1ヶ月以上を過ごしたピッツバーグを去る日の朝。
早朝からどんよりした空模様だったのが、7時から雷雨⚡️になり、
よりによって荷物を車に積み込む時にピークになりました。
前日まで毎日のように通ったコーヒーショップ「コンステレーション」。
この日は最後ということで、コーヒー豆をいくつか見繕ってもらって、
「出発の朝、空港に行く前に立ち寄れたら寄ります」
と約束して去ったのですが、雷雨のせいで
予定より到着が遅くなってしまいました。
開店前でもいいよ、と言ってもらっていたので、
MKだけが店に入ってテイクアウトのコーヒーをもらい、
最後にお別れを言って去りました。
こんな雷雨でちゃんと飛行機飛ぶのか、と心配したのですが、
荒天だったのはピッツバーグだけで、しかも飛ぶ頃には晴れていました。
しかし、何の都合か離陸が遅れ、(多分これは雷雨のせい)
乗っていた便では、
「乗り継ぎの便があるお客様から先に降機していただきます」
と気を遣ってくれ、わたしたちはぎりぎり間に合いましたが、
中には機内にいる間に予定の便が出てしまったという人もいたようです。
シカゴ・オヘア空港からは無事に出発しました。
今回、アメリカ人がどうして手荷物を機内に持ち込みがちなのか、
そのわけが初めてわかりました。
それは、荷物を預けるとお金を取られるからです。
国際線はエコノミーなら1個まで、ビジネスなら2個まで無料ですが、
アメリカ国内はどうも全ての預け荷物が有料になったらしく、
意地でもお金払いたくないマンが、でかい荷物を持ち込むため、
機内の荷物入れが毎回大変なことになってしまうのでした。
自分のiPadでUnitedのHPにアクセスし、
好きな映画などを観たり、空港で買ったサンドイッチを食べたり、
(国内線エコノミーは食事は基本的に出ない)
ウトウトしながら過ごし、しばらくして窓を開けると、
前にも見たことがあるような気がする湖がありました。
後から地図で調べたところ、ヨセミテ国立公園を超えたところの
山脈を流れる大きな川が作る巨大なリザボア(貯水)湖で、
シェラネバダにあるマックルー(McClure)湖だとわかりました。
この写真には「アトウォーター」と地名が出てきたのですが、
何だか聞き覚えがあると思ったら、昔見に行って、ここで紹介した
「キャッスル航空博物館」のあるところではないですか。
あらためて地図を見るとかなり内陸です。
まあよくこんなところまで一人で車を運転して行ったもんだよ。
ここに写っている湖はトゥーロック(TurLock)湖で、全体が
カリフォルニア州立の巨大なレクリエーションエリアとなっています。
この時ふと「今どこにいるのか地図でわかるかな」と思い、
マップを出すと、もうこんなに西海岸に近づいていました。
チャウチラという面白い名前の地名が表示されていました。
この近辺は企業的な大規模農場がびっしりと並ぶので、
上空から見ると地面がこんなことになってます。
いつもここを飛ぶと感嘆せざるを得ない、山の高低と関係なく
あくまでも真っ直ぐリボンのように連なる送電線。
これだけの山に真っ直ぐ送電線を通すのに、何年かかったのでしょうか。
これも貯水湖で、カラヴェラス(Calaveras)湖といいます。
カラヴェラスとはスペイン語で「スカル」=骸骨のことだとか。
もうここはミルピタスという聞き慣れた街の山の隣で、
ここまでくればあとは空港まで8分という位置関係です。
そしてこれを見るといつもサンフランシスコにやってきた、と思う、
フリモントの塩田跡とそこにつながる野生動物保護地域。
元々塩池があったところなので、その後も塩分の濃度の違いによって
バクテリアや藻が、それぞれカラフルな色合いに染まっているのです。
赤いところほど塩分濃度が濃い場所なのだとか。
サンフランシスコは3年ぶりとなります。
かつて住み、その後も必ず夏に1ヶ月を過ごして
「心を置いてきた(I left my heart)場所」なので、
