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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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岩国米海兵隊基地潜入記2〜”マリーンズベースで昼食を”

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なんだかハンバーガーの写真が続くなあ、と思われた方、あなたは正しい。
アメリカ人と言えばハンバーガー、ハンバーガーと言えばアメリカ人。
先日の横須賀ネイビーバーガーに続き冒頭を飾る本画像は、岩国海兵隊ベース、
オフィサーズレストランで出されている本格的なアメリカンバーガー。

実際にアメリカで食べるハンバーガー、サマーキャンプが始まる前とか、
仲間が集まってするバーベキューのハンバーガー。

わたしはこれ、実は結構好きです。

某マクドナルドのハンバーガーなどはっきりいって食べ物だと思っていないので、
この人生で思い出せるほどしか食べたことがないのですが、
あれとはまた違うんだな。この「バーベキューのハンバーガー」は。

まず、 パテが固い(笑)。

なぜ固いかというと、おそらくですが、ネイビーバーガーのレシピと同じく、
パテの肉がビーフ100%だからです。
それにお好みにもよりますが、レタスの葉っぱ一枚、
トマトのスライス一枚、なまタマネギの輪切り、スライスチーズを乗っけて、
ケチャップとマスタードを付けて食す。
バンズは、勿論のこと真っ白でフワフワした、あれ。
カロリーだけは高く、栄養素などほとんどなさそうな、つなぎとしてのパンです。

はっきり言ってケチャップやマスタードがなければ食べられたものではないのですが、
これにピクルスなども挿んで豪快にかぶりつきすべてを一度に味わえば、
何ヶ月に一度は食べたくなる、くらいの味にはなるのです。 


さて、前回、岩国空港でアンジーと落ち合い、海自の売店でカレーを買い、
P3−C(正確には違うけど)の基地を横目で見ながら、
ベース内のオフィサー専用レストランまでやって来たところまでお話ししました。

アンジーの説明によると、F-18ドライバーのブラッドは土曜日、しかも雨が降っているというのに、
(雨が降っているから、という説もありますが)シュミレーターに入っているとのこと。
うーむ、さすがは戦闘機パイロット。
お休みの日もトレーニングをかかさないのだわ。

「あとであなたたちにも(こっそり)やらせてあげるっていっていたわよん」

ほ、ほんとですかー?
いや、わたしに戦闘機パイロットの適性があるとは全く思ってないけど、
それでもちょっとならやってみたいじゃないですか。

ブログネタにもなるし。 

というわけで、ブラッドが来るまでの間、レストランでランチを食べながら待つことにしました。



JDのグリル。という、実にアメリカンぽい佇まいのお店です。
ここはドレスコードがあるらしく、このような表示がありました。



何でもないですけど、これ、結構シリアスなんですよね。
後半の文によると、あなたがたは一人一人がアメリカ合衆国の信用を担って
日本にいるわけだから、いつも日本勤務のときは一人一人が大使のつもりで
プライドを持って欲しい、みたいなことを、基地司令の名で厳命しています。

シャツをタックインしないときは、シャツは裾がちゃんとまっすぐにカットされていて、
外に出して着るようにデザインされたものならOK、だそうです。



どっちかっていうとこっちの方がアメリカではよく見るような気がするけどな(笑)

ちょっと面白いので全部訳してみますね。

●緑、白、茶のユニフォーム用の下着、あるいは下着用にデザインされたTシャツは、
ユニットのロゴが有る無しに関わらず、適切ではなく、禁止です。

●タンクトップタイプのTシャツ、袖のない『マッスル』シャツ、スケスケのメッシュやネットのシャツ、
アメリカンスリーブ(肩が大きくえぐれている、あるいは無いホルタータイプ)、
チューブトップ(肩の無いトップ)は不適切です。

●淫らだったり刺激的、挑発的なトップス、露出が多くお腹を見せるデザインのもの厳禁。

●タンクトップ、ダブダブの大きな服、カットオフスリーブ(袖をハサミで切ったもの)禁止。

●カットオフしたショーツ、短パン、水着は問題外。

あとはおのおのの写真に「正しくなく被った帽子」とか「ベルト無し」などの禁止理由が。
アメリカではまるで夏の間の国民ファッションのような「シャワーシューズ」、
つまりビーチサンダルもここでは「シャワーシューズ」とされ、禁止です。

