「かが」体験航海記も終わったところで、降下始めに戻ります。
指揮官降下、来賓の入場が終わると、いわゆる「地上展示」の始まりです。
この展示は三段階に分かれ、まず
着上陸準備
として偵察部隊の派遣が行われるのです。
演習に先立ち、地形の説明などが行われました。
黄色や赤の旗を振っている部分がなんなのか聞き逃しましたが(おい)
この演習場、事前に配られたパンフレットによると、
「習武台」「まむし森」「馬頭塚」「高津森」
などの地名が付いているそうです。
ついでに、アナウンスでは、習志野という地名のいわれを
「大演習での陸軍少将・篠原国幹の目覚しい指揮に感銘された
天皇陛下の「篠原に習え」という言葉が元になった」
(習篠原→習志野原)
という言い伝えを紹介していました。
ふと演習場端を見ると、水陸両用車がスタンバイしている様子が。
AAVの出番は第二次目標線の確保なので、まだまだ先です。
どうやら丘の陰、皆から見えないところで待機する模様。
着上陸準備に先駆けて、まず航空偵察が行われます。
海上自衛隊の哨戒機P-3Cが敵地の偵察を行っているという設定。
拡大したらグーグルをつけたコパイの顔が見えました。
航空偵察の2機目に投入されたのはLR-2。
確か前回、航空機につけられる頭文字の解説をしましたが、
それによるとLは連絡、Rは偵察。
陸自唯一の固定翼機であるLR-2はその通り連絡偵察機です。
偵察部隊の派遣の次段階は先遣隊の投入。
CH-47が高高度を通過しました。
よく見るとヘリから自由降下、つまり生身の人間が飛び降りています。
生身で飛び降りて地表近くで開傘することで敵に視認されにくくするのです。
それにしても・・・・・。
これまでの自由降下は特に選ばれた精鋭四名でしたが、
今回の傘の多いこと。
こんなにたくさん自由降下の傘が空を舞うのを見たのはここ何年かで初めてです。
パラシュートはアメリカのパラフライト社のMC-4という製品で、
スポーツ用で操作性が非常に優れているということで選ばれたそうです。
降下中もっとも怖いのが互いの傘が絡まることなので、
こういう事態になった時には遠目にも真剣な様子が伝わってきます。
阿吽の呼吸で互いに接触を避けるのでしょうか。
下の隊員が脚を大きく開いているのは、
体をよじることで傘の操作をしているからかもしれません。
遠目にも彼らが互いをしっかりと見つめあっている様子がわかります。
風で傘が流されるような状況でもなく、皆当たり前のように両脚着地です。
先に降りた人のわずか数メートル横にピタリと着地。
向こうの隊員さんの顔をアップにすると笑顔です。
「いやーちょっと近づきすぎちゃってヒヤッとしましたよ」
とか?
傘の片付けを行う自由降下隊員。
こうしてみると、ほぼフルフェイスのヘルメット(顎付き)をしています。
落下傘の事故にヘルメットなどほとんど役に立たないような気もするのですが、
それより内蔵されているインカムとレシーバーが主目的なのかも。
快心の降下始めだったのか、精悍な彼らの顔も心なしかほころんでいます。
しかし、あんな高いところからの自由降下、きっと達成感すごいよね。
走りながら退場していく隊員たちが皆演習場奥に降りる傘を見ていますが、
同じCH-47から降りたアメリカ軍の空挺隊の降下ぶりを観察しているのだと思われ。
同じチヌークに乗り込んで、降下までの間、彼らが中でどんな様子だったのか
交流はあったのかを、隠しカメラで見てみたいと思うのはわたしだけ?
アメリカ軍の傘も同じ形ですが、少しだけ色が違うかも。
あんなに高いところから降りたのに、皆ピンポイントで同じ場所に降りてくるのが凄い。
アメリカ軍といえば、グリーンベレーが行うHALO(ヘイロー)降下、
高高度降下低高度開傘は
高度10,000メートルから降下
高度300メートルで開傘
で、もちろん酸素マスクと防寒スーツ着用で行います。
気象班(というのかどうか知りませんが)もお仕事中。
降下前にはグレイの気球がいくつか空中をふわふわしていました。
スモークを焚いているのは降下地点であることを伝えるため。
ここでシナリオでは、海自の自衛艦からの艦砲射撃が行われ、
それに伴ってAH-1S2機がヘリによる事前制圧を試みるとあります。
上にもうすでに飛来しているC-2から降りてくる先遣部隊が
地上から狙われないための制圧だと思われます。
C-2登場。
すでに開けられたドアには第一陣の先遣隊が降下を始めようと姿を見せています。
C-2は航続距離に問題のあったC-1の後継機として川重と技本によって開発されました。
つまりメイドインジャパン🇯🇵です。
今後もC-1と置き換わる形で30機まで配備予定だそうですが、
今のところ就役しているのは9機だけです。
この機体は207なので、C-2を表す200番台の7番目と考えればいいのかな。
搭載量半端ない巨体なのにブルーグレー塗装のせいでスマートに見えますね。
固定翼機からの降下は基本両側のドアから同時に行われます。
「降下降下降下!」
で間を空けずにドアからは降下員がこぼれ落ちてきます。
両側のドアからは同時に降下することが決まっているようです。
ちょっと時間をずらした方がいいのではないか、というのは素人の考えですかね。
C-2の機体下部に着陸灯が点灯しています。その理由は?
