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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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シリコンバレーの地下高騰とリモートワークの関係〜ベイエリア滞在

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さて、MKの大学寮の部屋に荷物を入れる仕事が終わりました。


なべて男の子というのは(全てがそうかどうかはわかりません)
パソコンの設置やデバイスの配置などには滅法熱心ですが、
自分のものであっても他の所持品(特に洋服の類)には全く無関心です。

全てをケースから取り出し、ハンガーにかけたり、
引き出しに畳んで入れたり、並べたりという仕事は、母親に任せっぱなし。
「引き出しの上はTシャツ、一番下はジーンズとかね」
「ん」
「ダウンはいつ使うか分からないから袋から出さないでおくね」

「おけ」
といった調子で、何を言ってもその答えは一言。
つまりどうでもいいのです。
わたしなど、ホテルにチェックインしたら、どんなに疲れていても、
トランクから荷物を出してクローゼットと引き出しに収納しないと
気が済まないタチですが、こいつは、もしわたしという母親がいなければ、
全てを引っ越しケースに入れたままにしておいて、なんなら
必要になったらその都度出して使うつもりではと疑われました。

MKと同じような留学生のお子さんをお持ちの方によると、
日用品の買い物なども、彼らは母親に丸投げ?しがちなのだとか。

これが女の子だと自分でやってしまう傾向にあるということなのですが、
男の子供に対しては母親が世話を焼いてしまいがち。よって彼らは、どこかでそれが当然と思う傾向を持つのかもしれません。
これが重篤になってマザコン化しないよう、うちもそろそろ放置かな。



引越しといえば、仕事でロンドンに住んでいた知人は、
向こうで、ヤマトの「らくらくパック」という、荷造りから運び込み、
梱包も全てやってくれるプランを使って、滅法楽だったそうです。

この日は前を走っていた「米国ヤマト運輸」のトラックを発見。
アメリカに赴任する日本人ビジネスマン家族御用達のようですね。

引越しらくらく海外パック


■ レイバー・デーの弾丸往復飛行

今回の旅行中、一番キツかったのが、帰国寸前の

「サンフランシスコからピッツバーグまで行って、28時間の滞在で帰ってくる」
という弾丸ツァーでした。

どうしてこんなことになったのか、実はいまだによく理解できないのですが、
つまりカードのポイントで取ったチケットを変更しようとして
その結果起こったシステム上のバグみたいなものだと思います。

最初に予定していたサンフランシスコからの帰国を、
諸々の理由により早めようとしたところ、セットで注文していたため
日本行きだけを変更するということができず、やむなく

「ピッツバーグ→サンフランシスコ→日本」

をセットで新たに予約するという形になりました。

どういうことかというと、日本に帰るためには、
「ピッツバーグ→サンフランシスコ」からやり直すのです。

というわけで、まずピッツバーグに戻るわけですが、基本的に
サンフランシスコ→ピッツバーグは直行便が少なく、取れたチケットは23時発。

到着したら朝7時なので、空港近くのホテルにチェックインし、
翌日の朝、サンフランシスコまで帰るという文字通りの弾丸飛行です。

しかも出発の日、アメリカはレイバーデイの真っ最中で、
のちのニュースでは、過去最高というくらい人が移動したらしく、
空港は激混み、深夜便は満席という状態でした。



ホテルは、これも貯まっていたポイントを利用して、
マリオット系列の空港ホテルを二泊分予約しました。
朝7時に到着してそのまますぐ仮眠を取るためです。

28時間の滞在なので必要ないかと最初は思いましたが、
色々考えて、レンタカーを借りることにしました。
ピッツバーグ空港のレンタカーは空港ビルのすぐ隣にあって、
ホテルまでのシャトルバスを待つよりずっと楽と思ったのです。

