Quantcast
Channel: ネイビーブルーに恋をして
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2842

自衛艦旗掲揚〜2014年度練習艦隊出航

$
0
0

先日、非公開希望である方からコメントを頂きました。
当ブログをご愛読下さっているという方です。
この方の所属する「団体」の業務というのは、当ブログのテーマ関連の職種なのですが、
わたしが何より驚いたのはそういう方が

「毎日ルーチンで」

ここに訪れて下さっていたという事実でした。
しかも、この方のお話によると、当ブログ記事をある業務の際、
参考にして下さったこともあるというのです。
大変ありがたいこのお話に感動しつつも、

「あんまりフザケた記事は書けないなあ」

とちょっと緊張したりしました(笑)
それはともかく、なぜこの話をさせて頂いているかと云いますと、
この方から頂いたメールには

海自の「ラッパ君が代」を聞いてみたいです。
知人から聞き及ぶに、横須賀で8時の自衛艦旗掲揚は艦が多いほど
「ラッパ君が代」が木霊して感慨深いそうです。


と書いてあったからです。。
わたしの目はこの「8時に自衛艦旗掲揚」という文章に吸い寄せられました。
なぜならそのときわたしは、

次の日の朝、かしまを旗艦とする練習艦隊の出航行事に
参加する予定だったからです。




昨日までのエントリでかしまの艦上レセプションパーティについて、
あれこれとお話ししてきたのですが、あの夕べから9日目、
練習艦隊は愈々各寄港地に向けて5ヶ月の訓練に出航することになりました。
国内の最終寄港地となった晴海埠頭では正式な出航行事が行われるのです。

で、またまたわたしがこれに参加しようとしていたわけです(笑)
これは、レセプションにお誘い下さった方が

「招待状は要らないらしいから見学されてはどうか」

と教えて下さったからでした。

しかし、わたしはこの「招待状は要らない」の一言を都合よく解釈し、
てっきりそこに行けば誰でも近くに行けるのだと思い込み、
艦上レセプションのエントリ制作で忙しいのもあって、そのメールに
返事をしないまま当日を迎えてしまったため、ちょっと大変なことになります。


その話はともかく、

「8時に自衛艦旗掲揚」

という具体的な時間をその方のメールで知ったわたしは

「明日の今日という今になってこれを知ったというのも
きっと東郷元帥のお導き。
明日の朝は何がなんでも8時に行ってこれを見よう!」

と瞳に炎をメラメラと燃やしたのです。
しかも何というタイミング、当日息子は学校から交流行事の音楽演奏出演で
米軍横田基地にバスで行くため、6時30分学校集合だというではありませんか。
これもきっとニミッツ提督のお導き・・・横田は空軍だっけ。まあいいや。

「息子を送って行ったらそのまま車で晴海に行ってしまおう。
そうすれば8時の掲揚が見られるに違いない」



当日は5時半に起きました。
こんなときには目覚ましがなくても起きてしまえる現金なわたしです。

息子には冷凍保存してあったミニバーガーとゆで卵とバナナと水、
という極限まで手を抜いた弁当を持たせ、(すまんかった息子)
車に乗せて学校で落とした後は一路晴海埠頭へ。

着いたら7時でした(笑)



さすがにあまりひと気がない。
しかしここにきてこの来賓用のテントを見ているうちに、
さすがにのんきなわたしも突如不安になったのです。

これって、大臣とか来賓とかのためのテントよね?
そんなVIPが来る予定なんだったら、

「招待状は要らない」というのはもしかしたら
「誰でも入れる」という意味ではなかったのか?

そりゃそうだろ、護衛艦の近くに誰でも近寄れるのなら、
佐世保の倉島岸壁で見た対岸から「自衛隊は憲法違反〜!」
とか叫んでいる基地の外の人とかも来ちゃうじゃないか。

そう思ったあなた、あなたは鋭い。
・・・・というかわたしがうっかりすぎたんですけどね。



車を走らせてゲートの前を通過してみました。

ほらー、やっぱり受付しないと入れないし。

”練習艦隊出航行事は取材なさいますか?
見送りに来る家族がたくさんいらっしゃいますが、
特段の招待状など必要ありませんので、もしご都合よろしければご覧下さい”

