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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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平成25年自衛隊音楽まつり〜「スピットファイア」と「ひこうき雲」

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さて、この陸海空自衛隊の音楽の競演。
実はわたしがご招待いただいた方は海自に属しておられ、終わった後に

「身びいきだと思いますが、海が一番良かったように思われます」

という感想をお寄せ下さっていました。
わたしも身びいきかもしれませんが(何の関係もありませんが)海自は特に素晴らしかった、
と言わせていただきましょう。

海自の強みというのは、まず隊長さえもその気になれば歌ってしまう、
というほどの歌い手の「層の厚さ」。
今朝いただいたM24さんのコメントで判明したのですが、



ゆずの「Hey和」を「海自王子」とともに(勝手にあだ名付けてるし)と歌った
この歌手は、河邉隊長とデュオをした方とは別人だったということが判明しました。

川辺隊長デュオしたのは宮品隊員ではなく、
プロコのPコンをブラスに編曲した川上良司一曹だったそうです。

あの編曲は大した仕事であったとわたしは東京音楽隊のコンサートの後
記事に書いたのですが、歌もお上手だったとは。
もしかしたら、河邉隊長の後継者ですか?


そして、ここぞ!というときに繰り出して満座を圧倒することのできる最強の行進曲、
「軍艦」があることもまた海自の「強み」だと思います。
どんなカードで勝ちにくるか、これを選曲とすれば、
海自はロイヤルストレートフラッシュがいつでも出せる、という状態。


しかし、今回、わたしはこのポーカーハンドにかけては、続く空自中央音楽隊も
「ストレートフラッシュを立て続け」くらいの快挙であったと言わせていただきたい。

海自が「軍艦」を持っているように、空時の強みは何と言っても
「飛行機」というものがイメージとして非常に音楽と親和性があることだと思います。

冒頭の映像は演奏中映し出されたご存知ブルーインパルスの演技「キューピッド」。
これをいざというときに出してこられるのは、空自だけなんですからね。

これを始め、



こんなのとか、



こんなのとか、



こんなのとかを後ろでばんばん音楽といっしょに流した日には、
選曲がよければ、相乗効果でもう無条件に感動してしまいます。
ただでさえ、「空飛ぶ広報室」で大注目中の「旬」ですしね。

で、その選曲なのですが、もう今回はわたし、エリス中尉の個人的なツボにはまりまくりました。



まず、小編成でのアンサンブルに合わせて、空自の三人娘が歌う
「翼をください」。

空を飛ぶことをテーマにした音楽はおよそこの世に数えきれないくらいありますから、
空自はこういうときに、逆に何を選ぶべきかの選択肢が多すぎて困るんじゃないでしょうか。

その星の数ほどもある「空」をテーマにした歌の中から選ばれたのが、これ。
左の隊員はHey和のときにソロを歌っていた人だと思いますが、
両脇のクラリネットが歌も楽器も受け持つという、何とも省エネなステージです。

それにしても、やはり管楽器専攻でかつ歌える人というのは歌の音程も正確なのね。
両脇は主にコーラス担当でしたが、三人のハーモニーがとてもきれいでした。

そして、後ろのスクリーンでは、スローモーションで鷲が空に羽ばたく映像が・・・。
うーん、心憎い演出をするではないか。
わたしはこれを見たとき心が思わず熱くなるのを感じました。



さて、続いて大変評価したところのドリル演奏。
何をどう評価したかを説明する前に、当ブログの黎明期の記事を少しご覧下さい。

「スピットファイア 前奏曲とフーガ」〜サー・ウィリアム・ウォルトン

何と2010年5月といいますから、ブログ開設から一ヶ月くらいですかね。
文章が今と比べて三分の一くらいの短さです。(笑)
このころ、このくらいの文章ですら自分でも「長いなあ」と思っていたのですが、
いったい三年半の間にわたしに何が起こりどうなってこうなったのか。
しかもこの頃のエントリを読むと、まるで別人が書いているみたいで恥ずかしいっす。

