Quantcast
Channel: ネイビーブルーに恋をして
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2815

艦上レセプションにおける社交〜海上自衛隊 「日本国」練習艦隊行事

$
0
0

前回までのあらすじ

某月某日、横須賀地方総監部に寄港した練習艦隊旗艦「かしま」と
「いなづま」艦上で行われたレセプション会場。
国旗降ろし方をかぶりつきで撮影していた「わたし」に、
いきなり声をかけてきた女性の正体は?


「『ネイビーブルーに』っていうブログの方ですか?」

(前回最後とは若干セリフが違いますが、だいたいこんな感じです)

カメラを構えていたわたしに彼女はこう言いました。
当ブログ運営者であるかどうか聞いてこられたのです。

 

ところで余談ですが、わたしにブログのことで声をかけてこられる方、
(文章含む)は、なぜかタイトルの後半を省略する傾向にあります。

「恋をして」と口に出すのが気恥ずかしいと思う方が多いのかもしれません。

「恋をして」・・・・「恋」・・・・

確かに。

そもそも口に出して言えないような名前をつけるなよって話ですが、
わたし自身これまで自分のブログタイトルを口にしたことは今まで一度もありません。

人に口で伝えたり聞いたりすることを最初から想定していなかったからこそ、
こんなこっぱずかしいタイトルをつけてしまったとも言えます。

 

 

それはともかく、声をかけてこられた方は、元自衛官の奥様でした。

実は先の連休中、わたしは葉山で知人のヨットに乗せてもらったのですが、
そのちょうど前日、この元自衛官ご夫妻は同じ方のヨットでクルーズをして、
その航行中、わたしとそのブログ、「ネイビーブルーに」の話になったようです。

「奥さんがブログ見て”勉強されていた”らしいんですよ。
で、エリス中尉(仮名)さんがレセプションに行かれるならぜひお会いしてみたいと」

その元自衛官というのは他でもない、何年か前の練習艦隊司令官です。

当「ネイビーブルーに」の性質上、ブログ上では大々的にご紹介した訳で、
例によって微に入り細に入り、司令の箸の上げ下ろしじゃなくて階段の上り下りまで
克明に写真を撮ったばかりでなく、出国行事では奥様とご子息の後ろ姿までアップしたものです。

奥様はそれらに目を通しておられたばかりでなく、司令官クラスの妻に要求される
在日米軍軍人の夫人会との親睦会などの出席に当たって、
当ブログ「ネイ恋」記事を参考にされておられたらしい・・・・・ 

という「伏線」があったので、「いなづま」艦上で声をかけられたときも、
わたしは女性と一緒にいる元海将補の姿を見てすぐに相手がわかったのですが、
はて、それにしても、どうしてお二人はわたしがブログ主だとわかったんでしょうか。

「今までのブログの写真から見て、たぶん自衛艦旗降下の時に旗の近くにいけば
そこで写真を撮っておられるのではないかと思ったんです」

すごい。完璧にこちらの行動を読まれておる。
奥方、そなた何者?

 

「ネイビーブルーに」は細々とやっている個人ブログに過ぎないのですが、
時折このようなエキサイティングな(笑)出会いがあるだけでなく、
見知らぬ誰かに何かを(影響とか、きっかけとか、縁とか)与えたと知ることもあり、
そんなときには、ささやかながらも充実感を噛みしめるのです。

 

この後、奥様とは立ち話で散々盛り上がりましたが、特に

「出世する自衛官の夫を持った妻の気持ち」

など、日頃から気になっていたことなどを聞かせていただきました。
その時にうかがったところによると、

●自分の仕事のことを家で全く言わない夫、逆に言う夫がいる

元海将補は奥様の言うところの全く仕事のことを言わないタイプで、
急にこれこれここに行くことなったから、と言う事後報告なので、
(て言うか自衛官ってそんなものですよね)奥様としてはなかなか大変だったとか。

●階級が上に行くと、米軍夫人会などとの付き合いがあるので、
着付けや英語を習ったりする夫人もいる

偉くなる予定?の自衛官は妻になる人の社交的資質も考慮すべし、ということでしょうか。
英語や着付け以前に、人前に出るのが嫌いというタイプでは、ちょっと辛いかもしれません。