というお誘いはそのあとに


「もしご覧になるならば、手配しましょう」

という意味だったのかしら・・・。
愕然としたものの、時間はまだ7時すぎ。
とりあえずその方が


「9時にスタンバイしていれば大丈夫」

と書いておられたので、最悪その時間になれば何とかなるに違いない。
再び自分に都合良く考え、車の中で8時まで待ちました。



鉄条網の金網越しに見ていると、ゲートから入って行く人々は、
どうやら自衛官の家族のようで、各練習艦隊の艦内を身内の案内で見学しています。

こちらの側ではテントの組み立てが始まりました。



後甲板には自衛官とその両親が見えるだけ。



見送り側のスタッフと思われる自衛官たちが集合。
9日前までは冬服だったのですが、今日は第二種軍装、じゃなくて一種夏服です。

普通の組織はきり良く6月1日から夏服にすると思うのですが、
5月22日、というのは自衛隊的にはすでに衣替えが済んでいるのでしょうか。

もしかしたら、出航する彼らに一種夏服を着せるため、
特別に少し早めの衣替えをしたというようなことはないかな。

勿論冬服も海自はかっこいいですが、何しろ全身純白の夏服は
旧軍時代のそれとほとんど同じものですからねえ。
見送る側も色んな意味で感慨もひとしお、初夏の埠頭にはこちらが断然絵になりますし。

ああ、これはいやが上にも期待がつのるなあ。

白の詰め襟がずらりと練習艦隊の左舷に立つ様子を想像し、
さらにテンション上がってきました。


しかしその前にわたしは中に入れるのか・・?







中に入っていく自衛官の家族、関係者も増えてきました。
職場を彼女に(この雰囲気は絶対にヨメではない)案内する幹部。
艦上を歩き回っている隊員たちは皆半袖の三種夏服を着ています。
式典になったら着替えるのでしょう。

こんな職場で彼氏を見たら、その眩しさに(制服の白のせいではなく)
ドキドキしてしまうことは確実。

自衛官って、仕事をする姿が非日常的なだけに、家族にとっても新鮮でしょうね。
長年連れ添っていても制服姿を見るとその度に惚れ直すとか(笑)



彼らの両親にとっても息子の凛々しい制服姿は頼もしく、
「立派になったなあ」という感慨を一層あらたにするに違いありません。

両親と奥さん(もしかしたらお姉さんかも)を案内する海士、
そして母親と一緒の幹部。



地上部隊がお仕事をを始めました。
テントを4人で持ち上げて立てていっています。



駐車場に停められたバンから出てきたのは写真班の4人。
真剣に機材を点検しています。

バスからは東京音楽隊が一個中隊降りてきました。
彼らも一種夏服ですが、ちょっと不思議だったのが、
カメラマン、音楽隊は全員靴が黒だったこと。



車の中でiPadを見ながら時々車から降りてはこんな写真を撮って時間をつぶし、
時間はいよいよ8時になりました。



いつのまにかこんなに人が来ています。
これがほとんど全部乗組員の家族なんですね。

彼らが後甲板に集まってきたのはこれから自衛艦旗掲揚を行うからです。



しかし金網越しというのは何とももどかしい映像です。

皆がどうして右を見ているかというと、おそらく
艦長か司令、あるいはその両方が来るのを待っているのかもしれません。



マルハチマルマル。

♪ドーソードードーミー♪(以下略)

わたしは初めてなので喇叭譜「君が代」に「前奏」「後奏」
がつくことをこのとき知りました。

下を通りかかった人たち(おそらく『あさぎり』『せとゆき』に向かう途中)
も立ち止まって自衛艦旗に敬意を表しているようです。



朝日に昇る旭日旗。綺麗に埠頭をわたる風になびいています。

この前日天気は荒れ模様で、この日も実は昼から午後にかけては
豪雨と晴れを繰り返す変な一日だったのですが、
出航行事の間だけはは見事なくらいに美しい晴天が続きました。

わたしは前日から長靴もスタンバイさせていたのですが、
起きてすぐカーテンを開けて目映いばかりの太陽を見たとたん、
出航行事が晴れに恵まれることを確信した次第です。

まるで練習艦隊の門出を祝うかのように・・・・・・
・・・・・というと、「ふゆづき」のときの荒天はなんだったんだ、
ということになってしまいますが、あれはあれで

「いいものみせてもらった」

とわたしは今でも思っています。
つまり晴れでも雨でも自衛艦の行事は絵になるのです。



・・・・・・さて。

ところでわたしはこれからどうしたらいいんでしょう。
自衛艦旗の掲揚を見届けたので、今度は自分の身の振り方を考えねばなりません。

思い切ってゲートのところにいる自衛官に直交渉してみることにしました。
日頃こういうことには引っ込み思案で交渉などとんでもない、
というエリス中尉には我ながら考えられないくらいの実行力です。

