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Channel: ネイビーブルーに恋をして
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アフタートルピードルーム〜シカゴ科学産業博物艦〜U 505艦内ツァー

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長らく語ってきたU-505シリーズ、ついに最終回となりました。
艦尾最後の区画は後部魚雷室です。
このコンパートメントには 16 人の乗組員が宿舎を共有していました。


前部トルピードルームの場合と同様に、乗組員は交替で寝台を使用し、
片方のシフトが寝ている間、もう一方のシフトは勤務を行います。

何度も書いているように、現代のアメリカの潜水艦乗組員は
これを「ホットバンキング」と呼んでいます。


後部魚雷発射管は、前部魚雷室にあるものと同様、装填されたままであり、
司令塔の制御装置を使用して艦長の命令に応じて発射されました。

魚雷が発射される順序 (単独またはグループ) と、
深度と針路を決定する発射前のデータは、
個々の魚雷の電気制御によって決定されました。

同時に、電気関係が故障した場合の予防措置として
魚雷室には手動制御装置が設置されていました。

艦長が発射命令を出すと、失敗を防ぐため、
司令塔のボタンと魚雷室のボタンは同時に押されました。

どちらか単独でも発射されますが、リスク軽減のためです。


この部分に続くハッチは取り払われず残されています。
ご覧のように、2 つの魚雷発射管ドアの左右両方に寝台があります。

アメリカ海軍のタスクフォースがU-505を捕獲したとき、
ボーディング・パーティのメンバーは、ここに足を踏み入れながら
ブービートラップが仕掛けられているのではないかと考えたそうです。

その理由は、U-505の捕虜が、ここは浸水したはずと言っていたからでした。


実際は誰もおらず、浸水も起こっていなかったことから、
トラップの類はないと判断したダン・ギャラリー大佐は、
ハッチを開けて通り抜け、アール・トロシーノ司令と一緒にアフターステアリングホイール(写真の魚雷ハッチの間)、
艦体中央部にハシゴを設置しています。
■魚雷発射
天井部分

魚雷発射の指令が下り、発射ボタンを押すと圧縮空気が放出され、
ピストンに作用して魚雷が管から水中に射出されました。

その後、魚雷の電気モーターが引き継ぎ、
魚雷をターゲットに向かって駆動させていきます。
もし、ピストンを動かした際発生した空気が泡となって水面に浮上すると、
潜水艦の位置が特定されてしまいます。

そうならないために、魚雷が発射されると同時に海水が魚雷発射管に浸入し、
潜水艦の内部空間に流出してくる仕組みでした。

このチューブに再び魚雷を装填すると、水は排出されます。


    ■後部魚雷室の生活


潜水艦の生活とは「狭い」の一言に表されます。

それはどこの国に限らず、任務に従事する人々に特別な問題を引き起こし、
長期にわたる継続的な問題が戦闘の突然のストレスをさらに増大させました。

例えば、潜水艦では他の任務に比べると
軍事的なプロトコルはそう重要視されませんでしたが、
その分各個人の責任はより重くなるのが常です。

U-505 の乗組員は、15〜20 人のクルーと 20〜25 人の技術者、
という 2 つのカテゴリーに分類されました。
乗組員は 3 交替制でそれぞれ 4時間ずつ勤務し、技術者
(無線/音響要員とレーダー要員、機関室および管制室助手など)
は2交替制で6時間勤務とされました。

戦闘以外の時間は、食事、掃除、睡眠、訓練がなければ
読書、カードゲーム、レコードやラジオを聴くことに当てられます。

ただし浮上中に荒波でボートが揺れた場合、睡眠はほぼ不可能でした。
多くの場合、彼らは寝台から床板に叩きつけられたり、
隣人の寝台に放り込まれたりしました。
時には寝台全体が外れてデッキを前後に滑り落ち、
その居住者がマットレスにしがみついていることさえありました。

そして、艦首部分に積み上げられた野菜、パン、ブリキ缶が、
休息を求めている乗組員たちの上に頻繁に落ちてきました。
下の寝台で寝ていて、不運にも、熱湯のコーヒーに浸かることもあります。

このような、ただでさえ不安と緊張の哨戒が続けば、
乗組員が疲れ果てていたのも不思議ではありませんでした。


ここまでご紹介してきて、シャワールームがないことに
気づかれた方はおられるでしょうか。

そう、Uボートには専門の入浴設備がありませんでした。

それでは入浴はどうしていたかというと、機関室で、
温かいディーゼルエンジン冷却液を供給する即席のノズルを使って
時折塩水シャワーを浴びていました。(それって入浴じゃねーし)
海水で洗う際には普通の石鹸は泡立たないので、専用の石鹸を使用しました。

潜水艦が敵海域になく、機会があれば、
外海で泳ぐのは彼らにとって至福の体験となりました。

しかし、大西洋で展開する作戦中、そんな機会は滅多になく、
ブリッジで見張りする当直士官とワッチ当番は絶えず風雨にさらされて、
彼らの髪とひげは、叩きつけられる海水によって耐え難く不潔になり、
ぐちゃぐちゃになり、固まってしまって、どんなに上等の櫛をもってしても、
汚れをほぐそうとすると歯が欠けてしまうほどでした。

