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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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U-BOXでの引越しとジャパニーズレストラン「Gi-Jin」のお味〜ピッツバーグ滞在

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ピッツバーグを去る日が近づいてきました。
■MKの引っ越しとU-HAULのU-BOX



1年間お世話になったアパートから、まず荷物を出す日。
この一帯は大学が集中しており、大学生が多いことから、
契約は同じ日(夏は7月31日)に一斉に切れるため、この日には
アパート中が引っ越しで大変な騒動になります。

そのためエレベーターはいくら待っても来ず、来たとしても
荷物と人がいっぱいで降りられないということになるので、
可能な人は少し早めに荷物を動かしたりして、
当日の移動をできるだけ最小限にしようと努力します。

それでも16階建でワンフロアに50部屋はあろうかというアパートなので、
最後の日とその前日には、ゴミ集積所には
粗大ゴミと潰していない段ボールが山をなすことになります。

退出期限の前の夜、ゴミ集積所を通りかかって驚いたのは、
その粗大ゴミを狙って、組織的にゴミを漁る人々が群がっていたことです。

わたしが見たのはインド人の一家総出で、夜遅くにも関わらず
小さい女の子がゴミ集積所で子供用の自転車を見つけ、
お宝ゲットだぜ!と言わんばかりに乗り回していました。

学生街のアパート退出時期は毎年決まっているので、
これを目当てに「商売」している人がいるということを知った夜でした。


MKの部屋は、同じ大学の院に進む予定の彼の友人が
後を引き継いで住むことになってるので、母親としては
息子のよき友人関係の存続のためを思い、特に頑張って掃除をしました。

もちろん退去後は業者が掃除をしますが、一年前の体験から言うと、
業者の掃除というのは割といい加減なものなのです。(トイレとか特に)


そして、アパートから引き揚げた荷物を、Airbnbに運び込みました。

去年の引っ越しの時、わたしはその名も「ザ・コンテナ」という
入れ物ならなんでも買える店(こんまりさんとのコラボコーナーあり)で、透明で大型、車輪付きのコンテナを大量買いしておいたので、
今回もそれに何もかも詰め込んで運んでしまえばいいだけでです。

このコンテナはよくできていて、移動が簡単な上、
使わない時は重ねて置けるので、引っ越しの多い学生にはピッタリです。
あとは、この荷物をU-HAULという引っ越し業者に持って行って、
自分が借りている大型コンテナU-BOXに詰めていくのです。


U-HAULとの契約の日には、まずオフィスで
送ってもらうU-BOXの鍵を受け取ります。
U-BOXにアクセスできるのは、鍵をもらった日を含めて二日と
最終日の午前中までの間と決まっていますので、
この間に車で荷物をせっせと運んで積み込んでいきます。



そして、自分の契約したコンテナのある場所に車を停めます。
右側にずらっと並んでいるのが陸路輸送用のコンテナ。

これをフォークリフトでトラックに積んで、大陸横断します。



寒い地域なので、ガレージ内にこれでもかとストーブが(しかも宙吊り)。
いったいいつの時代の暖房設備なんでしょうか。


もらった鍵でU-BOXの南京錠を開けます。

鍵は買取式となっており、引っ越しが済んだら自分のものになり、
返却の必要もないので、過去の借主からの盗難を心配することもありません。

この鍵は所有者に二つ渡され、業者が中を見ることはありません。ですから、コンテナの中に入れてはいけないものや、
梱包の仕方は契約にしっかりと書かれています。

もちろんですが、食べ物と生き物、植物は絶対に同梱厳禁です。
およそ二週間の間、空調なしの空間ですから当然ですね。

開けてみると、中はカプセル式の防音室くらいの広さでした。
結構広いのでびっくりです。
メキシコからの不法移民が、このUBOXに入って国境越えを企み、
このケースに数十人が入っていてほぼ全滅していた、
というニュースを先日も目にした覚えがありますが、一瞬だけなら
ちょっとの我慢で行けそう、と思っても仕方ないくらいの広さではあります。

