「あきづき」体験航海記がでれでれと続いている最中ですが、
またしても一旦中断して自衛隊音楽会の話題を挟みます。
と言いながらこのタイトル写真は一体なんなの?
ってことなんですが、今回、呉音楽隊の演奏会を拝聴する貴重な機会をいただき、
またしても来てしまった、呉市。
前回の来呉の時に火がつきかかっていた「呉氏」アピールが
今回は結構すごいことになっていたので、少しご報告しておきます。
呉氏というこのスポンジボブ+オカザえもん÷2的な物体が呉の新キャラに制定され、
プレスリリースされたのは、今年の2月1日のことでした。
なんの因果かわたしはちょうどその2月1日、翌日の幹部候補生学校卒業式のため
呉に来ており、夜の街を歩いていて、妙なポスターが貼ってあるのに
はて?と思っていたのですが、呉から帰る飛行機の待合室でこのニュースを見て
この偶然に只事ではないわたしと呉の因縁というものを感じたのです。
【公式】広島県呉市PR動画「呉ー市ー GONNA 呉ー市ー」Music Video
テンポのいいダンスとちょっぴりほろ苦い恋愛ストーリーが
おなじみの呉の街をバックに繰り広げられます。
なぜか彼女にレストランで水をかけられる呉氏。
水をかけられるようなどんな鬼畜なことをしたのか呉氏。
「♪潜水艦は明日も 必ず潜るよ」
「♪温めた海自カレーも 知らせなきゃ冷めるだけ」
実際に呉に住んでいた方は
「♪星が降る灰ケ峯」
などという歌詞にグッとくるようですね。
そして何より今回のテーマにふさわしく、クリップには呉音楽隊のメンバーが参加、
呉氏とまさかのキレッキレのダンスを繰り広げており、最後には燦然と
撮影協力 海上自衛隊呉地方総監部
の文字が・・・・。
クリップ冒頭が呉地方総監の建物から出てくるシーンですからね。
さて、今回の来呉は2時間の昼間のコンサートのためだったので、
飛行機で往復したのですが、ちょうどいい空港リムジンがなく、
考えた末、激安レンタカーを利用しました。
真っ赤なデミオを借りて走り出したのはいいのですが、
単線で追い越しができないのに、後ろにぴったり付かれたとき
アクセルを踏んでも踏んでもスピードが出ないのには焦りました。
広島空港から呉までは直通の高速で一本です。
バスで何度も通っている道ですが、自分で運転して初めて
こんなところだったのかとわかった気がします。
飛行機が早く着いた関係で、お昼ご飯を食べることにしました。
コンサートの行われる文化ホールの位置を確認してから車を走らせて
どこで食べようかなと楽しく悩んでいたところ、市営駐車場の前に
「けんりゅう」カレーが食べられるらしいうどん屋さんを発見。
その名も「りゅう」。
なるほど、それで「けんりゅう」カレーなのか。
ここの入り口にも「呉氏」のポスターが!。
なるほど、呉氏とは、呉の海を「切り取った」という設定なのね。
呉氏です。
初めまして。ボク、呉市の新キャラクターの「呉氏」っていいます。
この顔はどう見ても呉市のキャラクターですよね。
自己主張が激しくてすみません。
名前もどう聞いても呉市のキャラクターですよね。
わかりやすくてすみません。
でもこの美しいターコイズブルーの体はふわふわのファーでできていて
一度触ったらやみつきって評判です。
だからもしどこかで僕を見かけたら触ってみてクレ。
デビューということで緊張して色々言ってしまいましたが、言いたいことはただ一つ、
全力で可愛がってクレ!
