Quantcast
Channel: ネイビーブルーに恋をして
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2842

船首形状いろいろ〜国際観艦式に伴う外国艦一般公開

$
0
0

さて、外国海軍艦の一般公開、開場と同時に入場し、
オーストラリア海軍の「ホバート」の甲板までを見終わりました。



「アオテアロア」のハンガーを通り抜けて下艦します。



バスケットゴールの向こうには充実のジムが。
この後、ラッタルを降りて下艦したのですが、
このラッタルがすごかった。

説明しにくいのですが、「アオテアロア」備え付けのラッタルが
もっと低い岸壁に係留するための仕様なのか、
階段部分の角度が傾いてしまい、その上を歩くわたしたちは
まるで鉄のハシゴを渡るようなスリルを味わうことになりました。

靴との接地点が少なく、しかも踏み板は下に向かって傾いているので、
手すりを持たないで歩くのは不可能。
下にネットは張ってありましたが、段と段の隙間は大きく、
足を滑らせたら色んな意味で人生終わると思われました。

軍艦がバリアフリー仕様でないことくらいは百も承知ですが、
それにしてもこのラッタル、今まで自衛艦とアメリカの展示艦を
たくさん見てきたわたしにとっても、特にスリル満点なものでした。

この写真を見る限り、乗艦は上甲板階に、
下艦はその一階上から梯子を降ろしているように見えます。

ということは、上甲板と格納庫は同じ階ではなかったということか・・・。


さて、というわけで、RANとRNZNの3隻の軍艦を見終わりました。
これはKさん写真ですが、わたしがいたのと同じ時間っぽいです。

埠頭に出たわたしたちは、というかわたしの連れが、
この奥の艦を見ようといい出したので、左手に向かって歩き出しました。

そこでこんな光景を目撃したのです。
■「スタルワート」のバルバス・バウ



「スタルワート」の作業艇が、錨の塗装をしていました。

観艦式においでくださったお客様に対してこんなことを言うのもなんですが、
このとき見学した「アオテアロア」「スタルワート」「ホバート」、
どれもつい最近建造されたにも関わらず、艦内を歩くと
結構いたるところにサビが目立つので驚いた直後のことです。

海の上に浮いている鉄の塊・軍艦がすぐに錆びるのは当然とはいえ、
我が海上自衛隊の執念と思えるくらいの行き届いたメンテナンスと、
特にイベント前には彼らが必ず化粧直しすることを知っているので、
ついついこういうサビが目についてしまうわけです。

連れと、観艦式に呼ばれた時くらいはきれいにしてから来ようよ、
などと軽口を叩きながら甲板を見て回った後に、この光景を見たのです。


オーストラリア海軍、展示の間は暇だからか、観艦式を前に、
目立つ錨だけはきれいにしておくことにしたらしいのです。

作業艇にはペンキがかからないように、ちゃんとカバーがかかっています。



指揮官はオーストラリアンハットの人かな?



あっという間に錨を塗り終えて去っていく作業艇。
錨より、その収納部分に頑固にこびりついたサビを何とかしろと。



というところで、この「横顔」です。
まず「スタルワート」のバルバス・バウをご覧ください。

バルバス・バウ(Bulbous Bow)は日本語だと球状船首ともいい、
船が進む時の造波抵抗を小さくするための構造です。

バルバス・バウだとどうして造波抵抗が小さくなるかというと、
突き出している「球根」部分は艦体より先に進んで波を作り、
その波が艦体部分で位相が逆になって打ち消されるという原理です。

お分かりいただけただろうか



ところで「スタルワート」の艦体に描かれているコレですが、
「この先→バルバスバウあり〼」
という注意喚起に違いありません。(確信アリ)

錨を塗り替え真っ最中の写真をもう一度ご覧ください。

後ろに見えているのはフリゲート艦「ホバート」の艦体ですが、
よく見るとここにも「バルバスバウあり〼」のマークが見えます。(これがそのマークだとすればですが)


素敵すぎるバスバスバウの有効利用 HMAS「キャンベラ」



■ 環境配慮型”エンビロンシップ”「アオテアロア」


前回さらっと流して書いた、この「エンビロン・シップ」という言葉ですが、
あまりピンと来る方はおられなかったのではないでしょうか。

これは一般名詞ではなく、ロールスロイスの製品名となります。

船首部分を細くして前方の浮力を小さくするデザインは
隣のバルバス・バウとは全く違う思想で抵抗を小さくするもので、
一般的にウェーブ・ピアシング・ハルWave-pirecing hullといい、
「アオテアロア」の艦体は初めてこれを採用したものです。
環境問題という言葉を、英語では

