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参院選の結果に思う〜聯合艦隊解散の辞・東郷平八郎

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目黒の防衛省内にある海上自衛隊幹部学校は
海軍大学時代からの所蔵だった貴重な歴史的資料を見ることができます。

もっとも、誰でも見られるわけではなく、許可を得てこの目黒地区に入り、
幹部学校の関係者が同伴しなくてはいけません。

わたしは幸運なことにあるご縁を得て幹部学校見学の許可を戴き、
こうやって海軍軍人たちの墨跡を実際にこの目で見ることができ、感激の至りでした。

ただ、どんな歴史資料を見ても思うことですが、いざその場にいるとただ茫然と
目の前をとんでもない貴重なものが次々通り過ぎていくがままに、
ほとんど無心の状態で過ごし、あとになって写真を見ながら、
「こんなことが書いてある」
「こんなものが写っている」
と、思い返してはもう少しちゃんと写真を撮るべきだったとか、別の角度でも撮っておくべきだったとか、
軽い後悔に苛まれたりするものです。

なかでもこの東郷平八郎の「聯合艦隊解散の訓示」。

こんな物凄い資料を、一部光って字が読めない状態の写真一枚しか撮ってこなかったとは。
そして何より、もう少しちゃんと肉眼で細部を記憶に刻んでおくのだったと思ってしまいました。

この一部をアップにしてみましょう。



「ナイル」と「トラファルガー」に二重線がついているのは、
勿論東郷元帥自身の筆によるものでしょうか。

少し前に記念艦「三笠」に展示されている東郷元帥の手帳の字が
「あまりきれいじゃない」という話になったことがありますが(わたしが言ったんじゃありませんが)
この書を見る限り、実にきっちりとした、折り目正しい筆使いで、
やはりあの手帳の字の乱れは揺れる艦内で書いたせいか、などと思います。

それにしても、これだけの長文を筆で書くにあたって、よくこれだけ真っ直ぐに、
文字の大きさも全く同じに、何よりも間違えずに書けるものだと感心しました。

この頃の人は正式な文書をみなこの調子で作成していたので、慣れているのでしょうが、
それにしても、途中で間違えてやり直し、というようなことになったとき、それがほとんど
最後の方だったら嫌になったりしなかったのでしょうか。

ところで、この「聯合艦隊解散の辞」ですが、残念ながら原書ではありません。
昭和31年と言いますからもう60年近く前に複製が寄贈されています。
当時のコピー技術でよくこれだけのものができたなあということを考えると
これはこれで非常に貴重ではないかと思ってみたり。

その原本ですが、横須賀の記念艦「三笠」で見ることができます。

この内容は発表されるや否や世界中に発信され、翻訳されて
各方面に感銘を与えました。


ここで、その内容を、非常に長いのですが僭越ながら現代語に直してみました。

二十か月以上にわたった戦いもすでに過去のこととなり、
わが連合艦隊は、今やその任務を果してここに解散することとなった。

しかしそのためにわが海軍軍人の務めや責任が軽減するということではない。
この戦役で収めた成果を永遠に生かし、さらに一層国運を隆昌せしめるには、
平時であっても、まず外敵に立ちむかう海軍がその武力を海洋において保全し、
ただちに、その危急にあたる覚悟が必要とされる。

武力というものはつまり、ただ艦船兵器だけを言うのではない。
これを活用する無形の実力のことでもある。
百発百中の砲は、百発打っても一発しか当らない砲なら百門と対抗できるのであり、
この理に気づくなら、われわれ軍人は武力をただ形而上のことに捉えてはいけない。

日露戦争でわが海軍が勝利を得たのは、天皇陛下の霊徳に頼るとこころ大であるが、
将兵の平素の練磨によってあの結果を得たともいえる。
実際に起こったことから将来を推し量るとすれば、たとえ戦いは終わっても
安穏と休んでいるわけにはいかないと思われる。

考えるに武人の一生は戦いの連続であって、平時であれ、戦時であれ、
その責務が軽くなったり重くなったりするものではない。
事が起これば武力を発揮するし、無いときには涵養につとめ、
終始一貫その本分を尽くすことにある。

過去一年半の間、風波と戦い、寒暑に耐え、しばしば強敵とまみえて
生死の境にあったことは、もちろんたいへんなことではあったが、
考えてみると、これもまた長期の一大演習であって、これに参加し、
多くの知識を啓発することができたのは、武人として、この上もない幸せであったと言え、
これを戦争の労苦などと言えたものであろうか。

武人が太平に安心してしまったら、兵備の外見がいかに勇ましく見えても
それはあたかも、砂上の楼閣のようなもので、
ひとたび暴風一過すれは、たちまち崩壊してしまうであろう。

まことに戒めるべきことである。

むかし神功皇后が三韓を征服されて後、韓国は四百余年間わが支配の下にあったが、
一たび海軍が力を失うと、たちまちこれを失い、また近世に至っては、
徳川幕府が太平に安んじて兵備をおこたると、数隻の米艦の応対にも国を挙げて苦しみ、
またロシアの軍艦が千島樺太を狙ってきてもこれと抗争することができなかった。

