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MiG仕様のアグレッサー「ホーネット」〜空母「ミッドウェイ」博物館

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わたしたち日本人にはすっかりおなじみ

 F-4 Phantom II ファントムII
マクドネル社

ファントムIIは海軍、海兵隊、空軍に初めて採用された
ジェットエンジン式の多用途戦闘機です。


全てのミサイルを搭載できるだけでなく、爆撃や近接航空支援にも対応でき、
それだけでなくソ連のMiG戦闘機とドッグファイトを繰り広げる能力もありました。

最終的にF-14に置き換えられるまでF-4は一線で活躍し続けた名機です。
「ミッドウェイ」でF-4が運用されていたのは1987年までということですから、
ここにあるのが「ミッドウェイ」のものだとするとすでに30年前の機体ということになります。

が、

我が航空自衛隊では2018年5月現在、まだ現役でございます。
それは日本だけでなく、ギリシャ、エジプト、韓国、イラン、トルコ空軍では
まだまだ改良、近代化を重ねて運用され続けてているのです。

ただもう日本はようやくというか、次期後継機 F-35の運用が目前ですので、
日本の空にファントムが飛ぶのを見られるのももうあと僅かでしょう。


ちなみに2018年1月26日にF-35 1機(AX-6)が午前11時頃、三菱重工業の
小牧南工場がある小牧基地から三沢基地に到着、航空自衛隊三沢基地に配備されました。
到着時には同基地の隊員らが整列して出迎え、パイロットに花束が手渡されたそうです。

このパイロットというのは、F-35を操縦してきたパイロットということですね。
wikiの情報によると、2017年5月18日には2名のパイロットが空自で初めて
アメリカのルーク空軍基地においてF-35の訓練課程を修了したということですので、
この2名が三沢基地に機体を運んだということなのでしょう。

それにしても、この二人がどういう経過で第一号パイロットに選ばれたのか、
どんな優秀な人たちなのかものすごく興味があります。

ブルーインパルス出身とかかな。

話が逸れました。
このファントムIIは空母「コーラル・シー」に搭載されていたものです。

「コーラル・シー」はミッドウェイ級の3番艦で、やはり1990年まで
「ミッドウェイ」のように元気に第一線で活躍し続け、

「Ageless warrior」(不老の勇士)

と奉られていたということです。

不老の勇士、その尊称は現在日本の空を飛んでいるファントムにこそ
捧げて欲しいと、わたしは心から切望するものです。

搭載されている爆弾には

Mk82 General Purpose Bomb

とマーキングされています。

Mk82はダグラス・エアクラフト社が開発した航空機搭載爆弾で、
アメリカ軍が制式化している低抵抗通常爆弾としては2番目に小さく、
単体で投下することも、GPS誘導のJDAMキットなどを装着することで
誘導爆弾としても用いることができるという優れものということです。

インスタにアップでもしているのか、携帯をずっと打ち続けている人が
一向に前を退いてくれないので、そのまま撮ってやりました。

F/A 18 Hornet 「ホーネット」攻撃戦闘機
マクドネル・ダグラス社


 F/A-18ホーネットは、戦闘機と爆撃機の両方の機能を持つ艦載機として
初めて空母で運用された機体となります。

1983年から運用されて以来、徐々に他の航空機に取って代わってゆき、
今では現行機体のほとんどを占める攻撃爆撃機です。

それにしてはこの色はなんだか変じゃね?と思われた方、
そして、なぜ赤い星がついてるんだ?と思われた方、あなたは鋭い。

この塗装はMiGファイターに似せたものなんですよ。

MiGに似せてペイントされたこのホーネットは、アグレッサーとして
トップガンの航空戦闘のために使われた経歴があるということなのです。



アメリカ海軍航空隊の訓練で敵機を「演じる」部隊を

「アドバーサリー部隊」(Adversary)

と呼称します。
日本では「アグレッサー部隊」の方が有名かもしれませんが、それは
映画「トップガン」のもたらした影響かもしれません。

前回フライングで映画「トップガン」について散々お話ししてしまったのですが、
ここは基本に帰って、「トップガン」のなんたるかを説明しておきましょう。

 

ベトナム戦争時代、アメリカ海軍では航空戦でMiGを相手に苦戦した体験から、
1969年、アドバーサリー(仮想敵)を務める技術を学ぶ、

NFWS(海軍戦闘機兵器学校)“トップガン”