全く言っていることに意味がありません(断言)
しかし、 結構わたしこいつが気に入ったので、呉氏を陰ながら推そうと思います。
そのうち小村市長から表彰されるかもしれません。
駐車場の料金精算方法にまで出演している呉氏でした。
さて、
けんりゅうの「ソードドラゴン」(直訳)カレーは単品850円。
海自カレーラリーに参加するお店は、必ずレシピを忠実に再現し、
給養長からのお墨付きである認定書をもらっています。
カレー皿は船型、ご飯が型取りしてあるのは潜水艦に見立てているから(多分)
けんりゅうカレーはシーフードがふんだんに入っているのが特徴。
何も言わなくても付いてくるカレーラリーのスタンプシール。
集めようと思っていなかったけど、これで二つ目ゲットです。
呉に行くたびに地道にカレーを食べてみるのもいいかなと思い出している今日この頃。
「海軍カレー」と書かれたカレー皿もあり、こちらは
「海自カレー」という名前で出しているおそらくビーフカレー。
シーフードの苦手な人向きです。
もともとうどん屋だったのに、行きがかり上カレーも出すようになったと・・。
それでも時間があったので、少し歩くとなんと駅前でした。
呉の街って本当にコンパクトなのね。
おなじみ呉阪急ホテルで食後のお茶をいただきました。
ロビーには早くもお雛様が飾られています。
そして、冒頭写真の「呉氏」ポスターも・・・。
車を駐車場から出すときに前に停車していた車には制服の自衛官が。
こういうのが呉という街なんだなあと思いつつ一枚。
昔はこれが海軍軍人だったんでしょうね。
そして呉文化会館に到着。
いただいたチケットを見せると、席まで自衛官が案内してくれました。
階段を登って行くと、そこに金びょうぶが設えてあり、なんとそこに
呉地方総監ご夫妻がまるで新郎新婦のように立っておられるではないですか。
今まで演奏会でこんなお出迎えを受けたのは初めてです。
二階席から見下ろした呉文化ホール。
日本は自治体の箱物行政の恩恵で全国津々浦々まで立派なホールが
どこに行ってもあるというのは有名な話です。
それでなくても裕福な住民が多いという噂の呉ですので、
このホールも古いながら大変立派なものです。
二階に案内されたとき、近辺の招待客の座席表をいただきました。
これによると先日来呉の自衛隊イベントに来るたびにお見かけしていた
アフリカ系の軍人さんは、アメリカ陸軍第10地域で
支援群弾薬廠長を務めておられる方だったことが判明しました。
アメリカ陸軍がここに駐留していたとは全く知りませんでした。
あとは衆議院議員の寺田先生とか、呉市長、市議会会長、
商工会議所関係、水交会などなど。
去年の自衛隊記念日で表彰されていた自衛隊基地理髪店の
理容師さん(女性)もちゃんと招待されていたようです。
今回はTOも縁あって同席することになり、わたしは自分の夫と
呉の文化ホールで久しぶりに会いました(笑)
彼は怒涛の忙しさでずっと家に帰ってこられず、わたしたちはこの日も現地で
「いやー元気だった?」
「うん元気。 『ユーニャン』のyoutube見たよー。教えてくれてありがとう」
「あれ感動するよね」
などという会話を交わしたのですが、コンサートが終わるとわたしは空港に、
彼はまた仕事で他の地方へ・・・。
それはともかく、TOはコンサート開始前に関係者から
「今日は大変特別の試みがあるプログラムなので楽しみになさってください」
と聞かされていたようです。
なんだろう。特別の試み。
それでは当日演奏された曲です。
平和への行列 戸田顕
2001年度のコンクールの課題曲。
ロシアっぽい勇壮かつ憂愁を帯びた旋律で、軍楽曲のような雰囲気ですが、
「タイトルにある平和は戦争解決のみを意味するものではなく
地球環境問題や身の回りで起こる争いごとなどの解決も含めての平和であり」
別にこんな言い訳っぽい解説はいらん、と思ってしまったのはわたしだけ?