えー、そんなことはどうでもよろしい。

何が言いたいかというと、わたしがブログ開設早々、アツーくその魅力について語った
この「スピットファイア・プレリュード」が空自のドリル演奏に使われたのです。

ええ、早い話、それくらい好きな曲をやってくれたから嬉しい、ってだけの話なんですが、
空自が「スピットファイア」の演奏、でしょ?
もうこれだけでわたし的にはツボなんですよ。
加えてこの、「大英帝国的国威発揚音楽」とわたしが位置づけたところの、
曲そのもののかっこよさを聴くがよい。

Spitfire Prelude and Fuga  

この演奏は実にたくさんのバージョンがありますが、何より、
スピットファイアの実写映像、そして男前のパイロットたち、
なんといっても一緒に写っている犬がとてもいいので、
あえてオルガンで演奏しているものを貼ってみました。
ブラスバージョンが聴きたければ、上記YouTubeの右側のリンクに出ていますので
ポチッとしてみてください。


ところで余談ですが、わたくし、最近ようやく寒くなってやる気が出てきた乗馬で、
今度試合に出ることになりました!
なんのことはない初心者向けの簡単な演技なんですけど、ちゃんと試合用に
黒の乗馬ジャケットと白の乗馬パンツ、白スカーフのシャツなんかも揃えてしまいます。
何でも形から入るタチなので。
でも、ジャケットは調達が間に合わないので、
今まで持っていたドルチェ&ガッバーナの黒いスーツの上着、(裏地は真っ赤)
ブーツは黒いサルトルで代用。

で、何が言いたいかというと、この演技用の音楽を自分で選曲するのですが、
これをこの「スピットファイア」にしようと考えているのです。

今のところ曲にふさわしく演技できるのははっきり言って

「演技前と終了後の敬礼だけ」

という状態なんですが(笑)せめて曲のかっこよさについていけるように、
あえてこの曲を選んでみました。

というか、音楽まつりでこの空自のステージを観たとたん、
BGMはもうこれしかない!と思い込んでしまったんですね。
というわけで、練習中もずっと頭の中でこの曲が鳴っている状態です。

そしてそのスピットファイアの間に挟むように挿入されたのは

「ひこうき雲」。

うむ、今年は「空飛ぶ広報室」、そして「風立ちぬ」で、
飛行機といってもとくに戦闘機が注目された年でしたしね。
(永遠の0って、もう終わったんですか?
なんだかあまり話題になってないみたいだけど)

この曲は歌手に歌わせることなくインストで演奏され、

「空に憧れて 空を駈けて行く」

ここだけがスクリーンに字幕で表されました。
これは賢明な判断で、というのは歌詞をご存知の方ならお分かりでしょうが、
この曲は若くして病気で亡くなった少年を歌ったもので、この後は

「あのこの命は ひこうき雲」

と続くため、非常に気まずく(?)なってしまうからです。
でも、メロディがいいからいいや、ということで話題の曲として選んだのでしょうね。



この、スカートにベストの旗を振るダンサーたちも自衛官らしいです。
昔、女性の自衛官そのものが少なかった頃には、歌手ですら
宝塚歌劇団から借りてきていたのだそうですが、今や専属歌手もいるし、
楽器をこなしながら歌もうまいというような人材が隊内に増え、その必要がなくなったのですね。



空自のドリル演奏はそのあと「フライト」という曲、
そのあとまた再びスピットファイアに戻ってエンディングです。



陸自のここぞというところで「見栄を切る」隊形や、海自の錨のマークに比べると、
空自のドリル演奏は旗振りガールが花を添えて大変華やかではありますが、
フォーメーションそのものは抽象的な対称形が多く、
何かを形作ってそれで見せる、という趣向ではありませんでした。

