平成30年度観閲式で朝霞訓練場に展示されていた装備をご紹介しています。
81式短距離地対空誘導弾
よくよく見ないと普通の重装輪車みたいですが、総火演でも
03式の地対空誘導弾などを撃つところは見せてくれません。
弾薬の運搬から発射まで見せてくれる映像が見つかりました。
陸上自衛隊 81式短距離地対空誘導弾.avi
みんなが弾薬を人力でえっさえっさ運ぶところから始まります。
最後に
「当たった!」
みたいな感じで手を叩いて喜んでいますが、何に当たったんだろう。
こちらは年度がつい最近つまり新型の
11式短距離地対空誘導弾
見かけがただのトラックなのは共通です。
なんと自衛隊、翌年平成12年には矢継ぎ早に地対艦誘導弾を導入しております。
ところが88式地対艦誘導弾もまだ現役だったりするんだなこれが。
今年は誘導弾まつりらしく、観閲式そのものが終わってから、
それぞれの誘導弾を動かして見せる動的展示をやります。
後でやっているのをスタンドから見ましたが、誘導弾は大きいので
なかなか展示として面白そうでした。
今回陸自が地対艦ミサイルをこのように前面に押し出してきたのは、
わたしは水陸機動団とともに、日米連携を強調するアピールと
無関係ではないと思っています。
確実に尖閣諸島を取りに来ている中国の脅威に対し、
日本も南西の守りをこれだけ固める意思がある、ということを
例えば巡航ミサイルトマホークの配備、この地対艦ミサイルを
南西諸島の各地に配備していくことで表明しようとしているのが
現政権の「タイムスケジュール」だと某所で聞いたからです。
軽装高機動車ラブ。
空自も使っていて、それはオリーブドラブ一色仕様だそうです。
それにしてもこの車で一般道を走るのって大変そう。
装甲を強くするためだと思うけど、この窓じゃ前が見えないですよね。
16式機動戦闘車(Type16 Maneuver Combat Vehicle)
かっこいいので英語の名前も記しておきました。
部隊ではエムシーヴイ、などと呼ぶそうですね。
AAV7と並んで注目を集めていた新装備がこれです。
戦車並みの攻撃力を持ちながら装輪車なので機動力が高い、
と言うのが一言でいうところの当装備の特徴だと思います。
ヨーロッパでは万が一敵との戦闘が起こった場合、戦車がやってくるまで
機動戦闘車が高速を爆走して現場に到着し、時間稼ぎをする、
という役割だそうですが、日本ではこれが都市防衛のメインになりそう。
(個人の感想です)
実は有用性が高く装備として今の日本に大変重要なのが化学防護車だと思います。
NBC偵察車
核・生物・化学兵器に対処する装備で、化学学校で見学した時、
車体の後ろからマーキングを落としたり、あるいはマジックハンドで
外部の検体(石など)の採取を行う様子を見せてもらったことがあります。
除染車
タンクに大量の水を搭載していて、汚染された車両などを除染する車です。
東日本大震災の時にはこれが実際に投入され活躍しました。
さて、こんなところで全部ではありませんが装備の見学を終わりました。
それにしても自衛官募集コーナーに貼ってあったこの茨城地本のポスター、
字がなかったら自衛官募集のポスターには全く見えません。
ところがこういうのが自衛隊募集ポスターの主流になっているという昨今。
良くも悪くもこれが今の日本なんだなと思うばかりです(しみじみ)
スタンドの裏から会場の方向を撮った写真です。
ちなみに、本番の観閲席に参加される方へのアドバイスですが、
正面周りの、特に赤スタンドなどは、朝早くから並んでいる人が
開場からおそらく数分以内に上から順番に席を取ってしまいます。
そんな早くに行けないが、せめて開場の時には現地に到着できる、という方は、
この、観閲と台正対する席を最初から狙ってしまうのも一つの手です。
この席は、本番であれば首相の顔を正面から見ることができます。
予行と違って本番はこちらもそこそこ早く埋まるとは思いますが、
最初から向かい側の前部に置かれたスティール椅子の最前列を狙えば、
なかなかいい眺めが確保されるのではないかと思います。
以上ご参考までに。
前回、2年前の観閲式では終わってから装備見学をしたのですが、
飲み物を買おうとしたらどこも売り切れで、ここまでやってきたら
この給水車があって水を飲むことができ、生き返る思いをしました。
今年も同じところに給水車が置いてありましたが、今回は
飲料用ではなく、手洗い用として配備されています。
タンク内の掃除とか、いろんな事情で飲めなくなったのでしょうか。
ところで余談ですが、この日会場にはたくさんの移動トイレが設置してあり、
そのクォリティがもう想像を絶するものだったのでご報告しておきます。
それは従来の、皆さんが想像するようなイベント用移動トイレと違い、
洋式で飛行機にあるような水洗式。(つまり下が見えない)