そこで、そのうち乗員は諦めて、髪や髭をそのまま放置し、
せめて臭いを中和するために白樺の水を全身にふりかけたりするのですが、
そんなもので何とかなるわけもなく、臭いは人それぞれ違うようでした。

そして頻繁に潜航を余儀なくされる長期のパトロールでは、
特に熱帯海域で活動する場合、ボート内の臭いは凄まじいものになりました。


ディーゼル燃料の煙、体の汗、船酔いの悪臭、
水洗トイレ悪臭と食べ物を調理する匂いが組み合わさって、
生活環境は地獄のような匂いに圧倒されるようになりました。

乗組員たちは不平を言いながらも次第に順応して粛々と作業を続けました。


実際、その生活は異常で特殊ものであるにもかかわらず、
というかだからこそ、U ボートの任務では通常、
特別な形の友情というか人間関係が生まれました。

元U-505機関兵曹のヴェルナー・レーは、次のように証言しています。
私は、クルー全員が経験したことの中で、
一緒に生活する上で影響を受けたことは何もありません。

実際、私がそう認識したように、誰もが自分の義務を果たしました。
当然のことながら、一度も日の目を見ることなく
3ヶ月も海上で過ごすというプレッシャーの中、ある種の軋轢はありました。

険悪になることもあったし厳しい言葉を投げつけ合うこともあった。
私はそれに異議を唱えません。

そして、指揮系統の中で、例えば誰かが義務を果たさなかった場合、
「一週間の便器掃除だ!」
などの懲罰で脅されることがあったことにも異議を唱えません。
私自身がそれを経験したことはありませんが。

しかしこれより悪いことは何もあり得ません。
私たちが統制されたコミュニティではなかった証拠は
少なくとも私はなにも持っていません。



最後に、U-505と同型の潜水艦が
12週間の哨戒に搭載した食料を書き出しておきます。
2,180kg 保存・缶詰食料1,750kg ジャガイモ1,555kg その他野菜 556kg パン生地 933kg 保存パン 1,072kg 果物 789kg 粉ミルク224kg 新鮮な肉と調理済みの肉108kg ソーセージ200kg フルーツジュース 151kg保存魚180kg 干し芋 210kgご飯と麺類267kg 新鮮な卵416kg フレッシュレモン250kg バターとマーガリン277kg スープの材料185kg マーマレードとはちみつ 140kg フレッシュチーズと保存チーズ70kg コーヒー 93kg 他の飲み物 200kg 砂糖60kg 塩 45kg チョコレート

注: レモンとライムは1247年にイギリス海軍の士官、ジェームス・リンドが、
ビタミン C 不足による壊血病を防ぐため、最初に導入しました。
リンドは患者を対象に実験を行ってこの仮説を実証しましたが、
イギリス海軍に柑橘類の導入を説得するまでに41年かかりました。
最終的に、イギリスは病気予防に効くレモンやオレンジジュースの代わりに
ライムジュースを提供したため、そののち、船員のことを
「ライミー」と呼ぶ慣習が生まれたということです。




■項末付録;米海軍潜水艦スラング集
【T・U・V・W・Y・Z】
ついでに便乗して掲載してきたアメリカ海軍潜水艦スラングも最終回です。

イルカの鋲打ち新しく潜水資格を得た者がドルフィンマークの鋲を胸に打ち付ける、
という絶滅寸前の伝統
残念なことに、調子に乗って強く叩きつけて胸に怪我をした者もいる
今日の潜水艦部隊では、イルカにタックすることはタブーである

"潜航!深く!圧力も熱も関係ねー!深度500ft!" 
船を沈めるか、より深い深度に変更するための無許可の詩的なコマンド

"Take her up to broach depth" 潜水艦のブローチ(船体で海面を割ること)により
探知されやすいと評判のダイビングオフィサーが、
天候や海況が極めて悪くブローチが予想される場合に使用する
無許可のフレーズ

ターゲット 
海面にいるあらゆる船やボートを表現する用語
“Target a city, Aim for the county, Get the state”
(都市を狙い、郡を狙い、州を得る")核兵器の標的について言及した非公式FTBモットー

TDU it 
 Trash Disposal Unit(ゴミ処理装置)
ゴミ箱に何かを捨てること
水上海軍ではディープシックスと呼ばれる

ハッカーカードの10パンチ穴 酷い映画をずっと座って観続けた潜水艦乗りのためのもので、
パンチの数は、その映画がどれだけひどいと評価されたかを示している
"バンクに空気、タンクにshit、火災心配なし、浸水で消せる" 
もう一つのワッチ交代時の申し送り(もちろん非公式)

"There ain't no slack in a fast attack" 
(素早い攻撃にゆるみなし)
ファストアタックの乗組員が厳守する厳しい海上時間のスケジュールと、
他の誰よりもうまく仕事をしているという彼らの考え