そしてその後、陸海空自衛隊合同で演奏したのは

「サイコフィールド」。

この曲はどうやらガンダム関係らしい。
それにしても、わたしはこの曲で実感しましたね。
この日本社会のほとんどは「アニメ・ゲーム世代」が占めつつあるということを。
だって、オープニング曲は「モンスターハンター」ですよ。
エンディングは「ガンダム」なんですからね。


そして、フィナーレ。
全部隊が出演して、かつて当ブログでさんざん批判した()応援ソング、

「花は咲く」

の大合唱へと・・・。



部隊の前には8人のボーカリストが出てきてリードを取ります。



なんと、陸空からも男性ボーカルが供出されているではないですか。
つまり、陸海空から男女二人ずつです。



そして米軍を代表して、海兵隊から女性、陸軍から男性が。
海兵隊は歌ものはやりませんでしたが、クラリネット奏者を歌手として出してきました。



当然ですが二人とも完璧な日本語でこの歌を歌います。



客席の階段には、いつの間にか自衛太鼓を叩いていた隊員たちが、
このように立って、客席と一緒に歌っていました。



でも、わたしは客席を見て思いましたが、企画の人が思ったほど
この曲を知っていて、かつ歌える人というのはそういなさそうでした。

まわりが誰も歌ってないので、わたしも歌わなかったくらいで(笑)

だから、わたしも以前当ブログでさんざん批判したときに言ったように、
確かにいい曲ではあるんだけど、童謡や唱歌のように、
老若男女だれもが口ずさむような曲ってわけじゃないんですよ。これは。

そもそもこれは、こういう場面にふさわしい美しいメロディと感動的な歌詞。
震災で亡くなった人を思って未来に向けて歌われる歌、
・・・というものを作りましょう、という企画の上に作られた「企画ソング」ですからね。

なんというか、言葉に言霊があるように、歌にもそういう魂が宿るものなのだとしたら、
少なくともこの曲にはそれほどの思いは今のところこもってない、
っていうことなんじゃないかと思います。残念ですけどね。

自衛隊が今年の音楽まつりにこの曲をテーマとした、そのこと自体は大変よかったと思います。
ただ、この曲が有名で、この場にふさわしい「いい曲」であるということと、
その曲をここに集う全ての人々が声を合わせて歌うことができる、という段階の間には
ずいぶん乖離があると思うんだな。

企画した方は音楽関係者なので、おそらく「これだけ有名なのだから皆歌えるに違いない」
と思われたと思うんですが、音楽関係者は得てして一般人の「音楽レベル」を、
自分と同じような感覚で判断してしまうきらいがあるものです。
大抵の人間は「良く聴く曲だけど、歌うことはできない」ものなんですよ。

皆で歌うなら、やはり「ふるさと」とか「蛍の光」とか・・・。
いずれにしてもNHKの「応援ソング」はやめた方がよかったかもしれませんね。



後ろの方でなぜかここだけ不思議な動きをしていた防大儀仗隊の皆さん。



なんかノリノリの君がいますね。

そして、客席からは全く歌声が響かないまま、しかし感動的に歌は終わりました。



と、会場の明かりが消え、浮かび上がったトランペット隊。
2020年の東京オリンピック開催を祝して演奏されたのは、
1964年の東京オリンピックのファンファーレ。

このときの映像には、かつてのブルーインパルスが描いた五輪の輪が映し出されました。



そしてそのまま東京オリンピックマーチに乗って、全部隊退場。



と思ったら、空自のフルート4管だけで、
名残を惜しむかのように再び「花は咲く」がリフレインされ・・・。



その音が消える前に、隊長が敬礼。
この瞬間のためだけに音楽隊長をやってみたい・・・・。
と思う人はたぶん多いに違いない(笑)



こうしてこの日の演奏会は終了しました。
画面にはずっと伊豆大島で災害のために派遣されていた自衛隊の映像が流れていましたが、
全てが終わったときに、この大島椿の花が鮮やかに浮かび上がりました。



音楽まつりについては後一回、会場での雑感などを書いてみたいと思います。

 

 


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