3年間はわたしにとってそれはそれは長い時間に感じました。
この写真はサンマテオのフォスターシティを上空ですが、
今回はこのフォスターシティにAirbnbを借りました。
空撮写真をご覧になってお分かりのように、
フォスターシティ(City of Foster City)は計画都市です。
その計画を行ったのが、T・ジャック・フォスターという人です。
1971年から都市となったというフォスターシティは、計画的に湾岸を埋め立ててラグーンを造成して作られました。
広大な公園を配置し、街の真ん中に運河のような水を流し、
水辺には住宅地をこれも計画的に配置しています。
オラクルなど、サンマテオ郡南部からシリコンバレー北部にかけて所在する
IT企業の従業員や、日系企業の駐在員が在住する
ベイエリアの高級住宅街となっています。
さて、いよいよ飛行機は滑走路にアプローチ。
アメリカのパイロットらしい、ちょっとラフだけど、危なげのない
見事なランディングの後、飛行機を降りたわけですが、
レンタカーセンターに向かうモノレールを降りて、外の空気に触れた瞬間、
すっかり忘れていた匂いが、過去の記憶を伴って全身を包みました。
「あ・・・サンフランシスコの匂いだ」
わたしが感無量で呟くと、家族全員がうなずいて、それに同意しました。
それは、他のどの都市にもない、独特の香りです。
あえていうなら、潮の香りに、この一帯に特有の、
コースト・レッドウッドと呼ばれるセコイアの種類の木の香が混じり、
それに湿気のある空気を介在させたと言ったらいいでしょうか。
毎年訪れていた時には、森林の横を通り過ぎる時くらいしか
その匂いを意識したことはありませんでしたが、
しばらくぶりにそこに立つと、空港からその香りが懐かしく漂っていました。
空港からフォスターシティのAirbnbまでは、車で10分くらいです。
今回ここにAirbnbを選んだ理由は、価格の安さ。
今回のMKの落ち着き先である大学の寮の周辺は、シリコンバレーで
昨今異様に家賃が高騰しており、ホテルはもちろん、
Airbnbであっても、広さの割にお値段が・・・なところが多いからでした。
ここなら物件を選べば、ちょっとだけですが、お得に借りられます。
車は、小さなセダンで契約しておいて、ハーツゴールデンクラブという
VIPカスタマー特典で、大きなSUVを借りるという作戦を立てていましたが、
今回、車の選択をハーツのカウンターのおじさんに任せてみたところ、
フォードのエクスプローラーというゴツい車をアサインされました。
もし、シカゴの時のように自分で選んでいたら、
日本車のミニサブを選んでいたと思うのですが、おじさんに、
「日本車が良いんですけど」
と横から口を出してみたら、日本車はありませんと言下に言い切られました。
本当か?と大いに疑いましたが、今回はMKの引っ越しがあるので、
大きな車に越したことはないと考え直しました。
路上駐車を狭い路地にしなければならなかったピッツバーグと違い、
ここは広い駐車場が家の前にドーンとありますし、
日本ならいざ知らず、アメリカで車が大きくて困ることは一つもありません。
早速空港で荷物を積み込みましたが、
3人分のトランク合計6つと手荷物を軽々積むことができました。
今回借りた家は二階家の一階部分で、過去借りた人のコメントの中に
「二階の人の足音がうるさい」と言うのがあり、
確かにそれだけが気になる物件ですが、静かな住宅街で、
前に車が通ることも、週末に酔っ払いが前で騒ぐこともありません。
もちろん、どこに停めても駐車料金は必要ありません。
そして改めて感激したのは気候の素晴らしい快適さ。
何しろ、カリフォルニアは、基本砂漠の気候なので、
昼間の日差しは死ぬほど暑いですが、影に入ればひんやり。
朝夜は外では寒いくらい涼しくなります。
蒸し暑い夏が大嫌いなわたしには、願ってもない気候です。
物件はエアコンがない、という情報だったのでで少し心配しましたが、