翻って西洋史を見ると、十九世紀の初期、ナイル及びトラファルガー等に勝った英国海軍は、
祖国を世界の頂点に置いたばかりでなく、それ以後、後進がこれを受け継ぎ、
よくその武力を維持し、世運の進歩に遅れを取ることが無かったからこそ、
今日に至るまで永く国益を守り、国権を伸張することができたのである。

考えるに、このような古今東西の戒めとすべき例は、為政によっても違ってくるけれども、
主として武人が平にあっても、乱を忘れないでいるかそうでなかったかということの結果なのだ。

我等戦後の軍人は、深くこれ等の実例に顰(ひそ)み、
これまでの練磨の上に、実戦における体験を以て、さらに将来の進歩を図って、
時勢の発展におくれないように努めなければならない。
そして常に聖諭を泰戴してひたすら奮励し、実力の満を持して放つべき時節を待てば、
乞い願わくば、永遠に護国の大任を全うすることができるであろう。

神は平素ひたすら鍛錬につとめ、戦わずして既に勝てる者に勝利の栄冠を授けると同時に、
一勝に満足して治平に安ずる者からこれを取り上げてしまわれるであろう。

古人曰く、「勝って兜の緒を締めよ」と。

一言で無理やりまとめると、

「平時に国防に対する軍の備えとその心構えの無き国は隆盛しない」

と言っているわけですね。
「勝って兜の緒を締めよ」がすべてを言い尽くしている内容です。

こうやって現代語に直しながら読んでいると、全く現代にも通用する不変の真理であると言えます。
アメリカのセオドア・ルーズベルト大統領(テディ・ベアのセオドア)がこれに感激し、
直ちにこれを英文に翻訳して全軍に布告させただけのことはあります。

東郷長官の訓示は録音されレコード盤に残されており、現在それがyoutubeで聴けます。

聯合艦隊解散之辞(上)
聯合艦隊解散之辞(下)


しかし、この文体でこの読み方。
せっかく素晴らしいことを言っていても、このお経のような抑揚のない読み方では
その場で聴いている将兵たちには、畏れながら玉音放送のごとく
あまり意味がストレートに伝わらなかったのではないかと思ってみたり・・・。

因みに、この英訳文によると、最後は

"Tighten your helmet strings in the hour of victory."

となっています。
紐の無いヨーロッパの兜しか知らない者に、どの程度この最後の文章が
感覚として「ぴんときた」かどうか興味があります。



戦後一発の銃砲も撃ったことのない「軍隊」を持ち、平和を享受し続けてきた日本は
東郷平八郎の言うところの「平時」において「乱」を忘れてきた状態にあります。

しかしその中でも、軍隊たる自衛隊はたゆまぬ鍛錬によって力を維持せんとし、
何よりその精神性のうえに専守防衛を貫いてきました。

東郷平八郎が全海軍に布告したこの精神が現在にも自衛隊に受け継がれているのは
疑いようのないこととしても、問題は日本という国そのものが、平和の長きに甘んじてきた結果、
国家主権を他に移譲しようと公言するが如き輩を首長に戴くような政権を生むまでに
「平和ボケ」を拗らせてしまったことです。

死期の近づいた野生動物の周りに嗅覚鋭く近づくハイエナのように、
そういう国にはこれを利して益を得ようとする勢力が元気づくものです。

まさしく東郷長官の言う

「治平に安ずる者から勝利の栄冠をを取り上げてしまわれ」

ようとする神が、平和に安んじた日本をあたかも試すかのように。


4年前、民主政権が誕生したときには、中国も韓国も歓迎ムードであったと記憶します。
しかしそれはあくまでも日本が「与し易い相手」となることへの期待であり、
事実その後両国からは「付け込まれた」としか言えないような外圧が相次ぎました。

そして、このたびの参院選での自民公明圧勝に対し、中国はさっそく

「安倍政権の長期化は、日本がアジア太平洋地域、
ひいては世界の不安定化の源になることを意味する」

と警戒感を示す論評をだし、両国の「関係悪化」を憂慮しているということです。

この傾向は国内のメディア始め左派にも顕著で、安倍政権はまず
国内におけるこの戦いに直面しなければならないことが明らかとなりました。

「日本はどこへ行くのか」

と言ったようなアジテーションめいたメディアの「煽り」を何回目にしたでしょうか。
しかし、この「圧勝」は、どのようにメディアが言い募ろうと国民の民意です。

勿論4年前の結果も民意であることには変わりありませんが、
前回と今回の結果において、国民の意識は全く性質を異にしている感があります。
つまり、すっかりメディアの煽動に乗って「信じて、そして裏切られた」有権者の
いわば自己嫌悪が反動となって表れたのが今回の参院選の結果でしょう。

そしてまた、中国の示威行動、韓国の挑発的行動と侮辱的反日行為に対し、
危機感も勿論ですが、国が誇りを傷つけられるということが
いかに屈辱的と感じるかを思い知った日本人が多かったか、ということなのです。

この国民の意志は当分メディアの先導によっても覆ることはないでしょう。


「聯合艦隊解散之辞」は平時にも武力を、そしてそれを維持する精神こそが
国体を護持するために必須であると説きます。


為政は国民の幸福のためにも常に矜持を伴った平和を追求するべきで、その真理は不変です。

しかしながら平和を支えるその根底には、武力の弛まざる琢磨があってこそだということを
この書は今日もわたしたち日本人に説いてやみません。







 


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