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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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平成29年度日本国遠洋練習艦隊出航〜総員乗艦

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前回のタイトル、「鹿島立ち」というのは、練習艦隊司令官である眞鍋海将補が
江田島での出航に際して発光信号で詠んだ句からとりましたが、
この日に行われた恒例の海幕長による激励の辞にも、この言葉がありました。

「本日ここに平成29年度遠洋練習航海の準備を完了し、
晴れて『鹿島立ち』の日を迎えた眞鍋艦隊司令官以下乗員
並びに実習幹部一同の姿に接し、大変心強く思う」

来賓挨拶、壮行の辞、花束贈呈などの儀式が終了し、いよいよ乗艦となりました。
行進曲「軍艦」の演奏に合わせて、「かしま」艦長を先頭に行進が始まります。

行進の列は、来賓のテントの前に来ると敬礼敬礼をしながら着席した来賓、
そして来賓の後ろにずっと立って式を見守ってきた家族に別れの挨拶を行います。

「はるさめ」艦長樋ノ口二佐。
防衛章ではなく、勲章のようなものをつけているのは
日本の「海軍」として他国海軍軍人と接するからでしょうか。

水交会での壮行会で実習幹部に伺ったところ、これらの行進も、
彼らは毎日のように練習を重ねてきたとのこと。

敬礼の角度、姿勢、脚の運び、全てがこれまでの訓練の賜物です。

海幕長の訓示より。

「実習幹部諸君に要望するところは、海を知り、良き性格、
良きリーダーシップを育めということである」

「海上自衛官は千変万化の海を勤務の場とし、
時として風波と戦い、時として寒暑と戦い、
その中で任務を遂行しなければならない」

「太平洋、大西洋での航海では、海の厳しさ、
素晴らしさを経験するであろう」

「いかに大きな船といえども、大海原では小さな存在にすぎない」

「諸君にはまず海を知ることから始め、
幹部海上自衛官としての道を固めて欲しい」

「また、1日として同じ日はない海の上で、
あるいは様々な文化に彩られた各寄港地において
柔軟な心と広い視野を養うとともに、
長期、かつ制限された艦内生活においては、
思いやりとユーモアを忘れず、
仲間との間に真の信頼関係を築いてもらいたい」

「こうして鍛えられた生活こそが、必ずや
幹部海上自衛官としてのリーダーシップにつながるはずである」

サイドパイプが「軍艦」に混じりました。
樋ノ口二佐が、ラッタルを一段抜かしで登っていきます。

こちらの幹部とともに舷門からすぐ艦橋に続く入り口を入っていかれました。

ちなみに日焼けした彼らの顔は、純白の制服とコントラストが大きすぎるため、
写真は顔をわかりやすくするためそこだけ明るく加工しております。

「かしま」乗員代表として岸壁に整列していた海曹、海士も行進を行います。

「乗組員諸君は、一人一人が上官であることの自覚を持ち、
眞鍋司令官のもと一致団結し、
将来の海上自衛隊を担う人材育成に励んでもらいたい」

「かしま」艦長堀川雄司一佐。

「世界の安全保障環境は大きく変化し続け、
海上自衛隊の果たす役割は質量ともに拡大している。
そしてまことに厳しい環境にある」

艦長が受け取った花束を抱えて行進するのは練習艦隊艦長副官です。

「世界の海を見て、世界の海軍と交流した諸君が、
一回り大きくなって11月に帰国することを、
海上自衛隊総員は一日千秋の想いで待望している」

最後の実習幹部がラッタルから艦内に乗り込みました。
サイドパイパーである舷門の海曹が、サイドパイプを手にして準備を行なっています。

日本国遠洋練習艦隊司令官、眞鍋浩司海将補、乗艦。
まっすぐ歩いて行って、舷梯の手前で華麗にターンしたところ。

一挙一動が皆の注目を浴びるこの所作は、長年のネイビー生活によって作り出されたもの。
役者などにはそうそう真似のできない、厳しい日常に裏打ちされたスマートさが光ります。

引き渡し式、移転のための出航式、いずれの場合も、司令官乗艦は
全ての乗員が乗艦し終わって一番最後に行われる、華々しくも厳粛なイベントです。

男と生まれて船乗りになったら、誰しも夢見るのがこの瞬間ではないでしょうか。

ここでとりあえず式典が終了し、出航のための準備が行われることがアナウンスされました。
同時にこちらではラッタルの収納が行われます。

地上と艦上の海曹たちが、まず舷梯の手すりを倒して収納。
手すりは限定と平行に倒せる仕組みになっています。

手すりを外した後、登っていかなくてはならないのかと心配したのですが、
下の方にいる海曹は地上に戻りホッとしました。

「いせ」は舷梯の収納は完璧に自動化されていましたが、こちらは
ロープをひっ掛けてウィンチで引き上げていく仕組みです。

降ろされたロープの輪になった部分を装具に掛けているところ。

待っている間この作業を見るしかすることがないので、皆このように注目してます(笑)

向こうはインド軍の方のようですね。

ロープ掛けはこの海士くんが一人で行いました。

クレーンが上がる間、ロープが外れないように抑えている海士くん。
何気なくやっているようですが、なかなか危険な作業です。

このまま引き揚げていきます。
ロープをかけ終わった後の海士くんの躍動感を見よ。

引き揚げられた舷梯はそのまま持ち上げられ、舷側にぴったり収納されます。

「岸壁でのお見送りまでもうしばらくお待ちください」

とアナウンスがあったので、来賓客は係が呼びに来るまで座っていましたが、
その前にどこからともなく、我慢できなくなったお母さんやらお父さんやらが・・。

江田島での埠頭でもそうでしたが、誰か一人が出ていくと、
決壊したダムのように人がわらわらと後に続くといった感じです。
息子娘の姿がそこにあるのにもう待ちきれない!という思いがつい溢れるのでしょう。

ちなみに写真係の海曹も、三脚を抱えて艦首側に向かって疾走しております。

実習幹部の純白の制服が登舷礼の用意を終えて舷側に綺麗に並んでいます。
日本国練習艦隊、いよいよ出航準備が整いました。

 

続く。

 

 


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