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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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アメリカ5州博物艦巡りの旅②〜ミシガン州ベイシティ、オハイオ州クリーブランド

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潜水艦「シルバーサイズ」と揚陸艦LST393のあるマスキーゴンから
ミシガン州を少しずつ南下しながら東に進むと、
半島の真ん中あたりに、ミシガン州都であるランシングがあり、
(大都市は州都に在らずの法則はここにも)
さらに南に下るとミシガン州最大の都市デトロイトがあります。

デトロイトから横V字に折り返して少し南西に行くと、
次の宿泊地、アナーバー、Ann Arborに到着しました。
アナーバーは都市を設立した二人の男性の妻の名前がどちらもアンで、
さらにこの地にに自生するオークの森の木陰が作り出す光と影から、
「あずまや」(Arbor)にちなんで Ann Arbor と命名されたそうです。

今回いろんな都市を駆け足で巡りましたが、その中では
この街が一番住みやすそうであると二人の意見が一致しました。

実は昔、TOがここにある全米10位以内という大学の日本人関係者から
大学院への留学を勧められたということがあったそうで、
そのときアナーバーは日本人にとってとても住みやすくていいですよ、
と聞いていたらしいのですが、結局彼は別の大学を選びました。

冬に氷のトンネルができるくらい寒いミシガンに決まらなくてよかった、
くらいの認識しか当時のわたしにはなかったので、
アナーバーなる都市の名前も今回の計画立案の段階で初めて知ったのですが、
よりによって偶然そんな若干の因縁のある街を選んでいたとは。
まあ、夏に訪れたからこそ住みやすそうなどと思ったのであって、
零下20℃の冬に来ていたら違う感想だったことは想像に難くありません。
札幌出身の人が、昔、
「夏の北海道に観光で来ただけで住みやすそうなどというのを見ると腹立つ」
と言っていたのをふと思い出しました。




アナーバー宿泊は週末だったせいか、リクエストしたアップグレードを
一度ホテルからメールでお断りされていたのですが、
チェックインの時、とても感じのいいフロントの女性が、
お部屋が空いたのでスイートにさせていただきました、
とにこやかにいうので、アナーバーの印象もアップグレードしました。

今回、時差ボケと戦いながらの旅なので、一部屋を占領して
寝られないなりに一晩自由に過ごせるのはありがたかったです。



まだ新築らしく、同じ名前のホテルでも、
間取りや内装が洗練されていてこれもまた気に入りました。


ダイニングテーブルとソファの両側に部屋が一つづつある作りです。


夕食は何も考えず調べておいた近隣のホールフーズに行ってデリを買い、
部屋で食べるか、イートインで食べて済ませていました。

ホールフーズというオーガニックスーパーマーケットは、
価格帯がお高めなので、富裕層とまでは行かないまでも、
少なくとも意識高い系やオーガニック派やサステイナブル族などの住む、
ある程度以上の生活レベルの層が住む地域にしか出店しません。

ですから、現地のことを全く知らない旅行者であったとしても、
ホールフーズがあるだけで安全な地域であるという一つの目安になります。
(サンフランシスコやニューヨークなどの大都市は少し事情が違いますが)

それから、アメリカのブランディングシステムのありがたいところで、
広い全米どこに行っても、似たような商品を扱っているので、
慣れていると買い物が簡単で楽というメリットがあります。


さて、アナーバーは心惹かれる街で、もう少し滞在したいくらいでしたが、わたしには行くべき次の場所がありました。

アナーバーから3時間ほど車で北上すると、サギノー(Saginaw)という、
どこかで聞いたような街があります。

わたしが「聞いたことがある」というのは、たいがいその都市名が
海軍艦艇につけられているパターンが多いのですが、
「サギノー」も、まずSloop-of-warという種類の南北戦争時代の軍艦、
(甲板上に大砲を有する蒸気又は帆走式の軍艦)
USS Saginaw 

と、近代のタンク・ランディング・シップ=戦車揚陸艦、

USS Saginow (LST−1188)
が何となく記憶の底にあってその名前を見覚えていたようです。

LST「サギノー」の方は、湾岸戦争にも出撃したという艦で、
アメリカ海軍を退役した後は、オーストラリア海軍に売却されて、
2011年まで現役で活躍していたということです。

今回訪問したのはそのサギノーから少し北に行った、ベイシティという街。

写真はこの日昼ごはんを食べた、
ヒューロン湖から流れるサギノー川沿いにある大型ホテル、
「ダブルツリー」のレストランからの眺めです。


そしてサギノー川の上を飛翔するサギ。



アメリカのレストランでお馴染みの「アヒ・ツナ」をいただきました。

ここのはふんだんに胡麻を塗したもので、なかなか悪くありません。
マグロの身がフニャッとしてどうにも締まりがないですが、そこは我慢。
昨今は味のグローバル化で、どんな都市に行っても、このような
日本人の口に合う料理が食べられるようになったのはありがたいことです。