実際はインテリジェント・エアーコンディショナーが完備していました。
夜になると外気は13度くらいになるので、
時おりエアコンから暖かい空気が出てくるくらいです。
広いキッチンダイニングはオーブンと大型冷蔵庫完備。
もちろん超大型洗濯機、乾燥機、食器洗い機も当たり前にあります。
寝室は二つ、バスルームも二つ、ベッドは三つ、
ワーキングデスクは二つと、わたしたちのためにあるような部屋です。
次の朝から早速近辺を探索がてら歩きに行きました。
3年前、最後のサンフランシスコとなった滞在で泊まった
バーリンゲームの豪邸から、いろんなところに歩きに行きましたが、
このベイトレイルもその時のお気に入りとなったところの一つです。
今回フォスターシティに滞在して初めて歩いたのは、
市内を流れるクリーク沿いの遊歩道。
さすが計画された都市だけあって、最初から水辺に道を作り、
その手前に住宅の庭が並んでいます。
古くからある街には、このような統制された計画はできないでしょう。
この人工的な眺めを感性が良しとするかどうかですが、とりあえず
IT関係の人々が住まうための高級住宅街として、評判は良いようです。
サンフランシスコに来るたびに、ゴミの捨て方が変わっています。
ピッツバーグにいた時には、それこそ何でもかんでも同じ袋に入れて、
同じゴミ箱に放り込んでおしまい、という(日本人には良心が痛んで
いつまで経っても慣れない)大雑把な方法でよかったのですが、
カリフォルニアはそうはいきません。
今回来たところ、
1、「コンポスト」=生ごみ類
2、「ランドフィル」=燃えないゴミ
3、「リサイクル」
と三つに分別するようになっていました。
生ごみを日本のようにプラスティックのバッグに入れて良いものか、
と悩んでいたら、部屋に備え付けの説明に、
「コンポスト(燃えるゴミ)を分けるのは、
それを地中に廃棄すると、メタンガスが発生するからです」
と書いてあって、納得がいきました。
まず、プラスティックなど、燃えないゴミは、ランドフィル、つまり
燃やさないで(燃やすと空気を汚染するので)埋め立てて処理します。
しかし、生ごみは必ず燃やして処理します。
燃えないゴミのように土中に埋めると、メタンガスが発生するからです。
ちなみにわたしの悩んでいた件ですが、がプラスティックバッグは
一緒に燃やしてしまえるので、生ごみを入れて出してもOKです。
わたしたちが着いた次の日がごみ収集日でした。
住民は、ゴミの日の前日夜に、三つのゴミ箱を
自分の家の前に出しておくことが義務付けられています。
まず青いゴミ箱=リサイクルごみを集める車が来ました。
どうやって集めるのかなとキッチンの窓から見ていたら、
うちの前ではドライバーが降りてきて、
ゴミ箱を移動させているではありませんか。
どうやらわたしは車を駐車するために、彼らにとって
収集しにくい場所か向きにゴミ箱を動かしてしまったらしいのです。
実にすまんかった。
ドライバーは運転席で車に備え付けのアームを作動させました。
ゴミ箱をしっかりとアームが捕らえ、
上部からゴミの中身をトラックに振り入れて・・・、
そっと下に戻すところまででワンセット。
午前中までにランドフィル収集車、コンポスト収集車が
合計3台やってきて、見事にゴミを収集していきました。
道に置かれたゴミ箱は、その日の午後に
Airbnbのオーナーが、元のガレージの前に戻してくれていました。
■ COVID-19ブースターショットを受ける
サンマテオに着いてすぐ、日本政府が入国前の現地PCR検査を
9月7日に廃止するという大朗報が飛び込みました。
廃止の動きがあるというニュースが報じられた時、
わたしたちが帰るまでに実施してくれないかなあ、と言っていたのですが、
その願いはどうやらなんとか日本政府に届いたようです。
条件はワクチンを3回接種していること。
わたしは昨年ピッツバーグで2回接種をしていたので、
初めてのブースターショットとなる3度目を受ければOKってことね。