(特に地球環境問題のところ)
スピリティッド・アウェイ 久石譲
おなじみ久石譲の「千と千尋の神隠し」挿入曲からのアレンジ。
久石ナンバーはそれこそ数え切れないほどのアレンジ版があり、
演奏形態も様々なバージョンが出ています。
「スピリティッド・アウェイ」は「千と千尋」の英語タイトルで、
挿入曲を盛り込んだアレンジにこの題を採用したのでしょう。
いいなあと思った後半の「仕掛け」は、「いつも何度でも」が
ハープ、チェレスタ(いずれも男性隊員が担当)ザイロフォンで
演奏されるのに、全く別物のように「ふたたび」がかぶさってくるところ。
いつも何度でも/千と千尋の神隠し【Cover】
Spirited Away OST - Reprise / Again [HQ]
言葉の説明だけではわからん、という人は、上のyoutubeを再生して、
ワンコーラスが終わった時下のyoutubeをクリックし同時再生すると、
少しだけでも雰囲気が・・・わかる・・かもしれません。(弱気)
どっちもよく知っている曲なのですが、タイトルがわからなかったので
会場でメロディを階名でメモして持って帰り、苦心して調べていたら
ちゃんとそのことがプログラムに書かれていましたorz
どちらも三拍子なのに全く関係なく重なり、しかも「ふたたび」の後ろで
ずっと「いつでも」が鳴り続けている感じが粋で斬新なアレンジでした。
雲のコラージュ 櫛田胅之扶 〈改訂版〉
これも最近のコンクール課題曲です。
三つのジャポニズム 真島俊夫
東京佼成ウィンドオーケストラの依頼によって作曲された、
日本らしいメロディの作品で、鶴のダンスを表現しているとか。
真島俊夫氏は日本の吹奏楽界に大きな足跡を残しましたが昨年四月逝去しました。
オマージュ〜海の守り詩 八木澤教司
そう、これだったのです。
TOが聞いたところの「特別な企画」というのは。
呉音楽隊が創設60周年記念に委嘱した作品で、なんと、
海上自衛隊の儀礼曲「海のさきもり」がモチーフとして使われています。
海上自衛隊儀礼曲 「海のさきもり」 護衛艦「ふゆづき」自衛艦旗授与式
初演ですので、実際の楽曲をお聞きいただくことはできません。
というわけで、わたくしが「ふゆづき」引き渡し式の写真とともにアップした
唯一のyoutubeをご覧いただければと思います。
自慢ではありませんが、わたしがアップするまで、「海のさきもり」は
youtube等ネット上動画に一度も上がっていなかったのです。(いまでは多数)
「海のさきもり」作詞者の元海軍兵学校卒、戦後は自衛隊にも在籍していた
江島鷹夫(もちろんペンネーム)の関係者と知り合ったことが
実はこのわたしが各種防衛団体の末席を汚すきっかけになったのですから、
会場でこの曲が初演されることを知った時にはまさに胸熱でした。
作曲を依頼するにあたって、呉音楽隊隊長野澤健二一尉は
「海のさきもりをモティーフとして使用してほしい」
と要望したそうです。
曲は、護衛艦が岸壁に停泊している時にも聞こえてきそうな、
風が索を揺すり艦体がかすかに軋む様子や、喇叭など、
あらゆるシーンを彷彿とさせる効果がコラージュ風に散りばめられ、
最初は後ろの方でちらっとその形を見せるだけだった「海のさきもり」が
最後には全ての音を包括して立ち上がり、壮大な響きとなって現れます。
会場には作曲者の八木澤氏もきておられ、最後に挨拶をされたそうですが、
わたしは残念ながらその時には会場を後にしておりました。
ベールマン アダージョ海上自衛隊東京音楽隊
ちょうど同じ曲を東京音楽隊のクラリネット奏者がやっているyoutubeがありました。
クラリネットは管弦オーケストラでいうところの第一バイオリンであり、
コンサートマスターも務めるパートです。
この日のソロも、呉音楽隊のコンマスが務めました。
これは先日の幹部学校卒業式で「勝利を讃える歌」を演奏する呉音楽隊ですが、
指揮者の正面で演奏しているのがコンサートマスターの小村英生2曹です。
ベールマンという作曲家はクラリネット奏者として軍楽隊にもいたそうです。
ガイーヌ ハチャトリアン
誰でも知っているのが「剣の舞」ですが、そのバレエ音楽「ガイーヌ」から
8曲が抜粋されて演奏されました。
この曲、案外新しくて初演が1942年だそうです。
耳馴染みが良く、聴いていて楽しいこれらの曲を交え、新しい曲ばかりでもなく、
古典あり、久石作品ありと、なかなか人を惹きつける構成の演奏会で、
この日集まった聴衆の広い層の耳を楽しませることができ、さらには
呉音楽隊やひいては海上自衛隊の魅力を伝えることもできたのではないでしょうか。
わたしとしては「海のさきもり」への「オマージュ」世界初演を聴けたことに
心から満足して文化ホールを後にしました。
最後にTOとの会話に出た「ユーニャン」もついでに貼っておきます。
犬好きにもオススメ。
ねこ勉〜Cats Learning〜
帰りは安いレンタカーのせいかカーナビに広島経由を案内され、遠回りしてしまいました。
ここはどこー!
というわけで、印象深い呉訪問&呉音楽隊演奏会となりました。
参加にあたってご配慮をいただきました全ての皆様に感謝いたします。
本当にありがとうございました。