ録音されていて、
どうしてもこれだけ削除する方法がわからなかったので断念しました。
(鉄火お嬢さん、責めてませんから)
作業が終わり、「あきづき」は船速を上げていきます。
これは「航路3」と書いてあり、航行する船舶への目印のようです。
この「SLNC PAX」というのはアメリカのオイル/ケミカルタンカーです。
米国船に給油をしにきたのでしょうか。
ちょうどこれも米軍のらしい曳船が押して出航するようですが、
この後すぐ彼女は岩国(ということは海兵隊基地)に行ったようです。
さらに、「ルート予測」(こんなこともわかるのよ)によると、
彼女はこの後横須賀に向かい、海軍基地に寄港する模様。
昨日ホテルの窓から見ていた「ボノム・リシャール」と「さわぎり」。
そして、「さわぎり」と並んでいた「はるさめ」はというと・・・、
こちらも出航したばかり。
こちらに向かってくる「はるさめ」の姿に惚れ惚れしつつ一枚。
そのとき、猛スピードで横を疾走していく米国の警備艇が2隻ありました。
なんのために・・・?
それはこの後すぐにわかることになります。
続く。