とりあえずコンテナを一つ入れてみます。

荷物を全部収めたところで、MKと一緒の記念写真を撮っておきました。
奥にいるMKの大きさで、コンテナの広さがお分かりいただけるかと。
家具が全くないので、床一面コンテナケースが並んだ状態です。
これはちょっとスペース的に勿体無かったかも・・。
引っ越しの荷物のトラッキングシステムがないので、MKは
コンテナケースの一つにappleのAirTagを入れておき、
今どこにいるのかチェックすることにしました。
このAirTagというブツ、わたしもパスポートと一緒にしていますが、
誰かiPhoneを持っている人が近くにいて中継局の役割をしないと
追跡できないという特性があるらしいので、
もしドライバーがiPhoneユーザーでなかったら、システムが用をなすのは、ドライバーが立ち寄ったレストランや
隣を走っている車にiPhoneがあった場合だけとなります。
荷物を入れて2日間、AirTagはU-HAULからピクリとも動かず、
家族全員で気を揉んでいたのですが、二日目の夜急に動き出しました。



その後順調にオハイオまで行ったのですが、
いつまで経ってもオハイオから出ていかないのでまたも心配しています。

これは今朝、デイトン(国立航空博物館のあるところ)にいるところを
キャプチャしたものですが、高速道路上にいるのか、
それとも道を外れて停まっているのかまではわかりません。





■ 高級ジャパニーズレストラン「Gi-Jin(外人)」


先日ご紹介したピッツバーグの「高い」「不味い」「日本食じゃない」
三拍子揃った恐怖の低評価ジャパニーズレストラン、「UMI」。

その非難渦巻くコメントの中に、「Gi-Jinの方がずっと価値がある」
という言葉を見つけたので、早速この日本食レストランの予約を取りました。

写真はダウンタウンにある(ハインツホールの向かい)お店の外側。
何も知らずに街を歩いていて、「外人」という暖簾を見つけたら、
日本人はかなり驚かされそうです。

店名の「JIN」はお酒のジンとかけてあり、
ジンを使ったお酒が得意であるという意味もあるようです。

ただし、わたしは日本の文献や慣習などで
「外人」が「ぎじん」と読間れた例を寡聞にして知りません。
「ガイジン」→「Gaijin」→「Gijin」と崩して行った結果でしょうか。


「UMI」のように妙に日本に寄せすぎて、日本人から見ると
結局大きくハズしているところが残念、というのと違い、
インテリアはそこそこ日本のテイストを盛り込みながらもモダンです。
店の一面を占めるカウンターはバーと料理がどちらも出てくる形。
左の方の人がバーテンダーで、ここからお酒が出てきます。
後ろのボトル棚には獺祭などの日本酒の瓶が並びます。

この日は週末で、さすが予約の取れないお店らしく、
早い時間なのに既に満席になりかけていました。


アミューズ、日本の居酒屋でいうお通しは枝豆。

アメリカでは普通に「Edamame」といって、よく利用されますが、
ほとんどが冷凍のものを茹でただけなのに対し、ここは
ちゃんと生の枝豆から茹でて味付けをしてあったのには感心しました。

しかも、塩のみではなくチリで味をつけてあります。

味噌汁はしっかり出汁を取っていてそれは大変結構なのですが、
出汁が椎茸だったのには虚をつかれた思いがしました。
いただいてみると、それもそのはず、具が椎茸でした。

椎茸の味噌汁・・・日本ではあまりやりませんが、好きな人もいるのかな。

箸置きもちゃんと用意されております。


これと極似。

家族全員のためにサシミプレートを注文してみました。
シソが枯れていない。これはポイント高し(どんな低めのポイントだ)。

普通に美味しい刺身でしたが、それより驚いたのは
刺身にたくあんが添えられていたこと、
そしてそのたくあんがむやみに美味しかったことです。



ここまで大変ポイントが高かった「Gi-Jin」ですが、
おおっと、ここで出てきた握りにトッピングが!
だから、サーモンにトマト乗せるのやめてくれんかな。レモンはまだいいとして、ハラペーニョ乗せるのもやめていただきたい。マグロに海苔もいらん。

