西海岸シリコンバレー生活レポート続きです。
■ ポリコレか 販売戦略か
ど〜〜〜〜〜ん
最近のアメリカ、下着のモデルに太った人を使うのはもう普通ですが、
それにしてもこれ↑ってどうなんだろう。
太ってるモデル、別にいいんですよ。
アメリカ人は、太っていても顔が可愛らしい人は多いですし、
太っているなりにパンっと肌のハリがあるなら、説得力もあるんですが、
この人のはもう見ちゃいけないものを無理やり見せられているような。
昨今、アメリカのポリコレ具合はもう限界突破しているかに見えます。
ディズニーを筆頭とする制作物や映画、ミュージカルはもちろん、
デパートなどのマネキンが年々太ってきているのも、
このポリコレに端を発するものだと思っていました。
そして、アメリカのポリコレは、こういうのもありどころか、
これを「美しい」と思うような美意識を植え付けようとしているのか?
これって一種の洗脳か?とこれまで思っていたのですが、
今回この限界突破したモデルさんを見て、あることに気がつきました。
広告の目的は商品を売ることです。
それには売り場で気持ちよく商品を手に取ってもらわなくてはなりません。
このスーパーは、アメリカ人の多くを占める「こういう体型の人」が、
安心して、気後れせず下着を手にとることができるように、
「雲の上の人」である完璧なファッションモデルではなく、
彼女らと同じか、あるいはより「下」のモデルを使うことにしたのだと。
毎年この傾向が顕著になっていることから考えても、おそらくこの
「高めを見せ(て劣等感を煽)るな
低めを見せて安心させ(て買わせ)ろ」
という販売戦略はある程度結果を出しているのでしょう。
■ テスラ・サイバートラック
カリフォルニアのアーヴァインに本社のある自動車会社、
リヴィアンの縦目の車も、ここシリコンバレーでは珍しくなくなりました。
By Jay8g - Own work, CC BY-SA 4.0
Amazonプライムの配達の車も半分くらいはリヴィアンです。同じリヴィアン製でも、こちらは丸目。
このヘッドライトは方向指示器を兼ねています。
今シリコンバレーを走っている車は、テスラなどの米製電気自動車と、
日本車が二分しているといっても過言ではありません。
ここにはテスラのお膝元ですし、電気自動車が弱い寒冷気候にも程遠いので、
中古で安売りされるようになると、皆が乗るようになりました。
一昔前(『ララランド』の頃)は右を見ても左を見てもプリウスでしたが、
今は「前後左右皆テスラ」ということも珍しくありません。
今借りているAirbnbのある一帯は高級住宅街ですが、
家の前に停まっている車は例外なくドイツ車、日本車、テスラ、大型アメ車。
時々ヒュンダイやキアを見ますが、それはほぼ間違いなく、
庭の手入れや工事をしにきたワーカーが乗ってきたものです。
傾向として、レクサスとかメルセデスなどの大きなのをメインに、
2台目にテスラ、トヨタ、スバルを選ぶ住人が多いように見えます。
ところで、先日こんな車が横を走っているのを目撃しました。
「うわ、なにこれ!」
「バットマンカーのつもり?」
「これ絶対普通の車の上に改造でブリキのボディ乗っけてるよね」
好きなことを言い合って、MKに会った時にこれを見せたら、
「テスラのサイバートラックだよ」
これのどこがトラックだよ、と言いたくなりますが、
これが今シリコンバレーで一番尖っている(文字通り)Tesla Cybertruck。
2023年から製造しているので、今ちょうど市場に出回って、
ぼちぼち街でも見かけるようになってきているというわけです。
尖ったボディは平らなステンレス鋼板パネルで構成されているからです。
イーロン・マスクの肝入りで作られたこのピックアップトラックは、
近未来的な装甲兵員輸送車を思わせるフォルムを持ち、
お披露目の場所、月、年が映画『ブレードランナー』の舞台と同じ、
というなかなかにロマンを感じさせるデビューを果たしました。
そして聞いてびっくり、理論的に水陸両用として使用できるそうです。
まさに近未来的な夢の車。
しかし、デビューの際、テスラは「このアーマーガラスは絶対に割れない」
と自信満々で窓に金属球を投げるパフォーマンスを行い、
公衆の面前で見事に二つの窓が割れるという辱めに遭い話題になりました。
その後1週の間に、わたしはこのサイバートラックを2台、
一度は家の近所で、もう一度はパロアルトに路駐しているのを見ました。
ところで、サイバートラックは発売早々に、
「アクセルペダルパッドが外れ内装トリムに引っかかり自動加速する危険」
のため、リコールされていますが、MKによると、
彼が秋から就職する会社(就職が決まりました)の社員に
その早々に不具合で事故を起こした当の本人がいるんだそうです。
怪我はなかったそうですが、ことがことなのでニュースで報じられたとか。
そして、その事故の写真を見ましたが、相手のトヨタ車は、
サイバートラックによって鋭角に切り裂かれ、ズタズタ。
運転者が生きているかどうかも心配になるほどのダメージでした。
サイバートラックは特にそのデザインに対し意見が分かれており、
この事故のようにヒトやモノを必要以上に傷つけそうで不快、とか、
(先端恐怖症の人は見るだけで怖いと思う)酷い意見になると、
「サーバートラックはテスラファンの熱狂的な夢の中にしか存在しないローポリゴンのジョークであり、
イーロン・マスクの排泄物の臭いの上に立っている」
とまで言われているのだとか。
でもどうせ新し物好きのシリコンバレー住人は我先にと買うんでしょう?
