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潜水艦「せきりゅう」引き渡し式〜出港用意

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さて、潜水艦「せきりゅう」引き渡し式は、艦長が最後に乗り込んで
いよいよ出港の瞬間(とき)を迎えることになりました。

艦長が乗り移った瞬間、出港のための作業が始まります。

まず、潜水艦前にクレーンの陰で控えていた造船会社の人々が颯爽と登場。

ラッタルを外す作業に取り掛かりました。
まずスロープ部分の連結を外してここを撤去します。

ちなみに、左部分の独特なヘアは、在日米軍からの出席者の
奥様ではないかと思われるアフリカ系の女性です。

カメラを持った女性は川崎重工のカメラ担当のようです。

同時に潜水艦側でも作業が行われていますが、
潜水艦の方は索でどこかとつないでいる程度であっという間に終了。

なんと、ラッタルそのものが垂直に持ち上がりました。


 

クレーンで吊ったまま掛かっていたラッタルを、そのまま持ち上げて撤去。
潜水艦の桟橋はほぼ間違いなく桟橋側に設置してあるはずですが、
こんな斬新な?設置&撤去ができるのも造船所ならではです。

ラッタルが持ち上がったことで、わたしのところからは
初めて潜水艦のハッチが見えました。

ラッタルの索を今から「せーの!」で投げようとしています。

皆が固唾を飲んで?見ている中、両側につけられた索を
下から操作して、ラッタルが90度動いて艦体と平行になりました。

こちらスロープお片付け隊。

下からラッタルの向きを索で操作する係。
カメラマン二人は呉地方隊から派遣された人たちです。

実はこの右側の海曹は、あの!「愚直たれコンテストポスター部門」で
メラメラと燃え盛る呉地方総監をあしらったポスターをデザインし、
見事「愚直大賞」(これもさりげにすごい大賞名だわ)を獲得した人です。

授賞式の写真を見て、それが呉地方隊のイベントの時にカメラマンでお見かけする
この海曹さんであるのを認識していたのですが、今回式終了後に岸壁ですれ違ったので、
お声がけしてみました。

「愚直たれポスター部門で作品を採用された方ですよね!」

「え?・・・あ・・・・はあ」

思いもかけないところで突飛なことをいきなり言われ、
海曹さんかなり面食らった様子。

「あれ、良かったですよー!評価してます」

 

ちょうど先日、コメント欄で「その後の愚直たれ」について
鉄火お嬢さんの疑問に答える形でお節介船屋さんに教えていただいたので、
コメント欄を読んでおられない方のためにここにも書いておくと、

●呉地方総監の指導方針から生み出されたオリジナルタレ、「愚直たれ」
を使ったメニューが今月27日から呉市内の9店舗で提供されることになった

●「愚直たれ」はカレー味がベースで香辛料のガラムマサラなどが加えられた
ぴりっとした辛みが特徴の調味料で、これまで隊員が利用する食堂でのみ提供されてきた

●呉地方総監からは「認定証」が店に対して授与される

●NHK広島で報じられることにより、これからヒットする予感←今ここ

ちなみに、お店に授与されるポスターとしては、さすがに池総監の顔がどーん!
炎メラメラー!という愚直大賞受賞作品も如何なものか、ということにでもなったのか、
至極穏当な、呉地方総監部の建物に旭日模様があしらわれたものに変わっています。

NHK広島ニュース WEB 

ここでは動画も見られますので是非。

まだもやいはかかったままですが、潜水艦の場合は 
水上艦ほど出港作業にいろいろな作業をしなくても良さそうです。

このとき空中に持ち上がったラッタルは、岸壁と平行に動き始めました。

岸壁の手前の黄色くマークされた一段高いところは
「クレーンのレール」であることがこのとき判明しました。
クレーンは今からラッタルをぶら下げたまま右手に移動するようです。

 

