平成31年度降下始め地上展示は、いよいよ最終段階へと差し掛かりました。
フェーズ2で「海岸堡の設定」を目標とした我が軍は、これに成功し、
ヘリ火力と狙撃、そして地雷の散布によりある程度敵を撃破した、
というところでフェーズ3になります。
海岸堡設定に続くフェーズ3、それは・・・・
「海岸堡設定以降の攻撃」!
それはそうだろう、というしかないわけですが。
というわけで「海岸堡建設以降の攻撃」です。
つまり前段に続き、後続部隊による残存した敵を撃破し、
海上と航空における優勢を確保するという目標に向かってGO!
チヌークからは野戦特科部隊が降りてきました。
ヘリで輸送されてきた特科部隊が展開した場所は、わたしの見ているところから
遠くで、なおかつ草むらの向こうだったのですが、彼らが
陣地構築のための道具を持って物陰から物陰に向かってダッシュするのは確認できました。
カゴに入っているのは偽装網、棒は偽装網テントのための骨でしょう。
ヘリの内外に搭載した人員と物資を降ろし終わり、
素早く離脱していくチヌークさんたち。
フェーズ3の第一段階は、プログラムによると「即機連」となっています。
これは
「即応機動連隊」
のことで、即応機動連隊主力によって師団を掩護し、
態勢を確立させることを第一段階の目標としているのですが、
それに先駆けて真っ先に上陸を果たした水陸両用車が、
車両戦力の先駆けとなって攻撃を試みます。
水陸両用車の火砲の火花など初めてシャッターに収めることができました。
水陸両用車AAV7の主武装は
12.7mm重機関銃M85
40mm自動擲弾銃Mk.19
となっているので、これは後者が火を噴いているのだと思います。
違ってたらごめん。
いや、もしこれが擲弾銃だとすれば、
「銃口のフラッシュハイダー(発火炎抑制装置)の効果と
発射ガスの少なさから射撃位置の秘匿性に優れている」
という説明はこの画像に当てはまらないような気が・・・。
そもそもこんなに黒煙をもくもく上げては秘匿性などないですよね。
やっぱり1分に4〜500発発射するという重機関銃の方でしょうか。
次の段階は「師団火力戦闘部隊による突撃支援態勢の確立」です。
遠距離から掩護を行う155mm榴弾砲と、手前には
93式近距離対空誘導弾が進入してきました。
偽装網をかけたところから発砲される120mmも陣地構築済み。
そこに即応機動連隊主力である16式機動戦闘車、MCVがやってきました。
この角度から見て初めて気がついたのですが、MCVのタイヤホイールの色、
本体と合わせている生で綺麗に前から緑・茶・緑・茶になっています。
おっしゃれ〜!
ところで、先日表敬訪問して20分だけ旅団長と懇談した陸自駐屯地では
将来的にはMCVが入ってくる「予定」なのだが、まだまだ先になりそう、
と旅団長自らがおっしゃっていたのを思い出しました。
この会話になったのは呉で行われた「海将を囲む会」席上だったわけですが、
この時会話していたのは、旅団長、わたし、TO、海自基地司令の四人。
旅団長と基地司令は防大の同期とかで仲良しなんだそうです。
旅団長がこの話をした時、MCVがなんであるか知っていたのはわたしだけで、
TOと基地司令が
「え、えむしーゔぃーって何?」(・Д・)(・Д・)
な反応だったのが印象深かったです。
TOが知らないのは当たり前としても、本当に陸海空って
お互いのこと、特に装備なんてほとんど何も知らないのね、と思った瞬間でした。
さて、そのMCVですが、AAV7が頑張っている海岸堡に駆けつけ、
さらなる掩護態勢を確率すべくずずーいっと前にしゃしゃり出てきました。
「待たせたな!こっからは俺たちに任せといてくれや!」
みたいな。
即応機動連隊の戦力には軽装甲機動車も含まれます。
海岸堡にこれから大量突入する予定の歩兵が伏せて待機する中を
2台のラブ、ライトアーマーが疾走していきます。
草むらと同化している人たちを弾いてしまわないかちょっと心配(笑)
師団火力戦闘部隊によって突撃支援態勢を構築したところで、
いよいよ戦車などによる目標奪取が試みられます。
10式戦車が乗り込んできました。
島嶼部であるというここまでどうやって来たのかという気もしますが、
海岸線から上陸して来たということは、海上輸送されて来たはず。
「おおすみ」とかに積めるんでしょうか。
何年か前、降下始めに初めて10式戦車が登場した時は、
観客のほとんどは降下より新しい戦車見たさに来ているように見えましたが、
流石に配備されてから6年目、配備台数も93両(平成30年度現在)なので、
皆見慣れてきて全く驚きはありません。
演習場のあちこちからは後方から支援を行う火砲の煙が上がります。