ところが、車をゲットした後IDチェックしてゲートを開ける係が来ておらず、
誰か来るのをただひたすら待つ羽目になりました。

7時に空港に到着し、30分には車に乗っていたのに、
アフリカ系の眠そうな女性が出勤してきたのは8時10分です。

「10分遅刻しとるやないかい」

「いや、アメリカでは10分は定刻の範囲内」

「しかし眠そうな顔してるね」
「レイバーデイなのに働かされて疲れてるのかな」

などと言いながら、彼女が起動してゲートを開けるのを待ち、
その後ホテルにチェックインしました。

そこでフロントでの第一声、「ハウアーユー?」の挨拶に、こちらも慣例的に
「グッド、ハウアーユー?」と返したのですが、フロント係の中年女性から、

「I’m tired.」

という変則的な返事が返ってきたのには驚きました。

レイバーデイは、労働者の祝日、いわゆる勤労感謝の日なんですが、
夏の終わりの大々的な連休でもあるので、民族大移動状態になります。

日本のお盆や大型連休と同じ状態ですが、今年のレイバーデーはCOVID-19の規制がほぼ全面的に撤廃され、
空港でもマスクは強制されなくなったということもあって、
交通機関を利用して移動した人口はここ何年かで最高だったそうです。

ただし、これも日本と同じで、そういう期間中、ホテルや飲食業、
サービス業のレイバーはいつもより忙しく働かなくてはならないので、
彼女もこの期間、目の回るような忙しさだったのに違いありません。



この日はレイバーデー明けの月曜日だったので、
ポイントでアップグレードもしてもらえました。

「ゆっくり部屋でお休みください」
とフロントに声をかけられてチェックインし、
一寝入りして起きたらお昼の2時。

せっかく車を借りたからには、ピッツバーグ市内にご飯を食べに行かねば。

その頃西海岸は記録的なヒートウェイブでちょっと参りましたが、
こちらは曇りで涼しく、ほっと一息つきます。




車はとりあえず、先日まで住んでいた地域へと向かいます。
借りていたAirbnbの部屋の前を通ったら、電気がついていました。
すっかりおなじみになったアパートの周りを一周通してみたら、
角の家の黒猫、”でんすけ”と再会することができました。



ピッツバーグで一度だけ食事を許されるとしたら、何を食べるか?

この問いに、わたしたちの答えは決まっています。住んでいたバトラーストリートのはずれにあるタイ・キュイジーヌ、
「プサディーズ・ガーデン」(Pusadee's Garden)一択です。

ピッツバーグ最初の日に訪れ、最後にも行き、
そしてまた今回も来てしまうくらい、このレストランには夢中です。

そして、わたしたちが愛してやまないロティをまず注文しました。


十七種類の食材を使ったサラダというメニューを見つけ、注文しました。
サーブする人が目の前で混ぜ合わせてくれます。



いつもは一つのカレー皿を二人でシェアするのですが、
この日はキッチンのないホテルに泊まっていたということもあって、
次の日に食べるために、多めに頼むことにしました。

アメリカのレストランでは、残した料理を持ち帰ることが可能で、
入れ物も快く提供してくれますので、最初からそのつもりで多めに頼み、
次の日レフトオーバーを温めたりアレンジしたりして食べる人も多いのです。

日本では食品衛生法第6条の縛りで、店が責任を取らされるため、
持ち帰りはできないというのが一般通念となっていますが、
食品廃棄物も出ないし、無理して食べなくても持って帰れるこのシステムは
お店にとっても客にとってもいいことづくめだと思うんだけどなあ。
写真の奥はいつものパンプキンカレー(Kabocha入り)、
手前は初めて頼んだベリーのカレーパスタです。

次の日、出発前に部屋で食べましたが、びっくりしたのは、
一晩経ってレンジで温めたものなのに、完璧に美味しかったことです。



■ ユニバーシティ・ストリート


サンフランシスコのミッションディストリクトを走っていたとき。

この地域は、古い有名なスペイン時代の教会もあって、
ビクトリアン様式の邸宅なども公園の前に並んでいたりするのですが、
このクィーン・アン様式の立派なお屋敷の前を通ると、
家の前に掲げられたユニオンジャックが半旗になっていました。

