さて。
何回もお伝えしているように先週末19日に横須賀地方総監部で行われた
「第二回護衛艦カレーナンバーワングランプリ」
は、その異常なくらいの人出がツィッターで報告され、ニュースになるくらい
注目のイベントとなったことは大変喜ばしいことです。
それもこれも「自衛隊カレー」の認知度と、昨今の「艦これ」の人気が相まっての結果。
わたしは朝からいたので「カレーが無くなった瞬間」を目の当たりにしたのですが、
「今から並んでも食べられない可能性があります」
と場内の列が声をかけられていたのは11時30分。
「カレーは無くなりました」
とその30m後ろの列集団が宣告を受けていたのは11時35分。
3時までの開催で「無くなり次第終了」という断りは最初からあったものの、
人の多さと当日の晴天で予想より早く無くなってしまったようでした。
しかし当日カレーを食べようとおもって来たもののその目的を失い、
しかしまあせっかく来たのだからあるものを見学していこう、ということで
生まれて初めて護衛艦の中を見た
という、自衛隊広報に取っては大歓迎の来場者は多かったのではないでしょうか。
わたしは最初からカレーを食べること自体目的ではなく、むしろ常日頃
一般市民と自衛隊の関係性についてこういったブログでお話ししている立場から、
これらの事象を観察することができさえすればそれで目的は果たせたとしています。
それにしてもこの日、わたしが「来て良かった!」と心から思ったのは、
「あしがら」見学を終え、「こんごう」に向かって岸壁を歩いていく途中で
噂のあの護衛艦を見ることができたときでした。
護衛艦「ちびしま」(JS CHIBISHINA, MDDG-1.74)
後ろに停泊しているのはDDG−177の「こんごう」ですが、こんごう型2番艦である
DDG−174「きりしま」の1/10番艦がこの「ちびしま」です。
旧海軍には同名艦が存在しなかったため、これが初代「ちびしま」となります。
ここで「ちびしま」のスペックを延々と紹介。
「ちびしま」も本気ですが、説明も本気でやります。
「ちびしま」は、中期防衛力広報計画に基づく0.72トン型護衛艦として、
海上自衛隊横須賀地方総監部の施設科のどこかの倉庫内で起工し、少なくとも
2006年以降に就役した後に横須賀地方総幹部広報に配属された海自の護衛艦である。
定係港は横須賀。
横須賀のサマーフェスタや観艦式、イベントには必ず一般公開される超人気護衛艦で、
その攻撃力はイベントごとに見る者のハートを確実に撃ち抜き、広報活動における
費用対効果の絶大なことにかけてはおそらく自衛隊一の優良艦であろうと言われている。
所属は「きりしま」が第4護衛隊群第8護衛隊(司令部:呉)であることから、
おそらく「ちびしま」もそうであろうと思われる。
ボートダビットに設置されている11cm作業艇。
作業艇の艦首には「ちびしま」と文字が入っている。
「あたご」型は作業艇を2隻搭載しているが、「ちびしま」は
1隻のみなので、「01」「02」などの艦番号は入っていない。
舵輪が艦尾近くにあり、推進のためのスクリューシャフトがないが、
これはガードで保護されているため見えないのだと思われる。
Mk15Mod2 高性能20mm多銃身機関砲CIWS。
「ちびしま」には前後に2基搭載されている。
Mk. 32 3連装短魚雷発射管
型式はHOS−303と呼ばれ、Hは発射管、Oは水上艇用、Sは短魚雷、
そして300番台は3連装を示す。
3本の発射管が俵状に組まれているが、この形は本来
狭い艦上スペースでの搭載運用を可能にするためのものである。
しかし「ちびしま」の場合、艦の大きさに比して発射管の占める面積が広くなり、
おそらくこの通路を乗組員が通行することもできないと思われる。
さらに突っ込むと、発射管の右手に救助用の浮き輪が見られるが、
もしこの浮き輪を使用することができるような人体のサイズであれば
おそらくこの魚雷を操作することは物理的に不可能であろう。
艦上に乗組員の姿が見えているが、この人相風体は、
当方が防衛省のさる筋から得た情報によると
ピクルス王子とパセリちゃん
であると思われる。
共に海上自衛隊の夏服に身を包んでいる。だが待ってほしい。
これも防衛省からの情報によると、この二人は実は日本人ではない。
ピクルス王子は
パプリカ王国の王子であり自衛隊に留学している身分
であり、パセリちゃんというのも
ピクルス王子のガールフレンドで将来の王妃
だと言うのである。
王子の留学に国費でガールフレンドを随伴させるというパプリカ王国の姿勢にも
疑問を感じずにはいられないが、我々日本人に取って看過できないのは、
外国人留学生とその正式な妻でもない女性が我が護衛艦に乗っているという事実である。