アメリカでは海軍士官はリチャード・ギアの「愛と青春の旅立ち」
(原題:An Officer and a Gentleman)を見るまでもなく、エリートで
結婚相手としては高嶺の花なので、当然妻のレベルは何かと高いはず。

ならばそのカウンターパートとしての自衛官妻はそれなりの実力
(主にコミュ力)が必要となってくる(はずなの)です。

●わからないことは先輩の夫人が教えてくれる

●自衛官の妻同士は結束が強く、助け合いこそすれいじめなどはない

●夫の階級をかさにきたマウンティングなど一切なし

 

そういえば陸自の将官からも、官舎での妻同士のトラブルの類については
全くない、との証言を聞いたことがあります。

陸海でそうなら、空自はさらになさそうですね。(単なるイメージですが)

 

とはいえ、長い自衛官妻生活の中には、この人には二度と会いたくない、
と言うような人もいなかったわけではない(婉曲表現)ということで、
これもまた人間社会の縮図である自衛隊では普通のことかと思われます。

そのうち他の方と話しておられた元海将補が話に加わられたので、
練習艦隊司令官としての一連の姿を追いかけ、それについて語ったわたしとしては
どうしても聞いてみたかったこの質問をしてみました。

「練習艦隊の司令官って、自衛官なら一度はやってみたい配置なんじゃないですか」

それに対する返事は、もちろんイエス、に続き、

「『日本国』と頭に付くのは練習艦隊だけですからね」

なるほど、海上自衛隊で唯一、一国を代表するという意味の冠をつけ、
日本国の代表として国際交流を行う艦隊の司令官なんですものね。
そこで奥様に、

「出航行事の時にご自分のご主人が司令官だなんてどんなお気持ちでした?」

と聞くと、

「挨拶とか間違えないかとか、そんなことが気になってしまって」

「でも〇〇さん立派でいらっしゃいましたよ。惚れ直したんじゃないですか」

奥様が返事をする前に、元司令官、

「そこはイエスでしょ?」

 

元海将は流石にパーティ会場では引っ張りだこで、わたしと奥様が話している間に
どこかにいってしまわれたのですが、のちにわたしとTOが一緒にいると
再び見つけて下さったので、ちゃんと夫婦でご挨拶することができました。

埠頭で練習艦隊の指揮官として立っておられた姿がまだありありと記憶にあるのに、
その同じ方とこんな会話をしていることが何かとても不思議な気がしました。

 

ついでにいえば、わたしは自衛隊で、指揮官、将官クラスの自衛官と
その奥様に何回もご挨拶してきましたが、

出世する自衛官の夫人は明るくて可愛らしい感じの人が多い

ことに気がつきました。
もちろん例外もありましょうが、夫婦仲のいい人、愛妻家が多いのは確かです。

練習艦隊の音楽隊は、各音楽隊の選抜メンバーで構成されています。

ジャズやラテン、時々は演歌などを演奏していた当夜のバンド、
海自つまり日本国代表として演奏を披露するメンバーだけあって、
大変お上手な方ばかりでした。

この時、東京音楽隊の三宅由佳莉三曹が遠洋航海に乗り組むという話を聞きました。

もしそれが本当だったらの話ですが、今年の夏、東京音楽隊は
カナダのハリファックスでのミリタリータトゥに出演するので、
三宅三曹は練習艦隊からでカナダに合流する予定なのかもしれません。

実はわたくし、今年、ハリファックスでの東音の晴れ姿を観るために、
夏の予定をタトゥーに合わせようとかなり努力したのですが、
どうしても予定が合わず、断念したばかりです。

いつもだいたい同じ時期にアメリカにいるわたしとしては、練習艦隊とも一度くらい
海外で遭遇してみたいのですが、これもいつも、西海岸に向こうがいればこちらは東、
といった具合にすれ違うばかりで、一度も実現したことはありません。

「パーティではホストたる実習幹部はすべからく客と社交を行うべし」

というお達示が出たかどうかはわかりませんが、これまでより一層、
会話を積極的にしようと向こうから話しかけてくるようになったおかげで、
わたしも今回は会場をウロウロして、めぼしい?幹部に声を掛け、
あれこれインタビューするまでもなく、何人かとお話ができました。