というわけで、ニュースを聞いてすぐにオンラインで予約をし、
翌日にはRite Aidという大型ファーマシーに受けにいきました。
わたしは去年と同じファイザー、同時に受けたTOは
やはり去年と同じモデルナを打ちました。
わたしは当日から腕が重く、翌朝から本格的に熱っぽくて
その日1日病人モードでずっとベッドでうつらうつらして過ごしましたが、
驚いたのは、TOの症状が全く翌日出なかったことです。
朝はMKと一緒に散歩に出て近所を歩き、
近くの台湾ベーカリーでパイナップルケーキを買ってきて、
前日の残りのお惣菜を調理して二人で食べたりして、
「なんでそんなに元気なの」
と思わずちゃんと打ったのかどうか心配になるくらいでしたが、
副反応は、体質とか年齢とか、ファイザーかモデルナかでも違うようで、
TOは一日元気に過ごし、夜になって、
「あ、熱が出てきた・・・寝る」
と言ってベッドに行き、翌日元気になって起きてきました。
日本政府が今回検査を廃止したのは、先進国中、
入国制限を厳しく行なっていた唯一の国のくせに、
感染者数が爆発的に増えていたりと、その対策に疑問の声と非難が上がり、外国人が入りにくいということで困り果てた企業団体や経済界など、
各方面からせっつかれて辞めざるを得なかったのだと思っています。
その方法も、なんというか大変人をイラつかせるものでしたし。
例えば、入国に必要な書類に検査者のサインが必要な件。
実際、アメリカ検査者のサインが欲しいというと、
「は?検査者って言われましてもそれは」
みたいな感じで全く噛み合わず、これで苦労した人は多かったと思います。
いうたら「リアル」というのを全く考慮しない、日本のお役所的な、
いまだに蔓延るハンコ絶対主義みたいなのが反映されたやり方は、
経験した人なら誰もがその無意味さに首を傾げずにはいられないものでした。
まあともあれ、これで入国前の検査も、
入国後の訳のわからん検査も待機も必要無くなったわけだ。
めでたい。
続く。
早朝からどんよりした空模様だったのが、7時から雷雨⚡️になり、
よりによって荷物を車に積み込む時にピークになりました。
前日まで毎日のように通ったコーヒーショップ「コンステレーション」。
この日は最後ということで、コーヒー豆をいくつか見繕ってもらって、
「出発の朝、空港に行く前に立ち寄れたら寄ります」
と約束して去ったのですが、雷雨のせいで
予定より到着が遅くなってしまいました。
開店前でもいいよ、と言ってもらっていたので、
MKだけが店に入ってテイクアウトのコーヒーをもらい、
最後にお別れを言って去りました。
こんな雷雨でちゃんと飛行機飛ぶのか、と心配したのですが、
荒天だったのはピッツバーグだけで、しかも飛ぶ頃には晴れていました。
しかし、何の都合か離陸が遅れ、(多分これは雷雨のせい)
乗っていた便では、
「乗り継ぎの便があるお客様から先に降機していただきます」
と気を遣ってくれ、わたしたちはぎりぎり間に合いましたが、
中には機内にいる間に予定の便が出てしまったという人もいたようです。
シカゴ・オヘア空港からは無事に出発しました。
今回、アメリカ人がどうして手荷物を機内に持ち込みがちなのか、
そのわけが初めてわかりました。
それは、荷物を預けるとお金を取られるからです。
国際線はエコノミーなら1個まで、ビジネスなら2個まで無料ですが、
アメリカ国内はどうも全ての預け荷物が有料になったらしく、
意地でもお金払いたくないマンが、でかい荷物を持ち込むため、
機内の荷物入れが毎回大変なことになってしまうのでした。
自分のiPadでUnitedのHPにアクセスし、
好きな映画などを観たり、空港で買ったサンドイッチを食べたり、
(国内線エコノミーは食事は基本的に出ない)
ウトウトしながら過ごし、しばらくして窓を開けると、
前にも見たことがあるような気がする湖がありました。
後から地図で調べたところ、ヨセミテ国立公園を超えたところの
