「かが」体験航海が続いています。
艦橋で出航作業を見ていたら、艦橋窓越しに海保の船が通過しました。
PM13「くろせ」、第6管区呉所属の500トン巡視船です。
さて出航作業も一段落したことであるし、艦橋の上に出てみるかな。
ってところから見下ろす「かが」の甲板。
皆思い思いに見学タイムを過ごしておられますが、この日の500名の見学者も
流石にこの広い甲板と艦内に散ってしまうとこの通り。
この日は1月とはいえ好天に恵まれ気温もさして低くならず風もなく、
体験航海で甲板に出ていても寒さは全く感じませんでした。
わたしの出たのは艦橋の一階上、信号員の職場でもあるデッキです。
「かが」の文字と海上自衛隊のマークが刻まれた時鐘を発見。
現在の軍艦で時鐘が昔のように定期的に鳴らされることはありませんが、
相変わらずシンボルとして昔ながらの場所に飾られているようです。
果たしてこの鐘が実際に鳴らされることはあるのでしょうか。
さすが艦体が大きいと探照灯も大きい(気がする)。
なんだか変な探照灯だなと思ったら、こちらは裏側でした。
案外単純な仕掛けだったりするのね。
狭い階段を持つ艦内は基本一方通行になっていて、階段も左舷側から登り、
右舷側から降りてくると、艦橋デッキ右舷に戻ってきます。
ここにあるのも探照灯ですが、上のデッキにあったものに
後ろ側のカバーがついて操作できるように取っ手が付いているバージョン。
1時間で着岸、というのはわたしたちが思う以上に艦橋では
仕事のしっぱなしではないかと思われます。
ところでわたしたちが艦橋デッキ右舷に降りてくると、そこに
unknownさんがおられたので、早速うかがってみました。
「いかがでしたか?『かが』の出航作業は」
「上手ですよね」
「それはどういうところでわかるんですか」
「全てが流れるようにというか・・さすが『かが』だけのことはあります」
なるほど、リズムですね。
わたしたちにはわかりませんが、艦橋での仕事に携わったことがあれば
そのリズムの良し悪しもわかってくるということなのでしょう。
その後、わたしたちを案内していた自衛官のうち一人が
「昼食の前に士官室に集合してください」
と声をかけに来られました。
先ほど座った席にもう一度座ると、副長プレゼンツの
「かがのすべて」
のスライドが始まりました。
「かが」の進水式は2015年8月27日、JMU磯子で行われました。
敬礼当時の海幕長、武居智久海将が敬礼する姿が写真に写っています。
引き渡し、つまり就役は2017年3月22日。
初めて自衛艦旗が掲揚竿に上がり、「かが」に命が吹き込まれました。
艦内編成で他の護衛艦と違うところはないかと思いますが、
「かが」の場合搭載ヘリが多いので、飛行科の人数は充実しているはず。
平成27年に地元防災組織と共同で行われた訓練状況。
右下写真の衛生科の乗員が緊張しつつご案内している女性は、
確か副長の説明によると看護師だったと思います。
ゼッケンをつけた乗員は被災者ということで訓練に参加。
ホワイトベース「かが」の誇るのは大量の車両を輸送する能力。
4トン半の車両なら60台、10トン車は30台搭載することができるそうです。
宿泊を要する人数なら500名、輸送するだけなら数千人を載せることができると。
ちなみにトイレは34箇所もあると書かれているわけですが、士官室から
一度お手洗いに連れて行ってもらったところ、長い廊下の突き当たりの、
さらに反対側の舷側に女性用(普段は男性用)があって、気が遠くなるほど遠かったです。
案内してくれた女性自衛官が
「なんか壮大な旅になってしまいましたねー」
と労って?くれましたが、あれもしギリギリだったら絶対やばかったな。
34箇所もあるとはとても思えなかったんですが・・。
ついでにunknownさんが送ってくれた
「この日の真水消費量!!」
さすが元艦乗り、目のつけどころがちょっと違います。
これが何を意味するかと言いますと・・・・
空母(笑)の底力を思い知りました。
真水消費量74トン。
節水を促すために書いてあったのだと思いますが、科員食堂に書いてありました。
