Quantcast
Channel: ネイビーブルーに恋をして
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2816

平成25年自衛隊音楽まつり〜「Hey和への道」と自衛太鼓

$
0
0

今回が生まれて初めての自衛隊音楽まつり経験だったわたしには、
今年の出来が例年と比べてどうだったのか、比較しようがないのですが、
一言で言って普通の演奏会、とくにクラシックの音楽会と比べると、
老若男女全ての層に広く受け入れられるだけの「楽しさ」を強く感じました。

オペラもそうですが、音だけでなく視覚に訴えるものは無条件で万人に好まれるものです。

一年間、関係者が練りに練った計画、アイディアをテーマに合わせ、
あたかも一つのメッセージであるかのような構成にまとめあげる。

わたしはなまじ音楽関係者なので、こういう出し物をみると、
その「企画」そのものの出来にどうしても注目してしまうのですが、 
プロの製作会社の手を借りず、これだけのものを作り上げる企画力であるとか、
時代や世相に敏感でありながら、かつ自衛隊という組織の「本分」をわきまえた
メッセージ性のあるステージを造り上げる力には感嘆しました。

毎年恒例の行事なので、ある程度のテンプレなどはあるとしても、です。


さて、第三章は「烈火」。

烈火、というとその中心となるのは烈火のようにアツく燃える、
そう、自衛太鼓です。

がその前に、やはりアツい、陸海空、そして海兵隊、タイ陸軍軍楽隊の、
合同演奏が行われました。
組曲「惑星」より、「火星〜戦争の神」。



東京音楽隊の演奏では「歌手」となった河邉二等海佐がタクトを振りました。

そして、



空自の行進曲、「空の精鋭」、



陸自の「陸軍分列行進曲」、そして海自は前回お話しした「海をゆく」が
人で描いたモチーフと共に演奏されたのです。

ちなみに、飛行機、戦車はステージを往復しますが、
戦車は砲口のところに儀仗隊の隊員がいて、最後に空砲を撃ちました。

そして、同じくホルストの「金星〜平和を運ぶもの」へと・・。


つまり、

「火星」(戦争)→陸海空自衛隊(の活躍)→「金星」(平和)

というストーリー仕立てになっているというわけです。
この一連には「平和への道」というタイトルがつけられていました。
ちょっとベタですが、まあいいでしょう。


ここでちょっと、いいですか〜?(また始まった)

だからわたしも先日言ったんですよ。
戦争は常に平和を目的に行われるってね。

愚かな人間は有史以来戦争と平和を交互に繰り返して来たわけで、
そりゃ誰だって平和のままでずっといられたらそうしたいのは山々だけど、
この世にはありとあらゆる紛争の種があって、

「それを解決し、平和を取り戻すためには戦わねばならない」

と有史以来そのように考えた人々が実際に戦争を起こしてきた、
いうのが現実なのです。

この単純なストーリーは、そういうこの世界の真理を実に端的に表していて、
「戦争が平和を前提に行われる」というスタンダードから、いくら平和ボケの日本と言えど、
逸脱することはできないという現実を説いてくれているというわけです。
(もちろんこれはわたしの独自の解釈ですが)

防衛力を持たずに平和を継続できる、なんていうのは
はっきりいっておとぎ話の世界だけのこと。
武力を備えるのは「戦争をしたいから」ではなく「戦争を避けるため」なんですよ。
左翼の方、アンダスタン?

そしてこの「平和への道」ですが、終曲は

ゆずの「Hey 和」(笑)

最後までベタベタで押し通してくれました。



今年度のテーマである「力」、パワー。



そして、力で守る「平和」を人文字で表し・・・、



その「Hey和」を、陸海空からの4人のヴォーカリストが歌います。

この人選は良かったですね。
「ゆず」が男性のデュオなので、海自から男性二人、
そして、それ以外から女性が1人ずつという配分。

そして全員が堂々たる歌手ぶりでした。
全員が他の楽器担当で、いわば「副業」のはずですが、
コーラスのハモリもなかなかどうして、たいしたものです。





この宮品隊員は「ヤマト歌い」として絶大な人気があるそうですが、
彼だけにあらず。



どうですかこのアップにも十分に耐える清潔なイケメンぶりは。
声も歌い方も今どきの雰囲気で、もしかしたら本家の「ゆず」より歌はうま(以下自粛)