Environmental Problem

といいますが、「エンビロン・シップ」は、要するに艦艇建造に
環境配慮&次世代型コンセプトを盛り込んだ計画ということができます。

ロールス・ロイス社の「Environship」コンセプト
について説明しておくと、まず、CO2排出量についての取り組み。

搭載されているベルゲンBシリーズのリーン・バーン・ガスエンジンは、
ディーゼルエンジンに比べてCO2排出量が約17%少なくなっています。

また、このガスエンジンの採用により、
窒素酸化物(NOx)排出量は約90%削減され、
硫黄酸化物(SOx)排出量もほぼないと言えるほど少なくなりました。

これらの排出量は、2016年に施行される予定の
IMO(国際海事機関)の第3次環境規制
の制限値内にすでに収まっています。

ロールス・ロイス社独自のプロマス推進システムは、
舵とプロペラを一体化したもので、これだけでも
船舶の効率を5~8%向上させることができます。

そして、この「アオテアロア」で目を惹く革新的な船首形状。

この船首形状と船型は、抵抗を最大8%低減するため、
燃料消費と排出をさらに削減することができるのです。

隣のバルバス・バウとはあまりに違うその形状は、
「垂直」。
見れば分かりますが、もうとんでもなく、空前絶後に垂直です。

軍艦で、海面とキッカリ垂直のバウを持つ船は、寡聞にして、
後にも先にも、この「アオテアロア」しか見たことがありません。

たまたま隣にいるオーストラリア艦のバルバス・バウは、
2段階に波を起こし、打ち消して抵抗を減らすという思想ですが、
垂直船首形状は、それに加えて荒波の中でも速度を維持することができます。
これを波浪貫通船首といいます。

この画期的かつ特徴的な波浪貫通船首、世界をリードするガスエンジン、
革新的なプロマス推進システムを組み合わせることで、
ロールスロイスは燃料効率を最大18%向上させることを可能にしました。
さらに「アオテアロア」は、南極での厳しい気象条件下での活動があるので、
艦体には耐氷性の強化および寒冷地対策が施されており、
推進システムもポーラーコードに適合させていることを付け加えておきます。

ポーラーコードは北極と南極における船舶運行に関する取り決めで、
IMO(国際海事機関)によって定められたガイドラインです。

ニュージーランド海軍が、この度「アオテアロア」という
最新式の環境配慮型軍艦を持ってきてくれたことそのものについて、
我々はもう少し注目してもいいかもしれません。


桟橋を歩きながら後ろを振り返ってみました。
手前の「ホバート」がバルバス・バウを持っているようには見えません。


■ パキスタン海軍の軍楽隊



「スタルワート」の艦橋からY-3桟橋に係留している
パキスタン海軍の「シャムシール」を撮っていると、
目立つ白い軍服の一団が整列しているのに気が付きました。


この雰囲気は軍楽隊じゃないかな?と想像。



この後、そのパキスタン海軍の艦を見学するつもりで、
桟橋を歩いていると、向こうからその人たちがやってきました。
やっぱり軍楽隊で、手に楽器ケースなどを携えています。



桟橋は区切られていて、この右側がパキスタン艦、
左側がシンガポール海軍の「フォーミダブル」見学ラインにつながります。
真ん中は退出用の通路です。

続々と向こうから歩いてくるパキスタン海軍軍楽隊の皆さんですが、
カメラを向けるのはこれも失礼な気がして、
下の方にカメラを持ったままさりげなくシャッターを押しました。
(つまり隠し撮りってやつです)

この時、軍楽隊は、横須賀中央通り、ドブ板通りで開催された
「横須賀パレード」に参加するために移動していたことがわかりました。

このパレードには停泊している海軍艦艇の軍楽隊はもちろんのこと、
防衛大学校儀仗隊、横須賀消防音楽隊、そしてフィナーレには
海上自衛隊横須賀音楽隊がマーチングを行ったということです。

パキスタン海軍軍楽隊@ドブ板通り

ところで、パキスタンの音楽隊ってどんな曲を演奏するのでしょう。
西洋音楽とかは全く演奏されたり聴かれたりしないでしょうし、
と思って調べてみました。
'Ceddin Deden' by Pakistan Army - Ottoman Empire Song


オスマン帝国の「ジャッディン・デデン」らしいです。
パキスタンとトルコってなんか関係あったっけ?
と思いあらためて地図を見ましたが、地理的にも結構離れているし、
歴史的にもあまり絡みはなさそうだし、なんで演奏しているんだろう?

音楽センス?に通じるものがあるのかな?と思って別の音源を探してみましたが・・・

Pakistan Navy Brass Band:パキスタン海軍軍楽隊演奏(カラチ)
 
練習とかその辺でやっていたと言うわけではなく、
何かのイベントで演奏しているところに海外協力隊の方がたまたま居合わせて撮影したようです。

うーん・・・わからん。

続く。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2842

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>