この間に、艦首側にいた乗組員は曳船との間で
もやいの受け渡しを完了した様子です。

あれ?曳船は「MITSUBISHI」じゃなくて「MITSUISHI」だった・・。
やっぱり川崎重工に三菱の船は来ないよね。 

岸壁のレールを移動して行くクレーンの後方に、大きなバスケットゴールみたいなものがありますが、
これは何をするものなのでしょうか。 

艦が停泊時に掲揚しておく艦首旗は、出港ラッパの吹鳴と同時に
降ろされることになっています。
旗を後納する係の乗員が索の先をもう握って待機しています。

ぴー、ぴー、ぴー、と音を出しながらゆっくりとクレーン移動中。
皆の視線はクレーンに釘付け状態です(笑)
クレーンが移動し終わったらすぐさま出港するつもりのようです。

そして・・・・。

♪ドミソドー、ドミソドー、ドミソドッミソッソソーーーーー(移動ド)

出港ラッパが埠頭に鳴り渡りました。
この瞬間、艦長と副長はセイルの上にいます。
水上艦では艦橋横のウィングに当たるのがここなのでしょう。 



さて、今一度潜水艦艦長の具体的な資質というものについてお話ししておきます。
リーダーシップという言葉で表される統率力、組織を管理する能力以外には

操艦術、運行法、艦を知悉し機能の改善を図れるレベルの知識、
戦術立案の確かさ、緊急時に対処することができること。

これらが備わっていないとなりません。
なんどもいうように、潜水艦はそれそのものが一国一城の治外法権?的艦船であるという
特殊な面を持ち合わせており、それゆえに指揮官たる艦長は
乗組員全員の命と艦の運命を左右する判断と責任をが全て個人で負うことになります。

これに見合うだけの能力は、最低でも幹部学校卒業後、
20年間の訓練と経験がないと身につくようなものではありません。 
したがって、潜水艦艦長は大体40代前半で就任することになります。 

「はくりゅう」の艦長がまだ30代で「日本一若い艦長」だと
乗組員が誇らしげに言っておりましたが、こういったことを考えると
彼がいかに優秀な人物であったかということがわかりますね。

サインもらっとくんだった。

艦首旗後納係は旗のお片付け、甲板上ではもやいを外す作業が一気に行われます。

呉音楽隊の演奏する行進曲「軍艦」が再び始まりました。

「出港いたします」

というアナウンスと同時に、来客は岸壁に降りました。
テントの下にいるときにどこからともなく回ってきた日の丸の旗を手に手に持っています。

「ふゆづき」の時には国旗と自衛艦旗が一人にそれぞれ1本ずつ配られたんだけどな・・。

ドックマスターも一緒に航海に乗組むようです。

「せきりゅう」は 第1潜水隊群第5潜水隊に編入されることになり、
呉に向けて航海を行います。

ここ神戸から出港して呉にいくためには当然のことながら
瀬戸内海を航行していくことになろうかと思いますが、
気になったことが一つ。

瀬戸内海というのは物理的に潜水艦が潜行することができないらしいのです。 
どんなに深いところでも水深が30mでなおかつ小さな島が多く、
下手すれば座礁してしまうのだとか。

そもそも、潜水艦は沈むのが商売なので、水上航走は大変危険なのです。
操縦位置からは全く外が見えないので、操舵員は発令を頼りに操縦します。

最新型の「そうりゅう」型も、艦橋の見張所からの監視情報、
そしてレーダーの情報を総合して操舵員に指示が出されるのはおなじ。
しかし潜水艦の艦橋からの目視による見張りは精度が低くなります。

おまけに潜水艦は基本目立たないようにするのがお仕事。
ということは他の艦から視認しにくく、レーダーにも映りにくいため、
特に夜間の水上航走は大変危険なのです。

というわけで、この後「せきりゅう」は神戸から淡路島の外側を廻り、
四国のさらに外側を潜行していくのではないかと思ったのですが、
どなたか本当のところをご存知ありませんか。 



続く。


 

 


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