もしかしたらイギリス大使公館でしょうか。イギリスのエリザベス女王陛下が崩御されたと報じられてすぐのことでした。




MKの大学のある地域は、地価が高いので有名ですが、
そういう地域の中心街には、お洒落で美味しい飲食店がひしめいています。

MKの大学のキャンパス内からまっすぐ続いている、その名も
「ユニバーシティ・ストリート」沿いは、この地域のおしゃれスポット。

現在、アメリカでそのストリートがどれだけホットかどうかは、
スターバックスではなく、Apple Storeがあるかどうかで決まりますが、
当然ここにもそれはあり、しかも美味しくない店は、どんどん淘汰されて
新しい店に代わっていくという、飲食店の「激戦区」となっています。

COVID-19発生以降、ベイエリアの飲食店は外にテーブルを置くようになり、
そのせいで車を置く場所がどんどん足りなくなっているのですが、
この日お昼を食べに行ったこのカフェも、外のテーブルまで満席でした。



そして、写真に写っている人を見ていただければお分かりのように、
このゾーンには太った人は滅多にいないという特色があります。
総じてカリフォルニアの都市部はその傾向にありますが、特にこの地域、
そしてこの通りを闊歩するアメリカ人は、ほとんどがスマート。

太っている人も勿論全くいないわけではありませんが、
それは失礼ながら、ほとんどこの地域の労働者階級のように見受けられます。

少なくともこんな店に客できて、スパークリングウォーターを飲みながら、
「ブッダボウル」をつついている男性が、太っているわけはないですが。

刺身レベルのツナを使った(と豪語する)アヒツナ、ブラウンライス添え
映画版のSATCで、ニューヨーク在住の主人公がLAに来て、
昔の男友達と食事を食べたところ、彼がステーキを口に含んで噛んだ後、
ナプキンに吐いているので激怒したら、逆ギレされて、
ここでは太ったら人間扱いしてもらえないんだ、とか言うシーンがありました。

カリフォルニアの「ルッキズム」を批判した表現でしたが、
この地域の人々は、いわゆるアッパークラスの人種が多く、
金持ちとエリートにデブなしという法則通りなのだと思います。

ついでに余談ですが、最近リブートされたSATCの
「And Just Like That..」を、今回わたしは
国内便のオンデマンドとアパートのケーブルTVで全部観ましたが、
その出来があまりにも酷くて衝撃を受けました。
世間の評価も低くて10点中1がスコアのほとんどという惨憺たる結果。
多様性の話題をぶち込みすぎてつまらなかった、の一言です。

ミランダの新しい相手になるのが、LGBTQのヒーローみたいな、
新キャラの”チェ”とかいう女性(?)で、わたしはこの人が大っ嫌い。

この背脂が浮いたような女の演説が始まると、迷いなく早送りしていましたし、それでなくても、大学の教授やら黒人女性とか、富豪のセレブ夫人が
判で押したように黒人ばかりとか、そんな世界ある?
もううんざり、勘弁してくれって感じ。

そんなに多様性多様性いうなら、シャーロットの養女、リリー以外のキャラに、
もっとアジア人を使えば?って思いました。

(ちなみにもう一人の彼女が産んだ娘はいわゆる性同一視障害で悩んでおり、
それを宥めるユダヤ教の女性ラビまでが同性愛者。OK、パーフェクト!)



閑話休題。アヒ・ツナのタコスなどというメニューも「ここ」ならでは。
ユニバーシティストリートですが、小洒落たカフェばかりではなく、
美味しいエスニック系のレストランももちろん、たくさんあります。

一度驚いたのが、NAGIというラーメンの店にお昼を食べに行こうとしたら、
三重に折り返すウェイティングの列ができていたことです。

ものすごい人気なのは分かりましたが、口コミサイトを見ると、
日本式のラーメンを知っているらしい人の評価は概ね辛口で、
チャーシューは「合成肉」で、脂っこく、値段は高いということでした。
二人で食べて四千円って、まあ高いよね。