お昼を食べてから、いざ艦艇見学に出発・・・・と思ったら、
街中なのに、ものすごい鉄屑の山を発見。

これ、そのままデトロイトの自動車の原料になったりするのかな。


■ 駆逐艦「エドソン」@ベイシティ



ベイシティのヒューロン湖沿いには、

駆逐艦 USS Edson 「エドソン」DD-946
が係留展示されています。
記念品グッズ売り場を兼ねた建物で観覧料(確か18ドルくらい)を買ったら、
ボランティアらしいカウンターの男性が、
「わたしのワイフは日本人なんですよ」
と言って奥さんを呼んできてくれました。
こんなところで日本人に会うとは、さても奇遇です。

トモコさんとおっしゃるこの女性は、週に一回ボランティアで
「エドソン」に夫婦で来ておられるということでした。

アメリカ人男性(ベテランかも)と結婚して、
ミシガン州の五大湖沿いの小さな町で共に人生を重ねるとは、
昔どんな素敵なご縁があったのでしょうか。

彼女によると、この街に日本人は二人だけしかおらず、
しかも向こうとは関わりがないので日本語を喋るのは久しぶりだとか。

「喋らないと本当に日本語出てこないんですよね」
そんなもんなんですね。

それから、トモコさんから伺ってもっと驚いたことがありました。
わたしたちが訪れたこの前日、「エドソン」には、

日本人女性がたった一人で見学に来ていた

というのです。

「日本女性が」「アメリカの小さな街の展示艦を」「一人で見学」?
わたしは思わず、それはわたしではないのかと思いました。
同時に、わたしが今までやってきたことは、わたしの目から見てさえ、
かなり風変わりで奇異なことに思えたのが不思議でした。

この女性がアメリカ在住なのか、日本からの旅行者かはわかりませんが、
こういった展示軍艦の見学というのは、一般的に
あまり女性の興味を惹かないものだと、他ならぬわたし自身が
持っていた偏見めいた目に、あらためて気付かされた次第です。


2022年7月上旬に、駆逐艦「エドソン」を一人で見学したという方、
もし万が一このブログをお目に留められることがあったら、
一体どんな方で、どんな目的のもとに来られていたのか、
差し支えなければご一報くださると大変幸いに存じます。




「エドソン」がこの街にやってきて展示されるようになったのは、
トモコさんによると10年前のことだそうです。

そのうち内部についてこのブログでも細かくご紹介しますが、
とにかく感心したのは、展示が見学者にとって懇切丁寧なこと。

どんな部分にも必ず説明が添えられていて、
軍艦初心者にも自分の見ているものが何か分かりやすくなっています。
いろんな街の展示艦を見てきましたが、その親切なことにおいて
「エドソン」は間違いなくトップクラスでした。

もっともこれは、「ミッドウェイ」のような大規模な展示のように
インターネットで調べれば細かい部分も全て情報が上がっている、
というような記念艦ではなく、その分ボランティアの熱意や
展示の仕方の工夫に全てが委ねられている小さな艦ならではかもしれません。


かつての乗員を記念艦に招いてイベントを行うなど、
ボランティアによる活動も活発に行われているようです。

写真のご夫婦は、「エドソン」のかつての艦長夫妻だと思います。

「エドソン」は主にベトナム戦争時代に活動のピークだった艦艇で、
1960年には極東での配備のために台湾海峡をパトロールし、
沖縄沖で水陸両用作戦に参加し、そして
日本近海ででさまざまな種類の演習を行っています。

■ クリーブランド

この日は午前中にアナーバーからベイシティまで2時間弱、
ベイシティからその日の宿泊地であるオハイオ州クリーブランドまで
4時間強、合計6時間一人で運転をすることになっていました。

時差ボケの治り切らない体調では不安でしたが、幸い、
この前日くらいから一旦夜中に目が覚めることはあっても、
その後6時くらいまで寝ることができるようになっていました。

結果として、この4時間のドライブ中眠くなることは一度もなく、
快調にアナーバー、トリード(Toredo)と通過して、
クリーブランドという名前だけはよく知っている
(クリーブランド交響楽団という超有名オケがある)
オハイオ州第2の都市に到着しました。