ピクルス王子が先鋭護衛艦である「ちびしま」のイージスシステムやその他軍機を
パプリカ王国海軍情報部に流出させていないと一体誰が言えるだろうか。
パセリちゃんも、もしかしたら王子のガールフレンドとは隠れ蓑で、
もしかしたらハニートラップ要員であるという可能性もある。
国際交流も結構だが、平和ぼけの防衛省にはこの点一考を促すものである。
左舷に装備されている自動膨張式筏。
ここには6基収められている。
「きりしま」は両舷にこの筏を持つが、「ちびしま」は片減のみで、
これは積載人員が極端に少ないためであろうと考えられる。
艦橋部分。
前面にもCIWS装備。
イージス艦であるので、艦橋周辺に4基のAN/SPY-1フェーズドアレイレーダーを配置する。
イージスシステムの主たるセンサーとして機能し、最大探知距離は500 km、
同時に追尾できる目標数は200以上と言われているが、ミサイル防衛作戦の際には、
レーダーのエネルギーを集中させ走査することで、
1,000km以上の最大探知距離を実現するとされている。
CIWSの上部に見えるレーダー状のものは、何か分からない。
オトー・メララ 127 mm 砲(Oto Melara 127mm gun)
wikiにはオート・メラーラと表記してあるが、現役の自衛官によると
「オトー・メララ」と発音しているらしい。
わりとどうでもいい話だが、なぜ食い違っているのかは謎。
イタリア人にはどちらも通じると思うがどうか。
自衛隊では「ちびしま」の「こんごう」型、「たかなみ」型が搭載している。
向こうにある「こんごう」と画像が混ざって非常に分かりにくいが、
艦橋の上部構造物である。
丸い円盤のような部分はOPX−11 IFFで、敵味方識別装置である。
つまり、友達か(friend)敵かを(foe)認識する(identify)のである。
この「friend or foe」は、「敵味方」という軍事用語に属するもので、
決して不真面目に付けられた略語ではない。
「ちびしま」はその愛らしさを主兵器としている構造上、実質敵が存在しない。
従ってこのIFFにかかっては全てのものは「友達」と認識されるという特質を持つ。
縮尺の関係上、オトー・メララの砲身は大変太く、
これがもしそのままの アスペクト比であれば、「ちびしま」の主砲は
46サンチ砲くらいに相当する。
艦首旗竿は予算の関係で省略。
首錨はシャンクと呼ばれる錨の上部をホースパイプに引き込んだ状態で
収納してあるので、「ちびしま」は現在投錨中ではなく航行中、あるいは
これから出航すると思われる。
艦番号は1. 74。
「こんごう」型は全長161m、全幅21mである。
「ちびしま」はそのおよそ1/100スケールなので、この艦番号となったと考えられる。
艦尾部分。
後甲板には艦載ヘリが間違って着艦してしまわないよう、
「 .74 」の表示があり、注意を喚起している。
アス比の関係でやたら巨大に見えるものが両舷に装備されているが、
これはスクリューガードである。
喫水線下でスクリューは艦の全幅からはみ出すため、
接岸時に岸壁に接触することがないようにガードを設けているのである。
「ちびしま」は、少なくとも一度、大掛かりな改造を施されている。
竣工当時、左舷側には階段が設けられ、床上20センチくらいの部分に
お立ち台があってそこで写真を撮るという構造になっていたのである。
ところが、海上自衛隊広報の読みが甘く、体重の軽いお子様たちや、
赤ちゃんを抱いたお母樣方だけではなく、家でパソコンばかりして
ろくに外にも出ず体重の増えるがままのオタクが、こんなときだけは自宅から出て来て
「ちびしま、萌えー」
とばかりに入れ替わり立ち替わり写真を撮ったりするのですぐに床が傷み、
横浜地方総監部補修科は、たちまち修理補修に追われることとなった。
その莫大な手間と修理費用に悲鳴を上げた海上自衛隊は、
「体重80キロ以上のおっさん乗艦禁止」
という規制を設けようとしたのであるが、「ちびしま」の、広報活動という
任務を鑑みた場合、差別をすることは本末転倒であるという結論に達し、
「ちびしま」に乗るシステムそのものを廃止することを涙ながらに決定したのである。
(護衛艦「ちびしま」より)文責エリス中尉
「ちびしま」の横には神奈川地本のテントがあり、ここではお子様向けに
制服を着て写真を撮るコーナーが設けられていました。
このように、後ろに撮影用の書き割りまで用意されて。
そして、この後ろで自衛官のコスプレをしたお子様が立ち、
親ばかが写真を撮るというシステムです。
「ちびしま」で撮れるとなればきっと皆そちらに行ってしまいますから、
海自の苦渋の選択(だったかどうかは知りませんが)は妥当だったかもしれません。
「おじちゃん。僕、上手に押せるよ♪」
誰だこのネームを考えたのは。
おじちゃんって、誰?