心のどこかで海上自衛隊ならそんなに融通の利かない組織ではあるまい、
なんたってアングルバーではなくフレキシブルワイヤであれ、
なんて戦前から言っていた組織の末裔なんだから、と思っていたせいもあります。

それにこんな熱心な、決して怪しくない(と思いたい)人相風体の、
しかも女性が、早朝から艦隊を見送るためだけにわざわざ来ているのに、
無下に追い返すような真似をフレキシブルワイヤーたる士官がするはずがあろうか。

いやたとえ結果追い返されるとしても、取りあえず言ってみないことには始まりません。


わたしにしては大変な勇気を振り絞り、
車を停めて降りたところに立っていた端正な幹部に声をかけました。



「おはようございます。
今日の出航行事はやはり臨時で参加はできないでしょうか」
「はあ・・一応ご家族か前もって申し込みをした方のみとなっているのですが」

そこでわたし、一か八か、偉い人の名前を出して
強行突破を図る作戦に出ました。

「丸々(所属)の誰々(名前)何々(階級)が
この行事のことを教えて下さったのですが」
「そうだったんですか」

「わたくし先週の艦上レセプションにも来させて頂いておりまして」

自分が防衛省から招待された身元の確かな人物であると思わせ
(厳密には違いますが)安心させるという作戦です。

「8時20分頃にはゲートの係が交代しますので、
そのときに臨時で入れるかどうか聴いてみます。
8時30分くらいにもう一度ここに来て頂けますか。
もしだめだったらあそこで(横のビルのデッキから見ている人たちを指し)
見て頂かねばなりませんが・・・。
すみません、お名前を」

「エリス中尉です」(もちろん本当にこう言ったわけではありません)


わたしもこの幹部のお名前を聞いておきました。

「何何幕僚のチャーリーです」(もちろん彼もこういったわけでは略)



わたしは何よりこのチャーリー1尉のものごしの丁寧さ、誠実な対応、
本当に何とかしてあげようと思ってくれているらしいのに感激し、
たとえ駄目でも、そのときは彼の努力にはありがたく感謝して潔く諦めようと心に決め、
15分ほど晴海の港湾ビルのテラスで時間をつぶしました。

レインボーブリッジが綺麗に見えます。



水産庁の調査船「開洋丸」が停泊していました。
「開洋丸」でググると、「UFOに二度遭遇した船」というのが出てきます(笑)

わたしも小さい頃変な飛行物体を見たことがあるので、
(7つくらいの発光体がまとまって凄い高速で東から西に飛んでいった)
この手の話は全く不思議には思いませんが。

開洋丸は水産生物の資源調査、有用生物の発掘、資源動向に影響を与える
海洋環境調査等の基礎的研究を行う大型漁業調査船です。



さて、そろそろ何か結論がでているだろうか、とゲートに戻ります。
この写真を撮っていたら、横を通って中に入ろうとするおじさんが

「こんなところで撮ってないで中で撮ればいいのに」

といいました。

中に入れるものならぜひそうしたいんですけど、と言いかけたとき、
なぜか自衛官の制服ではなく背広のインカムつけた男性が近づいてきて
わたしに声をかけるではありませんか。

「エリス中尉さんですか?」

って、どうしてここにいるだけでわたしの名前が わかったんでしょうか。

「そうですが」
「 マルマル(所属)のナニナニ(名前)コレコレ(階級)は
もう到着して中におりますのでどうぞお入り下さい」


なんと、先ほどのチャーリー1尉は「臨時で入れるか」を確かめるのではなく、
あれからすぐにわたしの言った方に連絡を取ってくださっていたのです。

しかもイケメンのエスコートまで差し向けてくださって・・・・。
イケメンは関係ないですけど。

「手続きとか名札とか受付とかは必要ないのですか」
「結構です。中にお連れするように言われております」

すごい。

なんかわからないけど話が滅法早い。
いきなり来てただ「出港式見たい」といっただけの人間を追い返しもせず、
こちらの出した名前から相手に即座に連絡を取りすぐに対応。

そのスマートさに思わずジーンとしながらイケメンに付いてゲートを入り、
近くからさっそくかしまにカメラを向けて撮ったのが冒頭の写真です。

いつのまにか横にいた先ほどのおじさんが、

「やっぱり中で撮らないと駄目でしょ」

と声をかけてきました。
はい。わたしもそう思います。


とにもかくにも、わたしの練習艦隊出港行事参加は
このように始まったのでした。



続く








 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2842

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>