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戦車火砲〜平成29年度富士総合火力演習

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遠中距離、近距離火力、ヘリ火力の展示が終わり、
続いては対空火力である87式時装甲車機関砲の展示です。

87式辞装甲車機関砲、通称「ハチナナAW」。
いつもぐるぐる回っているちょんまげのようなものは索敵を行うレーダーのアンテナ、
前を向いているお皿は追尾レーダーのアンテナです。

 

薬莢が散らばっているのが確認できます。
前回話したゲパルト自走砲をモデルに作ろうとしたため、やはりこれにも
エリコンの35ミリ機関砲を2門搭載しております。

火を噴くと同時に砲のあちらこちらから白煙が噴き出してきます。

銃撃は4秒で終わりましたが、搭載砲は1分に550発撃ちますから、
この間に目標に撃たれた弾丸は全部で150発くらいということになります。

その一つ一つが破壊力のある35ミリ銃弾であるわけで・・。

ちなみに、89式装甲戦闘車が搭載しているのは同じ35ミリでも
弾速が1分間に200発というタイプ( KDE)です。

 

さて、次はいよいよ戦車火力の展示です。
周りのカメラ陣がすわっ!と緊張を高める空気が伝わってきました。

まずはみなさんが

「タイミングがわかりにくいので撮るのが難しい」

とおっしゃるところの74式戦車ですが・・・、

どうよ。

と思わず得意になってしまうくらい、今回は当たりました。
冒頭写真は爆発する炎の中から飛び出す砲弾の曳光が捉えられています。

74式戦車はいつもそれ専用に設置された坂を登り、登坂姿勢のままで
射撃を行うことができるという特性を見せるための展示を行います。

坂をうぃ〜んと登って行って、停止したのち発射。
というわけで、周りで、

「停まったら3秒後!」

とまるで合言葉のように大きな声で繰り返している人がいましたが、
実際に映像で確かめると3秒ではなくだいたい4秒少しくらいでした。
この1秒の違いが大きいのですが。(´・ω・`)

どうよ。

今回嬉しかったのは74式がよく撮れたことです。

こんな周りからの情報と自分のカンを駆使して一瞬を逃さぬように
シャッターを押し、コンマ単位の瞬間が大当たりして会心の写真が撮れたりすると、
否が応でもアドレナリンが噴出してくるのを感じます。

こと写真に関してはそんなに欲のないわたしですら。

皆やっぱりこの瞬間のために、苦労していい席を取るんだろうなと思いました。

ちなみにこの後74式戦車は、停止直後でも正確に射撃できることを示すため、
停止してしてすぐ発砲しますので、タイミングは4秒後とは限りません。

というわけで展示を終えて軽快に退場する74式。

戦車隊の人がほぼ全員メガネをかけているようなのですが、気のせいですか。

 

74式戦車は採用後40年近く経っているとは言え、主砲の105ミリ弾に
93式徹甲弾を採用しているので、現代の戦車とも「対等に戦える」そうです。

航空機や潜水艦と違って、模擬戦ができるってもんでもないと思うのだけど、
どうやって戦車戦の勝ち負けって判定するんでしょうかね。

続いて90式戦車が入場してきました。
4台の90式が土煙を立てながら坂を降りてくるシーンは圧巻。

イメージだけではなく三つの戦車の中でもっとも車体が大きいのが90式です。

 

90式のエンジンは150馬力で、10式より大きいのですが、
車体が重たいのでスピードは遅くなります。

「とまれえっ!」

の掛け声で急ブレーキをかけて車体をつんのめらせるのも展示ならでは。
74式と比べると車体が重くてなおかつスピードが速いので、こうなります。

これを「殺人ブレーキ」と呼ぶ人もいるとかいないとか。

74式の成果に比べ、今回は不思議なくらい90式は撮れませんでした。
唯一写っていたのがこの左側の砲弾らしき炎です。

戦車火力の最後はお待ちかねヒトマル式戦車です。
とは言え、制式採用されてからもう7年になるんですね。

火力、機動力、防護力を向上させ、さらにコンパクト化されていますが、
砲塔の大きさは90式より大きいので、見た目も大きく見えます。

左稜線に進入し、後続の同小隊の2両を援護するために射撃したところ。

いえーい。

コンマの狂いもなく同時に砲撃を行なっています。

先ほどの稜線にいた2両が1班、続いて進入してきた2両が2班となります。

「後進射撃」というから後ろ向きに走りながら撃つのかと思ったら、
普通に進入すると同時に撃ちました。

砲撃の瞬間、砲塔の上の人は相当熱いのではないかという気がします。

炎が消え、戦車の前部に煙がまとわりつくところもいとおかし。

報道写真やその他ネットに出回る写真にはあまりない瞬間なので載せておきます。

これもあまり出回っている写真にはないシーン。
砲撃の一番最初の瞬間で、シャボン玉のように可愛らしい炎が噴き出しています。

続いて2班の戦車は小隊長に

「前方に障害確認、後退する」

と報告をします。
10式を10式たらしめる性能を見せるため、後退蛇行射撃を行うのです。

言っておきますが、この蛇行射撃の時の撮りにくいことと言ったら、
74式戦車の時の比ではありません。

しかし・・・

やっほーい。

後退蛇行しながらの射撃は極めて高度な技術を要します。
10式の安定性と高い起動性能あって初めて可能となった攻撃&避退です。

ちなみにバック走行時の速度は、10、90、74式戦車の順に速くなります。

90戦車は”どんがら”の割に案外速いのですが、74式は90式より小さいのに
まずこれでは敵から追撃された時助かるまい、というくらいノロノロ走行ですし、
もちろん後退しながら銃弾を撃つこともできません。

んが、日本で運用するぶんには(つか実戦に投入される予定もないので)無問題。
それこそゴジラでも出てきて、ヒトマルもキュウマルもやられてしまい、
残った装備で特攻作戦を余儀なくされた時くらいですかねー。(失礼か?)

こうして挙げていくと、今回は結構発砲シーンが撮れていたように見えますが、
実はちょっと悔やむべき失敗があったのでした。


といいますのも、Nikon1V3のスマートフォトセレクターという

「適当に押せば5枚ベストショットを残してくれる」

というお節介機能を使うことをふと思いついたのですが、隣のNikon持ちが、

「それ、40枚の保存もできますよ」

と現場で(しかも展示が始まってから)悪魔のように囁いたため、
90式の展示前に切り替えてもらったら、なんとシャッター押し直後、

「保存枚数を超えています」

という謎メッセージが出て、しかもリカバーするのに時間がかかり、
貴重なシャッターチャンスが失われたからです。
あとで余計なお世話だったと謝られましたが、反省すべきは
現場で初めてのモードを試そう、などという気になったわたしでした。

手前を狙っていたのに後ろの戦車の発砲炎が撮れた例。
要は失敗ですが、これはこれで。

炎が消えていく瞬間。

本日のベストショットはなんといってもこれ。
こういうのが撮れると、ついついその気になってしまいます。

というわけで、この後、隣のNikon持ちから、買い替えのために
下取りに出すというD810の購入を決意したわたしであった。

くねくね蛇行しながら後退、というのも最近は見慣れてきたものの、
こうして実際に妙に身軽な動きを見ると、改めて10式戦車とは
日本の誇るヘンタイ技術の粋を集めたっぽいと感心してしまいます。

今年は際に履帯が外れたり破片が飛んできたりという事故もなく、
無事に安定した展示を見せてくれた戦車隊でした。

 


装備展示、もう少し続きます。

 

 


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