海自は世の女性向けにこの隊員で次のプロモーションを行ってはどうか。
キャッチフレーズは「海自の歌王子」。(顰蹙)

というのは勿論冗談ですが、(冗談なんですよ)
自衛隊の良さをアピールできる人材を傑出した1人に限らず何人も抱えておく、
というのは、とかくありがちな世間の度が過ぎる注目とか、メディアの鬱陶しい持ち上げとか、
得てして身内に起こりがちな妬み嫉みを一人に集中させない、
という意味では、いいかもしれません。

うわさによると、来年には「歌姫2号」の売り出しもあるかもしれない、とのことですが、
いずれにしても海自広報にお願いしたいのは、自衛隊として節度を持っていただきたいということ。
そして、隊員を守って欲しいということです。

原文を全部読んだわけではないのですが、
朝日新聞は彼女の記事を書いた際、彼女を

「海上自衛隊 歌手 三宅由佳莉 さん」

としか紹介しなかったそうですね。

自衛隊員として紹介しているのにも関わらず断じて「三等海曹」と階級を付けない、
これは常識としてどうですか?

海上幕僚長を紹介するのに
「海上自衛隊 幕僚長 河野克俊さん」って書くんですか朝日は?
いったい何に「配慮」して、わざわざさん付けにしたんですかね。

この朝日の実に清々しいばかりのマスゴミっぷりにも呆れますが、
あれはもう病膏肓のレベルなので仕方がないとしても、
こういうことをメディアにさせないようにきっちりするのが広報の仕事でしょ?

そもそも、これがおかしいと思わないのが、おかしい。




第三章のメイン、自衛太鼓が始まりました。

この自衛太鼓ですが、自衛隊員としての任務は別にありますから、
いわばクラブ活動のような形で練習を行っている有志なのだそうです。

ですから、たとえば航空自衛隊の「ジュニア」のように、
隊員がポケットマネーを出し合って太鼓やユニフォームをそろえているのだとか。

しかし、日本の「タイコドラム」は世界的にも高い評価ですし、
それこそ自衛隊のイメージアップ、ひいては日本文化の継承という意味でも、
その活動はもっと注目されてもいいと思います。

たとえば・・・・、紅白歌合戦に出るとかね(笑)



観閲式でも朝霞の振武太鼓が出演していましたが、
女性が、しかもこんなたくさんいるとは知りませんでした。

皆きりりとしてかっこいいです。



女性が叩くのはこの小さな太鼓、と決まっているようです。



全国にこれだけの自衛太鼓があります。
朝霞の「振武」という名前は、おそらくあの「振武隊」からだろうなあ・・。
入間は「修武台」がありますから、そこからの命名でしょう。

滋賀の「十戦太鼓」はもしかしたら戦車隊?
と思ったのですが、近くの人の話によるとどうもピンポンらしいです。



このあと、ステージの右部分と左部分で、交互に各太鼓隊が、
全軍演奏を行います。
一瞬たりとも音が途切れません。



そして全員の演奏するフィナーレへと。
これだけの大小の太鼓が同時に響き渡ると、広い武道館が
まるでそれ自体太鼓の皮のように共振し、振動し、
地鳴りに身体がつつまれているようになりました。

太鼓の音というのは実にプリミティブな音楽経験をさせてくれます。
楽器演奏というものが太古の昔、太鼓から始まったように、
人間の原初的な感覚を呼び覚ましてくれるようです。

その振動に、圧倒的な音の波に身を任せるうちに演奏終了。

太鼓を打ち鳴らす隊員たちのしなやかで強靭な筋肉の躍動を
惚れ惚れと観るという喜びも加わって、
これを聴くためだけにもここに来る価値はあった、というくらいでした。


自衛隊まつり、最終章「大空」へと続きます。






 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2816

Trending Articles