ヒートウェイブが来ていたころ、お昼を食べに行ったユニバーシティ通り沿いのカフェ風レストラン、「スウィートメープル」。



全体的にメニューにやたら牛肉がついてくる印象だったのですが、
この肉が・・・なぜか塩辛い。


『OMU-RICE』と名前だけは日本風のメニューなのですが、
これにもなぜか肉。(食べてないけど、これも多分辛かったと思う)
「ははーん、コリアン系の店だな」
メニュー構成とか、ところどころに見える「プルコギ」という文字、
そして何を食べても辛いこの味付けから、わたしはそう判断しました。

居抜きで買ったらしい店の内装はカフェ風で悪くないのですが、
どうも肝心の味がイケてない。というかはっきり言って美味しくない。
おしゃれなカフェ風の内装、店名、雰囲気だけはいいのですが、
肝心の味が全く「スウィート・メープル」らしさを感じさせないのです。

これはあかん、と思ったのは化粧室に行く時にキッチンの前を通ったところ、
それが、雑然として清潔とは言えない状態だったのを見てしまった時でした。
おしゃれなカフェのキッチンどころか、それはまるで
場末の中華料理屋の厨房のようだったのです。がっかり。


清潔そうな整理されたキッチン、そして綺麗なトイレ。
いいレストランは必ずそのどちらもを兼ね備えているものです。

勿論、これらを兼ね備えつつ「美味しくないレストラン」は存在しますが、
どちらも兼ね備えていないレストランが美味しかった試しはありません。
おそらくこのレストランは、この激戦区で長くは保たないでしょう。
次に行った時に、まだあるかどうか・・・。

逆に、せっかく味は美味しいのに、時代についていけなくて、
撤退を余儀なくされたらしい店もありました。

このタイ料理の店は、以前も一度食べにきたことがありますが、
本場の味を出していて、トムヤムスープは絶品と言ってもいいものです。



デザートもここでしか食べられないような変わったもので、
大変美味しかったのですが、店内に客がいないのが気になりました。

確かに、タイには本当にこんなレストランがあるんだろうなと思わせる
異国情緒溢れる内装といえば聞こえはいいですが、
初代店主の写真(多分遺影)や、素人(多分店主の絵)を飾ったり、
全体にあまりにもエスニック色が濃すぎて、飽きられたのかもしれません。

それを裏付けるように、デザートのお皿の下のお知らせには、
10月いっぱいでお店をクローズすることが書かれていました。

おそらく、地価が高くなりすぎて、家賃が払えなくなったのでしょう。
何しろ、このお店の隣にはApple Storeができてしまったのですから。


■リモートワークによる『人口流出」はあるか

最近のシリコンバレーの地価の高騰は凄まじいとここ何年か言われてきました。

それもあって、コロナが蔓延してから、AppleやGoogleなどの社員は
リモートワークを理由に帰ってこなくなってしまったくらいです。

それどころか、ピッツバーグの知人の娘さんのように、
カリフォルニアのIT企業の仕事を入社以来ずっとリモートで行っていて、
入社のインタビューですら、オンラインで済んでしまい、
一度もカリフォルニアに行ったことがないなんてケースもあります。


ところがです。

これはApple社の話ですが、当社に限っては、明らかに
リモートになってからの方が生産効率が落ちているのだそうです。
会社としては、なんとかして社員を現地に呼び戻そうとしているのですが、
笛ふけど踊らず、誰も戻ってきたがらないので困っているのだとか。
(日経新聞情報ですので念のため)

しかし、仮にもしあなたがアーカンソー出身だったとして、
アーカンソーに住みながら、カリフォルニアの給料が貰えるとすれば、
誰が好き好んで、高い家賃、高い食費、高いガソリン代、
朝夕の通勤渋滞を我慢して、ベイエリアに住もうなどと思うでしょうか。

そこで、わたしなど、

「リモートワークがこれだけ進んで、人口が減ったなら、
地価もそれを反映して安くなりつつあるんじゃないの」
という考えに至るわけですが、ここまで高騰したベイエリアの地価は、
テック企業の社員が少々逃げ出したくらいでは、びくともしないようです。


続く。



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