"3リール目にtitがある" 
映画で女性が胸元を露出しているシーンがあるときの申し送り
ピンポイントで何度も巻き戻されて再生される

The Skinny 最新のニュースや噂のこと
ホットコックやスカットルバットとも呼ばれる

"このページは意図的に空白にしてあります。" 
マニュアルやログのページで、意図的に空白にされたページに書かれる

スリーフェイズ・フラットコック
エレクトリシャン

T.I. Mast
Telemetry Instrumentation Mast
ミサイル試験時にS.S.B.N.に取り付けられる
T.I.マストは潜水艦が発射深度まで潜った状態でも水面上に突き出ており、
発射や射程の情報を送受信するためのもの

Tits Up 
壊れている、操作できない、死んでいる
(「仰向け」になっていることから)
「タンゴ・ユニフォーム」と呼ばれることもある

TLD
 放射線への被ばくを測定するための熱ルミネッセンス線量計

“Train like you fight, fight like you train”
「戦うように訓練し、訓練するように戦え」
どの訓練棟にもあるポスターに書かれている、最も一般的な潜水艦の言葉

トリム・パーティー 
 新しく資格を取得した潜水士や当直長によく行われるいたずらで、
トリムに影響を与えるために、乗員やその他の重りを前後に移動させる

T.S.T.C. 
Too Short To Care.
(短すぎて気が付かない)

Turn to 始める

Tweener 
一般にbetweenからきた、中産階級的安定思考の人のこと
弾道ミサイル潜水艦のミサイル技師に対する愛称

ミサイル・コンパートメントは、前部(conorコナー)と
機関部(Nukeヌーク)の「中間」にあるため

Two fisted gagger 信じられないほどひどい映画

タイプライター修理工
暗号技術者、スプーク、特殊作戦ライダー

Ustafish
 以前所属していた潜水艦の司令部のこと
よく「USTAFISHではそんなことはしない」というように使われ、
たいていはその場にいる他の人たちから激しいツッコミが入る

ヴェントカバー 
仔牛のカツレツにパン粉をつけたもの

ビタミンR 
ラビオリ
ウォータースラッグ(ウミウシ)最初に魚雷を装填せずに潜水艦の魚雷発射管を撃つこと

新参者の資格なしに対するジョークとして使われることが多い
ウォータースラッグを撃つと、射手は魚雷発射管をきれいに掃除させられる

WESTPACウィドウ
一時的に浮気できる他の海軍軍人を探す潜水艦乗組員の妻
「ブーマー(SSBN)未亡人」と似ている
夫が出撃した夜、ネイビークラブで見かけることが多い

Wheel Book
 6インチ×9インチのスパイラル製本のメモ帳で、
海軍に入隊した初日からメモを取るために使用される

"パトロールから帰ったら99枚の小銭を持って庭に投げ、
100枚見つけるまで帰ってくるなと子供たちに言う" 
潜水艦乗りが、海から帰った後に妻と二人の時間を持つための知恵

White Line Warranty 
係留索を放り出して航行するまでの間、品質が保証されているもの
"君はグリーンカードを持っている。だからそこにいる" 
海軍のIDカードを持っていることをいう、時に最も嫌われるフレーズの一つ
君は海軍の所有物だから、なにか予定があろうがなかろうが、
全く関係なくここにいるんだよ、と言われている

"You're So Vain" (あなたはからっぽ)
同名のカーリー・サイモンの曲
訓練で潜水艦がサブ・スキマーに探知されなかったとき、
潜水艦長が水中電話にこれを流したとか流さなかったとか

"あの匂いを嗅いだか?あれはアミンだ。
こんな匂いは世界にない...まるで...運動会だ!" 
潮気ありすぎ老潜水艦乗りが、いかに
自分が海軍に献身的であるかを示すために、非適格者に言う言葉

映画『地獄の黙示録』のカーツ大佐の
“You smell that?
 That’s napalm and there’s no smell like it in the world.
It smells like...victory”.
「この匂い、わかるか?
ナパームだ。こんな匂いは世界にない。
勝利の匂いがするぜ」

というセリフが元ネタ

Zulu 5 Oscar
ズールー5オスカー 
潜水艦で行われるセキュリティテスト
通常、上位機関の指示により、意図的に誰か
(保安検査実地許可証を持たせる)
を無許可で船に乗り込ませて対応をチェックする
標準的な侵入者対応訓練である
この任務をおこなう者は、なかなか面白い体験ができるが、
あとで身分を明かしても、潜水艦の乗員に腹立ち紛れに?
乱暴に扱われて、芋の袋のように桟橋に下ろされることもしばしば



さて、本シリーズ最後に、MSIのお土産ショップの写真を。

わたしはここでU-505の写真集を買いました。

最初は全ページ写真に撮って、本体はどこかで処分するつもりでしたが、
どうしても本を捨てるということができず、最終的に持って帰りました。

今回U-505について書くのに、実際の本をめくりながら見ることができ、
本当に持って帰って良かったと思っています。



CATSTRONAUTは猫用マスク?


U-505 MSIシリーズ終わり


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