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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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邂逅〜潜水艦「せいりゅう」入港式典 @ 横須賀地方総監部

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さて、潜水艦「せいりゅう」の入港式についてお話しするのも最後になりました。
ラインを岸壁と艦の間に渡し、係留して固定する作業が終わり、続いては
全員が上陸する準備にかかります。

艦橋の艦長以下青いストラップの幹部は、一人ずつハッチに消えました。

潜舵からも甲板に降りることができるのを初めて知りました。

潜舵横に付けられた足場を降りていくことができるんですね。

潜舵に出入りするドアはどちらも解放されていたので、下からは
向こうがドア越しに見えるというなかなか珍しい光景が見られました。

自衛隊の潜水艦は川崎重工と三菱重工で交互に作っていますが、両社の製品は
同じ規格でも微妙に違うのだそうで、例えばこのドア部分、

「四角いのが三菱、丸いのが川重」

で見分けることができるのだそうです。
(裏を取ってないので確かな情報かどうかは知りません)

作業中に着ていたオレンジの救命胴衣を脱ぎ、全員が艦尾甲板に整列を行いました。

入港してくるときに行進曲「軍艦」の演奏を行った横須賀音楽隊、
乗員の上陸に演奏したのは「海をゆく」でした。

艦長を除く幹部を先頭に、上陸が始まりました。
わたしはてっきり「入港」というのは形だけのことで、「せいりゅう」は
昨日のうちに一度入港していわゆる「立て付け」を行っているはず、と
思い込んでいたのですが、本当のところやはりこれが「初上陸」なのでしょうか。

 

この日の見学者は招待客、隊員の家族や関係者、水交会などの団体、
防衛モニターといったところだったと思います。

彼らの行進を見て、近くにいた防衛モニターらしい女性が

「あー、鼻血出そうになった」

となかなか斬新な感想を述べていました。

幹部は艦長を入れて5名。
副長、航海長、船務長、水雷長、それから機関長かな?

あれ?さっきラインを岸壁で引いていた人がいるような気がするぞ。
ということは、やっぱり事前に「上陸」していたのかしら。

海士の皆さんの帽子の真新しいリボンには

「第6潜水隊」

の金文字が眩しく光っています。
水兵さんの帽子に所属を記すのは帝国海軍からの伝統ですが、
この漢字表記って、外人さんからは結構クールに見えると思うんだな。

川崎重工で行われた「しょうりゅう」の進水式の時、新造艦の艤装艦長は、
必ずどこかの艦長を経験していなければいけない、とどなたかに聴きました。

横須賀地方総監に着任の報告を行います。

わたしは3月12日、神戸で「せいりゅう」の引渡と就役を見届けましたが、
その後、「せいりゅう」は約三週間呉で習熟訓練を行ったのち、
ここ横須賀に着任したという流れだそうです。

入港式典は非常にシンプルで、総監に挨拶の後は、
横須賀の議員が艦長に花束を贈呈、花を抱いたまま艦長挨拶、
その後は横須賀市長代理が市長の激励の言葉を代読、というものでした。

それが終わると、岸壁に乗員が整列したまま、式典も終了となります。
終わって、なんとなく自分の家族や関係者をその場で待っている乗員の皆さん。

わたしが今回初めて入港式典に参加してよかったと思ったのは、
進水式、引渡式では決して見ることのできない、乗組員たちの
久々の家族との再会シーンをそこここで見ることができたからでした。

制服のまま久しぶりに我が子を抱き上げるパパの姿があちこちに・・・。

海士の皆さんはまだ独身が多いので、再会するといっても地元のご両親や
あるいは友達だったりが多いようでしたが、中には若いパパらしき人も。

潜水艦をバックに家族写真。

「せいりゅう」乗員は艤装中は神戸にいたと思われますし、その後は呉。
家族の顔を見るのはどれくらいぶりなのでしょうか。

お父さんの帽子を被って敬礼。
将来有望だ。

この男の子は、お父さんの首に手を回してしがみついていたと思うと、
小さな手と顔を制服の胸にしっかりと押し当てたままじっとしていました。

まるで父親の存在を確かめるように。

艦内で配置に着いていて、家族と会うために(多分)いそいそと降りていく
乗員がいれば、かたや当直で、ずっと立っていなければならない人たちも。

できたばかりとはいえ、進水以来二年間ずっと海に浸かっていたわけですから、
それなりに水垢のようなものが付着しています。

艦首部分にあるこのコブのようなものは、ソナーシステムのうちの一つで、
魚雷警報装置(逆探ソナー)だそうです。

艦体には色々と貼られていますが、これらはターゲット・ストレングス
TSレーダーでのRCSに相当する概念)低減のため、入射音を
音源と異なる方向に全反射させる反射材や水中吸音材です。

ところで、潜舵の横から降りていくと、こんなところを通って行かねばなりません。
手すりもついているし床は滑らない素材だとは思いますが・・・。

そして乗員はほとんどが岸壁に出ていってしまいました。
なんども言っていますが、潜水艦は外殻の厚みを知られないように、
ハッチにカバーをかけて隠してしまいます。

任務に就くと消されてしまいますが、この日は艦体に

「せいりゅう」

と文字が書かれていました。
この日も来ておられた着物の女性は書家で、自衛隊内で
書道を教えたり、揮毫をされるという話を知人に聞きましたが、
この「せいりゅう」もその方が書かれたのかもしれません。

 

自衛艦に入ると必ずそこにある艦名が書かれた名札は、
例えば「いずも」「いせ」などはその名前の神社の宮司が手掛けますが、
それ以外はこの書家が担当することが多いということでした。

「そうりゅう」型から採用されたX舵。
それはいいのですが、藻がすごい・・・・。

まあ、新造艦とはいえ進水して2年経っているので無理ないか。

艦体の素材も反射やら吸収やらでデリケートだからゴリゴリ削るわけにいかないし、
いくら取ってもすぐに付いてしまうのであきらめモードなのかも。

ところで書家の人はこの字をまさかここに直接書いたのではないですよね?

家庭持ちの乗員はずっと岸壁にいましたが、海士クラスの若い人は
誰も来ていなければとっとと艦に戻って行く傾向にあり。

給汽、というのは気体を供給することで、航空自衛隊には
「給汽員」というボイラー関係の資格職があるそうですが、ここにあるのは
どう見ても船に給気する装置です。

Mpa は空気の圧力の単位で「パスカル」ですね。

でも、具体的にどんな船にどういう目的で給気するものかはわかりませんでした。

程なくわたしたちは横須賀地方総監部を後にし、メルキュールホテルの一階で
お約束の「ゆうぎりカレー」を早めのお昼にいただいて帰りました。

神戸で引渡式とその出航を、そしてこの日に配備された横須賀への入港を見届けて、
その独り立ちと、これから任務に就く彼らの姿に大いに感銘を受けたのも事実ですが、
何より久しぶりの家族と邂逅する父親、あるいは夫としての同じ人々の姿を見たことで、
自衛官と彼らを支える家族に対する感謝の想いが一層深まるのを感じました。

 

今回、直前にも関わらず入港式典参加をお取り計らいくださった皆さま、
この場をお借りしてお礼を申し上げます。

どうもありがとうございました。






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