を開校しました。

ご存知かと思いますが(わたしは割と最近まで知らなかったので一応)
「トップガン」というのは、そのものがアグレッサー部隊なのです。

そして同時に「アグレッサーとしてMiGを演じる部隊」が編成されました。
最初にアグレッサーになったのはA-4、空軍のT-38やF-5E/Fなどです。

しかし実際の敵であるソ連空軍にもそのうち高性能なSu-27やMiG-29などが出現したので、
そうなるとこのF/A-18A/B、またF-14、F-16Aが「仮想敵」となりました。

ちなみにF/A-18は現在もアグレッサーとして使用されているそうです。


それではなぜここにその現役のアグレッサー機体がいるのかという話ですが、
おそらくこの機は単に経年劣化のため、引退することになったのでしょう。


映画「トップガン」(1886年作品)はここサンディエゴで撮影されました。
映画撮影時はまだ「トップガン」はサンディエゴにありましたが、
その後1996年、ネバダ州のファロン海軍基地に移転しています。

学校といっても1年に6回トレーニングが行われるだけ、しかも一回のクラスには
たった12人しか採用されないので、(彼らはエリート中のエリートです)
特に施設を必要とするものではなく、移転は簡単に行われたようですね。

 

しかしサンディエゴ市内には映画でグースが弾いたピアノのあるバーがまだそのまま
存在しており、サンディエゴに寄港した練習艦隊の幹部などは訪ねることもあるようです。

しかし、ただ一人酔わなかったと聞いた途端手のひらを返しておいてなんですが、
グースのアンソニーって、トップガンに選ばれるようには見えないよね。
ERの「グリーン先生」みたいな役の方がぴったりくると思う。

まあ映画でも向いてなかったという設定にされてましたけど。

蛇足ですが、トップガン出演者のビフォーアフターというページを見つけました。
これを見ると、トム・クルーズがいかに超人的若さを保っているかわかります。

アイスマンなんて太ってしまって酷いことに・・・。
前回、わたしが「トップガン2」ができたら「アイスマン」だった
ヴァル・キルマーは海軍バーのマスターがいいところだ、と書いたのですが、
この写真を見ればきっと賛同してくれる方も多いことと思います。

 

ちなみに、ベトナム戦争におけるキル・レシオ(撃墜対被撃墜比率)の結果
3対1というアメリカにとっては非常にショックな数字を踏まえ、
空対空ミサイル性能の低さによる「ミサイルキャリアー論」の批判と、
空中戦闘機動の重要性をレポートした、

「Missile System Capability Review」(俗にいうオルト・レポート)

によってこのトップガン構想を打ち出したのは空母「コーラル・シー」艦長だった
フランク・オルト( Frank Ault )大佐だったそうです。

このレポート、もちろんわたしもちゃんと読んでませんが、
表紙とかが無茶苦茶雑で、アメリカ海軍ってこんな書類を出すんだー、と
結構興味深かったので一応添付しておきます。

後半にはトップガン構想(レポートでは "Advanced Fighter Weapons School"
の必要性、となっている) について言及されていますので、
原文ですが、もし興味がおありでしたら読んでみてください。


さて、前回トップガンについて書いたところ、Kさんから本のご紹介をいただきました。

F-14トップガン・デイズ 最強の海軍戦闘機隊 デイブ・バラネック著

映画「トップガン」のクレジットには、MIG PILOTの中に
DAVE”BIO"BARANEKというこの著者の名前が見られるそうです。


この本(を読んだKさん)によると、映画「トップガン」では
トム・クルーズ扮する『Maverick』が教官『Jester』に墜とされていましたが、
実際は生徒の乗るF-14の機体能力が格段に優っていたため、
教官の乗るA-4やF-5が墜とされていたのだそうです。

上の方でわたしもF-16の導入理由について同じことを書いていますが、Kさんも

「共産国にMIG-29やSU-27が配備されると慌てて教官機を
空軍機F-16に換えたことも頷けます」

というご意見だそうです。

この本には、函館事件でアメリカに亡命したベレンコ中尉が、
米軍航空基地を巡回してブリーフィングをしていたことも書かれているとか。

ヴィクトワール・ベレンコは亡命後、アメリカ軍に情報供与を積極的に行い、
政府から身体の安全を保証されていたそうですね。


Kさんによると、航空自衛隊浜松基地にある航空教育集団の幹部の方などは、
パイロットを志した要因に『TOPGUN』の影響があると云っていたそうです。

ところが、現在T-4練習機で訓練をしている戦闘機乗りのタマゴたちのなかには、
この映画を志望動機に挙げる訓練生はまずいないのだとか。

映画「TOPGUN」の公開は1986年。
昭和は遠くになりにけり、というところでしょうか。

 

こちらは空軍アグレッサー部隊の超かっこいい編隊飛行です。
手前から二番目はここにあるホーネットと全く同色にペイントされています。

 

続く。

 

 

 


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