マウンテンビューというアメリカ西海岸の街に滞在していますが、何がありがたいと言って、とにかく湿度が低いことです。
昼間日差しが強くても、日陰に入るとひんやりしていて、
9月になってからは朝寒いくらいに感じることがあります。
なので、朝早く起きたら太陽を浴びるため、外を散歩します。
朝光を浴びるとメラトニンの分泌が14時間後から行われ、
その作用で寝つきが良くなると聞いたからですが、効果を実感しています。
陽を浴びるのが目的なのでガチのウォーキングではなく、近隣の老人専用アパート(老人ホームではなく、一戸建てが並んでいる)
の住人である老夫婦のルーチン散歩と運動強度は同じくらいです。

先日散歩中、自分の身体くらいの大きさマツカサを咥えたリス発見。
びっくりして立ち止まり、スマホを向けると、固まってしまいました。

人が見てたらそりゃ怖いよね、と立ち去るフリをしてこっそり振り返ったら、
獲物をフンガー!と咥えて再び引っ張ろうとしていました。
しかし次の日、この松ぼっくりがポツンと木の根元に転がっていました。
木の上の巣まで持って上がることは不可能だと悟った模様。

この日は初めてアパートのジムに行ってみました。
高級いかんに関わらず、アパートにプールがあるのは珍しくありません。
先日MKの家探しで2番目に見た鯉のいるアパートも、
大きなプールがあって、住民がプールサイドで憩っていました。
このアパートには小さなドッグラン、バーベキューグリル、
卓球台、ビリヤード台のあるプレイルームなども完備しています。
実は一応ここのワンルームも見せてもらったのですが、
現在のところ、空きはないとのことでした。
■ ソファベッドを決める

家が決まった次の日から、早速家具探しが始まりました。
一応ネットで検索してから、実物を見ることができるお店を訪ねます。
ここはマウンテンビューの中心となるカストロストリート沿い。
レストランが立ち並ぶ通りですが、文化会館的なホールもあります。

この近くにあるGINKO(銀杏)という家具屋さんで、
MKが興味を示したのはこのソファー。
最初からベッドになるソファーにすることは決めていましたが、
どうも彼はこれをメインのベッドにして部屋を広く使いたい模様。

ホテルなどのソファベッドと違い、ベッドにするとこのように
ほぼ完璧なクィーンサイズのマットレスとして機能します。
寝心地も、ベッドを目指して?いるので問題ないだろうとのこと。
結局1週間迷って、これを買うことに決めました。
毎日ベッドメイキングも口うるさく言わないとしない奴が、
一人暮らしで毎日ベッドを片付けられるわけないだろう、
とわたしは内心思っているのですが、まあそれは自己責任です。
■レイトショーで「エイリアン」を観る

この日、MKが友達と観て面白かったということでおすすめされ、
IMAXで「エイリアン・ロルムス」を鑑賞することになりました。
思い立ってすぐということで、夜の10時開始(実際は10時半)のため
サンタクララまで車を飛ばしたのですが、アメリカでレイトショーは初めて。