「しらせ」が持って帰った南極の石。
昭和基地の周りで採取された石で、およそ5〜10億年前に生成されたものです。
よく見ると、ガーネットや鉄を含んでいて、日本では見ることができない
貴重な石なのだそうです。
ペンギンが可愛い。
こまめに「萌え攻撃」を仕掛けて来るなあ日本国自衛隊というのは。
比較的年配の女性自衛官が説明していました。
彼女の前にあるのは「しらせ」の持って帰った南極の氷。
大きな氷の固まりが少しずつ溶けていっていたのですが、
自衛官に言われて氷に耳を近づけると、「プチプチ」と
はじけるような音がします。
これは氷が生成したときの、つまり1億年前の空気がはじけ、
1億年ぶりに大気に混じる音だという話でした。
このときはこの地本コーナーも暇だったため、係の自衛官も
向こうから近寄って来て説明をしてくれたりしました。
「どうぞ、模型も見ていって下さい!」
熱心に言われてつい熱心に写真を撮ってしまうわたし。
これは「ひゅうが」ですね。
「ひゅうが」と並べてなぜかカレーの模型が・・(笑)
この日、「ひゅうが」はドックに入っていて参加していませんでした。
それでせめてもの「模型によるカレー展示」でしょうか。
その代わりというか、大規模な演習前のため「いせ」が来ていて、
艦内で各艦上級幹部の会議などはここで行われたり、
自衛官が宿泊したりしていたそうです。
ちゃんと艦艇作業用?ベスト、猫耳付きヘルメット着用のネコ。
P3−C。
と何も考えずに書いたら、瞬時にして2つ訂正コメントが来ました。
P−1です。P−1。
1/200スケールの「ずいりゅう」。
「あしがら」「ちょうかい」「くらま」の自衛艦旗がきれいに
この日の風になびいています。
この日の横須賀はこのころは晴れていましたが、風が冷たく、
薄着をしていった人は震え上がるくらいの寒さでした。
カレーの列に並ぶ人々の横を、宣伝隊がうろうろ。
「おおなみ」のかれーは「プレミアムカレー」。
「くらま」の宣伝隊。
キャッチフレーズは「総理大臣喫食カレー」です。
へー、でも野田でしょ?
などと、前回書いてしまったのですが、何とわたしはたった今
この宣伝隊の写真によってそれが間違いだったことを知ってしまいました。
後ろの隊員が持っているカレーと、そして自衛艦旗のポスター。
これを拡大してみたら、旭日旗の上にはこう書かれているではありませんか!
「内閣総理大臣 安倍晋三
平成18年10月29日」
失 礼 し ま し た 〜 !
いやいや、野田さんではなく、第一次安倍内閣のときの観艦式だったのね。
道理でわざわざ「総理大臣喫食カレー」なんて名前をつけたわけだ。
「民主党の総理大臣喫食カレーなんて名前をつけて思い出させるんじゃない」
などと勝手に思い込んで不愉快になったりして、ごめんね。
それにしても、どうしてこのような誤解を招く名前を付けるのか。
「安倍総理喫食カレー」では自衛官の「政治に関与せず」との「服務の宣誓」に
コードが引っかかるからかしら。
こうやって宣伝隊が安倍ちゃんのサインを皆に見せて、わたしのような
早とちりをした人の誤解を解いたせいか、「くらま」カレーは見事銀賞を射止めたそうです。
おめでとうございます。
カレーの宣伝隊ばかりではなく、防火隊も出動。
カメラを向けると、見えやすいように幟を向けてくれました。
走り回っているせいか、こんな格好でも全く寒くないようです。
若いって素晴らしい。
彼女もカメラを向けたら「羽ばたきのポーズ」を決めてくれました。
「チキンカレー」の宣伝をしていたのは「こんごう」です。
この女性自衛官はこの偽装?がツィッターで拡散され、
「可愛い」「癒された「体張っているな」「おつかれさまです」
などとつぶやかれて人気でした。
しかし誰ひとり突っ込まなかった彼女の、いや、おそらく海上自衛隊の壮大な
「釣り」に、釣りと知りながらわたしはあえて釣られてみるのですが、
ニワトリに水かきはない。
続く。