このC-2は確か美保基地から来たとアナウンスされていたと記憶します。
美保基地でのC-2のあだ名は「Blue whale」(シロナガスクジラ)。
確かに「青いクジラ」だ!
先遣隊は偵察に必要な装備を途中で落下させ、それを錘のようにして降下を行います。
自由降下した米軍人がまだいるところにも降下降下降下〜!
C-2が降下始めに登場したのは今回が初めてです。
おなじみのC-1がやってきましたが、実は先遣隊はここまでで、
このC−1から降下するメンバーが、主力として前進を行います。
ここからが全部で三段階のうちの第二段階である、
「海岸堡の設定」
彼らが海岸線にベース、つまり第一次目標線を構築するというわけです。
まるで鏡に映ったように同時に降下した二人の動きがシンクロしてるー。
ドアの外にはステップがつけられています。
ジャンプ前に傘が自動的に開くように、傘の先の道具を
機体のバーに固定し、それが引っ張られて傘が出てくるわけです。
ところでこの写真で初めて気がついたのですが、空挺隊員もメイクするの?
C-1から降下した落下傘の上を、今度はC-130が航過。
次の空挺部隊をばらまいていきます。
実はこのC-130Hがいまだに陸自では主力らしいですね。
このC-130Hには日米の空挺団が合同で乗り込んでいます。
今年のアメリカ参加部隊は在アラスカ第25師団第4空挺旅団戦闘団と、
沖縄の第1特殊部隊群に所属する空挺団です。
実はアラスカの戦闘団は去年も参加しております。
ただし、去年は盛んに流されていた空挺歌の「ライザーの血」という
啓蒙ソング(リングを掛け忘れて飛んだら死ぬよ的な)、メロディは
「太郎さんの赤ちゃんが風邪引いた」または「ヨドバシカメラの歌」の
あれは今回全く鳴らされませんでした。
最後の挨拶で岩屋防衛大臣が「近所の人にご迷惑をかけたことを」
わざわざ謝っていたくらいなので、騒音配慮でカットしたのかもしれません。
いや、確かにうちの近所の学校も、運動会の前後に近所の皆さんに謝ってますが、
これって運動会じゃないんだからさ。団歌くらい流しましょうよ。
アメリカ陸軍の皆さんをリスペクト&歓迎する意味でも。
ついでに、岩屋さん、あなたねえ。今回のレーダー事件のことだけど、
未来志向とか真摯に対応とか、此の期に及んでヌルいこと言ってんじゃないですよ。
なんでそんなにいちいち腰が引けているのかしら。
防衛大臣だけにディフェンシブ?ってか。笑えんわ!
というわけで真剣な模擬戦だからという表向きの理由のもと、
団歌を鳴らしてもらえないまま、米陸軍の降下は続きます。
豪快に落ちてきてるうー!
同じタイミングで飛び降りた二人は得てして空中でコリジョンを起こすのですが、
これにちゃんと対処しないと傘が絡まってしまって大事故になります。
それこそ「ライザーの血」ですな。(ライザーとは傘と体を繋ぐ部分)
わたしのカメラは、今回こんな決定的シーンを捉えていました。
まず、接近して体が接触しそうになった二人の米空挺隊員あり。
体を離すために、相手の頭をキックしております!
あとで
「てめーやりゃーがったな」
「ああしてなけりゃどうなったと思ってんだこのあほんだら」
「いーや、あのキックには悪意がこもってた。お前わざと頭蹴っただろ」
みたいな諍いになっていないといいのですが。
一つ言えるのは、同じアメリカ軍同士でよかったね、ってことです。
こう両軍いり乱れているようでは、何が起こってもおかしくない。
降下地点が同じなので、危うく傘の上に落ちそうになる(画面右)人も。
遠目に見る静かなカオス。
しかし全ての降下員は粛々と傘を回収し、あっという間に退避しました。
この主力部隊はいつの間にか目標線を確保することに成功したようです(棒)
続く。