ロビーのお店には人影はなく、かろうじて一つのブースが営業しています。
ところでこの映画館スタッフには絵を描くのが好きな人がいるらしく、

元ネタは分かりませんが、カウンターを閉めるカバーに、
左:初日は静かに
右:おっと、もう品切れです。すまんねXOXOと書いてあります。
映画館には最初の30分私たち家族しかいませんでした。
上映ギリギリに数組のアメリカ人が入ってきましたが、
昼間と同じ設定で冷房しているのか、寒くて困りました。
映画は、一口で言って面白かったです。
途中で絶対寝るだろうなと思ったのですが、気がついたら最後まで観ました。
アメリカの映画なのでもちろん字幕はありませんが、
そんなものはまず必要ない展開でしたし。
ところで、主人公の一人、タイラーを演じた俳優(アーチー・ルノー)
が出てきた途端、この人無茶苦茶見覚えがある!と思ったのですが、
なんと飛行機の中で見た「アップグレード」の主演男優でした。
彼にとってこの2作品はどちらも今年出演作なんだそうで。
ところでなぜこんなタイトルだけで内容の予想がつく映画を観たかというと、
自分自身がアップグレードされた直後だったからです。
今回の飛行機、いつものように特典航空券枠でのビジネスが取れず、
わたしだけがプレミアムエコノミーの席で来る予定でした。
一応カウンターでアップグレードできるかどうか聞いてみたら、
お盆の繁忙期のため140万円必要だと言われ(係員も驚いていた)、
勿論それは諦めたのですが、いざゲートを通ろうとしたら呼び止められ、
「空きがでたのでビジネス席を(無料で)用意させていただきました」
という奇跡が起こったのです。
どういう理屈かは分かりませんが、なぜそうなったか聞いても、
「当社の都合です」としか言わないので、いまだに理由は不明です。
その直後だったので映画も「アップグレード」を選んでしまったのですが、
お話は案の定、オークション会社でこき使われていた下っ端の女の子が、
航空会社の係員に同情され、アップグレードしてもらい乗ったファースト席で
隣同士になったイギリス富豪の息子と恋に落ちるという陳腐な内容。
富豪息子を演じていたのがこのアーチーだったのですが、
わたしの目には爆笑問題太田の上位返還&拡大版にしか見えず、
イケメン扱いされているのに大いに違和感を抱いたものです。
で、ここから本題なのですが、終了後、英語聞き取れた?と聴かれたので、
「前半はあまり聞き取れなかったけど後半は問題なかった」
(その心はほとんどセリフなしのシーンが続いたため)
というと、MKが衝撃の発言を。
「多分観ていたほとんどのアメリカ人もそうだったと思う」
そもそもこの映画の監督、リドリー・スコットはイギリス人で、
主演級はほとんどイギリス人俳優が演じているため、
アメリカ人には彼らの英語が聞き取りにくかったはず、いうのが彼の説。
日本人にはイギリス英語の方が聞き取り易いなどと常々豪語していたくせに、
その割に米語か英語かなど全く気づきもしなかったわたしって一体。
■ スタンフォードショッピングセンターに保護猫センター出現

家具を探してこの日はスタンフォードショッピングセンターに行きました。
ここの家具店は全体的に高級すぎたので収穫はありませんでしたが、
なんと、しばらく来なかった間に、猫カフェらしきものができていました。
中で飲んだり食べたりはできないので「カフェ」ではありませんが。

「ミニキャットタウン」というこの施設は、12歳以上の大人15ドル、
以下は10ドル払うと、30分中で猫と触れ合えるようになっています。
入場申し込みと支払いは全て外からオンラインで行う仕組み。

この日は週末で子供づれの家族で賑わっていました。
気に入った猫がいれば、アダプション(養子縁組)を行うこともでき、
値段は猫の年齢に応じて色々のようです。
入場する時には手を消毒し、靴には鑑識が履くようなカバーをつけます。

猫の首輪には名前が書いてあります。
この施設を立ち上げたのはアジア系の若い女性3人だそうです。
ところでこの写真、たまたま窓際に黒猫がいるだけだと思うのですが、
キリスト教圏では、いまだに黒猫を避ける傾向があり、
引き取り手に困っているという話を以前聞いた覚えがあります。
このとき後ろから中国人のグループが来て、主に女性が口々に
「シャオヘイ」「シャオヘイ」とはしゃぎだしたのですが、
確か「シャオヘイ」とは「小黒」のことだと思い出しました。
昔勉強した中国語のテキストに登場した黒猫の名前が小黒だったのです。
中国では黒猫(ヘイマオ)=シャオヘイなのかもしれません。
■ 無印良品の夢の跡

ブリッジを渡った向こう岸の巨大な倉庫型家具店にも足を運びました。
あまりにも広大でもうそれだけで驚いてしまったのですが、
一応全部見て回った結果、特に家具というものは
たくさん展示されていればいいというものではないと悟ることになりました。
その理由:値段的にもセンスの点でも振り幅が大きすぎて、
その中から自分の好みに合うものを探し出すのは大変です。

同じことは、この古い家具屋にも言えました。
店主のおじいさんに言わせると、「サンフランシスコ一の品数」
を揃えているというこのお店、黄色い看板には、「緊急セール」として、
次々入ってくる家具を入れる場所がないので安く売ります、とあります。
しかし、玉石混交というのか、品揃えも見せ方もイマイチ。
この店で素敵だなという展示をされている商品は一つもありませんでした。

