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第一明方丸の進水旗〜グロトン・サブマリンミュージアム

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サブマリンミュージアムに展示されている、第二次世界大戦中の
潜水艦が、対日戦の戦果を誇示するためにいつしか揚げるようになった
「バトル・フラッグ」についてお話ししています。 

館内の映画館で放映されていたフィルムより。

これはすごい。
 USS「トリガー」(SS−237)は12回もの哨戒に出て
(その間艦長は三人交代した)民間船を随分沈めたようです。

結局12回目の哨戒で「トリガー」は海防艦に撃沈され終焉を迎えましたが、 
11個の従軍星章、殊勲部隊章を三度受章しました。

撃沈の戦果は18隻、その総トン数は86,552トン。
これは、第二次世界大戦中のアメリカ潜水艦の公認戦果としては
どちらも第7位に記録されます。

オリジナリティを持たせようとして失敗した例(個人的意見です)。
日本の旗の代わりに額に日の丸をつけた髑髏をあしらってみましたー。

「ガトー」SS-212のバトルフラッグだそうです。

魚雷といい上に乗っている犬?狐?といい、
素人臭さがたまらんわー。

「シーフォックス」( SS-402)はバラオ級で、その名前の意味は
トラザメなんですが、クルーは「海の狐」といいたかったみたいね。
まあこれが狐だったとしたらの話ですが。


あの「クィーンフィッシュ」(SS/AGSS-393)が
緑十字船「阿波丸」を撃沈するという悪名高い国際法違反をやらかしたとき、
さすがのアメリカも慌てて、近くの海域にいた、この「シーフォックス」に
現場への急行と生存者の救助を命じたのですが、
「シーフォックス」が到着した時には海面には何も残っていませんでした。

ちなみにこのときの「阿波丸」の乗員2000名余はほぼ全員死亡しました。

「シーフォックス」は朝鮮戦争、ベトナム戦争にも少し参加し、
最終的にはトルコ海軍に譲与されてそこで就役を終えています。

上に写真のあった「撃沈トン数ナンバーワン」、
「フラッシャー」(SSー249)のバトル・・・フラッグじゃないですねこれは。

「フラッシャー」は、成績を上げるために駆逐艦「イワナミ」を撃沈した、
という虚偽の報告をあげるということをやらかしていますが、
右下の部分が「イワナミ」かな(棒) 

以前一項を割いて紹介した、英雄ハワード・ギルモア艦長と
その「グラウラー」のコーナーがここにもありました。
わたしは最近まで知らなかったのですが、もしかしたらアメリカでは
広瀬中佐並みの知名度のある軍人なのかもしれませんね。

潜水艦「グラウラー」とハワード・ギルモア艦長

コーナーのタイトルは

「テイク・ハー・ダウン」(TAKE HER DOWN! )。
=「艦を潜航せよ!」 

重傷を負った自分を収容せずに、敵から逃れて艦を潜航させよという言葉です。 

オナーギャラリーにはギルモア中佐の遺品の中にメガネがありましたが、
この写真は眼鏡をかけています。
アメリカ人の船乗りには珍しかったのではないでしょうか。 

映画にでもなったのか?と思ったのですが違うようです。
伝記や戦記に使われた挿絵と思われます。 

なんと「テイク・ハー・ダウン」という曲までありました。
やっぱり「広瀬中佐」みたいですね。
欧米の船乗りの歌らしく、8分の6拍子で書かれています。 

お節介かと思いましたが、コーラス部分から翻訳してみました。

 

TAKE’ER DOWN, TAKE’ER DOWN, TAKE’ER DOWN!

海の下は潜水艦の我が家

TAKE’ER DOWN, TAKE’ER DOWN, TAKE’ER DOWN!

至上命令は俊速なる行動 

1, もしその気になれば大海を余さず掃除し尽くす
そしてその箒で我が家に飛んで帰るぜ

2, 頭上の敵がくたばったら拳骨で殴ってやるぜ
奴らをデイビー・ジョーンズのロッカーに送り込んでやろう

そう、

TAKE’ER DOWN, down, down, down, down, down, down,

TAKE’ER DOWN, TAKE’ER DOWN !

 

デイビージョーンズのロッカーとは、「幽霊船の棺」
=葬ってやる、というニュアンスだろうと思われます。

楽譜の読める方は是非簡単ですのでメロディを追ってみてください。
"Take Her Down"は「テイク・ハー・ダウン」ではなく「テイカーダウン」と発音します。
くだらないのは歌詞だけではないのがお分かりいただけるかと思います(迫真) 

ちなみにその「グラウラー」 (SS-215)のバトルフラッグ。
ガイコツくんがかわE。 

「グラウラー」はギルモア艦長の戦死の時には帰還することができましたが、
その後船団攻撃中に海防艦の攻撃を受け、戦没しました。 

さて、この博物館で、わたしと一緒に見ていたTOが思わずその前で
言葉を失ってしまった旗があります。

おそらく米潜水艦に撃沈されたのに違いない・・漁船、
第一明方丸の従業員有志一同による進水祝いの旗。 

どうもアメリカ人はこの旗の意図するところを
判じかねているらしく、何種類もの翻訳を試みています。

1、祝 第一アケガタ丸
  (意味:初日の出の船)
  乗員一同

んー、まあこれが結果的に一番近かったかなという感じ。
ニアピン賞です。
もしかしたら日本人に翻訳させたのかもしれません。

ただし、これは「めいほうまる」と読むのではないかと思われます。 

 

2、無事の航海を祈る
  ボートの名前は「ナンバーワン」
  同じ任務、同じ目標、同じ意志
  団結し共に働くことを希望する

なんか意訳しすぎでわけわからんことになってます。
だいたい同じ任務とか団結とか一体どこから出てきたんだよう。 

 

3、第一アケガタ丸の進水を祝う
  一つの志の元に集う従業員

「有志一同」から勘違いしちゃった感じ?
もしかしたら中国人に翻訳させたんじゃないかな。 


4、「アーリー・モーニング・ドーン 」
  「丸」型第一号艦「アケ イチ ダイ」
   従業員一同より 

悪いけどこれ爆笑させてもらいました。
なーにが「丸」型第一号艦だよー。

あ!

これ、「丸 方 明 一 第」を左から読んだのか! 

方と型の漢字の違いがわかってなかった例?

 

5、進水おめでとうございます
「メイホー丸」か「アケガタ丸」 ダイイチ(ナンバーワン)
「スタッフかクルー、すべての戦闘員」か「すべての戦い」 

「メイホー」と読むかもしれない、と考えたのはこのバージョンだけ。
それはいいのだけど、あくまでもこのフラッグが戦闘艦のものだと
思い込んだため、ものすごく苦しい推測になってしまいました。

多分だけど「有志」にそういう意味があると勘違いしたんだな。

 

というわけで、これだけ時間的な距離が近くなっても、文化というものは
全く理解されないものなんだなあと悲しくなってしまいました。

よっぽど暇だったら、潜水艦博物館のキュレーターに

「どれも間違ってまっせー」

とメールを送ることもやぶさかではないのですが。

 

今回、この第一明方丸が戦時徴用船としてどのように運命を辿ったのか、
調べてみたのですが、ネットからだけではわかりませんでした。 

 

 

 


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