これははっきりいって普通のアメリカ人には結構厳しい規則かも。
夏の間ボストンやカリフォルニアで見る人たちって、ほとんどは下と同じようなスタイルなんですよ。

「ここはアメリカじゃないんだからくれごれも気を遣えよ、
俺たちそれでなくても色々と見られているんだからさ」という軍上層部の声が聞こえてきそうです。



メニューはほとんどアメリカのレストランと同じ。
・・・というかアメリカのレストランなんですよねここは。

「エイジアン・フェイバリット」のコーナーには焼き飯、野菜炒め、
そして「トラディッショナル・ヤキソバ」が。

オーダーを取りに来たのはフィリピン系のおばちゃんでした。



飲み物を聞かれたので、アメリカ人がよくやるようにアイスティーを注文。
アンジーも同じものを頼みました。
日本ではあり得ない大きさのグラスに注がれたアイスティを、
お砂糖を入れずに飲む人(特に女の人)が多いのです。

彼女が「ピクルスのフライ、食べる?」と聞くので、
そんな食べ物は初耳だった我が家全員は「は?」
ジョージア出身の彼女ですが、南部では非常にポピュラーなのだとか。
お母さんが作るような料理ではないそうですが、どこのレストランでも食べられるそうです。
彼女の好物だというので、来たのをつまんでみました。



ピクルスを小麦粉で挟んで揚げてあります。
ピクルスそのものが加工品なのに、さらにそれをフライ・・・。
確かに日本にもたくあんをコロッケに入れたりする店がありますが、
はて、これは面妖な。

しかしね。これ、なかなかいけましてよ。
ピクルスの歯触りをかりっとした衣で包んでいるので、ビールのおつまみに最適。
ピクルスが好きではない、という人もこれなら食べる、かも知れない。

冒頭のネイビーならぬ「マリーンコーアバーガー」は、TOが頼みました。
なぜかアメリカでは蓋をする前の状態で持ってこられることが多いです。



息子が頼んだサーモン・テリヤキジャパニーズ風。
ライスの上に照り焼きを乗っけるあたりがアメリカ。
この、醤油を使った甘い「テリヤキ」ソースが彼らは大好きです。
スーパーでは普通に「テリヤキソース」が売っています。
大抵チャイニーズが作ったもので、「何か違う」って味なのですが。

息子が「これ美味しい」と盛んに食べていました。



わたしは日本ではあまり食べられないターキーハムのクラブハウスサンドイッチを。
必ずベーコンとハムというダブル攻撃で来られるので、
わたしはこっそりいつもベーコンを外してしまいます。
外したベーコンは息子が食べました。

こう見えてものすごいボリュームがあり、わたしは半分食べてギブアップ。
ウェイトレスが、「テイクアウトしますか?」と聞いてくれたのですが、
持って歩くわけにもいかないのでお断りしました。



日本独特の缶ミカンを使用したココナッツ・チキンサラダ。
アンジーとブラッド、どちらもこれが好きだそうで、彼女はもうすぐ来る夫のために、
これを注文してあげていました。

いろんな話で盛り上がっていると、隣のテーブルが食事を終えて立ち上がり、
しきりの上からアンジーを見て声をかけてきました。
全員見るからにパイロットの雰囲気。
アメリカ人のパイロットって、身長制限は無いみたいです。
これは、ブラッドと同じスコードロンの同僚だわ!と判断したエリス中尉、
耳をダンボにして彼らの会話を聞き取ろうとしたのですが、
どうも同僚はブラッドのことを「ブラッド」と呼んでないんですね。
で、わたしが話が全く読めないまま会話は終わり、彼らは行ってしまったのですが、
アンジーに「彼らはブラッドのことなんて呼んでたの?」と聞くと、

「ハップよ。かれのTACネームなのよ」

と教えてくれたというわけです。
自衛隊のパイロットがTACネームを公然と名乗るのは、米軍の風習を輸入したんですね。
なんというか、いかに現代と言えども、日本人としてはこれ、恥ずかしくない?