山脈を流れる大きな川が作る巨大なリザボア(貯水)湖で、
シェラネバダにあるマックルー(McClure)湖だとわかりました。
この写真には「アトウォーター」と地名が出てきたのですが、
何だか聞き覚えがあると思ったら、昔見に行って、ここで紹介した
「キャッスル航空博物館」のあるところではないですか。
あらためて地図を見るとかなり内陸です。
まあよくこんなところまで一人で車を運転して行ったもんだよ。
ここに写っている湖はトゥーロック(TurLock)湖で、全体が
カリフォルニア州立の巨大なレクリエーションエリアとなっています。
この時ふと「今どこにいるのか地図でわかるかな」と思い、
マップを出すと、もうこんなに西海岸に近づいていました。
チャウチラという面白い名前の地名が表示されていました。
この近辺は企業的な大規模農場がびっしりと並ぶので、
上空から見ると地面がこんなことになってます。
いつもここを飛ぶと感嘆せざるを得ない、山の高低と関係なく
あくまでも真っ直ぐリボンのように連なる送電線。
これだけの山に真っ直ぐ送電線を通すのに、何年かかったのでしょうか。
これも貯水湖で、カラヴェラス(Calaveras)湖といいます。
カラヴェラスとはスペイン語で「スカル」=骸骨のことだとか。
もうここはミルピタスという聞き慣れた街の山の隣で、
ここまでくればあとは空港まで8分という位置関係です。
そしてこれを見るといつもサンフランシスコにやってきた、と思う、
フリモントの塩田跡とそこにつながる野生動物保護地域。
元々塩池があったところなので、その後も塩分の濃度の違いによって
バクテリアや藻が、それぞれカラフルな色合いに染まっているのです。
赤いところほど塩分濃度が濃い場所なのだとか。
サンフランシスコは3年ぶりとなります。
かつて住み、その後も必ず夏に1ヶ月を過ごして
「心を置いてきた(I left my heart)場所」なので、
3年間はわたしにとってそれはそれは長い時間に感じました。
この写真はサンマテオのフォスターシティを上空ですが、
今回はこのフォスターシティにAirbnbを借りました。
空撮写真をご覧になってお分かりのように、
フォスターシティ(City of Foster City)は計画都市です。
その計画を行ったのが、T・ジャック・フォスターという人です。
1971年から都市となったというフォスターシティは、計画的に湾岸を埋め立ててラグーンを造成して作られました。
広大な公園を配置し、街の真ん中に運河のような水を流し、
水辺には住宅地をこれも計画的に配置しています。
オラクルなど、サンマテオ郡南部からシリコンバレー北部にかけて所在する
IT企業の従業員や、日系企業の駐在員が在住する
ベイエリアの高級住宅街となっています。
さて、いよいよ飛行機は滑走路にアプローチ。
アメリカのパイロットらしい、ちょっとラフだけど、危なげのない
見事なランディングの後、飛行機を降りたわけですが、
レンタカーセンターに向かうモノレールを降りて、外の空気に触れた瞬間、
すっかり忘れていた匂いが、過去の記憶を伴って全身を包みました。
「あ・・・サンフランシスコの匂いだ」
わたしが感無量で呟くと、家族全員がうなずいて、それに同意しました。
それは、他のどの都市にもない、独特の香りです。
あえていうなら、潮の香りに、この一帯に特有の、
コースト・レッドウッドと呼ばれるセコイアの種類の木の香が混じり、
それに湿気のある空気を介在させたと言ったらいいでしょうか。
毎年訪れていた時には、森林の横を通り過ぎる時くらいしか
その匂いを意識したことはありませんでしたが、
しばらくぶりにそこに立つと、空港からその香りが懐かしく漂っていました。
空港からフォスターシティのAirbnbまでは、車で10分くらいです。
今回ここにAirbnbを選んだ理由は、価格の安さ。
今回のMKの落ち着き先である大学の寮の周辺は、シリコンバレーで