当ブログでは、大正時代の練習艦隊がハワイの公館での庭園で行われた宴会で、
明らかに社交を行わず、候補生(当時には任官前に遠洋航海が行われた)ばかりが
同じ場所で固まっている決定的な証拠写真を紹介して、

「日本人は海軍ですら社交がなってない」

と苦言を呈した?ことがあるのですが、戦後70年、令和の世になって、
日本の海軍士官の社交力はワールドスタンダードに達したということでしょう。

というわけで、わたしもこの夜はこの他に

●儀仗隊出身

●体力徽章付き、固定翼機志望

である実習幹部と話をすることができました。

「あおざくら」絶賛愛読中のTOは、相手が儀仗隊だったと聞いて大興奮。

「なんで儀仗隊を選んだんですか」(TO)

「なんとなく一番楽そうに見えたんです(´・ω・`)」

「あー・・・・甘い。甘すぎる」(わたし)

「甘かったです」

興味津々で色々とわたしも質問したところによると、
銃を落とした時の罰則は腕立て伏せで、回数も失敗の程度によって決まっている、
一番左で銃を回す人は一番上手いというわけではなく、最近は全員ができる、
(そういえば最後は全員でやっていたのを見たことがあります。

「蹴り倒せ」の練習の時、失敗して中央をくぐり抜ける人に銃が当たることもある

ということでした。

体力徽章の幹部からは、体力テストの結果は一年しか保たないので
次の年基準に達しなかったら返還しなくてはいけないこと、
基準は年齢が上がると低くなるということ、バッジをもらうには
陸上と水泳とふた通りあるが、陸上はやたら厳しいので、実習幹部バッジ保有者のうち
陸上でバッジを取ったのはたった一人であることなどを教えてもらいました。

また、実生活にはなんの役にも立たない自衛隊の話をたくさん知ってしまったぜ。

バンドが「蛍の光」の演奏を始めました。
かつての練習艦隊司令官が語っていたところによると、海外での艦上レセプションで
終了となって「蛍の光」が始まっても、彼らは日本人のように
これを聞くと足が自然に出口を向いてしまうという刷り込みがされておらず、
つまり出て行ってくれないので大層困ったということです。

海外で一体練習艦隊はどうやって客を追い出しているのか興味あるところです。

「かしま」に置いてあるモニターでは、去年の練習艦隊の映像が流れていました。
前海幕長、村川豊海将の姿も。

「かしま」を降りて配属部隊に向かう幹部たちの姿。
今彼らはどこでどんな任務に当たっているのでしょうか。

舷門に向かうと「かしま」乗員が通路に立ってお見送りしてくれます。
帽子をかぶっていない自衛官たちは一人一人の目を見て挨拶。

舷門にたつ自衛官たちは着帽しているので敬礼でのお見送りです。

「かしま」の舷梯は幅が広く階段は木製で、自衛艦のそれにしては一般向けですが、
それでも自衛官たちは降りる人の一挙一動をしっかり注意して見ています。

岸壁には、自衛隊が出した送迎の車がずらりと列を作って待っています。

あれ?車の左を歩いているのは女性の一佐だ。
もしかしたら東さん?

知り合いが降りてくるのを待っていると、いきなりサイドパイプが連続して
「ホヒーホ〜」「ホヒ〜ホ〜」と忙しく繰り返されました。

見ると、いかにも偉そうな自衛官の一個小隊がまとまって降りていました。
隊司令以上の自衛官が乗り降りするときに吹鳴するというのが号笛ですが、
一回吹くだけでも結構肺活量が要りそうなのを、これだけ繰り返すと、
サイドパイパーは貧血になってしまったのではないかと本気で心配。

江田島の幹部候補生卒業式行事でわたしがいじめられたご一緒した人のお姿もありました。
あれから周りの人に聞かされたところによると、この人はわたしが知らなかっただけで、
昔から自衛隊のイベントというイベントには必ず来られていたそうです。
お見それしました。

どんなときにも写真に写るようなど真ん中に進出していかれる性質のせいか、
写真を撮る人々にはどうにも評判は芳しくないようにお見受けしましたが(棒)

帰り、車を一瞬止めて「陸奥」の砲身越しに電飾の練習艦隊を撮りました。

このあと彼らに会うのは、出国をお見送りする行事となります。

 

続く。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2815

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>