水は横の蛇腹のような大きなボタンを踏んで流す(手で押すのではない)。
個室の中には消臭芳香剤まで設置してあるというスーパー文化的トイレでした。
おまけに出たところにはちゃんと手洗いのための流しがあり、
そこにはなんと点検の為の鏡まで付いてます。
さすがトイレにかけては他の追随を許さない先進国の軍隊だと思いました。
このくまさん、前回はなかったと思います。
ヘルメットと迷彩服を身につけた陸自ベアー。
某ネズミの国の●ッフィーとかいう、戦略的女子力アピール用クマよりは
ずっとこちらの方が可愛くて見た目もよろしいかも、と申し上げておく。
さて、ゆっくりと見学をして席に戻ると、スタンドの後ろ側では
先ほど準備体操を行っていた第302保安警務中隊が、
昨年変更された制服を身につけて整列待機中でした。
整列前には近くの者同士で服装点検を行ったりして眼福でした。
ところで、わたしは装備関係のある現役海将の職場見学で、
市ヶ谷の執務室にお邪魔したことがあります。
一般人が市ヶ谷に入るには、入口脇にある受付で名札をもらい、
さらに直接訪問先の人物に、
「今からこういう人物が訪問しますがよろしいですか」
と内線電話で連絡をして、それからそちらに向かうという手続きを踏みます。
もちろん事前に名前を申告しておく必要もあります。
そんな手続きを経てかつて見学で通過した儀仗広場に差し掛かると、
なんと!迷彩服の警務中隊の皆さんが儀仗の訓練をしているではないですか。
しかも、垣間見ただけでもその訓練は大変厳しいらしく、心持ち
儀仗広場の空気さえ緊張しているかのようです。
「ああ・・・写真撮りたい」
わたしは思わず呟きました。
しかし写真どころか、立ち止まって彼らの様子を見ることすら憚られる
雰囲気だったので、目の端で訓練を追いながら通り過ぎました。
保安警務中隊の訓練と言っても、彼らはファンシードリルは行いません。
この時も銃を回したり投げたり、そういう訓練ではなく、なんというか
ともかくひたすら地味な訓練です。
ちゃんと見られなかったのでどんな感じと言われても説明できないのですが。
陸自の警務科部隊の任務はその名の通り保安警備が任務です。
北部、東北、中部、東部、西部の各方面隊に置かれており、
そのうち東部方面隊の第302警務中隊ただ一つが、その中から
特別儀仗隊を編成し、国賓への儀仗や栄誉礼を行うことになっています。
この制服は去年変更されたもので、音楽まつりでお披露目をされました。
陸自の新制服には色々いいたいこともあるわたしですが、
コシノジュンコ大先生のデザインしたこの制服、
特に白バージョンは大変高く評価するものです。
なんといっても素晴らしいのがジャパンレッドの使い方ですよ。
ちょっと袖あたりの赤の配し方には個人的に疑問はありますが、
今回上方からこの制服を見ると、目が行くのは帽子の鍔にあしらわれた赤。
円を描いており、誰が見てもこれが日の丸であることがわかります。
白い制服でこの赤日の丸の正帽を付けた姿は、さながら丹頂鶴(笑)
白地に赤く染められた日の丸を体現して止まない完成度の高いデザインです。
言わせてもらえば陸自の制服がついに到達し得なかった領域にある
と言っても過言ではないデザインですが、それというのも
これが全隊員ではなく、限られた儀仗隊員のためだけのものである、
という条件だからこそ実現したのだとわたしは思っております。
従来の背広+ネクタイから詰襟と斜めのラインの打合せに変えた時、
何処かから「楯の会の制服みたい」という声も上がりましたが、
わたしはあえて言います。
「楯の会で何が悪い!」
「楯の会」のあの制服はデザイン的になかなか優れていて、
戦後すぐ適当に制定された警察官のような自衛隊の制服には決してなかった、
軍服としての完成度とある種の「色香」があった、とわたしは思っています。
「楯の会みたいだから悪い」
ではなく、歴史的な経緯とデザインは分けて評価するべきでしょう。
そう、ナチス・ドイツの軍服がその完成度において後世に評価されているように。
いよいよ観閲式予行が始まりました。
ドラムに合わせて、観閲徒歩部隊が入場してきます。
まずはいつも最初に入場してくる防衛大学校学生隊。
防衛大学校学生隊は、第1から第4大隊まで、4個部隊に別れて行進です。
その一糸乱れぬ統制美に思わずため息が漏れるほど。
隊長と前列の白いたすき掛けの学生は、儀礼刀を持ち、
刀の鞘に左手を添えたまま行進。
上半身を全く固定したままの行進は側で見ているほど楽ではなさそうです。
行進止まれの号令を隊長がかけています。
もちろんわたしたちの座っているところからは全く声は聞こえません。
防衛大学校の旗は銃を持った二人に守られています。
この後、全徒歩部隊が入場し終わって初めて、観閲式が始まるのです。
続く。