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スーパーキングエア(LR-2)に搭乗〜在日米海軍基地見学記

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在日米海軍基地見学記の続きです。

本日の防衛団体による見学は、コースでいうと松竹梅の松コースで、
航空機見学だけではなく実際に機体の中を見せてもらえ、
基地内のレストランでお食事を楽しんでいただけます、というものでした。

どの飛行機に乗せてもらえるのかな?
まさか・・・ホークアイ。、E2-C(早期警戒機)ではないとは思いますが。

ところでご覧のように、このプロペラの羽は8枚あります。
プロペラは2枚より4枚、4枚より6枚と数が増えるほど
その速度に安定性が出てくるのは素人でもわかりますが、
8枚になればこれはもう最強というべきパフォーマンスだそうです。

これをニュープロペラと称し、羽が増えるほど速くなるだけでなく
燃費が向上し、騒音も減るので利点だらけなのですが、
自衛隊のE-2Cは4枚羽のままです。

実は羽を製造しているハミルトン社での4枚羽の製造は終了していて、
アメリカでは民間機ですら6枚羽を調達しているという関係上、
米海軍は空母艦載機であるホークアイに8枚羽を導入しているのです。

自衛隊は導入機数が少ないのでまだ4枚羽のままですが、
何れにしても羽そのものが生産中止になっているので、そのうち
8枚羽のホークアイが日本にも登場すると思われます。 

 

その辺に売るほどいるこれに乗せてもらいたいものですが。

ところで、この列線に並んでいる飛行機を指して、わたしはとりあえず

「これは・・・スーパーホーネットでしょうか」

と案内の方に聞いてみたところ、言下にそうだとおっしゃったのですが、
「NF」のテールコードをつけたこの「スーパーホーネット」の機体を仔細に見ると、

VAQ-141

と書かれているのです。 
つまりこれは第141電子攻撃飛行隊 の『シャドウホークス Shadowhawks』
使用機であるEA-18G「グラウラー」。

「スーパーホーネット」ではないということに写真を見て気づいたのでした。

グラウラーはここの読者にもそういう名前の人がいますが、
電子戦機「プラウラー」(うろうろする人)EA-6B の後継として
複座型の「スーパーホーネット」をベースに開発されたものです。

見かけは全くホーネットと同じなので解説の方も間違えてしまったのでしょう。

電子戦機は非常に高度な電子情報技術の集積が必要なため、
先進国の軍隊しか所有することはできません。

米日英露中伊仏独以外ではイスラエルと台湾。
電子戦機を所有しているのは現在世界でこれら10カ国だけです。 

ビーチクラフトのスーパーキングエアと並んでいた陸軍所有の
セスナC-35サイテーションがタキシングを始めました。

先ほど男女二人の陸軍軍人が乗り込んでいくのを目撃しましたが、
彼らはどちらもパイロットで、これから離陸するようです。 

わたしたちはハンガーに案内されました。

給油用の移動式タンク。

格納庫の中は一機を残して全て稼働中。
残っているのはこれから見せてもらうスーパーキングエアです。 

中身を公開してくれるスーパーキングエア。
ビーチクラフト社の名作で、その高品質と信頼度はもはやこのジャンルの
「デファクトスタンダード」(結果として事実上標準化した基準)
とも言われており、日本でも陸自がLR-2として人員輸送用に使っています。

実はわたくし、昨年、航空機整備会社としてはトップ企業であるJ社で
工場見学をしたのですが、自衛隊機などの整備などを手がける同社工場は
当然のことながら写真の類は一切禁止、写真を出さずとも下手な記事を書いて
ご迷惑をかけない自信が全くなかったので、ここではご報告を断念しました。

今にして思えば、そのJ社工場の整備中の機体の一つに陸自のこれ、
LR−2がありまして、案内してくださった社員の方が

「このビーチクラフトの飛行機は本当に優秀なんですよ」

とおっしゃっていました。

この機体のパイロットがエンジン部分を開けて公開してくれました。

「え、まさか写真撮ってもいいんですか?」

「どうぞどうぞ」

おおー、アメリカ海軍太っ腹ー。
まあ、人員輸送機のエンジンくらい見せてもなんてことないでしょうし、
そもそもこの機体を採用している国は世界でも50カ国以上に上り、
先進国どころか後進国でも軍用機としてほとんどが持っている状態です。 

それではお言葉に甘えまして。

エンジンはプラット・アンド・ホイットニー・カナダ社製で、

最大速度:584 km/h=M0.48(高高度)
巡航速度:558 km/h=M0.46(高度24,000 ft)
実用上昇限度:10,670 m以上
航続距離:3,672 km