昨今異様に家賃が高騰しており、ホテルはもちろん、
Airbnbであっても、広さの割にお値段が・・・なところが多いからでした。
ここなら物件を選べば、ちょっとだけですが、お得に借りられます。
車は、小さなセダンで契約しておいて、ハーツゴールデンクラブという
VIPカスタマー特典で、大きなSUVを借りるという作戦を立てていましたが、
今回、車の選択をハーツのカウンターのおじさんに任せてみたところ、
フォードのエクスプローラーというゴツい車をアサインされました。
もし、シカゴの時のように自分で選んでいたら、
日本車のミニサブを選んでいたと思うのですが、おじさんに、
「日本車が良いんですけど」
と横から口を出してみたら、日本車はありませんと言下に言い切られました。
本当か?と大いに疑いましたが、今回はMKの引っ越しがあるので、
大きな車に越したことはないと考え直しました。
路上駐車を狭い路地にしなければならなかったピッツバーグと違い、
ここは広い駐車場が家の前にドーンとありますし、
日本ならいざ知らず、アメリカで車が大きくて困ることは一つもありません。
早速空港で荷物を積み込みましたが、
3人分のトランク合計6つと手荷物を軽々積むことができました。
今回借りた家は二階家の一階部分で、過去借りた人のコメントの中に
「二階の人の足音がうるさい」と言うのがあり、
確かにそれだけが気になる物件ですが、静かな住宅街で、
前に車が通ることも、週末に酔っ払いが前で騒ぐこともありません。
もちろん、どこに停めても駐車料金は必要ありません。
そして改めて感激したのは気候の素晴らしい快適さ。
何しろ、カリフォルニアは、基本砂漠の気候なので、
昼間の日差しは死ぬほど暑いですが、影に入ればひんやり。
朝夜は外では寒いくらい涼しくなります。
蒸し暑い夏が大嫌いなわたしには、願ってもない気候です。
物件はエアコンがない、という情報だったのでで少し心配しましたが、
実際はインテリジェント・エアーコンディショナーが完備していました。
夜になると外気は13度くらいになるので、
時おりエアコンから暖かい空気が出てくるくらいです。
広いキッチンダイニングはオーブンと大型冷蔵庫完備。
もちろん超大型洗濯機、乾燥機、食器洗い機も当たり前にあります。
寝室は二つ、バスルームも二つ、ベッドは三つ、
ワーキングデスクは二つと、わたしたちのためにあるような部屋です。
次の朝から早速近辺を探索がてら歩きに行きました。
3年前、最後のサンフランシスコとなった滞在で泊まった
バーリンゲームの豪邸から、いろんなところに歩きに行きましたが、
このベイトレイルもその時のお気に入りとなったところの一つです。
今回フォスターシティに滞在して初めて歩いたのは、
市内を流れるクリーク沿いの遊歩道。
さすが計画された都市だけあって、最初から水辺に道を作り、
その手前に住宅の庭が並んでいます。
古くからある街には、このような統制された計画はできないでしょう。
この人工的な眺めを感性が良しとするかどうかですが、とりあえず
IT関係の人々が住まうための高級住宅街として、評判は良いようです。
サンフランシスコに来るたびに、ゴミの捨て方が変わっています。
ピッツバーグにいた時には、それこそ何でもかんでも同じ袋に入れて、
同じゴミ箱に放り込んでおしまい、という(日本人には良心が痛んで
いつまで経っても慣れない)大雑把な方法でよかったのですが、
カリフォルニアはそうはいきません。
今回来たところ、
1、「コンポスト」=生ごみ類
2、「ランドフィル」=燃えないゴミ
3、「リサイクル」
と三つに分別するようになっていました。
生ごみを日本のようにプラスティックのバッグに入れて良いものか、
と悩んでいたら、部屋に備え付けの説明に、
「コンポスト(燃えるゴミ)を分けるのは、
それを地中に廃棄すると、メタンガスが発生するからです」
と書いてあって、納得がいきました。
まず、プラスティックなど、燃えないゴミは、ランドフィル、つまり