チャイニーズやコリアンがアメリカで「レイチェル・チャン」とか「リチャード・キム」
とか名乗っているのすらはたで見てよくやるよな、と顔を赤らめるのが日本人の感性なのに、
自分で、しかも公式に「ライトイヤー」とか「ジョー」とか「無頼」とか名乗っちゃうんですぜ。

あとでアメリカ人パイロットのTACネームの実例を挙げて行くつもりですが、
本家はどちらかというと「ネタ」が多く、かっこよさよりも「互いのコミニュケーションのため」
という本来の目的に沿ってつけられている気がします。


そんな話をしていると、長身で肩幅の広い体躯をベージュの海兵隊つなぎに包み、
軍帽を被った男性が颯爽とレストランに登場。

キター*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!

現役の戦闘機パイロットを間近で見たのは初めてです。
形のいい頭を坊主刈りにし、物腰は柔らかでにこやかだけど、決して眼が笑っていない。

アメリカでも戦闘機のパイロットになるのは簡単なことではないと思いますが、
一旦なったとしても脱落することもあり、大変厳しいものだそうです。
そんな中で現在進行形でどこに攻撃を命じられるか分からない状態。
彼が一種凄みを感じるほどの眼の光を持つのも当然かもしれません。

彼の所属中隊はしょっちゅう太平洋地域の要所を移動していて、
日本に帰ってきてもしばらくしたらまたどこかに行ってしまうのだそうです。
現にこの後、つまり今頃は移動になっていて日本にいないそうですが、
(これはどこか聞いたけど内緒) 彼女は、結婚して三年にもなるのに、
久しぶりに会った夫の顔を見て「あれ?こんなひとだったっけ」と、
不思議な気持ちになるのだ、と笑っていました。

自衛官の妻、というのもそうだと思うのですが、彼女はいつも夫が
危険と隣り合わせの任務をしていることについては
「あまり考えないようにしている。心配しても仕方が無いから」
と割り切って、夫のいない生活をせめて中隊の同僚の妻同士で
「日本観光」をしたりしてすごしているのだそうです。

この食事中、彼女に写真付きのメールが来ました。

「いま、YOUME(ユメ、という中国地方一帯でポピュラーなモール。
呉の大和ミュージアムの近くにもあった)にいて、ランチにラーメンを食べてるんだけど、
これ、何だと思う?」

という内容です。

「わかんないわ。これ、なんなの?」

彼女が見せたのは、ラーメンの上に乗ったカマボコ。
ピンクのカマボコが、折り畳んで花の形になっています。

「フィッシュケークだよ」
「ええ?そうなの!面白いわ」

彼女は笑いながら返事を送りました。
TOは

「MSGとか気にする人なら食べない方がいいって言ってあげて」

なんて余計なことを付け足していました。
ま、いいんじゃないですか。一度食べるくらいは。
アンジーの話によると、彼女もパイロットの妻なのだとか。

眼が笑っていないブラッドですが、アメリカ人の知的な人らしく、
非常に如才なく会話をし、息子にもサマーキャンプのことなど聞いて、
和気あいあいです。

そして、結婚三年になるというのに実質あまり一緒にいられない妻については
愛しくてしょうがないらしく、わたしたちの前でも時々惚気ては抱き寄せ、
アツアツぶりを見せてくれました。

そして、わたしがさり気なく観察をしていた所によると、さすがは肉体労働者、
しかもアメリカ人の若い男性。
食べるのが早い!
先ほどのココナッツチキンサラダは、アンジーのですら凄いボリュームなのに、
さらに妻は夫のためにその1・5倍の「大盛り」を注文し、ブラッドはそれを
遅れて来たのにも関わらず誰よりも先に平らげてしまいましたからね。


さて食事が終わり、

「じゃ、ビルディングの中から案内しようか」

と立ち上がったブラッド。
あわてて食事代を払おうとしたTOに

「いいですよ。せっかくここまで来てくれたのに」

と彼は財布を出させません。
ありがたくごちそうになることにして、レストランを出ました。



こっそり後ろから彼らを隠し撮り。
ブラッドが左手に持っているのは伝票です。
うしろのアンジーがベルトをしているのにご注目。

アメリカでこのようにきっちりとウェストマークの服を着て、
しかもちゃんと胴がくびれている一般人は少数派です。
東部有名大学の大学院で勉強したほどの人で、
なおかつ金髪のスマートな美人ですから、
「マッチョなフライング・オフィサー」
なんて、アメリカ女性が眼の色替えて追いかけ回すようなタイプであるブラッドが
「一目惚れで射止めた」
というのもうなずけるというものです。