この凄さををわかりやすく説明すると;
潜水艦では毎日の消費量は2トン。航海中の洗濯は不可。
汚れものはすべて持ち帰りです。
DDでは10トン。航海中の洗濯は、バケツで手洗濯で週一回です。
DDHは毎日機械洗濯(洗濯機)許可です。
これぞ空母の底力です(笑)
だそうです。
うーん、潜水艦の37倍、駆逐艦の7倍強・・・。
空母の底力を洗濯機のあるやなしやで測るとは(笑)
「インヴィンシブル」という名前のフネは英米海軍にあり、
ロイヤルネイビーには6隻あったりするわけなんですが、この比較画像の
一番上にあるのは2010年に除籍になった空母のことなんでしょうか。
この「インヴィンシブル」は除籍後競売にかけられたそうですが、その際
香港在住の中国人実業家が入札を行なっており、落札したらそれを
人民海軍が航空母艦にしかねなかったため、この実業家の手には落ちなかった
(おそらく意図的に外された)とか。
普通そうするよね。
中国人が日本の土地を買い漁れるあまちゃん国家日本なら、心配しながら
オークションを馬鹿正直に行なって中国人に落札させてしまいそう。
フランスの「CDG」は空母「シャルル・ド・ゴール」のことで、これは現役。
この表を見て気がついたのは「かが」は帝国海軍の「加賀」とほぼ同じ大きであることです。
「ひゅうが」型との比較画像もありました。
大きな違いは舷側に設けられた艦載機用エレベーターでしょう。
これは「いずも」型が最初から空母化を睨んで設計されたことを表します。
空母なので、主砲などを持たない「いずも」型ですが、機関砲である
ファランクス CIWSの他に、ミサイルを発射するSeeRamを2基備えています。
形はそっくりですが、R2D2の乗っている部分に大きな違いがあります。
日本の場合は確か色もグレイだったはず。
今回は団体だったため甲板の端っこまで見学に行くことができず、
搭載武器を近くで見ることができなかったのが残念でした。
今の所ヘリ搭載型護衛艦である「かが」の主流は対潜哨戒ヘリと多用途ヘリ。
MCHはアグスタ・ウェストランドのAW101の海上自衛隊仕様ですが、
MCHのMって「マイン」(掃海ヘリだから?)のMだとこの時聴きましたが、
改めて調べてみると、防衛省のページにこんな表がありました。
輸送 C
特別電子装備 E
戦闘 F
空中給油 K
連絡 L
掃海 M
観測 O
哨戒 P
偵察 R
対潜 S
練習 T シ
救難、捜索又は多用途 U
SHは対潜ヘリ、MCHは掃海・輸送ヘリということですね。
降下初めでおなじみCHは輸送ヘリ、MHは掃海ヘリ、ではオスプレイは?
もともとオスプレイはV-22、つまりブイトール(垂直離着陸)を意味するVですが、
それにMがつくとこちらは「多用途」のマルチロールの意味でしょうか。
「かが」は昨年夏の中国地方を襲った水害でも、被災者支援を行いました。
被災者を収容し、入浴支援を行なったという話に、不謹慎ながら
「かが」に収容されるなんて羨ましい、という声が上がったとか・・。
右下では、当時の呉地方総監池海将が安倍首相に「かが」で説明を行なっています。
2018年にはインド・太平洋方面に派遣され、各地の海軍と親善訓練を行いました。
アメリカ、イギリス、フィリピン、インドネシア、シンガポール、
インド、そしてコロンボとくまなく太平洋・インド洋の国々を網羅しています。
フィリピン帰国の折にはドゥテルテ大統領が乗艦しました。
あとでその際に大統領が残した自筆のサインを見せていただきました。
右下は岩屋防衛相に見えますが・・・。
日の丸と並んで掲げられている旗はシンガポール国旗ですね。
さて、そうやって「かが」についての知識を深めたあと、
士官室グループは食堂に移動することになりました。
士官室から食堂は、一旦甲板階に上がり、それからエレベーターで降りて
ハンガーデッキからまたさらに降りて到達します。
この日乗艦前から予告されていたお昼ご飯は、「かが」カレー。
ラッキーなことにこの日はちょうど金曜日だったのです。
続く。