この、握りにトッピング載せずにはいられない感覚って、なんなんだろう。
一種の「隙間恐怖症」みたいなものでしょうか。
握りそのものは、しょせん「アメリカの寿司」の範疇を出ておらず、
ネタの割りにご飯の面積が大きすぎてあまり褒められない口触りでしたが、


「握りトッピング」で暗雲の立ち込めた当店への評価ゲージ。
最後に頼んでみた「TEMAKI」で跳ね上がることになりました。

アメリカ人が黒い海苔で巻かれた食べ物を内心嫌いなせいで、
「カリフォルニア巻き」というようなアバンギャルドな寿司が
あたかも元々日本にあるものであるかのように思われていますが、
その傾向をここにも見ることができます。

手巻きといいつつ、海苔で巻き切らず?具を見せて提供しているのです。

この状態では手に持って寿司を食べられませんから、当店では
専用の「手巻き置き器」を使って、ここから口に運ぶ仕組みです。

これだと、黒々とした海苔はあまり目につきませんし、
中に何が入っているのか分かりますし(そらそうだ)、
なんと言っても海苔が湿気る時間をちょっとだけ遅らせることもできます。

「ほー・・・これが手巻き・・・」
思わずこのナイスなアイデアに感心しつつもあまり期待せず、
頼んでみたカリフォルニアロールを一口食べて、わたしは唸りました。

「何これ美味しい」
日本の手巻きとは似て非なるものであることは最初からわかっていますが、
この「美味しい」の正体が、寿司の真ん中に仕込まれた
少量のバターであることを知ってさらに驚きました。
しかもただのバターではありません。ブール・モンテです。

ブール・モンテとは、一口で言えば溶かしバターのことですが、
通常バターが分解される温度よりも高い温度でも
乳化状態を保つ溶かしバターという定義があります。
ちょっと面白いので紹介しておきますと、
通常、バターは70℃で分解されるものですが、ブール・モンテは
82〜88℃まで加熱し、乳化状態を維持することができ、
ソースや焼いた肉を休ませる材料など、さまざまな使い方ができます。

【ブール・モンテの作り方】

15〜60ml(大さじ1〜4)の水を沸騰させる
沸騰したら火を弱め、冷たいバターを1~2個ずつ入れて泡立てる
バターが溶けてきたら、さらにバターを加える
乳化が始まったら、さらに一度にバターを加える

好みの量のブールモンテができるまで、泡立てながらバターを加え続ける
出来上がり!

その後、88℃以下に保たないと成分が壊れてしまうので注意
という手間をかけて作ったものなのか、それとも単なる溶かしバターか、
それがわかるほどの量ではありませんでしたが、少なくとも最後に仕込まれた意外な風味に驚かされたのは確かです。
しかもこの手巻き、トビコのわさびあえと極小の天かすが入っていて、
なんとも言えない歯触りの面白さを楽しめる一品となっています。

日本の寿司屋では決して生まれないであろうアイデアですが、
これもまたアメリカの寿司として、悪くないと感心しました。



そしてデザートは、「Matcha Mis」とチョコレートトルテ。
チョコトルテは普通でしたが、この抹茶ミス、なかなか結構な味でした。

このネーミングはもちろん「ティラミス」から来ていますが、
「抹茶」に「ミス」を加えるというのはちょっと乱暴です。

なぜなら、ティラミスの語源は「Tirami su!」
(イタリア語で『私を引っ張りあげて』転じて『私を元気づけて』)
ですから、「mis」を残すのは全く語源の意味をなさないのです。

だからと言って「Matcha-su」だとどんなデザートか想像もつきませんから、
このような苦しいネーミングに落ち着いたのでしょう。

普通に「抹茶ティラミス」じゃいかんかったのか。


続く。





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