レストランを出たところで、もう一度チュールレースを巻いた仏陀にご挨拶。
よく見るとこの仏陀、ネックレスまでしてるし。



飛行機の模型部分をぐるぐる回して尾翼を壊した奴がいる・・・。
因みにこの下部分でファイティングポーズをしているブルドッグですが、
これが実は「海兵隊」を表します。
ドイツと戦争していたときには、ブルドッグがダックスフントを追いかけ回して
噛み付いているポスターなどが描かれたりしました。
翼があるのは「海兵隊航空隊」という意味です。 



アメリカの航空博物館でもこういうのを見ましたが、米軍というのはどうも、
いちいちこのような木彫りのメモリアルを製作するのが慣例になっているようです。
誰が作るのか知らないけど、その数が半端じゃない。

至る所に飾られ、あるいは彫刻されたこれらの記念板を見せてもらいました。

大尉の名前が、TACネームを頭に刻まれています。

「Rusty」錆びた、「Rude 」横柄な、「Meat」「Big Guns 」「Blacky」・・・

これだけでどんなパイロットなのか想像できそうですね。
アイリッシュ系のO'hara少佐は「Asia」というあまりありがたくなさそうなネームをつけられています。

部隊名「チェッカーボーズ」。

「ブレード」「ファルコン」なんてかっこいいTACネームを付けてもらった人もいますが、
「ファイター・クヮック」(ガーガー戦闘機?)、
「Fungus」(菌類)「バッドニュース」とか、変なのもありますね。

名前が似ている、というだけで
「Mocio」さんが「Macho」になったり
「Hoover」が「Hooter」、「Hautara」さんが「Hut」、
「Giacoma」は名前を省略して「Coma」。

移民の国でいろんな変わった名前があるので、結構それをネタにしてしまうと見た。



こんな風に、部隊の使用飛行機と爆弾に名前を書いて、非常に凝る年もあるようです。



やっぱり入り口にあったのはA-4みたいですね。
部隊名はバンブルビーズ。ハチさんです。

モットーは・・・「究極のベスト?」
ベストの中のラスト、つまり最上級だと思うのですがどうでしょうか。



ところせましとかざってあるこのボード、
今後はどこに飾るのか心配になるほどです。
毎年増えて行っているわけですしね。



にゃんと、木製のテーブルに彫り込んでしまったりとか。


ここはオフィサーズクラブ。
将校用の社交場で、夜はバーになるようです。
しかし、ここはアメリカですから、建物の中の喫煙は許されません。

休憩しているのは皆日本人で、どうやらここのスタッフのようでした。



おお、そういえばマローダーなんて飛行機もありましたね。
で、それが「将軍」「武」ねえ。
全くラバウルでマローダーと死闘を繰り広げた海軍飛行隊の皆さんに、
是非聞かせてあげたいものだ。
今やこんなものを日本の国内で見る時代なんですからね。

そしてこういったものをイケてると彼らは認識しているらしい。




勝手にお酒を飲まれないように?バーカウンターはクローズ状態。
酒保開けは毎晩でしょうか。
ん、しかし、タバコのパッケージがあるような気が・・・。
喫煙所が外にあるのかな。



かっっこいいい!

この、旭日旗がデザインされたボードは、部隊名「黒羊」
なんだかイマイチな気がするけどまあいいや。
逆さまになっているのはこれもA-4と向こうは・・・まさかバッファロー?



そして、ジャーン!

このコウモリがシンボルの部隊が、
何を隠そう”ハップ”ことブラッドのスコードロンマークなのだった。

Mors ex Tenebris。
ラテン語で意味は「暗黒よりの死を」。
んもー、中二病満開なんだから。
でも、コウモリがどうにも可愛らしすぎると思ってしまうエリス中尉であった。


この部隊VMFA AW 242部隊のことに触れながら、基地潜入記を続けます。






 


 


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