と思ったのですが、このあまりに先鋭的で『人の迷惑を顧みない』
(ちょっと事故っただけで相手は大迷惑、本人も修理で大損害)
コンセプトには、さすがに首を捻っている人が多いようです。
■ 楽器作りゼミのショーケース父兄参観
我々がここシリコンバレーに到着した時には、
MKは大学院の最後の1週間を忙しく送っている時でした。
そしてちょうど共同プロジェクトで参加していた
CCRMA (Center for Computer Research in Music and Acoustics)
ショーケース(発表会)に誘ってくれたので、見てきました。
CCRMAは日本語で言うと「音楽音響コンピュータ研究センター」。
MKの大学の音楽学部に帰属する日本でいうゼミで、
CCRMA=カルマ(最初のCは無音)と発音します。
作曲家と研究者が、芸術的媒体として、また研究ツールとして、
コンピュータベースのテクノロジーを使って共同作業を行う、
ということを目的とした施設で、MKは最後のセメスターに
楽器を作ることを学友3人との共同プロジェクトに選んだのでした。
昔当大学学長の住居(!)だったという歴史的な建物が、
現在はCCRMAだけの研究室として使われています。
卒業式のために一眼レフを持ってきていたので、
リスで練習(久しぶりなので)しました。
やっぱりiPhone11のレンズとは違うなあ・・。当たり前か。
ここには黒リスもいて、普通リス?と喧嘩していました。
こうして見ると、アメリカ人がこいつらを
「ネズミ」くらいの認識しか持っていないのがよくわかる。
尻尾がフサフサじゃないリスってほんとネズミみたい。
ショーケースの行われる会場は三階にあり、階段を上ります。
建物と同じで、軽くできて1世紀は経っていそうなピアノ。
この古い建物の3階はホールになっていて、天井には無数のスピーカー、
プロジェクター、防音装置が施された別世界でした。
プログラムは入り口のQRコードで読み取ります。
で、どんな楽器をみなさんが発表したかと言いますと・・
これをはめて音楽に合わせて色々な動作をすると、
それに合わせて音楽の音量や質が変化するという手袋。
発明者の学生は全盲で、右側の人が色々とサポートしていました。
音を拾うためのコンタクトマイクを仕込んだボウルに水を入れ、
ボウルをさまざまな方向に傾けることで、ピッチの歪み、
パーカッションヒットの速度、エコー(リバーブ)の量、
および音の厳しさを変化させていきます。
新機軸の発明ではないけれど拍手喝采を受けていた大作、
木を切ることから始めて作り上げたエレクトリックコントラバス。
木の選定から9ヶ月かかったそうです。
ブーツにギター操作の装置を仕込んだ人。
足のジェスチャーでワウ、リバーブ、キルスイッチ、
ペダルエフェクトなど全てを操作できる・・・はずですが、
残念ながら本人がまだ使いこなすに至っていませんでした。
距離センサーとパルスを組み合わせたドームの上で
手をかざし、距離を変えることで音が変質していきます。
センサーを仕込んだTシャツで音を変化させていく仕組み。
そして、MKの展示ですが。
MKと以前京都に来た女子、もう一人男子が3人で作ったのは、
Bass Bass(バスのベース)。
=ベース(ギター)であるメカトロニクスベース(魚)で、
近くで見るとこんな
機械式スプリングシステムが、魚を叩く動きをストリングプラックに変換、
ピッチは制御でき、出力音は包丁
(多軸モーション制御システムに取り付けられている)
を介して減衰することができるという仕組み。
「バスフィッシュを叩いて、
音楽と海洋生物のクロスオーバーイベントを体験する」
(本人説明)だそうです。
ちなみにベースに合わせていた音楽は「マンイーター」でした。
後で魚を叩かせてもらいましたが、これで
「🎵たったった〜、んたたったたった」
のリズムを取るの難しすぎ。
魚を叩くことにシャレ以外の意味が何もないという楽器です。
ショウケースが終わったので、昔ここでMKがITキャンプに来ていた頃、
散々お世話になったダイニングホールにいき、
当時はなかったインドのカレーを食べてみることにしました。
注文は左のパネルからいっさいお店の人と口を聞かずに済ませ、
お店の人は一人で黙々と注文のものを揃えて、右側から渡してきます。
インド系の学生も多いので、要望にお応えした感じでしょうか。
ちなみにここには昔から『KIKKA』というジャパニーズがあります。
お味は・・・まあ多くは言うまい。
おまけ:駐車場で前に停まっていた車。
これが動いているところが見てみたい・・・。
続く。