実際の船のスクリューを利用したガラステーブルとか。

初めて見る、二段ベッドになるソファベッドとか、
確かに変わったもの、ここにしかないものもあるのですが、

お値段、12ドル59セント(これだけ貰ってもいらん)

極限までカットされた美容師のヘアカット練習用マネキンの頭とか、
ある意味ネタの宝庫とでもいうべき品揃えでしたが、
ここで驚いたのはそれではありませんでした。

2階で繋がっているフロアを下に降りていくと、
なんと無印良品の店舗の跡地?があるではないですか。
無印が撤退したので、家具店は溢れかえる家具を置くため、
店舗だったスペースを改装せず、商品が残った状態で使っているのです。
無印良品は、アメリカやヨーロッパに事業進出したものの、
駐在員を置くことや賃貸契約、在庫管理が甘いなどの問題で苦しむ中、新型コロナウイルスのせいで業績を落とし、
アメリカからは全面撤退したということをこのとき知りました。

日本ではお馴染みの商品が、ディスプレイされたままで埃まみれです。
階段から手の届く部分の商品は、持ち去られたのかもしれません。
キャラメルポップコーンを盗っていった人もいる模様。
■ 棚が見つかった

ソファベッドが決まれば、次はベッド横の棚です。
ワンルームなので、寝室とその他の区切りになるように、
ベッドと同じ横長の低いラックをネットで見つけたので、
サンフランシスコのマリポサにあるお店に行ってみました。
マリポサはサンフランシスコの東南ミッション地区で、
昔MKの幼稚園探しで訪れた時には、何もない殺伐とした雰囲気が漂い、
あまり住もうとは思わない地域だった記憶があるのですが、
いつの間にか立派な子供病院や高層ビルが立ち並ぶ街に変貌していました。
そして周辺は、家具などのアーティスティックな工房がある、
ちょっとヒップな雰囲気のSOHOエリアとなっています。

この工房はシンプルで少しミッドセンチュリーを思わせるコンセプトです。
ここでラックを注文することに決まりました。

この日のランチは、家具屋近くのベーカリーカフェに行きました。
煙突がまだ残っている工場の建物をそのまま利用しています。
後からここが、世界的に有名になりつつある、
チャド・ロバートソンのターティン・ベーカリーだったと知りました。

Tartine(タルティーヌ)という名前が期待させます。
タルティーヌは、バケットなどのスライスに具材を乗せるオープンサンド。

ターティン・ベーカリーは元々サンフランシスコのご当地パン、
サワードウを「カントリーブレッド」として有名にした伝説の店です。
日本のパンにはないずっしりとした食べ応えがいかにも「ごパン」。
わたしは日常グルテンを控えめにする食生活をしているのですが、S・ガンドリー博士の「サワードウならセーフ」という説を読んで以来、
アメリカに来るとサワードウに限りパンを解禁します。

建物の半分は陶芸工房で、窯がトイレに行くときに見えるので、
食事が終わった人の多くは、工房の物販店を冷やかして帰ります。
さすが陶芸というだけあって、日本製品多し。
この可愛らしい一輪挿しなどは長野にある工房から輸入されたもの。

「Meiji Lantern Kojima Syoten」
京都に江戸時代(1798年ごろ)開業した提灯屋、
小嶋商店の伝統的提灯「明治提灯」をランプにしたもの。
英語の説明によると、「自張り式」という伝統の手法を用いており、
制作には職人の高い技術が必要な逸品とのことです。
小嶋商店ホームページより、提灯の作り方
ちなみにお値段ですが、614ドルということです。
■ ONE TREE
冒頭画像は、サンフランシスコの高速に入るところにある、
「ONE WAY」に合わせて描かれた「ONE TREE」とその木の現在。

木が大きくなって、「ONE TREE」をほぼ覆い隠していました。

2019年に撮影した時のONE TREE。
この時はまだONEくらいは読めます。
2006年。この頃壁は青かった。
ONETREE

白黒写真の頃。
この時の後ろ壁は何かの事情で建て替えになり、
現在の壁になったので微妙に矢印の場所が違うことに気がつきました。
ところで、右下の小さな木がこれだけ育つのに、何年かかったのでしょうか。
続く。