燃やさないで(燃やすと空気を汚染するので)埋め立てて処理します。
しかし、生ごみは必ず燃やして処理します。
燃えないゴミのように土中に埋めると、メタンガスが発生するからです。
ちなみにわたしの悩んでいた件ですが、がプラスティックバッグは
一緒に燃やしてしまえるので、生ごみを入れて出してもOKです。
わたしたちが着いた次の日がごみ収集日でした。
住民は、ゴミの日の前日夜に、三つのゴミ箱を
自分の家の前に出しておくことが義務付けられています。
まず青いゴミ箱=リサイクルごみを集める車が来ました。
どうやって集めるのかなとキッチンの窓から見ていたら、
うちの前ではドライバーが降りてきて、
ゴミ箱を移動させているではありませんか。
どうやらわたしは車を駐車するために、彼らにとって
収集しにくい場所か向きにゴミ箱を動かしてしまったらしいのです。
実にすまんかった。
ドライバーは運転席で車に備え付けのアームを作動させました。
ゴミ箱をしっかりとアームが捕らえ、
上部からゴミの中身をトラックに振り入れて・・・、
そっと下に戻すところまででワンセット。
午前中までにランドフィル収集車、コンポスト収集車が
合計3台やってきて、見事にゴミを収集していきました。
道に置かれたゴミ箱は、その日の午後に
Airbnbのオーナーが、元のガレージの前に戻してくれていました。
■ COVID-19ブースターショットを受ける
サンマテオに着いてすぐ、日本政府が入国前の現地PCR検査を
9月7日に廃止するという大朗報が飛び込みました。
廃止の動きがあるというニュースが報じられた時、
わたしたちが帰るまでに実施してくれないかなあ、と言っていたのですが、
その願いはどうやらなんとか日本政府に届いたようです。
条件はワクチンを3回接種していること。
わたしは昨年ピッツバーグで2回接種をしていたので、
初めてのブースターショットとなる3度目を受ければOKってことね。
というわけで、ニュースを聞いてすぐにオンラインで予約をし、
翌日にはRite Aidという大型ファーマシーに受けにいきました。
わたしは去年と同じファイザー、同時に受けたTOは
やはり去年と同じモデルナを打ちました。
わたしは当日から腕が重く、翌朝から本格的に熱っぽくて
その日1日病人モードでずっとベッドでうつらうつらして過ごしましたが、
驚いたのは、TOの症状が全く翌日出なかったことです。
朝はMKと一緒に散歩に出て近所を歩き、
近くの台湾ベーカリーでパイナップルケーキを買ってきて、
前日の残りのお惣菜を調理して二人で食べたりして、
「なんでそんなに元気なの」
と思わずちゃんと打ったのかどうか心配になるくらいでしたが、
副反応は、体質とか年齢とか、ファイザーかモデルナかでも違うようで、
TOは一日元気に過ごし、夜になって、
「あ、熱が出てきた・・・寝る」
と言ってベッドに行き、翌日元気になって起きてきました。
日本政府が今回検査を廃止したのは、先進国中、
入国制限を厳しく行なっていた唯一の国のくせに、
感染者数が爆発的に増えていたりと、その対策に疑問の声と非難が上がり、外国人が入りにくいということで困り果てた企業団体や経済界など、
各方面からせっつかれて辞めざるを得なかったのだと思っています。
その方法も、なんというか大変人をイラつかせるものでしたし。
例えば、入国に必要な書類に検査者のサインが必要な件。
実際、アメリカ検査者のサインが欲しいというと、
「は?検査者って言われましてもそれは」
みたいな感じで全く噛み合わず、これで苦労した人は多かったと思います。
いうたら「リアル」というのを全く考慮しない、日本のお役所的な、
いまだに蔓延るハンコ絶対主義みたいなのが反映されたやり方は、
経験した人なら誰もがその無意味さに首を傾げずにはいられないものでした。
まあともあれ、これで入国前の検査も、
入国後の訳のわからん検査も待機も必要無くなったわけだ。
めでたい。
続く。