開式に先立ち、徒歩部隊が防衛大学校を先頭に入場して来ます。
観閲式開始が10時に先立つこと30分前に行進が始まりました。
防衛大学校学生隊は最初の入場なので、一番長い時間待機することになります。
経験したことのある元防大生によると、これはなかなか辛いものがあるとか。
もちろん鼻が痒くなっても我慢しなければなりません。
先頭に立つのは学生隊隊長とその他4名。
今年も女子学生が一人この先頭にいます。
赤い旗は確か第一大隊だったと記憶します。
続いて防衛医科大学校学生隊。
防衛大学校との大きな違いは、指揮刀を持たず、銃を担がず、
指揮官はバトンのようなものを左手で支えていること。
彼らは戦闘種ではないので武器は持たないのです。
女子学生の場合は、制服そのものが違います。
防大も女子はスカートが用意されているようですが、
行進の時などは全員が男子学生と同じ制服になります。
医学科も看護学科も、ネクタイのブレザーにスカートのスーツで、
帽子は他の陸空海女性自衛官のと形を同じくする形です。
看護学科は保健師・看護師である幹部自衛官を養成する「自衛官コース」と、
保健師・看護師である技官となる者を養成する「技官コース」があります。
技官と言っても身分は特別職国家公務員であり、防衛医科大学病院に勤務します。
高等工科学校生徒隊。
隣の人が望遠レンズをのぞきながら、
「やっぱり一人一人を見ると幼いですね」
と呟きました。
まあ、制服を着ていても年齢は高校生ですからね。
高等工科学校では、その3年間で普通科高校と同様の教育に加え、
工科学校としての専門技術の習得、そして陸上自衛官となる為の
各種教育を行います。
前回の朝霞での観閲式のとき、関西から来たらしいかーちゃんが、
外で並んで待ちながら、たまたま隣に並んだ人に食いついて(笑)
ずっと話しかけるだけでなく、しまいには携帯の写真を見せながら、
「うちの子工科学校で今日ここ歩くねん。見たってー」
と大きな声でアピールしているの目撃しましたが、
(相手の若い人は辛抱強く話に付き合ってあげてました)
あのかーちゃんの息子も今頃は陸曹となって現場にいるのです。
高等工科学校のカリキュラムでは、学生のうちから
陸自の装備を一通り実地体験するだけでなく、富士山麓で野営の訓練をしたり、
もちろん銃も貸与されて射撃訓練を行います。
同年代の高校生とは全く顔つきが違って見えますね。
会場上空をしょっちゅうヘリが揚がり降りしていました。
この日は政府要人は来ませんが、本番通りの予行ですので、
誰も乗っていなくても本番と同じコースで飛んでいたに違いありません。
続いて陸自普通科部隊が圧倒的な人数で行進です。
地上戦闘の要となる部隊で、昔の「歩兵」です。
「陸将になるような人には普通科部隊出身が多いって本当ですかね」
と隣の人に聞いてみると、
「人数が多いからそうなる確率が高いんじゃないですか」
という意見でした。
ちなみにその人の意見によると、これからは情報関係の部隊から
必ず陸幕長が出てくるはずだ、とのことです。(個人の意見です)
同じ普通科部隊でも赤いマフラーをつけておらず、臨戦態勢の
装備をした一個中隊がやって来ました。
普通科の中の対ゲリラ・特殊部隊です。
ニーパッドに暗視装置を全員がヘルメットに付けての行進です。
白いマフラー、グレーに白の空挺マーク、第一空挺団。
隊カラーの白はパラシュートの色に違いありません。
翼の付いた落下傘マークは手作業で塗装すると聞いたことがあります。
ステンシル型があって、それを自分で吹き付け塗装するのだとか。
自衛艦旗を立てた海上自衛隊部隊。
部隊長は二等海尉、小隊長は三尉です。
観覧席で見学しているのは防衛大学校の学生でしょうか。
全員が膝に手を置き、姿勢をまっすぐに、よそ見をしている人もいません。
航空自衛隊に続き女性自衛官部隊が行進していますが、
わたしの座っているところからは遠すぎて写真が撮れません。
またしてもヘリが到着。
ユーロコプターEC-225LPです。
陸自が保有しているヘリなのにブルーと白ですが、
これは、皇室、首相、そして国賓の輸送にしか使わないからです。
東日本大震災で1機を失いましたがその後新たに購入したので
全部で3機保有しています。
VIP用なので座席は12名分、見てませんが多分ゆったりシートです。
その時、スタンドの後ろをUS-2が通過しました。
航空観閲のために今到着したようです。
徒歩部隊は全て入場を終えました。
一番最後に陸海空音楽隊が三人の隊長を先頭に観閲台の向こうから
こちらの一番端まで移動し、演奏に備えます。
海自東京音楽隊隊長、樋口好雄二等海佐、
陸自中央音楽隊隊長、樋口孝博一等陸佐、
空自航空中央音楽隊長、松井徹生二等空佐。
陸海音楽隊はダブル樋口です。
何も持っていないように見えますが、前方を歩いているのは
クラリネットやフルートなど、小さい楽器の人だから。
それにしても、この写真で陸空の制服の色の違いがよくわかりますね。
とはいえ、同じ紺系統であることに違いはないので、
例年観閲式には黒の制服で参加する海自が、今回
白の制服をチョイスしたのはこのバランスを考えてのことでしょう。
スーザフォンは三自衛隊ともに白で統一。
というか今スーザフォンはほとんどが白なのかな。
そこに来賓を乗せたバスが入場。
待機の姿勢は肩の幅に脚を開く、と決まっているようです。
ところで防衛医大の女子学生のパンプスは、他と違って
甲を覆う紐付きギリータイプ、少しかかとが高いデザインですね。
脱げないように靴の上からゴムバンドでとめてあります。
下の部分は黒、甲にかかる部分はベージュという便利もの。
このタイプはまず脱げないと思うけど・・まあ慎重なのでしょう。
観閲部隊指揮官である第一師団長に対し敬礼。
その時スタンド後方では各司令官旗を持つ旗手たちがスタンバイしていました。
先頭から防衛大臣旗、防衛副大臣旗、統合幕僚長旗、
陸海空幕僚長旗です。
この日はこのうち誰も出席していませんが、本人不在であっても
その旗を予行に用いることは許されているようです。
今から会場内に旗が入場します。
こちらは国旗の旗手とその警護隊。
陸海空から二人ずつ6名の小隊です。
観閲台に正対する位置に国旗が到着しました。
先ほどは観閲部隊指揮官ですが、車で入場してきたのは観閲式執行官です。
車上に立っているのは東部方面総監、高田(たかた)克樹陸将。
「いかにも陸将、って感じの人だねえ・・」
思わず隣の人がつぶやいていました(笑)
高田陸将は機甲科出身ということです。
観閲部隊指揮官、観閲式指揮官ともに部隊の敬礼を受けます。
執行官に敬礼を行う防衛大学校学生隊。
そして儀仗隊と喇叭隊が部隊の正面に立ち、儀仗礼に備えます。
第302保安警務中隊の制服を見たままの色で撮るのは難しいです。
代理のゼッケンをつけた防大校長、実施責任者、統幕長が席に着きます。
儀仗隊も整列を終え、いよいよ総理大臣(代理)の入場です。
続く。