水陸両用車とMCVが頑張っていた前線に10式戦車が到着しました。
流石にここでは総火演のように10式が砲撃を行うことはありません。
なので大変わかりにくいのですが、これにより我が軍は目標を奪取し、
さらなる優勢を確保したということになっているようです。
つまり地上における敵はこれをもちまして撃破してしまったことになります。
フェーズ3の最終段階が仕上げとして行われます。
「方面隊等」となっているその攻撃は、
「対空、対舟艇、および対艦戦闘部隊による
海上・航空優勢の確保」
これは PAC3、ペトリオットミサイルで「対空」です。
PAC3は昔説明したように「ミサイルは空を飛ぶから」という理由で
陸自ではなく航空自衛隊の装備ということになっています。
ご覧のように運用している隊員の迷彩は空自迷彩。
地対空ミサイルで運用する人が地面にいるんだから
迷彩が空自のままではまずいんではないかという気がしますが
空自は頑としてこの迷彩を変えることはしません。
ペトリオット部隊はここ習志野にも配備されているので、
空自が駐屯地の一部を「間借りしている」という状態なわけです。
そして空自の装備であるという理由で迷彩塗装をしません。
ペトリオットミサイルの前には、03式中距離地対空誘導弾、
通称中SAMが配備されました。
手前の隊員は99式多目的誘導弾が構築するのを掩護しています。
うい〜〜〜んと地対空誘導弾が発射筒を立てるころには、
実はとっくに、
「状況終了!」
♪ソードソードミードミード そみどソッソミ〜〜〜♪
となっておりました。
この最終段階に投入する対空、対艦、対舟艇の戦力は他に
99式多目的誘導弾システム
多連装ロケットシステム
地対空誘導弾
12式地対艦誘導弾
などです。
ちなみに、10式以外の74式戦車、そして96式装輪装甲車、
そして87式偵察警戒車などは、わたしたちの目には見えませんでしたが、
事前制圧の艦砲射撃、そしてフェーズ2のヘリ火力戦闘の時に
どこからともなく火力支援を行なっていたことになっています。
丘の上では最後の大臣訓示のための準備が始まっていました。
各幕僚長などが立つ位置に印をつけ、名札を配置し、
岩屋大臣が立つための「習志野演習場特性お立ち台」を設置。
訓示を受ける隊員たちが走って入場です。
丘の上では近接戦闘の展示が始まっていますが、これは次回お話しします。
背広の上に防寒用の貸し出された迷彩を着た一般人と、
海上自衛隊、航空自衛隊の迷彩を着た各幕僚長が定位置につきました。
海自は河野統幕長が出席しているせいか、海幕長の姿はありません。
そして、統幕長としての河野海将の姿を降下始めで見るのもこれが最後となります。
岩屋防衛大臣が壇上に立ち、総員敬礼用意。
陸上自衛隊中央音楽隊による黛敏郎作曲、「栄誉礼冠譜」及び「祖国」
の演奏が始まりました。
ソ ドッドドドッドッソ〜♪ ソ ドッドドドッドッソ〜♪
で始まる栄誉礼です。
この後の岩屋大臣の訓示は、右へ倣えしたメディアによって一様に
岩屋防衛大臣は訓示で宇宙やサイバー空間など新しい防衛力の整備を強調しました。
「すべての領域の能力を融合させた真に実効的な防衛力である、
多次元統合防衛力の構築に向けた取り組みを始めることになります」
と報じられましたが、わたしは前にもいったように、
近隣の人たちにわざわざ騒音を謝るなど、防衛大臣が自衛官を前に今いうことか?
とも思える「お気遣い」から、否が応でも例のレーダー事件における
対応の生ぬるさを、思い出したくもないのに思い出してしまい、
思わずイラっとしたことを正直に申し上げておきます。
防衛大臣を辞任した時涙した小野寺さんだったら今回どうしていたか、
わたしはつい考えずにいられないわけですが、たとえ稲田さんでも、
いや、稲田大臣であれば、国民が今岩屋大臣に抱いているほどの不満は
感じずに済んだのではないかとさえわたしは思っています。
(入国拒否されたこともありましたし、韓国には厳しい人でしたからね)
岩屋大臣は日韓議連でこそないですが、パチンコチェーンストア協会所属だとか。
レーダー映像の公開にも反対したそうだし、こういう防衛大臣の元では
はっきりいって自衛官の士気は上がらないのではとさえ思ってしまいます。
韓国がまともな対応をできない異常な国であることはもうわかったけど、
岩屋大臣の言うこともいちいち的が外れている気がするんですよね。
「威嚇飛行していない。なぜなら哨戒機は駆逐艦より弱い(?)」
なんて一生懸命言い訳して(つまり相手の挑発に乗って)どうするの。
そもそもレーダー照射の話はどこにいってしまったんですか(笑)
続く。