となっております。


 いよいよ中を見せてもらうことになりました。
パイロットが一番先に乗り込んで、会長が真っ先に。
わたしはその場にいたので三番目に乗り込みました。

「中は狭いので一人ずつ乗り込んでください」

下で案内しているのは航空隊司令だったりします。
米軍さんって気さくー。 

パイロットが席についているところを先に乗った人が撮っています。
機内は立って歩くことはできませんが、座席に座ってしまえば
セダンの車なんかよりずっと快適に過ごせそうな広さです。

ちなみに定員は16名。
サッカーチーム(レギュラーのみ)なら余裕で運べます。

機体後方もちゃんと写しておきました。
荷物格納室などないので、後方に押し込んでネットをかけるだけ。
16人分の荷物くらいなら余裕で運べそうです。 

パイロットが操縦席に座っていいよ、と言い出しました。
おそらく最初からそういう風に上から言われていたのでしょう。

見ていると、彼はシートの間の計器の部分に
後ろから板をはねあげて足場を作ってくれるようです。

彼の腕には袖のところにまで刺青が入っているのにご注目。

アメリカ人は男女を問わずファッション感覚で刺青を入れます。
テレビでは「インク・マスター」という彫り師を追った
シリーズドキュメンタリー番組があるくらいです。

しかし、彼のこの袖からチラッと見える刺青は、どう見ても
日本の「和彫」ではないかという気が・・。

わたしが前に乗り込むと、案内してくれていた女性の広報官が
お撮りしましょうと言ってくれたので素直に?カメラを渡しました。

席に乗りうつる時、いつもの癖で?

「 Hello! Nice to meet you! 」

というと、

「Nice to meet you too!  What your name?」

と返って来て、ああ、アメリカ人だなあと思いながら
自分の名前を言うと同時に相手にも訪ね(これをしないと失礼)たところ、
返って来た答えは 

「トリスティン」

おお、それで君のイゾルデはもう見つかったのかね、
と思わず聞きそうになりましたが、多分彼は今までの人生で
50回くらいは同じことを聞かれて来たに違いないと思い直し、

「いい名前ですね」

と言うに留めました。
それにしてもトリスティンくん、ものすごく若くないか? 

こちらは思った通りそのまま聞いて見たら答えはなんと

二十歳。

なんでも彼は17歳から入隊してパイロット一筋なんだそうです。
アメリカという国は、日本みたいに誰でも当たり前のように大学に行き、
大学を出るときに自分が何をするか決める人が多い社会ではなく、
自分の進路をかなり若い時から決める人たちも結構な数いて、
その結果トリスティン君のような若いプロフェッショナルが生まれます。

自衛隊だと、航空学生出身者の場合、概ね22~23歳(一曹~曹長)
で実戦部隊に配備されるということですから、やはり米軍とは少し違います。

空母の操舵室にいる乗員の平均年齢も10代だと聞いて驚いたことがありますが、
これもリクルートの形態の違いによるものかもしれません。  

グラウラーのパイロットらしき二人がお昼ご飯のために
飛行機から降りて来ました。 

この機体はエプロンを牽引されていたものですが、
操縦席に人が乗っていたので撮ってみました。

機体に「マコーリッフェ」という字が見えますが、日本ではここには
機付長といって整備責任者の名前がくるものです。
しかし、パイロットの名前を書くことになっているらしいです。

そもそもこれがパイロットなのか整備員なのかがわからないので、
彼がマコーリッフェさんかどうかもわかりませんが。

滑走路と航空機見学はこれにて終了です。
最後にエプロンと滑走路を写真に撮りました。

ちょうどタッチアンドゴーを繰り返していたE-2Cが着地しています。

 

滑走路の向こうには格納庫がありますが、この格納庫、名前が

WARLORDS

と書かれています。 
これは「否定的な意を持った軍事的指導者、指導者、将軍」の意味で、
特に中央政府が弱い場合に、誰に対しても説明責任がなく、
一つの地域で内政権力を行使する軍事上の最高指導者であり、
軽蔑的な意味で使われることが多い言葉なのですが、
格納庫がこの複数形であるという意味が日本人のわたしにはどうもわかりません。

どなたか解読できる方おられますか? 

 

というわけで、司令官に敬礼で送られて航空部門の見学終了。
この写真を見てここが「エアターミナル」であることに初めて気づきました。

さて、この後はお待ちかね、レストランに移動して昼食をいただきます。

 

続く。

 


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