途中でちょうど走行メーターがちょうど1000マイル(1609km)になったので、別に深い意味はないですが、記念写真を撮っておきました。

ちなみにこの時の時速67マイルは107kmで、アメリカの高速道路は
だいたい60〜70マイルが制限速度となっています。

日本の高速のように、みんなが100キロで走るような高速で
制限時速を80キロにしておいて、パトカーに捕まった時には
自動的に?20キロオーバーになっているというような
不合理な制限時速設定はしていません。

この頃にはオートクルーズ機能を使いこなしていたので、
制限時速に設定して走行していました。

モードによって写真のようにiPhoneの曲の題名を
パネルに表示することもできます。

パネルに「イントルーダー」という字が写っていますが、
これはあの戦闘機のことではなく、MKがダウンロードした
「Fight Songs: The Music of Team Fortress」

というアルバムの「Intruder Alert」(侵入警報)という曲です。



クリーブランドのレジデンス・イン・バイ・マリオットは、
まだ新築らしく、内装はとても近代的でとてもいい感じでしたが、
アフリカ系フロント係が、ホテルマンのくせに気が利かなさすぎでした。

都市部のホテルなので、駐車場代に一晩15ドル取られるのはいいとして、
それを説明しておきながら、駐車場の入り方を教えない。
こちらが困って聞きに行くまで、どうやってゲートを入るか、
どうやって駐車場を出るかを前もって教えないという不親切ぶり。

次の日、わたしたちは別の宿泊客が何やらフロントで
クレームをつけているのを見ましたが、彼女に向かって、
フロントのアフリカ系女性は、

「2時になるまで責任者が出勤してこないので、
あなたの部屋をそれまで延長しておくから待っていてください」
と言い放っていました。

その客に飛行機に乗る予定があってそれまで待てなかったら、
どうする気だったんだろう。


旅の印象というのはこんなところでも決まってしまうもので、
残念ながらわたしたちにとって、一泊しかしなかったクリーブランドは、

「アフリカ系の従業員が悉くやる気なく働いているところ」

になってしまいました。

観光業の人たちには、くれぐれも自分の言動が、その場所、
ひいてはその国を印象付けることもあるということを
重々意識して接客していただきたいものだと思いました。
大抵の日本の観光業に携わる方々には釈迦に説法だと思いますが。





クリーブランドの部屋は、もともとツインが取れていたので
アップグレードはしませんでしたが、十分な広さでした。


ここには大きなコンピュータデスクがありましたが、
なにしろ着いたら荷物を整理してお風呂に入って寝るのが精一杯で、
せっかくのデスクも、PCを充電する台としてしか機能せずじまい。



窓の外には少し離れたところにクリーブランドの中心部が望めます。
クリーブランドのさらに向こう側には、「アクロン」という都市があります。

アクロンと日本語で検索すると、洗剤の情報しか出てきませんが、
わたしにとっては「アクロン」は悲劇の海軍飛行船の名前に他なりません。


ところで、クリーブランドに行く少し前、このアクロンで、
またしても警官によるアフリカ系男性への銃撃があり、
それがオーバーキルであり黒人に対する差別であるとして、
BLMな人たちがデモをする騒ぎになっていました。

警官が黒人男性射殺、約60発の銃弾 米オハイオ州で

しかしいつも思うのですが、こういうことに抗議する人たちは、

「同氏は軽微な交通違反で車を止めるよう促され、車に乗ったまま逃げた」

「数分間追跡された後、車を捨てて逃走」

「警官の方を向いており、その際に銃を所持していると考えられた」
(銃は車の中から発見された)

このとき警官は8人がかりで男性に60発を撃ち込んだ、というのですが、
男性が銃を持っているかどうか確かめていたら先に撃たれるから、
そして撃たれてからではもう遅いからこそ、アメリカの警官は
条件反射で発砲するようにと訓練されているんじゃないんでしょうか。

車で逃げて逃走するような男性でも「あやしきは罰せず」というのは、
つまり、向こうが撃ってくるまでこちらから何もするなということ?

それって、警官の命は被疑者より軽いということにならないのかな。

まあ、歴史的にも色々と不条理な目にあってきた黒人さん側には、
こういうことがあるたびにそりゃ言いたいこともあろうかと思いますが、
この手の事件(そして必ずしも黒人男性は『真っ白』ではない)が起こると、
必ず人種差別問題に火がついて抗議デモが起こるというこの流れ、
対岸の火事的立場からは何だかなーと割り切れない想いに見舞われます。

さて、クリーブランドで一泊したら、あとはエリー湖に沿って
ひたすら北に進んでいくのみ。

そこには、以前外から見るだけで終わった、この地域最大の
バッファローネイバルパークがあるのです。

ついでにナイアガラの滝参りももう一度するぞ〜!

続く。



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